Honda Riders Close Up 〜ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー〜

MotoGP ジャック・ミラー Estrella Galicia 0,0 Marc VDS

MotoGP ジャック・ミラー Estrella Galicia 0,0 Marc VDS
Profile
生年月日
1995/01/18
出身地
オーストラリア
身長・体重
175cm・70kg
チーム(マシン)
Estrella Galicia 0,0 Marc VDS(RC213V)
2015年の成績
MotoGP 総合19位
Vol.1

オーストラリア出身のジャック・ミラーは、二輪ロードレースの最高峰MotoGPクラスの全ライダーの中で、最も若い選手の一人です。Moto3クラスから一気にMotoGPにデビューした昨年の経験をミラーはこのように振り返ります。

 

「昨年のマシンはオープンカテゴリーで、タイヤの使い方をはじめ、いろんなことをたくさん吸収しました。ライディングスタイルだけではなく、コンディショニングなどの考え方も、昨年の1年間で大きく変わったと思います。スポーツマンとしてどうあるべきか、トップレベルのアスリートであるためにはなにをしなければならないのか。そして、トレーニングや調整はどうするべきか。その取り組み方がすべて変わりました。今年はさらに前進したいと思っています」

 

昨年、1年間の経験を積むにあたり、彼に強い影響を与えたのは、当時のチームメートであるカル・クラッチローでした。

 

「カルはとてもたくさんのことを教えてくれました。マシンの乗り方だけではなく、ライフスタイルやトレーニング方法なども含め。すごくいい影響を受けたと思いますし、彼のチームメートで本当によかったです。カルは卓越したスロットルコントロールの持ち主で、彼について一緒に走ることで、Moto3のライディングとどこが違うのかすごくよくわかりました。トレーニングでも、おそらくカルは最も真剣に取り組んでいる選手の一人だと思います。特に自転車トレーニングですね。彼のアプローチから本当にたくさんのことを学んだので、今はそれを少しでも自分に取り入れようとしています」

子ども時代にお気に入りだった選手は、チャド・リードとのこと。

 

「そうですね。あと、リッキー・カーマイケルも好きでした。モトクロスは大好きで、今でもよくレースを見ます。今年は一度AMAスーパークロスを観戦に行きました。第3戦テキサスのレースが終わったら、また観に行こうと思っています」

 

ミラーの出身国オーストラリアは、ロードレースの世界でワイン・ガードナーやミック・ドゥーハン、ケーシー・ストーナーなどのレジェンドを輩出しています。彼らは、ミラーにとってどんな存在でしょうか。

 

「それぞれ、ずば抜けた選手ですね。ワインはとてもアグレッシブだし、ケーシーはスムーズでミスをせず、流れるように走ります。ミックはあの時代に、オリジナルなライディングをして、マシンを最高に速く走らせました。オーストラリアのロードレース界は、さまざまなタイプのトップを生み出してきたことがすごいと思います。彼らレジェンド以外にも、ダリル・ビーティーやケビン・マギーなど、みんなの記憶に残る選手もいますね。僕もいつかは、彼らのような存在になることができればと思います」

 

将来のレジェンドを目指すミラーは、現在の自分の長所と弱点について、このように分析をしています。

 

「弱点はアツくなりすぎるところです。アグレッシブになりすぎてしまうことがあるのです。でも、MotoGPではそういう乗り方ではダメだということを昨年の1年間で学びました。もっと落ち着いて、スムーズに乗らなければダメですね。それが僕の弱点だと思います。ブレーキングは僕の長所だと思うけど、それは今のところ長所でもあり弱点でもありますね。マシンがうまく仕上がっているときは武器になるけど、調子が今一つのときは、リズムを崩してさらに問題を悪化させることにもなってしまいますから」

 

現在21歳のミラーには、いかにも現代の若者らしい音楽好きな一面もあります。古いロックから現代風のヒップホップまで、その好みは幅広いようです。

 

「ピンク・フロイドやAC/DC、なかでも大好きなのはジミ・ヘンドリックスです。それと、モーターヘッド。父が聴いていた音楽の影響で、そういう古い音楽も好むようになりました。でも、その日の気分次第だから、ロックやヘヴィメタルを聴いた次の日にはヒップホップやR&Bを聴いたりします。音楽ならなんでも大好きです」

 

では、ロックミュージックとMotoGPの共通点とはなんでしょうか。

 

「なんだでしょう。僕にとっては、血が騒ぐいうところかと思います。音楽を聴いてるとどんどん気分が高まってきます。大勢の観客に囲まれてグリッドでマシンの上に座っているときも、そんな気分になります。気持ちが盛り上がってきて、どんどん集中していくときの気分が、本当に最高です」