Honda Riders Close Up 〜ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー〜

MotoGP カル・クラッチロー LCR Honda

MotoGP カル・クラッチロー LCR Honda
Profile
生年月日
1985/10/29
出身地
イギリス
身長・体重
170cm・70kg
チーム(マシン)
LCR Honda(RC213V)
2015年の成績
MotoGP 総合8位
Vol.3

LCR Hondaのカル・クラッチローは、2016年シーズン後半を快調なリズムで駆け抜けました。ドイツGPで2位表彰台を獲得し、サマーブレイクを挟んで再開した後半戦においては、チェコGPで優勝。次戦のホームグランプリ、イギリスGPを心身ともに万全な状態で迎えることになりました。


シルバーストーン・サーキットのレースウイークは、ドライを維持していたものの、気温が上がらず路面温度も低い難しいコンディション。この決して容易ではない状況の中、クラッチローは土曜午後の予選でポールポジションを獲得。日曜のレースは2位でゴールし、前戦チェコGPから2戦連続で表彰台を獲得しました。


「今日はトップ集団のバトルに加われてとてもよかったです。イギリスのファンも楽しんでくれたと思います。チームとHondaのおかげで、ここ数戦はとても調子よく走れています。今年の序盤は何度も転倒してマシンをうまく操れませんでしたが、ここ数戦のリザルトは、みんなのがんばりがかたちになってきたことを示す、なによりの証拠だと思います」


ホームグランプリでのクラッチローの活躍に、地元イギリスのファンも大声援と大きな拍手を贈りました。


イギリスからイタリアに戦いの場を移し、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われたサンマリノGPでは、8位でフィニッシュ。そして、ヨーロッパラウンドをひとまず締めくくるアラゴンGPを迎えました。レースでは激しいバトルを繰り広げ、ファクトリー勢に割って入る5位を獲得。インディペンデント・チーム勢では、この6戦で5度目の最上位フィニッシュになりました。


「この週末はチームがすばらしい仕事をしてくれて、昨日はフロントローに並べるかと思ったのですが、ミスをしてしまいました。今日は表彰台を狙えそうでしたが、MotoGPでは少し後方に下がるだけでも、大きな命取りになってしまいます。そこからトップ集団まで追い上げるのは、厳しかったですね。それでもレースを楽しむことができたし、アラゴンGPをトップ5で終えるのは悪くないと思います。しかし本音を言えば、表彰台に上がりたかったです」


そして、シーズン終盤に差しかかり、日本、オーストラリア、マレーシアの3連戦を迎えました。日本GPを5位とまずまずの結果で終えたクラッチローは、翌週のオーストラリアGPで優勝。今季2勝目を挙げました。


「目の前でマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が転倒したときは、ギョッとしましたよ。そのあと、あのコーナーではしっかりとブレーキをすることができませんでした。数年前のレースで後方に10秒差をつけて2番手を走行中に、あのコーナーで転倒した経験があるので、あそこは細心の注意で走らなければならないと思っていました。正直、かなりヒヤヒヤしました。でも、攻め続けなければタイヤが冷えてしまうことも分かっていたので、プッシュし続けました」


その言葉通り、すでに日本GPでチャンピオンを決めたマルケスを追っていたクラッチローは、マルケスの転倒後に独走モードへ突入しての優勝。ウエットのチェコGPに続き、ドライのオーストラリアGPでも勝利を挙げました。


続くマレーシアGPと最終戦のバレンシアGPでは、残念ながらともに転倒リタイアとなってしまいましたが、全18戦を戦い終えて年間ランキングは7位。インディペンデント・チーム勢では、最上位の結果となりました。


最終戦バレンシアGPを終え、1日の休憩を挟んで火曜日から、17年シーズンへ向けたテストが行われました。2日間のこのテストで、クラッチローは132周を走り込むと、総合6番手のタイムを記録。来シーズンに向けて上々の手応えをつかみ、長かった1年間のサーキット走行を締めくくりました。


「計画していたメニューはほとんど消化できました。マシンのセッティングに関しても、満足できました。新しいエンジンも試しましたが、いいところと、改良してもらうべきところについて、チームにフィードバックを戻しました。今の時期に、来シーズンの最適な方向性を見いだすのは大変ですが、Hondaはいい仕事をしてくれていると思います。フィーリングを伝えているので、ここからが新たなスタートですね」


17年シーズンのカル・クラッチローとLCR Hondaは、ファクトリー勢にとって今年以上に厄介な存在になることは間違いないでしょう。