MotoGP現場レポート

Vol.228 - Rd.13 中上貴晶、チャンピオンシップ2位獲得に向けて安定した走行を見せる

スペインのサーキット・リカルド・トルモ(バレンシア・サーキット)、そしてポルトガルのアルガルベと続く3連戦。シーズンを締めくくる3連戦の初戦となった第13戦ヨーロッパGPは、2戦連続今季3回目のフロントロー3番手から決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が今季ベストリザルトタイの4位でフィニッシュしました。優勝したJ・ミル(スズキ)との差は2.194秒。3位のP・エルパルガロ(KTM)とは0.991秒差の接戦となり、初表彰台、初優勝にあと一歩と迫りました。

第2戦スペインGPで右腕上腕を骨折、治療とリハビリを続けているマルク・マルケスの代役として10戦目を迎えたステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)が12位。今季ベストリザルトを更新することはできませんでしたが、2戦連続今季3回目のポイント獲得を果たしました。

今季3回目の表彰台、そして初優勝を狙ったアレックス・マルケス(Repsol Honda Team)はレース終盤、8番手を走行中に転倒リタイア。カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)はレース序盤に転倒リタイアとなりました。

不安定な天候となったフリー走行と予選。そして決勝は青空が広がるドライコンディションと今季もっとも調整の難しいレースとなりました。その戦いをRepsol Honda Teamのアルベルト・プーチ監督が振り返ります。

ヨーロッパGPの戦略を聞かせて下さい。

「今日の中上貴晶とアレックス・マルケスの戦略は、いいスタートを切って、トップグループについていくことでした。ふたりともそのチャンスがありました。中上はフロントローからのスタートだったので、強いポジションにいました。でも、ほかのライダーにつかまってしまい、前のライダーたちとともに後続を引き離すことができませんでした。終盤へ向けていいペースをつかみ、彼はとても速いことを証明しました。レース中盤でもう少し距離を縮めることができていたら、表彰台に上がるチャンスがあったかもしれません。

 アレックスはトップグループを形成したライダーたちと同じペースではありませんでした。彼はドゥカティ勢と走っていて、レース序盤で彼らをパスできませんでした。残念ながらドヴィツィオーゾがアレックスをパスした時に、スリップストリームで加速してしまったため、1コーナーでフロントから転倒してレースは終わってしまいました」

今大会のポジティブポイント、そしてネガティブポイントがあれば、それも教えて下さい。

「ポジティブなことは、中上が安定して毎週トップにチャレンジできることが確認できたことです。彼にはチャンピオンシップ2位獲得のチャンスがまだあります。昨年のマシンを使っているライダーにとっては最高の目標です。今シーズンはすべてのレースがとても面白いです。アレックスは最高峰クラスで学び続けていますし、ステファン・ブラドルはHRCのテストライダーとしてバレンシアでとても強い走りをして最高の仕事をしています。

もうひとつポジティブなことはMoto3のカテゴリーで、小椋藍がHonda Team Asiaで表彰台に戻ってきたことです。残り2レースで、チャンピオンシップへ向けて大きなチャンスがあります。アレナスとのギャップはかなり縮まり、差はわずか3ポイントになりました」

レース中、ピットウォールから見ていた感想は?

「とても楽しかったのはレースではありませんでした。スクリーンでは主にレースリーダーたちを映すので、優勝や表彰台争いをしていないときは、タイミングシートの数字を追っていかなければなりませんからね。来週もバレンシアで大会が行われます。今日のミスから学び、前進したいと思います」

引き続き今週はバレンシア・サーキットで第14戦バレンシアGPが開催されます。2週連続で同じサーキットで大会が開催されるのは、これが5番目のサーキットとなります。2週連続の大会では、アレックス・マルケス、そして中上貴晶が好成績を残してきました。ともに今季初優勝の期待が膨らみます。

ニュース