開幕前の予定では、第10戦は南アフリカのダーバンで開催される予定だったが、キャンセルを受けて開催地が変更となった。第10戦の新たな開催地となったファエンツァは、イタリアのリミニ市の西にある街で、ロードレース用サーキットのあるイモラの近くだ。
ファエンツァで世界選手権の大会が行われるのは今世紀に入って初めてのことで、改修されたコースは、距離は短くなったが、シンプルでスピードの出るレイアウトに変わっている。このためトップライダー勢の多くが同等のスピードで走るレースが展開されることになった。また土が固いため、路面は比較的スムーズだったが、土ぼこりをおさえるために散水が行われたため、若干スリッピーな状態になっていた。
午後になると30℃を超える猛暑の中、今回はセバスチャン・ポールセル(カワサキ)が両レースを制し、総合優勝した。総合2位には両レースで2位に入ったジョシュア・コピンズ(ヤマハ)が入っている。
Honda勢はトップ10に3人入っており、最上位は両レースで4位に入ったベテランのブラウンだった。このブラウンの健闘により、Hondaライダーは2戦連続で、総合成績で表彰台に上がることとなった。また、ブラウンのチームメート、ケン・ド・ディッカーも3位と10位で総合6位に入っている。ジュリアン・ビル(Martin Honda)は7位と6位で総合7位と自己最高の結果を出した。
前戦スウェーデンGPで総合優勝したド・ディッカーは、レース1では好調な走りを見せた。レースの約3分の1を消化した段階でブラウンを抜いて2位に上がったド・ディッカーだったが、その時点でトップに立っていたポールセルは、すでに逃げ切り体制に入っていた。その後、ド・ディッカー、ブラウンのCAS Hondaライダーのタンデム走行はしばらく続いたが、終盤、後方から追い上げて来たコピンズに2人とも抜かれることとなった。ビルも中盤まで5位につけていたが、最終的に7位でフィニッシュした。
レース2では、ブラウンがレース1に続いて抜群のスタートを切った。しかし、ポールセルとコピンズに抜かれたあと、ビル・マッケンジー(カワサキ)に挑んだが結局4位に終わった。それでも、両レース4位という結果は総合3位につながり、ブラウンは今季2度目の表彰台に上がった。
一方、ド・ディッカーはスタート時にゲートウエイがうまく倒れないというトラブルに見舞われた。さらにレース中に左手親指に小石が当たってしまい、その痛みとも戦うことになった。ド・ディッカーはタネル・レオク(カワサキ)と長い間バトルを繰り広げたが、結局10位でレース2を終えている。ビルはレース2でも積極的な走りを見せ、トップ5のライダーと接戦を繰り広げ、6位に入った。
第10戦を終え、ランキングトップはコピンズ(445ポイント)。Honda勢最上位はド・ディッカー(256ポイント)の6位。ブラウン(255ポイント)は7位だが、ド・ディッカーとの差はわずか1ポイントだ。
第11戦は7月29日にチェコのロケットで行われる。
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