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第三話 不沈艦、RCB1000。
 中学生になった宮城は、バイクの本をむさぼるように読みはじめた。読んでは想像の世界に身を投じ、憧れのバイクを心のなかで走らせていた。もちろん、そこには憧れの女の子も登場した。宮城は、レーシングライダーになることを目標に持つ者ではなく、普通のバイク好きの少年だったのだ。
 その普通のバイク好きの少年の心を捉えたのは、当時雑誌の誌面を賑わしていたRCB1000の記事だった。

 「ちょうど国内はオイルショックが終わった頃で、二輪も四輪もレース活動が縮小されていた時代でした。その中で、再びヨーロッパに乗り込んでいったHondaの活動が大きく取り上げられることが多かった。ですから、僕はオートバイに乗る前に、すでにHondaのRCB1000の活動を雑誌で見ていて、心を踊らせていましたね」
 「僕がちょうど16歳になった頃、CB750やCB400フォアに乗っていた先輩の間では、RCBカラーが流行ってましたからね。自分で赤いタンクに青と白のラインを入れるだけなんですが、それほどRCB1000の活躍はバイク乗りの間でインパクトがあるニュースでした」

 宮城がレーシングバイクをはじめて意識したのがこのRCB1000なのだ。青春の記憶のなかで輝き続けていたRCB1000を、コレクションホールの動態確認(レストアの仕上がりを確認する走行テスト)で走らせることになったとき、宮城の心はときめいた。
 「すごいバイクなんだろうな!」
 少年の頃のときめきを胸に、宮城はRCB1000に跨がった。

恐ろしいモンスターバイクだと思っていた。
RCB1000
 RCB1000は、1976年、Hondaが耐久レースに本格参戦するために開発された。そして、初挑戦のヨーロッパ耐久選手権の開幕戦でいきなり優勝。続く第2戦は勝利を逃すが、8戦7勝してメーカーズ/ライダーズチャンピオンを獲得したのだ。デビューマシンながらもあまりに強いため、いつしか「不沈艦RCB1000」と呼ばれるようになった。
 宮城は、中学時代に鮮烈に胸に刻まれたRCB1000の無敵ぶりに、“相当なモンスターバイクではないか”という先入観を持っていたのだ。しかし、その先入観は、いい意味で裏切られた。

 「乗ってびっくりですわ。モンスターでも何でもない、『これ普通のオートバイじゃない?』と。こんなマイルドなエンジン特性だったのかと、むちゃくちゃ驚きましたね」
 「タコメーターの目盛りは3000回転からはじまっていて、レッドゾーンは9500回転。上限は15000回転まで刻んでありますが、実際に走り出すのは3000回転以下で余裕です。キャブレターもCVキャブといって、一般車についているものと同じタイプですから、低い回転からむちゃくちゃ乗りやすいわけです。それでいて、回転のツキがよく、扱いやすい。特にピークパワーの盛り上がりを感じることもなく、気がつけばきっちりとレッドゾーンまで回っている。もちろん1000ccの排気量がありますから、吸気音、排気音は図太く、トルクで走っていくエンジンだと感じましたね」
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