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モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > MotoGP学科 > 20限目 ファクトリーオプションとオープンカテゴリーの話

MotoGP学科

ファクトリーオプションとオープン
カテゴリーの話

20限目

電子制御ソフトウェアの有無で参戦形態を分類

2014年シーズンから、MotoGPクラスのレギュレーションが大きく変わる。昨年までのルールでは、プロトタイプマシンで参戦する「ファクトリー」勢と、量産車改造エンジンをオリジナルフレームに搭載したマシンで戦う「CRT」の2つのカテゴリーに分類されていた。

ファクトリーオプションで参戦するRepsol Honda Teamのマルク・マルケス選手

しかし、今季からは、MotoGPを主催するDORNAが供給する公式ECU(エレクトリック コントロール ユニット)の使用が、年間参戦をする全車に必須となり、そのECUの使用方法で「オープンカテゴリー」と「ファクトリーオプション」という2種類の形態に分類されることになった。

オープンカテゴリーの車両は、MotoGP公式ECUキットのハードウェアとソフトウェアを使用することが定められている。ECUとは、エンジンや車体の動作を電子的に制御する部品で、いわばマシンの頭脳に相当する部分だ。Hondaをはじめとする各メーカーのファクトリーチームやサテライトチームは、昨シーズンまで、メーカーが独自に開発したECUをそれぞれ各陣営のマシンに搭載していた。一方、2013年のCRT陣営は、すでにマニエッティ・マレリ社の提供する公式ECUを搭載して参戦しており、2014年のオープンカテゴリーはそのCRTの方式を踏襲しているもの、と言っていいだろう。

このECUの使用定義と各規定は、ルールブック上では以下のように記されている。(※以下、引用箇所の太字は今年度から変更された部分)

2.4.3.5 エレクトロニクス
 3)オーガナイザーから供給される公式MotoGP電子制御ユニット(ECU)はすべてのマシンに必須とする。
  a)全公式MotoGP ECUキットは、オープンカテゴリーで参戦するすべてのマシンに必須とする。
  これは、以下のものから構成される:
   ・公式MotoGP ECU、内部データロガーを含む
   ・公式MotoGPエンジンおよび車体コントロールソフトウェア
   ・キャリブレーションおよびデータロギングツール
   ・慣性プラットフォーム
   ・ダッシュボード
   ・スイッチボード
  b)公式MotoGP ECUキットハードウェアおよびソフトウェアのみが許可され、追加的データロガーやダッシュボードは許可されない。
 4)上記の2.4.3.5.3の例外として、各製造者(モーターサイクル製造者と車体製造者を含む)は、以下の条件により、ファクトリーオプションとして参戦する選手を4名まで選ぶことができる:
  a)エンジン/車体管理用の、公式MotoGP ECU(全MotoGP ECUキットではない)使用と内部データロガーおよびBIOSソフトウェアの装備を必須とする。
  b) CANバスによる外部モジュールおよび/もしくはECUアクセスは管理されない。しかし、以下のアクチュエータは、ECUパワーアウトプットもしくはパワーモジュール*の手段により直接に操作されなければならない。
   ・イグニッションコイル
   ・インジェクター
   ・ライドバイワイアモーター
   ・各種インテークトランペットモーター
   ・バルブ(ニューマチックタイミングシステムバルブ、排気バルブ等)
    *パワーモジュールとは以下のみを備えているものを指す:
    ・エレクトリックパワーインプット
    ・MotoGP ECUパワーアウトプットからのインプット
    ・パワーアウトプット
  c)エンジンおよび車体制御用アプリケーションソフトウェアは管理されない。また、それは、CあるいはMATLAB/Simulink言語で記述をすることができる。

……(中略)……

  f) 追加的外部データロガーが許可される。
g) ダッシュボード、ディスプレイ、スイッチボードは管理されない。
……(中略)……

 5)ワイルドカード参戦のECUハードウェアとソフトウェア、およびデータロガーは管理されず、以下の関連条件に従う:
  ・ワイルドカードは各イベントにつき最大3基までのエンジンを使用できる(条文2.4.3.3.1.d)。
  ・すでにファクトリーオプションで参戦する契約選手による製造者のワイルドカードは、最大燃料タンク容量を20リットルとする。その他のワイルドカードはすべて、最大燃料タンク容量を24リットルとする(条文2.4.4.5.5)。

2.4.3.5 Electronics
 3) The use of the official MotoGP Electronic Control Unit (ECU) supplied by the Organiser is compulsory for all machines.
  a) The full Official MotoGP ECU Kit is compulsory for all machines entered in the Open category. This consists of :
   ・Official MotoGP ECU, including internal datalogger.
   ・Official MotoGP engine and chassis control software.
   ・Calibration and datalogging tools.
   ・Inertial platform.
   ・Dashboard.
   ・Switchboard.
  b) Only the Official MotoGP ECU Kit hardware and software is allowed, no additional dataloggers and dashboards are allowed.
 4) As an exemption to 2.4.3.5.3) above, each Manufacturer (includes motorcycle manufacturers and chassis manufacturers) can choose up to 4 riders to enter under the Factory Option, with the following conditions :
  a) The use the Official MotoGP ECU (and not the full MotoGP ECU Kit), with its internal datalogger and BIOS software, for engine/chassis management is compulsory.
  b) External modules and/or ECU access by CAN BUS are not controlled, but the following actuators must be driven directly by the ECU power outputs, or by mean of power modules* :
   ・ignition coils,
   ・injectors,
   ・ride-by-wire motors,
   ・variable intake trumpet motors,
   ・valves (e.g. pneumatic timing system valves, exhaust valves).
    *A power module is a module that only has :
    ・an electric power input,
    ・an input from a MotoGP ECU power output,
    ・a power output.
  c) Application software for engine and chassis control is not controlled, and it will be possible to write it in C or Matlab/ Simulink languages.
・・・・・
  f) Additional external dataloggers are allowed.
  g) Dashboard, displays and switches are not controlled.
・・・・・
 5) For Wild Card entries ECU hardware and software, and dataloggers are not controlled, with the following related conditions :
  ・Wild Cards may use a maximum of 3 engines per event (Art. 2.4.3.3.1.d).
  ・Wild Cards entered by a Manufacturer with contracted rider(s) already entered under the Factory Option will be have a maximum fuel tank capacity of 20 litres. All other Wild Cards will have a maximum fuel tank capacity of 24 litres (Art. 2.4.4.5.5).

上記の文言によると、MotoGPクラスに参戦する車両の規定はオープンカテゴリーを基本としており、ファクトリーの参戦は例外的な形態として定義されている。

つまり、ルールブック上の記述では、全車に必須とされているMotoGP公式ECUキットのハードウェアとソフトウェアを使用する「オープンカテゴリー」に加えて、公式ECUのハードウェアを使用するもののソフトウェアに関しては独自に開発したものを使用する車両を「ファクトリーオプション」と例外的に規定している。

そして、この「ファクトリーオプション」に対しては、独自ソフトウェアの使用を許可する代償として「オープンカテゴリー」よりもさまざまな厳しい制限を設ける、という考え方でオープンとファクトリーの分類を行っている。ファクトリーに対して「オプション」という言葉を用いていることからも、ルールブックが定義する意図は明確に表れていると言えるだろう。

また、ルールブック上では、MotoGP公式ECUキットのハードウェアとソフトウェアを使用する「オープンカテゴリー」の車両に対して特段の取り決めは行われていないが、「ファクトリーオプション」に対しては、上記のルールブックの抜粋箇所にあるとおり「各製造者(モーターサイクル製造者と車体製造者を含む)は、以下の条件により、ファクトリーオプションとして参戦する選手を4名まで選ぶことができる」と記されている。つまり、Honda、ヤマハ、ドゥカティのメーカーはそれぞれ、自分たちの「ファクトリーオプション」のマシンを駆る選手を4名ずつ参戦させることができる、ということだ。

この事項に関しては、後編で紹介する、エンジンに関する条項(※ルールブック上では、その定義や各規定がエレクトロニクスの条項に先立って記されている)で、詳細な説明が行われている。

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