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モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > MotoGP学科 > 2限目「レースウイークの話」

MotoGP学科

レースウイークの話

2限目

各セッションの内容とチーム戦略

レースのセッション時間に話を戻そう。すでに説明したとおり、2009年は各クラスともフリー走行の回数が1回分減っているだけに、チームや選手にとっては、昨年よりも効率的で戦略的なセッションの組み立てが重要になっている。

各セッションで選手とチームが取り組む内容は、大まかに以下の項目にまとめることができるだろう。


慣熟 コースコンディションやマシンのチェック、ライダーのウオームアップなど。
タイヤ選択 ワンメーク化により、タイヤの絞り込みに要する時間は圧倒的に減少した(第1限目『タイヤの話』参照)。その分、チームとライダーはマシンのセットアップにより多くの時間を割くことができる。
セットアップ タイヤの性能を十分に引き出し、選手のライディングスタイルやコースに合わせて、より速く走れるように仕上げるためのマシン調整。
レースシミュレーション 決勝レースを想定した走り込み。ユーズドタイヤ※1を使用してレース中盤から終盤のシミュレーションを行う場合や、決勝周回数に近い走行を重ねるなどの方法がある。
タイムアタック 決勝レースでいいグリッド※2ポジションを得るため、最速ラップタイムを目指して一周を全力で走行する周回。通常、どの選手も予選終盤に行う。


これらの項目を、金曜日午後のフリー走行から土曜日午後の予選までの計3回のセッションで、どのように積み上げ、組み立てていくか。選手とチームの戦略、そして総合力が問われる重要な局面だ。理想をいえば、2回のフリー走行でマシンの煮詰めとシミュレーションを行い、予選ではその確認や仕上げ作業とタイムアタックに集中。決勝日午前中のウオームアップで最終確認、というのが最も完ぺきな流れだろう。

しかし、天候や路面温度などの諸条件は刻々と変化し、ライダーが乗り方に苦労したり、あるいはセットアップの見極めに苦慮するといった予想外の事態も少なからず発生する。与えられた環境の中でベストなものを探ってゆく作業は、いつもスムーズに進むとは限らない。そして、そういう場でこそ問われるのが、選手とスタッフが一丸になれるかどうかという「チーム力」だ。

区間タイムやタイムシートの順位、テレビカメラが映し出すピットの様子など、手がかりになる材料はいくつもある。これらのデータをつぶさに観察しながら、上記の各要素も念頭に置いてフリー走行や予選を観戦すれば、選手やスタッフたちの決勝レースに向けた戦いは、さらにリアルなものとして楽しめるだろう。

チームとディスカッションを行うアンドレア・ドヴィツィオーゾ

決勝レース。そして、レースのあとで

日曜日午前のウオームアップは、調整を行う最後のチャンスだ。仕上げてきたマシンにこれ以上は変更を加えず、文字どおりウオームアップ走行に徹している場合もあれば、今までとはがらりと方向性が変わるようにセッティングを大きく振り、一か八かの可能性に賭けて最終調整、というケースもあるだろう。泣いても笑っても、あと数時間後には結果が出る。わずか20分間のウオームアップとはいえ、何かを試すには、もうこの時間しかないのだ。

そして、いよいよ決勝レースの時間を迎えると、ライダーたちは約45分間に渡り、激しい戦いを展開する。チェッカーを受ける瞬間は、この<レースウイーク>に行ってきたことの結果が、言い逃れようのない数字として表れる瞬間でもある。そして、その結果がどのようなものであれ、レースが終わったそのときから、次のレースへ向けた戦いは始まっている。

選手とチームが一丸となって戦ってきた舞台であるピットボックスの設備は、レース終了後しばらくすると、撤収作業が開始される。数時間後、ピット内に設置されていたレース道具は、いくつもの黒いフライトケースの中にコンパクトに納められてしまう。そして、次の<レースウイーク>を目指し、次戦の舞台となるサーキットへと運ばれてゆくのだ。

レースを終え、撤収作業を行うチームクルー

用語解説

※1ユーズドタイヤ

使用済みのタイヤのこと。新品のタイヤと比べるとグリップ力がなく最高速は出ないが、レース中盤以降の走りをシミュレーションするのに活用される。

※2グリッド

予選セッションでの順位で決定される、決勝レース時のスタート位置(並び順)のこと。MotoGPの場合、1列3台でスタートラインに並ぶ。

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