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MotoGP学科

ポイントの話

6限目

ポイント獲得の特例措置

今シーズン開幕戦のカタールGPでは、降雨の影響により、125ccクラスのレースが4周で中断。その後、コンディションは悪化の一途をたどったために再開されることなくレースが終了した。また、昨年のインディアナポリスGPでは、ハリケーン「アイク」に直撃された影響で、本来28周で争われるMotoGPクラスのレースが20周で中断。あまりに風雨が強く再開は危険との判断から、このときもそのままレースが終了している。この両レースを比較すると、09年カタールGP125ccクラスの場合は、本来のポイントの半分が選手とコンストラクターに与えられたが、08年インディアナポリスGPのMotoGPクラスでは、通常と同じポイントが与えられている。

1.25レースの中断

1.25.3 レースの先頭走者と、その同一周回にいる他の全ライダーが、3周もしくはそれ以上を周回しているものの、現行周回数分を切り捨てても本来の全周回数の3分の2を満たしていない場合には、条文{1.26.}(訳注:中断したレースの再開[Re-Starting a race that has been interrupted]の項)に基づきレースを再開する。レースの再開が難しいと判断される場合には、本来の半分のポイントをレース結果としてチャンピオンシップに加算する。

1.25.4 レースの先頭走者と、その同一周回にいる他の全ライダーが、現行周回を切り捨てても本来の全周回数の3分の2を消化している場合、125cctと250ccクラスのレースは完了したものと見なされ、全チャンピオンシップポイントが加算される。 MotoGPクラスの場合は、条文1.26.に基づき最低5周のレースが再開される。 レースの再開が難しいと判断される場合には、全ポイントをレース結果としてチャンピオンシップに加算する。

1.25Interruption of a race

1.25.3 If three laps or more have been completed by the leader of the race and all other riders on the same lap as the leader, but less than two-thirds of the original race distance, rounded down to the nearest whole number of laps, then the race will be restarted according to Art. 1.26. If it is found impossible to restart the race, then the results will count and half points will be awarded in the Championship.

1.25.4 If the results calculated show that two-thirds of the original race distance rounded down to the nearest whole number of laps have been completed by the leader of the race and by all other riders on the same lap as the leader, then for the 125cc and 250cc classes the race will be deemed to have been completed and full Championship points will be awarded. For the MotoGP class, the race will be restarted for a minimum of 5 laps according to Art. 1.26. If it is found impossible to restart the race, then the results will count and full Championship points will be awarded.

09年のカタールGPは荒天に見舞われ、決勝が中断された125ccはハーフポイントという措置が執られた

過去のポイントシステム

ところで、今回説明をしたポイント獲得制度は、あくまで現行ルール下で運用されているものだ。1位から15位に対して25ポイントから1ポイントまでの点数を与える制度は、1993年に始まったシステムで、ロードレース世界選手権が始まった49年当時や数十年前のレースでは、今とは異なるポイント制度が用いられていた。参考までに、過去のポイントシステムを簡単に紹介しておこう。カッコ内は、ポイント数

1949年 1位(10)、2位(8)、3位(7)、4位(6)、5位(5)+ファステストラップ記録選手(1)
1950〜68年 1位(8)、2位(6)、3位(4)、4位(3)、5位(2)、6位(1)
1969〜87年 1位(15)、2位(12)、3位(10)、4位(8)、5位(6)、6位(5)、7位(4)、8位(3)、9位(2)、10位(1)
1988〜91年 1位(20)、2位(17)、3位(15)、4位(13)、5位(11)、6位(10)、7位(9)、8位(8)、9位(7)、10位(6)、11位(5)、12位(4)、13位(3)、14位(2)、15位(1)
1992年 1位(20)、2位(15)、3位(12)、4位(10)、5位(8)、6位(6)、7位(4)、8位(3)、9位(2)、10位(1)

また、過去のポイント制度のもう1つの大きな特徴として挙げられるのが、「有効ポイント制」と呼ばれるシステムだ。これは、1年間の全レースを算入するのではなく、上位フィニッシュしたレースから順に規定回数分だけを加算してその獲得ポイントを比較する、という方法だ。たとえば、年間10戦のうち6戦のポイントを有効とする場合には、1年間の全成績のうち、各選手(コンストラクター)はそれぞれ上位で終えたレースから順に6戦の結果が有効ポイントとして加算されることになる。

ロードレース世界選手権では、レースが始まった最初の年である49年から76年まで、この有効ポイント制が採用されていた。その後、91年に1年だけ有効ポイント制が復活するが、92年以降は現在に至るまで、年間全戦の総ポイントで順位が争われている。

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