一階部分入り口近くから、上部を望む。
■ところで、これら広大なパドックエリアの中でもひときわ目を引くのが、メインストレートをまたいで立つ、2つの巨大な空中設備だ。1コーナー側が「餐庁(レストラン)」、最終コーナー側が「新聞中心(メディアセンター)」の機能を持っている。ただし、MotoGPのイベントでは、レストランはこれまで一度も使用されたことがなく、ずっと閉鎖されている。もっぱら皆が出入りするのは、最終コーナー側のビルディングだ。コースをまたいでグランドスタンドと接続されており、最上階部分がメディアセンター、途中階には放送関係の設備などが収容されている。
■では、このメディアセンターの中身はいったいどんなふうになっているのか、実際に入ってみることにしよう。これほど高い場所に設置されいてるのも珍しければ、エレベータでアクセスするのも、おそらくはここくらいのものだろう。パドックエリアのエレベータだと9階、グランドスタンド側からだと6階のボタンを押せば、最上階に至る。
ところで、このメディアセンターは高い場所に位置しているものの、もともとコース全体が起伏に乏しい人工的なサーキットであるために、全景を一望できるというわけにはいかない。それでも、長いメインストレートを一気に見渡せる眺めは圧巻だ。
■グランドスタンド裏では、他の会場同様に各種ブースが設営され、ファンサービスの各種イベントもとりおこなわれている。エリア一帯の面積が広大で、しかも観客数は欧州よりも少ないだけに、多少閑散とした印象はどうしても免れない。それでも、MotoGPクラスのライダーサイン会が始まる時間になると、お目当ての選手のサインやツーショット写真を希望するファンが続々と集結し、あっという間に長蛇の列ができあがった。直筆サインや写真がほしいなら、人でごった返す本場欧州よりも、かえってこういう場所のほうが狙い目かもしれない。
■さて、木曜から土曜まで好天に恵まれた上海地方だったが、日曜は天気予報が的中して朝から冷たい雨に見舞われた。この悪天候は終日続くという話だったが、やがて小降りになってきた。125ccクラスの決勝レースが終わる時刻になると雨はあがったが、気温は相変わらず低い。このまま天気が持つのか、あるいはふたたび降り始めるのか、コンディションがここから先どう変わっていくのかは、予断を許さない。風雨を避けてスタンド裏側へ非難していた観客たちは、少しずつ座席へ戻り始めたが……。
■その後、雨は再び降り始める気配もなく、125cc、250ccとレースが進むにつれ、ラインも少しずつ乾き始めた。MotoGPクラスのレースが始まる時刻になると、路面はほとんど乾き、全選手がスリックタイヤでグリッドについた。2列目5番グリッドからスタートしたダニ・ペドロサは、レース終盤まで激しいトップ争いを繰り広げ、2位でフィニッシュ。20ポイントを加算してランキング単独首位に立ち、いよいよ次戦から本格的欧州ラウンドが始まるヨーロッパへと戻っていった。