MotoGP現場レポート

Vol.229 - Rd.14 2戦連続のバレンシアはHonda勢にとっては厳しい結果に終わる

サーキット・リカルド・トルモ(以下、バレンシア・サーキット)で2週連続開催となった第14戦バレンシアGPは、Honda勢にとって厳しい結果に終わりました。3戦連続フロントローとなる3番手から初優勝、初表彰台が期待された中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、レース中盤、3位を走るポル・エスパルガロ(KTM)を抜いた直後に転倒しリタイア。前日の予選で大きな転倒を喫したアレックス・マルケスは、その転倒で左手首を痛めており、厳しい走りを強いられ16位とポイント獲得を果たせませんでした。

左腕上腕を骨折し、治療とリハビリを続けるマルク・マルケスの代役として11戦目を迎えたステファン・ブラドルは3戦連続ポイント獲得となる14位。ペースは悪くなかったのですが、18番手というグリッドの悪さがレース展開に影響を与えました。カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は13位でした。

初優勝、初表彰台が期待された中上が転倒リタイア。そして、3回目の表彰台、そして初優勝に闘志を燃やしたアレックス・マルケスが予選の転倒で力を発揮できなかったバレンシアGPを、Repsol Honda Teamのアルベルト・プーチ監督が振り返ります。

バレンシアGPの戦略を聞かせてください。

「アレックス・マルケスが土曜日に大きな転倒をしたので、レースが簡単には行かないことは分かっていました。左手首に痛みとしびれがあり、レース中にはそれが悪化しました。彼にとってはとても難しいレースでした。しかしレースを完走してすばらしい精神を見せました。

中上貴晶の戦略はレース序盤からトップグループで戦えるようにがんばることでした。プラクティスセッションではそれができるリズムがあることを証明していました。レース中盤でプッシュし始め、レースリーダーたちを追いかけていきました。とてもすばらしいレースでした。彼はさまざまなところでオーバーテイクをしようとしました。まずは(ミゲル)オリベイラ(KTM)、その次はポル・エスパルガロでした。しかしポルとバトルをしているときに、最終コーナーで転倒してしまいました。大事なことは彼に戦う精神があったということだと私は思います。転倒したことと今回の結果は残念でしたが、ここ数戦で彼が見せてきたこの精神をうれしく思います。後方のポジションを受け入れるのではなく、常にプッシュしてます。トライすれば、こうしたことも起きることがあります」

今大会のポジティブポイント、そしてネガティブポイントがあれば、それも教えてください。

「ポジティブなことはアレックスが土曜日の転倒でケガをしなかったことと、タカが引き続き前進していること、そしてステファン・ブラドルがここ数戦、いいペースがあることです。ステファンはレベルを大きく上げ、マシンの開発に役立っているのでとてもうれしいです。もう一つポジティブなことはMoto3のタイトルがまだ決まらず、最終戦のポルティマオで決まるということです。小椋藍はがんばって勝たなければなりません。これがワールドチャンピオンになるための唯一の選択です」

レース中、ピットウォールから見ていた感想は?

「Repsol Honda Teamのライダーは2人ともかなり後方からのスタートでしたが、タカの走りはとても興奮しました。彼のスピードをチェックし、序盤の走りに驚きました。しかしそのあと転倒してしまいました。これはレースです。転倒したら、起き上がって、前に進まなければならないのです」

インサイドストーリーがあれば、それを教えてください。

「スズキにおめでとうと言いたいです。スズキはチームで最高の仕事をしました。そしてジョアン・ミルはうまくまとめてすばらしいシーズンにしました。多くの人が驚いたと思います。マルクが転倒してからは、理論的にヤマハとドゥカティがチャンピオンシップに最も近いと思われていました。しかしスズキは優勝するためにここに来たことを証明しました。この状況を最大限活用しました。今年の彼らの努力と信念におめでとうと言いたいです」

バレンシア・サーキットの2連戦に続き、3連戦最後となる第15戦ポルトガルGPが、アルガルベ・インターナショナル・サーキットで11月20日に開幕、22日に決勝が行われます。MotoGPクラスはバレンシアGPでジョアン・ミル(スズキ)がタイトルを獲得しましたが、最終戦決着となったMoto3クラスは、総合2位の小椋藍、総合3位のトニ・アルボリーノが逆転チャンピオンに挑みます。

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