Honda Riders Close Up 〜ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー〜

MotoGP ティト・ラバト Estrella Galicia 0,0 Marc VDS

MotoGP ティト・ラバト Estrella Galicia 0,0 Marc VDS
Profile
生年月日
1989/05/25
出身地
スペイン
身長・体重
178cm・63kg
チーム(マシン)
Estrella Galicia 0,0 Marc VDS(RC213V)
2015年の成績
Moto2 総合3位
2016年の成績
MotoGP 総合21位
Vol.3

MotoGPルーキーのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)にとって、2016年シーズンは苦労の連続でした。ヨーロッパラウンドの締めくくりとなる第14戦アラゴンGPの終了時点で、ランキングは20位。そしてシーズンが終盤に差しかかる10月、ラバトはアジア太平洋の「フライアウェイ3連戦」へと向かいました。

 

3週連続となったレースの初戦は第15戦日本GP。ツインリンクもてぎはHondaのホームグラウンドだけに、ラバトにとってもチームにとっても重要な一戦です。初日の金曜日は、2回のフリープラクティスを終えて19番手。

 

「ここは大好きなコースで、Hondaにとって重要なレースです。午前の走行はうまくいき、単独走行でタイムを上げていくことができました。FP2の最後にはもっとタイムを詰められたと思いますが、6コーナーで大きなクラッシュがあって、そのラップを走りきることができませんでした。上位陣との差が大きいことは確かですが、落ち着いて集中力を維持し、明日はさらにいいマシンに仕上げたいです」

 

晴天に恵まれた決勝レースは、ポイント圏内の14位でチェッカーフラッグを受けました。

 

「ここ2戦はノーポイントが続いていたので、14位で終われてとてもよかったと思います。今回のレースウイークは自分の限界を見極めてレースを完走し、MotoGPについて理解を深めることが狙いだったのですが、ちゃんと達成できました。僕にとって難易度の高いもてぎで2ポイントを獲得できたことは、チームにとっても意義が大きく、このフィーリングを維持して来週のオーストラリアでさらに高みを目指したいです」

 

3連戦の2戦目はオーストラリア。メルボルン郊外のフィリップアイランド・サーキットです。ここは、シーズン屈指のハイスピードコースであると同時に、不安定な天候と温度条件の低さで知られています。どのクラスのライダーも、目まぐるしく変わる天候と寒さに翻ろうされましたが、それはラバトも例外ではありませんでした。決勝レースは惜しくもポイント圏内まで一歩及ばず16位でしたが「難しいコンディション下の走行で多くのことを学べた」と、振り返りました。

 

「今日のレースはつらく厳しいレースウイークの締めくくりでしたが、しっかりと乗りきってレースを完走できました。データを得て、経験を重ねられたのは、自分の今後に大いに役立つと思います。とはいえ、今シーズンで最も過酷なウイークだったと思います。天候はとても厳しく、普通の状態で走れたセッションはほとんどありませんでした。その影響で十分に走り込むことができず、マシンの状態やタイヤのパフォーマンスをつかみきることができませんでした。残りの2戦はさらに高い水準で攻めて、多くのことを学びたいですが、トップの選手から1分遅れという今回の結果は厳しいものがあります」

 

翌週に開催された第17戦マレーシアGPは、一転して熱帯の猛暑で戦う一週間となりました。ラバトはこのレースでも苦戦を強いられましたが、最後まで走り抜いて18位でフィニッシュしました。

ティト・ラバト ティト・ラバト ティト・ラバト ティト・ラバト

そしていよいよ迎えたシーズン最終戦のバレンシアGP。ルーキーシーズンの締めくくりとなるこのレースを、ラバトは17位で完走しました。

 

「転倒なしでの完走を最優先にしていたので、シーズンのいい締めくくりになり、たくさんのことを学べました。序盤は数周もするといいフィーリングで走れるようになり、ペースを維持できましたが、タイヤが摩耗してくるとフィーリングが変わってきました。それでも(ミカ)カリオ(KTM)や(ロリス)バズ(ドゥカティ)、(ユージン)ラバティ(ドゥカティ)たちといいバトルをできて、終盤にはマシンが触れ合うくらいの激しい戦いになりました。落ち着いて自信を持って走りながら、今後どこを改善できるかを探りながら走りました。火曜日のテストから来シーズンへ向けた準備が始まるので、待ち遠しいですね」

 

決勝レースの翌々日から行われた事後テストでは、レースウイークの自己ベストタイムを更新する走りを披露。苦しかった一年間を戦い抜いて成長したことは、レースウイークのタイムを塗り替えたという事実が、なによりも雄弁に語っています。

 

「2日間のテストを新しいシャシーで経験できて、とてもよかったです。自分にとって大きな進歩だし、いつも懸命にマシン作りを進めてくれるチームのスタッフたちにとっても実りの多いテストになりました。ラップタイムについては、単独でタイムを出して、安定してベストに近いタイムで周回できました。今年はこれがなかなかできませんでした。年明けのテストでやるべきことは山積みですが、自信を持った状態でシーズンオフの休みに入ることはとても重要です。このテストで今シーズンに失った自信をだいぶ取り戻せました。今回のバレンシアテストはとても大きく前進できたと思います」

 

ティト・ラバトとEstrella Galicia 0,0 Marc VDSにとって、2017年はどうやら、大きな飛躍の一年になりそうです。

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