5位で完走し年間ランキング6位に浮上
第14戦アラゴンGP 会場:モーターランド・アラゴン
予選:3番手 決勝:5位
第12戦、第13戦と連続3位で表彰台に登壇したIDEMITSU Honda Team Asiaの中上貴晶は、さらに上位を目指して第14戦アラゴンGPに臨みました。毎戦、プラクティスではトップタイムもしくは僅差の上位につけ、レースでも常に先頭集団で争う中上。Moto2クラスの優勝候補の一角と見なされており、テレビ中継のモニターも、中上のピットでの姿やコース上のライディングを頻繁に映し出します。目の肥えたスペインのレースファンにも注目される中上は、金曜日を総合トップタイムで終え、レースウイーク初日から皆の期待に応えるパフォーマンスを見せました。
「どのコースに行っても、すぐにいいバランスを見つけることができています。今回も、前戦サンマリノGPと同じセットアップからスタートして、うまく走れました。明日以降に取り組むメニューも順調で、レース後に導入する予定だった新しいパーツも、前倒しして使ってみるつもりです。明日はオーリンズの新しいフロントフォークを試す予定です。うまく進めばそのまま決勝でも使うつもりで、それがさらに自分たちの強みになると思います。うまくいかなくても今日の状態に戻せばいいだけです。バックアップがしっかりしているので、不安なく試すことができます。フィーリングがよければさらに速く走れるので、引き続きチームと力を合わせてがんばります」
その言葉通り、土曜日のFP3でフロントフォークを試し、午後の予選でさらにそのセットアップを進めながらフロントローの3番グリッドを獲得することに成功しました。
「劇的な改善やフィーリングの向上があるわけではないのですが、ボトムでの動きが滑らかになっていて、自分に対するインフォメーションも増えています。ステアリングの動きも少しソフトになっているので、この方向性をさらに煮詰めて伸びしろを探るために、新しいフロントフォークで予選に臨んだ結果3番手でした。もちろんポールポジションを獲得したかったのですが、抜きどころの少ないこのサーキットで、最低でもフロントローに残れたことはポジティブな材料です。明日は、スタートをうまく決めてタイヤの温存も考えながらレースを組み立て、表彰台争いをした上で前でチェッカーを受けたいと思います」
日曜日の決勝レースには、6万9714人のファンがモーターランド・アラゴンに詰めかけました。その大観衆の前で行われたMoto2クラスの決勝レースは、午後12時20分にスタート。3番手スタートの中上は、序盤からトップグループで走りました。毎レースし烈な戦いを繰り広げるライバル選手たちとバトルを続けながら、周回数が経過していきます。レース中盤から中上は単独走行になり、これ以上無理をして前を追うとリスクが大きいと判断してからは順位を守ることに徹して、最後は5位でチェッカーフラッグを受けました。最後までしっかり走りきったとはいえ、優勝争いを見据えていただけに、ピットボックスに戻ってきた中上からは、不完全燃焼の割りきれなさが漂っていました。思い通りのレースをできなかった原因はリアのグリップ不足だった、と中上は明かしました。
「序盤からリアのグリップ感を得られず、周回を重ねてもそこが改善しないままどんどんタイヤが摩耗していきました。次の日本GPに万全の状態で備えるためにも、原因はなんだったのか、チームとともにしっかりと究明をしたいと思います。思い通りのレースをできなかったのでフラストレーションはありますが、それでも11ポイントを獲得できて年間ランキングでも順位を一つ上げることができたのはよかったと思います」
アラゴンGPを終えて、中上は総合ランキング6位につけています。今シーズンは残り4戦で、ランキング3位も十分に射程圏内です。IDEMITSU Honda Team Asiaと中上は、次の日本GPで最高の結果を目指しています。実現すれば、チャンピオンシップポイントをさらに獲得し、ランキングのジャンプアップも果たせるでしょう。