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| 『私が、イギリスではNSXを購入、登録した最初の女性です』。そう言う彼女の顔は誇らしげだった。そして今でも彼女はイギリス唯一の女性NSXオーナーかもしれない。事実はどうであれ、彼女が少数派であることだけは間違いない。 |
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| ヒースローの近くに住むリン・アダムソンは、人材育成を得意とするコンサルタント会社の経営パートナーとして成功をおさめ、安定した暮らしを営む50代のビジネス・ウーマンである。NSXのほかにも、アルピナB3というこだわりの高性能車を所有するエンスーである。 ではHondaのミッドエンジン・スーパーカーの何が彼女にアピールしたのだろうか？ 『理由は2つ』彼女は明確に答えてくれた。『ひとつはスポーツカーが大好きだから。事実NSXを買うまで乗っていたのは日産300ZXで、あれもとてもいいクルマでした。もうひとつはNSXには前から目をつけていて、いい値段になったから買ったの』 NSXは瞬く間に彼女を魅了する。『NSXはスーパーカーでありながら、本当に多彩な特徴を持ったクルマなの。そこらへんにある普通のクルマのように足グルマとして街乗りもできるし、いざという時には矢のような走りを見せてくれる。アクセルを踏むと瞬時に彼方へと連れて行ってくれるわ』 彼女のNSXは『97年式で、3.2リッター・エンジンと6段変速マニュアル・ギアボックス、パワーステアリングの備わった、タルガ・ルーフ・モデルです。試乗させてもらって、瞬時に「これだ！」って思いました。 イギリスでは、NSXは未だに珍しい存在で人々の目を引く。『でもその稀少さゆえに購入したわけじゃないわ。クルマが素晴らしかったからよ』彼女はそう強調した。『めったに街で見かけないわね。特に私の乗っているメタリック・グリーンのNSXに出くわしたことは一度もないわ。近くに赤いNSXに乗っている人がいるみたいで、たまにすれ違います。稀少さを貴重に思ったことはないわ。稀少だからって買ったわけじゃないです』 『2台クルマを所有しているので、NSXはセカンドカーとして使っています。年平均6000マイル（1万キロ弱）ほど乗るかしら。NSXを使う時はNSXを心ゆくまで楽しむときだけ。ただのクルマじゃなくて、NSXには強い思い入れがあって、週末や休暇だけ使うことにしているの。時々、ちゃんと走らせてあげなきゃならないとわかっているから、遠くへ出かける時に乗っていったりしているわ。時には全開で走ってエグゾーストにたまった煤を落としてあげなきゃいけないでしょ（笑）』 多分そこらへんにNSXとの良い関係を維持する秘密があるようだ。走らせるために作られたクルマは走らせてこそ価値がある。『まったく何の問題もなし』と彼女は言う。『信頼性という意味で、私はNSXを格調高きシビックと呼んでいるの』 |
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