vol.92 | マルケスの鮮烈なデビュー戦と第2戦への期待 |
モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート > vol.92
vol.92 | マルケスの鮮烈なデビュー戦と第2戦への期待 |
2013年のMotoGPが、恒例のカタールGPで幕を開けました。同国の首都ドーハから車で約30分の郊外に建設されたロサイル・インターナショナル・サーキットは、今年MotoGP開催10周年を迎えます。08年以降はナイトレースとして行われているこの開幕戦では、砂漠の真ん中という立地条件のために、難しい路面状態になることが多く、トリッキーなコンディションとの戦いもレースを大きく左右します。
現地時間日曜午後10時(日本時間月曜午前4時)に始まった決勝レースでは、2列目6番グリッドからスタートしたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、MotoGPデビュー戦にもかかわらず3位表彰台を獲得。並み居る強豪選手を相手に互角に戦い、期待通りの逸材ぶりを発揮しました。一方、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)はリアグリップに悩みながらも、4位でフィニッシュしました。
木曜から日曜の日没後に変則スケジュールで争われた4日間の戦いを、HRCチーム代表のリビオ・スッポが振り返ります。
「マルクはとてもすばらしい仕事をやり遂げてくれましたね。ウインターテストが好調だっただけに彼に対する周囲の期待は高く、本人はやりにくかったと思います。それでも、マルクはその状況をうまく乗りきり、集中力と落ち着きを保ち続けました。ファステストラップに関しては、ライダーとマシンの高い能力をよく示しているといえるでしょう。マルクはさらに経験を積むことで、もっと高いレベルの安定感を獲得してほしいですね」
「ダニは、レースウイークを通してリアのグリップ不足に悩んでいました。予選では全力で走ってくれて3番グリッドをゲットし、その勢いは日曜のウォームアップセッションでも依然として維持していました。しかし、レースでは残念ながらリアグリップの問題が周回ごとに大きくなり、最後は残念ながら2番手の位置をキープできないくらいになってしまったのです」
「ロレンソ選手が強いことは初めから分かっていたことですし、昨年もここで優勝をしていますので、今回の彼の勝利にも特に驚きはしませんでした。ロッシ選手も力強い走りでしたね。今年のタイトル争いは、やはり相当に厳しい戦いになりそうです」
「この新しい試みは、とてもいいと思います。金曜(通常のスケジュールでは土曜午前)のフリープラクティス3回目は、いわば“予備予選”のようなものですね。セッション終盤には、トップ10以内に入ってQP2(予選2回目)に駒を進めるべく、全選手が全力で走行します。QP1(予選1回目)では、グリッド下位のチームたちのテレビ露出機会が増えるので、スポンサーにとっても意義は大きいでしょう。その後、上位陣が争うQP2は、緊張感とアドレナリンが最高潮に達する15分になります。私は、とても気にいりましたよ」
※新しい予選方式については「MotoGP学科」18限目の「マシンレギュレーションの話」で解説しております。ご参照ください。
「プラクティスの目的は、あくまでもレースで最高の結果を手にするために、そのレースに向けた最高のバランスを見つけ出すということです。だから、我々の取り組みは、なにも変わるところがありません」
「ロサイル・インターナショナル・サーキットでは、トップスピードに関してはよかったのですが、リアのグリップ不足という大きな問題を抱えており、ダニとマルクはレース序盤からロレンソ選手のペースについていくことができませんでした。マルクがレース中に記録したファステストラップは3周目ですが、これは、グリップがいい状態なら我々は高い戦闘力を発揮できるということを示しています。セットアップをさらによくしていくためにはなにをどうすればいいのか、ということをデータを検討して話し合っているところです」
「オースティンでのテストはマルクとダニの双方とも非常にいい内容で、気分よく乗り込んでいくことができます。とはいえ、ライバル陣営は非常に強力なので、我々もさらに全力で戦い、開幕戦で開いたポイント差を詰めていかなければなりません。第2戦のアメリカズGPも、我々は一致団結し、最高の結果を目指して戦い抜きます。皆さまも熱い声援をよろしくお願いいたします」