HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.06.13 Vol.170 Round 07
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

ハードな路面状況と気候に苦しみながらもRepsol Honda Teamの2人が表彰台を獲得

イタリアGPからの連戦となった第7戦カタルニアGPは、最高気温が33℃という猛暑の中で行われ、Repsol Honda Teamのマルク・マルケスが2位、ダニ・ペドロサが3位でチェッカーを受けました。レースウイークを通じて、ライダーにもタイヤにも厳しいコンディションが続き、転倒者の多い大会となりました。そんな中で、Repsol Honda Teamの両選手は優勝争いに加わり、表彰台を獲得。サーキットを埋めた約10万人の地元ファンの期待に応えました。

3戦ぶり今季3回目となる表彰台を獲得したマルケスは、金曜日のフリー走行でトップタイムをマーク。今季2勝目に向けて順調なスタートを切りました。しかし、2日目のフリー走行と予選でフロントタイヤのフィーリングに苦戦し、実に4回も転倒。決勝日の朝のウォームアップでも転倒と、大荒れのレースウイークとなりました。その要因の一つは、厳しい路面コンディションの中でも、地元ファンに100%の走りを見てもらおうという、マルケスの思いがありました。そして決勝でも、守りの走りをすることなく、最後まで攻めの気持ちで走りきり、2位表彰台を獲得。今季2勝目は果たせなかったものの、最後まで全力のライディングをみせたマルケスには、地元ファンから大きな拍手が送られました。

第4戦スペインGPで今季初優勝を果たしたペドロサは、今季2回目のスペイン大会でもポールポジションを獲得し、今季2勝目が期待されていました。決勝ではレース中盤に首位に立ち、レースの主導権を握ります。しかし、後半はチームメートのマルケスとアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)の先行を許し、今季2勝目は厳しい状況に。それでもしっかり3番手をキープして、チェッカーを受けました。この結果、Repsol Honda Teamとしては今季3度目となる両選手そろっての表彰台となり、ファンの期待に応えることになりました。

今季最も厳しいコンディションの中で行われた第7戦カタルニアGP。その戦いをリビオ・スッポ監督が振り返ります。

―今週は厳しいコンディションでのレースとなりました。今大会の戦略はどういうものでしたか?

「今大会はすべてのライダーが、タイヤの消耗をマネジメントしなくてはいけないという戦いでした。なぜなら、このサーキットのアスファルトは非常に古く、しかも今大会は、気温も路面温度も非常に高かったからです。そのため、ダニとマルクの戦略は、タイヤをしっかり管理し、いいペースを保つことでした。実際に彼ら2人はいいリズムを披露してくれました。表彰台争いに加わることができたし、優勝を狙える可能性もありました。彼らは今日もすばらしい仕事をしてくれました。優勝はできませんでしたが、ともに表彰台に立ってくれたし、勝利がなくても、本当にすばらしい結果だったと思います」

―今大会のポジティブポイントとネガティブポイントを教えてください。

「ポジティブポイントは、非常に難しい条件のレースで、2人そろって表彰台に上がったことですね。さらにもう一つ、大きなポジティブポイントは、土曜日の予選でダニがポールポジションを獲得してくれたことです。ネガティブなポイントは、2人ともにいい仕事をしてくれたにもかかわらず、最後まで優勝争いができなかったことです。でも、これがレースですからね」

―レース中、ピットウオールから見ていた感想を教えてください。

「スタート直後に、(ダニロ)ペトルッチ(ドゥカティ)がマルクに激しく接触したときには、本当に焦りました。幸運にも彼らはクラッシュしなかったので、ホッとしましたが。それからは、トップグループにいるダニとマルクを見てうれしかったです。ただ(アンドレア)ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)がダニの後ろで2番手を走っていたときに感じたのは、今大会、ドヴィツィオーゾのマシンのトップスピードがとてもよく、フロントタイヤをセーブするためにハードブレーキングを回避していたことです。そのため、ダニとマルクは厳しい戦いを強いられることになるのですが、とにかく私たちにとって、このリザルトはうれしいものです。なぜなら、この厳しい条件の中、2人ともが本当にいいレースをしてくれたからです」

―今大会、マルケスは土曜日に4回、朝のウォームアップで1回の合計5回、クラッシュを経験しました。その上で、決勝では2位になりますが、レースウイークで5回も転倒して表彰台に上がった選手はいないのではないでしょうか? マルケスはRepsol Honda Teamで新たな伝説を生んだのかもしれません。

「正直なところ、これが記録かどうかは分かりません。しかし、マルクが厳しい戦いを強いられたことは間違いなかったし、それでいながらレースウイークを表彰台で終えました。いつものようにマルクはすばらしかったですね」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「今大会は、パラリンピックのイタリア人金メダリストである、ビービー・ヴィオ(Bebe Vio)のために私たちが最近行ったチャリティオークションの落札者を招待し、喜んでもらえました。落札者と彼の妻は、週末を私たちのチームと一緒に過ごしました。本当に楽しかったです!」

今季7戦を終えて、MotoGPクラスは、Repsol Honda Teamの両選手を含む、4人のウイナーが誕生しています。昨年同様、一戦一戦が非常に重要な戦いとなっているシーズンですが、今大会を2位で終えたマルケスは、総合4位から3位に浮上し、総合首位の(マーベリック)ビニャーレス(ヤマハ)との差を23点へと縮めました。また、3位でフィニッシュしたペドロサも、総合5位から4位へ。こちらは総合首位と27点差としました。

カタルニアGPの終了後、2人はカタルニア・サーキットで行われた公式テストに参加。マルケスがトップタイム、ペドロサが4番手と、次なる戦いに向けて準備を済ませました。1週間のインターバルを置いて、第8戦オランダGP、そして第9戦ドイツGPと、今季2度目の2連戦に挑みます。シーズン前半戦の最大の山場となるこの2連戦で、Repsol Honda Teamは首位奪還を目指します。

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