HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.10.30 Vol.180 Round 17
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

Hondaがコンストラクターズタイトルを獲得。チャンピオン決定は最終戦へ持ち越しとなる

3連戦最後の戦いとなった第17戦マレーシアGPは、日本GP、オーストラリアGP同様、不安定な天候となり、予選はドライ、決勝はウエットコンディションで行われました。今大会は、マルク・マルケスが総合2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)に33点差をつけてタイトルに王手をかけたレース。ドヴィツィオーゾに先着、もしくは25点差をつければタイトル決定という、世界中のレースファンが注視する大会となりました。

今季最も緊張した戦いを強いられたマルケスは、フリー走行では、ドライ、ウエットとともにまずまず順調にセットアップを進めましたが、完ぺきという状態ではありませんでした。加えて、ドライコンディションとなった予選では、痛恨の転倒を喫します。ピットに戻ったマルケスは、セットアップが万全ではなかったセカンドバイクでアタックを再開することになり、今季ワーストグリッドの7番手となりました。

さすがに緊張を感じさせる予選結果となりましたが、ウエットコンディションとなった決勝は、3列目から好スタートを切って、オープニングラップで3番手に浮上しました。前を走るのはヨハン・ザルコ(ヤマハ)とホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)。後ろにはタイトル争いをするドヴィツィオーゾ。そのドヴィツィオーゾに5周目でパスされ、4番手へとポジションダウンしますが、それからは、4位をキープする作戦とし、着実に走りきってチェッカーを受けました。

優勝したのはドヴィツィオーゾで2位にロレンソと、ドゥカティ勢が得意とするサーキットで1-2フィニッシュを達成。マルケスが4位に終わったことで、タイトル決定は最終戦バレンシアGPへ持ち越しとなりました。

ウエットコンディションという難しいレース。加えて、タイトル争いという、世界中の注目を集め、最も緊張する戦い。タイトル決定は最終戦に持ち越すも、マルケスが4位に入ったことで、Hondaは最高峰クラスで23回目のコンストラクターズタイトルを獲得しました。着実なレースでチェッカーを受けたことで、MotoGPクラスの完全制覇に向けて大きく前進したレース。Repsol Honda Teamのリビオ・スッポ代表に緊張の今大会を振り返ってもらいました

―今大会も不安定な天候となりました。セパンでの戦略について教えてください。

「金曜日のFP2がウエットコンディションになり、その時にダニもマルクもあまり満足な結果ではなかったので、決勝開始直前に雨が降り始めたとき、難しいレースになるだろうと思いました。マルクはフロント、リアともにミディアムを選択しました。このサーキットでドヴィが非常に速いことは分かっていたので、マルクの今日の目標は大きなミスをしないことでした。結果、マルクは非常にいい仕事をして最善の結果が得られたと思います。ダニはリアをミディアムにすると感触がよくなかったので、ソフトを選択しましたが、彼には今大会、タイヤの消耗をマネジメントできる自信がありました。5位という結果からも、彼の選択が正しかったことが証明されたと思います」

―レースを終えて、よかった点と悪かった点について教えてください。

「ポジティブな点は、2人のライダーたちの結果が共によかったこと。マルクが(チャンピオンシップにとって大切な)4位となったこと。そしてHondaが23度目となるコンストラクターズタイトルを獲得したことです。残念だった点は、ドゥカティがこのサーキットのウエットコンディションで我々より明らかに強かったことです。今後に向けてデータを解析して、改善に努めたいと思います」

―レース中、ピットウォールから見ていた感想をお聞かせください。

「非常に長く、緊張するレースでした。ウエットでは容易にミスが起きてしまいます。加えて、ホルヘもドヴィも非常に速かったので、マルクが3列目からとてもいいスタートを切って1コーナーで先頭に立ち、その後多くのリスクを排除しながら状況をコントロールしていくのを見たときには、うれしかったですね。また、ダニは金曜日のウエットでものすごく苦戦していたので、ある程度の強さを見せてくれたことにも満足しています。彼とチームは、すばらしい仕事をしたと思います」

―チャンピオンシップはバレンシアに持ち越されました。レース後のピットボックス内の様子はどうでしたか?

「ここでチャンピオンを決めることは簡単ではないだろうと考えていたので、正直なところ、今日のレースには満足できています。もちろんチャンピオンシップは終わっていないので、最終戦まで集中力を絶やさないようにしなくてはなりませんが、今日のレースはポジティブにとらえています」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「土曜日の夜、”Honda・アジアン・ジャーニー”というアジア地域のお客様とのミーティングがあり、ゲストとしてマルクとダニが出席しました。イベントはサマ・サマ・ホテルで行われ、すばらしいショーとなりました。私たちが楽しませていただいた以上に、お客様にとっても楽しいイベントになっていればうれしいです」

タイトル争いの天王山となった日本、オーストラリア、マレーシアの3連戦で、タイトル王手をかけたマルケス。緊張する戦いの中で、2位、優勝、4位という結果で2年連続4回目のタイトル獲得に大きく前進しました。最終戦バレンシアGP、タイトル決定のシナリオは、ドヴィツィオーゾが優勝しても、マルケスが11位以内で自力チャンピオン決定。ドヴィツィオーゾが優勝できない場合は、その時点で自動的にタイトルが決まるというものですが、チャンピオン決定に向けてRepsol Honda Teamは全力を注ぐことになります。

また、この3連戦、ウエットコンディションで苦戦してきたペドロサが5位でフィニッシュ。改善に向けて大きく前進しました。最終戦まで持ち越されたタイトル決定戦。最終戦バレンシアGPでは、今季4回目のRepsol Honda Teamによる1-2フィニッシュで、ライダー、チームタイトルを鮮やかに決めることが期待されます。

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