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MotoGP学科

エントリーの話

17限目

チームが代役選手を立てる理由

それにしても、そもそもなぜチームは代役選手を必ず参戦させるべく奔走し、また、その規定に対して上記のような細かいルールが定められているのだろうか。理由は、上記条項に続く[1.11.4]で明らかにされている。この条文に関しては、解釈の余地がないほど平明かつ明快に記されている。文章は、以下の通り。

[1.11.4]
チームが代役参戦選手を準備できない場合、IRTAは、参戦に必要な数を満たすために大会毎に他のチームに対して選手の参戦を許可できる。あらゆる交代と代役参戦選手については、条文[1.10.1](注:参戦可能最低年齢と必要ライセンスを定めた条項)を適用する。
If a team is unable to provide a substitute rider, then IRTA may decide to allow another team to enter a rider, on an event by event basis, to reach the required number of entries. Article 1.10.1 will apply to all replacement and substitute riders.

この文言が意味する罰則的手段に加え、ロードレースの世界最高峰にフル参戦をするチームとしての矜持や世界中のファンに対する責任も、代役選手を起用する大きな理由の一つであることは容易に推測できる。

とはいえ、それがどのような理由であれ代役選手(あるいは交代選手)を立てなければならないような事情が発生しないに越したことはない。一戦限り、あるいは数戦の代役参戦の場合なら、抜てきされた選手にとっては大きなチャンスにもなり得るが、選手の交代はチームにとっても、選手にとっても、そしてレースを観戦するファンにとっても、可能な限り回避したい事態であることは間違いないのだから。

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