HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.06.06 Vol.169 Round 06
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

苦戦を強いられたイタリアGP。連戦となるホームグランプリで巻き返しを図る

第6戦イタリアGPは、3日間を通じて天候に恵まれました。連日、青空が広がる好天となりましたが、Honda勢としてはウイークを通じて厳しい戦いを強いられました。フリー走行、予選とセットアップに多くの時間を割きましたが、Repsol Honda Teamのマルク・マルケス、ダニ・ペドロサの両選手はフロントロー獲得を逃し、ともに2列目からの決勝になりました。

予選6番手。この2戦、フロントのフィーリングの改善に取り組んできたマルケスですが、今大会も完全な状態とはなりませんでした。そして迎えた決勝では、好スタートを切ってトップグループに加わりましたが、フロントタイヤのフィーリングに苦しみ次第に後退。アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)と5番手争いを繰り広げますが、バウティスタを捕らえきれないまま6位でフィニッシュ。今大会のマルケスの目標は表彰台の獲得でしたが、それを果たせない苦しい展開となりました。ただ、しっかり走りきったことで、マルケスは総合4位をキープしました。

チームメートのペドロサは、予選5番手から決勝に挑みましたが、序盤からペースを上げられずにポジションを落としていきます。終盤は8番手争いのグループの中で12番手。最終ラップに前を走るカル・クラッチロー(LCR Honda)をパスしようとしますが、フロントからスリップダウンを喫して転倒。不運にもクラッチローを巻き添えにするかたちでリタイアとなりました。転倒後、クラッチローに謝罪したペドロサですが、第3戦アメリカズGPから続いていた連続での表彰台獲得がここで途切れ、残念な結末に終わりました。今大会、ノーポイントに終わったペドロサは、総合2位からマルケスと同ポイントの5位へとポジションを落としました。

Repsol Honda Teamにとっては、4戦ぶりに表彰台に立てなかったレース。その要因をリビオ・スッポ監督が振り返ります。

―Honda勢としては苦戦のレースになりました。今大会のレース戦略はどういうものでしたか?

「今大会、ミシュランが用意したフロントタイヤの特性と我々のマシンが完全にマッチングしないことが分かりました。そこで、我々の戦略としては、可能な限りセットアップにトライしてタイヤのパフォーマンスを引き出し、そして、できるだけ多くのポイントを獲得することでした。そのため守備的なレースをしなければならないことは分かっていましたし、そういう状況の中でマルクはいい仕事をしたと思います」

―そういった状況の中で、ポジティブなポイント、ネガティブなポイントがあれば教えてください。

「もちろん、ポジティブなポイントは、難しい状況の中でマルクが落ち着いたレースをして、その中でベストな結果を得たことでした。ネガティブな出来事はダニの転倒ですね。残念ながら、こういったことはレースでは常に起こり得ることです」

―レース中、ピットから見ていた感想はどういうものですか?

「今日は、マルクとダニの2人が、レースを通じてフロントタイヤのパフォーマンスを引き出すことに苦労するのは予想していました。そういった状況の中でマルクはいいペースをキープし、トップとの間で予想されていた、妥当な差でフィニッシュできたことをうれしく思います。一方、ダニは明らかに苦しいレースをしていました。そして難しいレースの中で最後に転倒し、カル(クラッチロー)を巻き添えにしてしまいました。こうしたことは起こり得ることだし、なによりも大事なのは、2人ともにケガがなかったことです」

―今大会から5週間で4レースが行われます。こういうハードな日程のときは、チームとして、どういう部分に気をつけていますか?

「MotoGPファミリー全体が、とてもハードな日程になっています。このように、短い間に多くのレースが続く場合、ライダーは体力をキープするなど体調管理に努めなくてはいけません。それはチームのスタッフも同じであり、常に集中することが必要です」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「土曜日の夜、MotoGP主催者のドルナとゲーム開発会社のマイルストーン社は、新しいMotoGPのビデオゲームを発表しました。新しいレッドブルのホスピタリティーに、マルクとジャック(ミラー)が招かれました。もちろん、最後は、そのビデオゲームのレースをプレイして終わりましたよ」

シーズン18戦のうち、3分の1にあたる6戦を終えたMotoGP。次戦カタルニアGPからは、いよいよ中盤戦に突入します。第7戦カタルニアGPは、Repsol Honda Teamの両選手にとってはホームグランプリ。ともに今季2勝目を目標に巻き返しに挑みます。

イタリアGP、そしてカタルニアGPと続く連戦は、今季初の2週連続開催。さらに、1週間のインターバルを挟んで第8戦オランダGP、第9戦ドイツGPと続きます。この5週間で4レースという今季最もハードな日程。6戦を終えて総合4位のマルケスと同ポイントで総合5位のペドロサは、総合首位のマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)との37点差を縮めていく戦いに臨みます。

チャンピオンシップでの巻き返しに向けて、ホームグランプリを迎える両選手の、次なる戦いが注目されます。

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