サーキット入り口ゲート。Autodoromo(アウトドロモ)とは、イタリア語でサーキット、の意。ヘルメットを模した詰め所は昨年完成、アーチ状の門は今年出来上がった。
■第6戦イタリアGPの舞台、ムジェロ・サーキットは、イタリア・トスカーナ地方の文字どおり山間部に位置している。最寄りの都市はフィレンツェ。街を北東方向へ抜け、ボローニャと繋ぐ山間の細い旧道を縫うように走れば約40分の距離だ。高速道路(アウトストラーダ)で向かうなら、A1をバルベリーノ出口で出て上記の旧道に合流し、そこからサーキットまでは約15分程度。日本人にわかりやすくたとえるなら、宇都宮や水戸からツインリンクもてぎへ走るような、山深い道を行くイメージだろうか。会場周辺にある、スカルペリア、ボルゴ・サン・ロレンツォ等々の集落は、普段なら山あいにひっそりたたずむ風情だが、このときばかりはレース関係者や大勢の観客たちの期待とともに独特の盛り上がりを見せる。火曜、水曜、とサーキットにチームトレーラーや機材車の搬入が始まる頃には、一帯の雰囲気も週末のレースに向けて少しずつ高揚していく。
■イタリアはもともとモータースポーツが盛んなお国柄で、選手やパドック関係者に占めるイタリア人の割合は非常に高い。そんな彼らのホームグランプリとあって、今大会に掛ける彼らの気合いの入り方は、並大抵なものではない。選手たちのスペシャルコスチュームやチームのホスピタリティで催される各種パーティ等々、その熱狂と興奮は全18戦のなかでもスペインと並び最高潮に達する。
■チーム・サンカルロ・ホンダ・グレッシーニにとって、今回のレースは監督や選手はもちろん、ほとんどのスタッフにとってもホームグランプリとなる重要な一戦である。レースでは、アレックス・デ・アンジェリス選手が4位に入る大健闘を見せたが、それに先立つ土曜日には、ファウスト・グレッシーニ監督が主催する、若手ライダー育成を目指すジュニア選手権のプレゼンテーションも行われた。
■そして、忘れてはいけないのが、ライダーたちの安全と健康を一身に担うクリニカモビレ。医療チームを率いるクラウディオ・コスタ医師以下、ほとんどのスタッフにとっても今回のレースがホームGPになる。このレースウイークでは、幸いにも重篤な負傷に見舞われた選手がいなかったこともあり、サーキット片隅に設営された施設には、選手やチーム関係者以上に、メディカルスタッフを訪ねる知人友人たちが続々と挨拶にやってきた。