HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.09.27 Vol.177 Round14
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

タフなバトルを制したRepsol Honda Teamが今季3度目の1-2フィニッシュ

第14戦アラゴンGPは、金曜日は雨になりましたが、土曜日、日曜日は天候が回復。決勝日は、土曜日より気温も路面温度も上がり、タイヤの選択が難しいレースとなりました。そのためタイヤの選択が分かれるレースとなり、前後ハードを選択したマルク・マルケスは、前半は慎重な走りで4台で形成されたトップグループに加わります。そして、6周目にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)ら、12周目にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、16周目にホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)と次々に交わし首位に浮上すると、それからも後続との差をしっかりとキープ。サンマリノGPから2連勝と今季5勝目を達成しました。

前日のフリー走行と予選で転倒を喫し、アラゴンGPの5年連続ポールポジションを逃しました。5番グリッドという厳しい内容でしたが、日曜日のウォームアップでマシンは大きく改善されます。決勝はハードタイヤのフィーリングにやや苦しみましたが、その苦しい中で最後まで攻めの走りに徹したマルケスが地元ファンの期待に応えることになりました。

予選6番手から決勝に挑んだダニ・ペドロサは2位でフィニッシュ。序盤は、前を走るマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)をなかなか抜けず、そのためトップグループの4台に遅れを取りました。しかし、レース中盤の13周目にビニャーレスを交わすと一気にペースを上げることに成功。15周目にドヴィツィオーゾ、16周目にロッシ、21周目にロレンソを交わし、チームメートのマルケスを猛追撃。23周のレースを終えたときには0.879秒差という僅差でした。

Repsol Honda Teamとしては、苦戦した予選から一転、第4戦スペインGP(ペドロサ、マルケス)、第10戦チェコGP(マルケス、ペドロサ)に続く今季3度目の1-2フィニッシュ。両選手が同時に表彰台に立つ、今季7度目のレースとなりました。

3日間を通じてコンディションの合わせ込みが難しかったアラゴンGP。予選を終えたときには、選手もチームもやや不安を抱える結果でしたが、チームの力を結集して決勝では大逆転しました。厳しいレースが予想されるも最高の結果を残したRepsol Honda Teamのリビオ・スッポ監督に今大会を振り返ってもらいました。

―Repsol Honda Teamが今季3度目の1-2フィニッシュ。素晴らしい結果に終わりました。今大会のレース戦略はどういうものでしたか?

「金曜日は両セッションともに雨の影響を受けたので、基本的にすべてのライダーはレースへ向けた準備が土曜日しかできず、難しい週末でした。さらに、土曜日よりも日曜日は気温が高くなり、日曜日のコンディションでテストをするチャンスがなかったので、タイヤの選択は賭けでした。マルクもダニも2列目からのスタートとなったので、厳しいレースになると思いました。マルクはハードのフロントとリアを選び、序盤は前のライダーたちにあまり離されないようにしました。そうすれば後でアタックできるからです。彼は素晴らしい仕事をしました。彼が思っていたよりも難しいレースになったと思いますが、彼は素晴らしいバトルに勝ちました。ダニはミディアム/ミディアムのタイヤを選びました。残念ながら序盤はマーベリック(ビニャーレス)をオーバーテイクするのが難しかったようです。オーバーテイクした後はギャップを縮めていき、ついには2位でフィニッシュしました」

―今大会のポジティブポイントとネガティブポイントを教えてください。

「ポジティブなことは、2人ともとても戦闘的であることがここではっきり分かったことです。ネガティブなことですか? 1-2フィニッシュをしたときにはネガティブなことを探すのは難しいので、今回はポジティブなことだけですね」

―レース中、ピットウォールから見ていた感想は?

「心臓の鼓動が速くなる瞬間が何度かありました。マルクがバレ(バレンティーノ・ロッシ)とホルヘ(ロレンソ)を同時にオーバーテイクしてはらんだときや、彼が転倒しそうになったとき、右コーナーでフロントが滑ったときなどです。ダニがバレをメインストレートでオーバーテイクして、お互いが接近したときもです。とにかく素晴らしいレースでした。ファンにとっても楽しかったと思います」

―昨年の日本GPはマルクがチャンピオンを獲得しました。今年もマルクが総合首位、ダニが総合4位で日本GPを迎えることになり、日本のファンにとっては楽しみな一戦になりました。日本のファンにメッセージをお願いします。

「もてぎで行われるグランプリはRepsol Honda TeamとHondaにとって特別なイベントです。スペインで行われるグランプリ、マルクやダニのホームレースも特別と考えていますが、もてぎはHondaのホームレースです。ライダーズ、コンストラクターズ、そしてチームのチャンピオンシップをリードして日本に向かえるのはうれしいです。ライダーは2人とも日本に多くのファンがいます。彼らもベストを尽くしていいレースをすると思います。がんばって(Gambatte)!!!」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「今日のレースは青空のもと行われましたが、午前中は霧が深かったので、コースに出て走るのは不可能となり、すべてのクラスのウォームアップセッションが遅れました」

一進一退が続く今年のチャンピオンシップ。第15戦日本GP、第16戦オーストラリアGP、第17戦マレーシアGPと続く終盤戦最大の山場となる戦いを前に、今季5勝目を挙げたマルケスが後続にリードを広げて総合首位をキープ。ペドロサは総合5位から4位に浮上して、第15戦日本GPを迎えることになりました。

昨年はマルケスがチャンピオンを決めた大会。接戦が続く今年はこの3連戦の結果がチャンピオンシップに大きく影響します。好リザルトが必須条件で、ミスも許されないという厳しい戦いが待ち受けています。

まさに、世界中が注目する戦いとなりますが、Hondaにとってホームグランプリとなる今大会は、マルケスとペドロサの両選手はもちろんのこと、Honda陣営を全力でバックアップすることになります。マルケスの今季6勝目、もしくはペドロサの2勝目。そして今季4度目のRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュが期待されます。

» アラゴンGP レポート

マルク・マルケス ダニ・ペドロサ マルク・マルケス(#93)、ダニ・ペドロサ(#26) マルク・マルケス ダニ・ペドロサ(左)、マルク・マルケス(右)

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