Honda Riders Close Up 〜ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー〜

Moto3 アダム・ノロディン Drive M7 SIC Racing Team

Moto3 アダム・ノロディン Drive M7 SIC Racing Team
Profile
生年月日
1998/06/13
出身地
マレーシア
身長・体重
167cm・56kg
チーム(マシン)
Drive M7 SIC Racing Team(NSF250RW)
2015年の成績
シェル・アドバンス・アジアタレントカップ 総合8位
Vol.1

今年からMoto3クラスに参戦を開始したアダム・ノロディン。その存在に大きな注目が集まったのは、シーズン開幕直後の第2戦アルゼンチンGPでした。このレースでは、ノロディンと同じマレーシア出身のカイルール・イダム・パウィが劇的な優勝を飾りましたが、難しいコンディションの中で、ノロディンも終始表彰台圏内を走行していました。最終ラップでは、同じHonda勢のホルヘ・ナバロとの一騎打ちになりました。ところが、マレーシア勢のダブル表彰台フィニッシュを目前にした最終コーナーで運悪くウエットパッチに足下をすくわれて転倒。即座にレースへ復帰したものの、11位というリザルトで終えました。

 

「最終ラップは自分の方が速く走れていたので2位を狙いました。何度か抜いたり抜かれたりしながら、最終コーナーが最後の勝負どころになりました。うまくオーバーテイクできたのですが、その直後のスロットルを開けたときに、ウエットパッチに乗って転倒してしまいました。表彰台を目前にしていただけに、本当に悔しく、残念でなりません」

 

ノロディンは落胆した様子を隠せませんでしたが、この残念な結果を今後の糧にしたいとも話しました。

 

「僕はまだ学習段階なので、今日の失敗を教訓にして、次のレースではもっといい走りをしたいと思います」

ノロディンがバイクに乗り始めたのは7歳のとき。12歳までモトクロスに親しみ、やがてMotoGPに興味を持ったことからロードレースに転向しました。2014年にスタートしたシェル・アドバンス・アジアタレントカップ(ATC)に参戦し、ランキング7位。15年は8位でした。この2年間で多くのことを吸収できたと、ノロディンは振り返ります。

 

「15歳でATCに参戦するまでMoto3マシンには乗ったことがなかったです。それまでは、外国のコースで走ったこともなく、マレーシア国内の小さなサーキットしか経験していませんでした。今は毎戦、大きなコースを走行しているので、サスペンションの使い方やブレーキの方法など、なにもかもが勉強することばかりです」

 

Moto3クラスを戦っていくにあたり、精神的な強さの必要性も痛感したと言います。

 

「テストのときから、みんながレースのときと変わらないほど全力で走っていました。セットアップが決まらないうちから全力で走り、レースになると、さらによくなっていくのです。彼らのそんな姿を見ていて、集中力が大切だということがよく分かりました。Moto3のライダーたちは、どんな状況でもしっかりと気持ちを持って対応しています。だから、僕もいつも集中していなければならないと痛感しました。ミスをしたことも、勉強の材料です。そうやって、今は一歩一歩、確実に前進できていると思います」

 

ルーキーイヤーのシーズン前半戦は、第2戦の11位が今のところ自己最高リザルトです。ポイントを獲得できない厳しいレースが続いていますが、今シーズンは経験豊富な選手たちからたくさんのことを吸収し、実戦で経験を重ねていく学習の一年と言えるでしょう。

 

「勉強しなければならないことは、たくさんあります。トップライダーたちの走りを参考にして、自分自身をどんどん高めていかなければなりません。世界のトップライダーが集まってくるこのMoto3クラスは、走りそのものや精神面など、経験を積むには最高の環境だと思います。だから今年の目標は、最終戦まで全力で努力を続けながら、できる限りたくさんのポイントを獲得することです」

 

将来の夢はもちろん、最高峰であるMotoGPクラスにステップアップすることです。

 

「マレーシア出身選手で、最高峰を走ったライダーはまだいません。MotoGPのシート獲得がとても厳しいことは分かっています。でも、チャンスは絶対にものにしたいので、全力を尽くしていつかは夢を実現させたいと思います」