今年からMotoGPクラスで戦うティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、第14戦アラゴンGPを終えて、ランキング20位につけています。世界最高峰クラスの厳しい洗礼を受けつつも、一戦ごとに経験を重ね、ゆっくりと、しかし確実に成長を続けています。
開幕前には、今年の目標をステップバイステップで前進すること、と述べていました。今シーズンのMotoGPクラスのルーキーはラバトのみ。ほかは全員が経験のある選手たちばかりです。苦戦を強いられるのも無理はない環境ですが、それでも開幕戦カタールGPではポイント圏内の15位、第2戦アルゼンチンGPではシングルフィニッシュの9位となりました。
しかしロードレースの最高峰は、ルーキーにとってやはり甘いものではありませんでした。第6戦イタリアGPのFP3で転倒し、左鎖骨を折ってしまいます。それでも、バルセロナで手術を受け、ホームグランプリとなった次戦のカタルニアGPで復帰しました。決勝レースでは、骨折からわずか15日後にもかかわらず14位でフィニッシュし、2ポイントを獲得しました。
「ホームレースでポイント圏内のフィニッシュができて、とてもうれしく思っています。みんなの支えがあったからこそ、鎖骨の骨折からわずか2週間でこのリザルトを得られました。今日はとても暑かったし、体調も完ぺきではなかったので厳しいレースでしたが、多くの距離を走り込むことで貴重な経験を積み重ねられました」
この第7戦では、金曜日のFP2でMoto2クラスのルイス・サロムがセッション中のアクシデントにより逝去するという不幸な出来事もありました。全ライダーにとって過酷な経験でしたが、それだけに、同じスペイン人のラバトには、このレースに対して胸に期するものがありました。
「今回のレースウイークは、サロムの逝去もあってつらい週末になりました。だから、彼のためにも絶対にチェッカーフラッグを受けよう、と思ってレースに臨みました」


第8戦オランダGPは、レースが一時中断するほどの激しい雨に見舞われましたが、その難しいコンディション下でラバトは11位フィニッシュを果たしました。サマーブレイクを挟んで後半戦を迎え、第11戦のチェコGPもウエットコンディションの難しいレースでした。ラバトは予選20番手でしたが、決勝では慎重かつ冷静なレース運びで、今季2番目の好結果となる10位でゴールを果たしました。
「ドライコンディションではさまざまな問題で苦戦を強いられていましたが、レースはとてもいい結果になりました。難しいコンディションで、序盤は前方グループについていけなかったのですが、このコンディションに馴染むことに集中。タイヤ選択が完ぺきで、乾いていく路面に対応してくれました。残り2周で10番手に浮上したときには、ポイント獲得を確信できました」
その後、第12戦イギリスGPと第13戦サンマリノGPを経て、今年3度目のスペイン開催となる第14戦アラゴンGPの週末を迎えました。レース前に、ラバトはこのウイークに向けた心構えを以下のように話しました。
「(第13戦の)ミサノでは、リザルトに反映こそされませんでしたが、さらに着実な前進を遂げました。ホームグランプリのアラゴンは、過去にいい結果を残してきたコースですが、MotoGPで走るのは初めてなので、プラクティスからしっかりと取り組むつもりです。心身ともに充実しているので、がんばりたいと思います」
金曜日は2回のプラクティスを終えて総合18番手。土曜日の予選を終えて、6列目18番グリッドから決勝レースを迎えることになりました。日曜日の決勝レースでは、じわじわとポジションを上げ、ポイント圏内をうかがう走りを続けていた矢先の17周目に転倒。残念ながらリタイアとなってしまいました。
「涼しいコンディションだった今朝のウォームアップで転倒したことが、決勝の走りに影響してしまいました。レースでは、フロントのフィーリングがやや不安だったので、スタート直後の数周は慎重に走り、それが原因で出遅れてしまいました。リズムをつかんでからは気持ちよく走れるようになり、ペースも上げていけたのですが、またしてもフロントが切れ込み、転倒してしまいました。転ばなければポイント圏内でフィニッシュできていたと思うので、本当に残念です」
2016年シーズンはいよいよ、ラストスパートの終盤戦を迎えます。そして最終戦は、ラバトにとって今季4度目のホームグランプリとなるバレンシアGP。ルーキーシーズンの集大成として、この一年で学んできたものを存分に出しきって戦ってくれることでしょう。


