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NSXがトップでチェッカーを受けた。我々にそのニュースを知らされたのは、ホンダ本社の広報部に送られてきた、一片のFAX用紙である。新聞の切り抜きがコピーされ、およそ8時間の時差を越えてドイツから送られてきたのそのニュースは、NSX、またはホンダを知る者にとって、いささかの興奮を覚えるものだった。
“ホンダ優勝”。その響きは、マン島TTレースの快挙にはじまり、S600のニュルブルクリンクでの優勝、欧州F2界を驚愕させたホンダエンジン、そしていまは見ることのできない世界のトップフォーミュラで圧倒的な強さを誇るホンダのエンブレム、日本のレースシーンの快挙はホンダにはじまるという心地よい記憶を刺激し、心を浮き立たせた。 そうか、またホンダがやったか…という、胸をなで降ろすというか、安心感を与えてくれるニュースだった。それもNSXである、そしてベースはタイプRである。いままで、ピュアスポーツカーとして存在するNSXに求めてやまなかったレース参戦、そして走り勝ち抜くという立回りを見事に演じてくれたのだ。やはり、スポーツカーと名乗るからには、レースで勝って欲しかった。それも、日本ではなく、世界の舞台でだ。 |