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RCV1000R 始動

RCV1000R LPL (株)本田技術研究所 二輪R&Dセンター 奥之園俊彦

RCV1000R LPL
(株)本田技術研究所 二輪R&Dセンター 奥之園俊彦

ニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)

ニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)

RCV1000R 運営・サービス統括 (株)ホンダ・レーシング 佐藤朋則

RCV1000R 運営・サービス統括
(株)ホンダ・レーシング 佐藤朋則

スコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)

スコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)

青山博一(Drive M7 Aspar)

青山博一(Drive M7 Aspar)

カレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)

カレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)

STEP 2

開発の目標・プレシーズンテスト

RCV1000Rの設計開発を担当したLPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)の奥之園俊彦は、開発当初のターゲットについて「同じライダーが乗って、ワークスマシンの0.35パーセント落ちのタイムを目標にしました」と説明します。



実際に昨年の走行テストではこの基準を達成し、ツインリンクもてぎでは同じ日に同じライダーが同じタイヤで走行して、RC213Vとのタイム差は0.3秒、という内容でした。



2014年2月4日から6日まで、マレーシアのセパン・サーキットで行われた今年最初のプレシーズンテストでは、ニッキー・ヘイデンが全オープンカテゴリー選手中2番手(総合13番手)のタイムを記録。チームメートの青山博一はオープンカテゴリー中3番手のタイムで、最初のセパンテストを締めくくりました。



「Hondaのマシンだからトラブルの心配がない。だから、とても安心して乗ることができますね」と、青山。



この3日間を走行したRCV1000Rのポテンシャルについては「ファクトリーマシンよりややパワーが低いとも聞いていましたが、走行してみると、そんなに悪くない、という水準でした。いいバイクだと思うので、もっとうまく走らせられるようにしたいと思います。次回のセパンテストでは旋回性などを高めて、ラップタイムをさらに詰めていきたいですね」と話しました。



2月26日から28日まで行われた2回目のセパンテストでは、オープンカテゴリーにスイッチする陣営が増加したため、全オープンカテゴリー中でのヘイデンや青山の順位は相対的に下がることになってしまいましたが、総合トップタイム(ダニ・ペドロサ、Repsol Honda Team)とのタイム差は、前回のトップタイム選手との差からわずかに詰まっていました。このときのテストは総じて路面状態がよくなかったことを考えれば、まずまずの内容、といっていいでしょう。



このテストで、ヘイデンはRCV1000Rの車体がいいことをマシンのポジティブなポイントに挙げました。「バイクは前回のテストから変わっていないので、足回りのセッティングにトライして、ブレーキングでも安定感が出るようになりました。シャシーについては非常によいと思います。ライバル陣営で5年間やってきましたが、今はだいぶんこのマシンの車体の理解が進んできました」



RCV1000Rの運営・サービスを統括する佐藤朋則は、このテストから得た印象を、こう述べました。「ライダー達は、とてもがんばってくれていると思います。走行後データやセットアップについて我々も解析を進め、『走りやセッティングでこういうところをがんばれば、タイムをさらに詰めていくことができやすいですよ』とアドバイスしていきたいと思っています」



LPLの奥之園も、佐藤の意見にうなずきながら同意します。「昨年のセパンテストで、ワークスとCRTマシンの差はもっと開いていました。そのときのタイム差と比較すれば、ニッキーや青山選手と、ファクトリーマシンのトップとの差は詰まっているといえるでしょう。その意味では、開発当初の想定からはそんなに離れていないのですが、ライバル陣営のオープンカテゴリーのパフォーマンスは、正直なところ、想定外でしたね」



2回のセパンテストのあと、各メーカーのファクトリーチームはオーストラリアのフィリップアイランド・サーキットで3日間のブリヂストンタイヤテストを行い、サテライトチームやプライベートチームは別途、開幕戦の地、カタールのロサイル・サーキットで3月7日から9日まで夜間走行テストを実施しました。Honda RCV1000Rを駆る選手とチームも、このテストに参加。3日間のテストで開幕戦に向けたセットアップを煮詰め、レースを想定したロングランも実施しました。



このテストを、ヘイデンは総合9番手タイムで締めくくりました。青山は10番手。MotoGPルーキーのレディングは11番手、アブラハムは13番手タイムでした。



プレシーズンテストのスケジュールは、これですべて終了しました。いよいよ3月20日(木)には開幕戦のカタールGPが、このロサイルサーキットで始まります。