IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

中上貴晶

ラタパーク・ウィライロー 尾野弘樹 カイルール・イダム・パウィ
racereport

先を見据えた予選の戦略が奏功し、今季3度目の表彰台を獲得

第12戦イギリスGP  会場:シルバーストーン・サーキット
予選:11番手  決勝:3位

第12戦イギリスGPで、IDEMITSU Honda Team Asiaの中上貴晶が3位表彰台を獲得しました。第7戦カタルニアGPでの3位、第8戦オランダGPでの優勝に続く、今シーズン3度目の表彰台獲得となりました。

中上貴晶

シルバーストーン・サーキットと中上は相性がよく、2013年にはポールポジションを獲得し、最後までし烈な争いを続けて2位表彰台に登壇しました。今年は11番グリッドからのスタートになりましたが、このグリッド位置は苦戦の表れでなく、中上は予選後に「ウエットコンディションの予選を、雨の克服に徹するセッションとして取り組んだ結果です」と、明かしていました。

「予選では、走行前にライダーの判断でピットインするということでセッションに臨みました。タイムはずっと10番手前後でしたし、日曜日のレースがドライコンディションになることはほぼ確実だったので、ピットに戻ってウエット用のセットアップを変えるよりも、むしろ今後に向けて、ウエットでの弱さを克服するために周回を重ねようと考え、ノンストップで走り続けました。その結果、予選は11番手でグリッドポジションは低くなったのですが、レースがドライになれば、皆のセットアップが煮詰まっていない分、ラップタイムのアベレージはあまり高くないと思うので、いい戦いをする自信があります。ドライコンディションでは総合2番手タイムで走れているのでチャンスがあるし、優勝争いができると思います」

中上貴晶

予選を終えてそう話していた通り、日曜日の決勝レースはドライコンディションのレースになりました。決勝時刻の温度条件は低めで風も強く、中上が予想していた通り、レースペースがそれほど高くない展開になりました。序盤からトップグループの後方につけた中上は、沈着冷静な走りで前のライダーをオーバーテイクしていきました。「自分だけにアドバンテージがあるとは思っていなかったのですが、9〜10台の集団の中で抜けるときに抜こうと思って、無理はせず一人ひとり確実にパスしていきました。2番手に上がった瞬間に、トーマス・ルティ選手(Garage Plus Interwetten)との距離がそれほど離れていなかったので、追いつけるかなとも思ったのですが、フロント、リアともに余力がなく、そこからのペースアップは難しかったですね」。ラスト5周には、フランコ・モルビデリ選手(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)との激しい2番手争いになり、互いにクリーンな勝負で何度もポジションを入れ替えるバトルを展開しました。

中上貴晶

「彼(モルビデリ選手)の方がアドバンテージのある場所もあったし、自分の方が有利な場所もいくつかありました。バックストレートエンドのブレーキングで彼に抜かれたので、次のコーナーで抜こうと思ったら、リアのスピニングで少し厳しい状態でした。最後にS字でもう一度仕掛けようとしたところ、うまくラインを塞がれてしまいました。その意味ではちょっと悔しい部分もあるのですが、サマーブレイクが明けて、気持ちを高めて臨んだ後半戦最初の2連戦で苦戦してしたところから、がんばって3位に上がって来れたので、その意味ではすごくうれしいです。今回のレースウイークでは、限られた短いドライセッションの時間でチーフメカニック以下、チームの全員が一生懸命に取り組んでくれて、それが結果に表れました。彼らのがんばりがなければ、表彰台を獲得できなかったと思います。ですので、チームの努力に結果で応えることができた、ということがうれしいですね。今日のリザルトは、今後に向けて分岐点になる表彰台の気がします。チャンピオンシップは3位が手の届きそうなところにあるので、一戦一戦楽しみながら、残りのレースを戦っていきたいです。特に、次戦のミサノは自分にとって特別なサーキットです。今回、一つステップアップできたので、次戦のサンマリノGPでは絶対に勝ちたいですね!」