最終戦ポルトガルGPは、予選11番手から決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が、すばらしい追い上げを見せて5位でフィニッシュしました。オープニングラップはグリッドと同じ11番手。アルガルベ・インターナショナル・サーキットはパッシングポイントが少なく、序盤は10台前後に膨れあがった4位争いの大集団の中で足踏み状態が続きましたが、4周目にマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)を抜いて10番手へ、10周目にはファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)をかわし9番手に浮上しました。
その後、ポジションに変動はなく、5番手争いを視野に周回を重ねますが、21周目には、ステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)、カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)のHonda勢とヨハン・ザルコ(ドゥカティ)、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)を次々にパスして5番手に浮上。前が一気に開けた中上は、1分40秒中盤から1分40秒前半へとタイムを上げて、4位を走るポル・エスパルガロ(KTM)を猛追撃。最終ラップの25周目には約0.7秒差まで縮めますが、惜しくも届きませんでした。
MotoGPクラス3年目のシーズンを迎えた中上は、ポールポジションを含め4回のフロントローを獲得。4位2回、5位2回など14戦を戦い、12レースでトップ10フィニッシュを果たすなど、安定した走りを見せました。
今季ベストの6番グリッドから決勝に挑んだステファン・ブラドルが、今季ベストリザルトの7位でフィニッシュしました。今大会は初日から好調で、フリー走行、予選と快調にラップを刻みました。決勝レースもオープニングラップ7番手から、中盤はカル・クラッチローとともに5番手争いを繰り広げました。レース終盤は、それまでの1分40秒台中盤から後半へとペースをやや落としましたが、第10戦フランスGPの8位をしのぐ7位でフィニッシュしました。
今季は、第2戦スペインGPで右腕上腕を骨折し、治療とリハビリを続けるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)の代役として11戦に出場。シングルフィニッシュが2度というすばらしい結果を残し、マシン開発で大きな貢献をしました。
アレックス・マルケス(Repsol Honda Team)が9位でフィニッシュしました。今大会は表彰台争いに加わることはできませんでしたが、3日間を通じて着実に前進しました。今大会は16番手という厳しいグリッドからのスタートとなりましたが、序盤は大集団となった4番手争いのグループに加わり、その後も安定したペースで周回を重ね、9位でフィニッシュしました。ルーキーシーズンの今年は、MotoGPマシンでは初めて経験するサーキットが続き、厳しいレースが続きました。しかし、第10戦フランスGP、第11戦アラゴンGPで連続2位になり、大きな成長を遂げました。
LCR Honda CASTROLで最後のレースとなったカル・クラッチローは13位でした。今大会は予選4番手と本来の走りを取り戻し、決勝では中盤まで5番手争いをリードする元気あふれる走りを見せました。しかし、終盤はリアタイヤの消耗に苦しみ13位へと後退しました。シーズン最終戦に全力で挑んだクラッチローに、6年間在籍したチームスタッフから大きな拍手を送られました。
中上貴晶(MotoGP 5位/総合10位)
「今シーズンは休みがほぼなかったにも関わらず、チームはマシンを準備してくれました。いつも完ぺきだったので、チームのすべての人に感謝したいです。僕をサポートしてくれたすべてのスポンサーにも感謝したいです。LCR Honda Teamとの最後のレースとなったカル(クラッチロー)にも感謝したいです。この3年間、彼はすばらしいチームメートでした。彼の今後の幸運を祈っています。今日はいい戦略を見つけるのが難しいレースでした。11番手から追い上げるのはたいへんでしたが、いいスタートを切ることができたので、序盤はとても力強い走りができました。レース中は大きなバトルがありました。最後はいいラップタイムを刻むことができて、再び5位を獲得できました。とてもうれしいです。今シーズンの僕のパフォーマンスは、昨年と比べると全体的に大きく前進できたので、チームの仕事に感謝したいです。僕たちはすでに来年のことを考えています。来年も前進できることは明らかです。来年はチャンピオンシップ争いができることを願っています。それが目標です。また来年会いましょう」
ステファン・ブラドル(MotoGP 7位/総合19位)
「とても楽しいレースでした。チャンピオンシップで上位争いができるスピードとモチベーションがあることを証明できました。代役として最初に乗ったときは厳しいレースが続きましたが、それからはチームとどんどん強くなることができました。そして、いい仕事ができるようになりました。とても満足しています。今日のレースはたくさんのバトルがありました。前回のバレンシアはあまりよくありませんでしたが、今回はポテンシャルを発揮することができました。Repsol Honda TeamとHRCに感謝したいです。すばらしい関係です。そして、仕事を続けることができてとてもうれしいです。レースとテストでとても忙しい日々でしたが、すべての仕事をこなすことができました。そのおかげで強くなることができました。みんなにとって難しい1年でした。シーズンを可能にしてくれたすべての人に感謝したいです」
アレックス・マルケス(MotoGP 9位/総合14位)
「厳しいレースでした。ベテランのライダーたちとたくさんのバトルがありました。とても楽しかったです。1周目は(ジョアン)ミル(スズキ)、そのあとはバレンティーノ(ロッシ、ヤマハ)、そしてファビオ(クアルタラロ、ヤマハ)とバトルしました。彼らからたくさんのことを学ぶことができました。4番手争いができるほどのいいリズムがありましたが、今回はスターティンググリッドが結果に影響してしまいました。それでも、うまくまとめ、追い上げることができました。激しい戦いとなったMoto3クラスとMoto2クラスのチャンピオンとなった(アルベルト)アレナス(KTM)とエネア(バスティアニーニ、KALEX)におめでとうと言いたいです。
振り返れば、前進するためにもっとできたことがあったと思います。そして、いい結果をもっと早く出せたかもしれません。しかし、すべてのカテゴリーで僕は、いつもスタートが遅いです。でも決してあきらめず、目標を達成するために全力を尽くします。今年は2度表彰台を獲得しました。シーズンが始まる前に夢見た結果です。そのうち一つはコンディションが特別でしたが、アラゴンの表彰台はすばらしいものでした。残念ながらルーキー・オブ・ザ・イヤーは獲得できませんでした。でもシーズン後半の仕事にはとても満足しています。今シーズンのレースを可能にしてくれたドルナをはじめとする、スポンサー、テレビなどで観戦しているファン、そして世界中のひとたちに感謝しています。サーキットに観客がいた方がもちろんよかったに違いありませんが、それは不可能でした。彼らのためにいいショーができたことを願っています。サーキットに来られなかった世界中の人にとって難しいシーズンでした」
カル・クラッチロー(MotoGP 13位/総合18位)
「まずはこの6年間のチームの仕事に感謝したいです。今年は思ったように行きませんでしたが、最高の瞬間もありました。僕のキャリアのほとんどの時間をこのチームと過ごすことができました。キャリアの最後をこのチームと過ごせてよかったです。今週末は全力を尽くしました。セッションでは何度かトップタイムを出すことができました。レースでは全力を尽くしましたが、残念ながらリアタイヤがこのペースでプッシュし続けられませんでした。でもレースを完走することができたし、僕のフルタイムキャリアを終えることができました。この決断は今年の早い段階に決めました。この決断には満足しています。遠くからレースを観るのを楽しみにしています。来年はまだテストの仕事がありますが、これからはMotoGPのレースを観るのが楽しみです。エキサイティングなレースになるでしょう。若いライダーたちに引き継いでもらい、彼らにがんばってもらいたいです。幸運を祈っています」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 88 | M.オリベイラ | KTM | 41'48.163 |
2 | 43 | J.ミラー | ドゥカティ | +3.193 |
3 | 21 | F.モルビデリ | ヤマハ | +3.298 |
4 | 44 | P.エスパルガロ | KTM | +12.626 |
5 | 30 | 中上貴晶 | ![]() | +13.318 |
6 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | +15.578 |
7 | 6 | ステファン・ブラドル | ![]() | +15.738 |
8 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | +16.034 |
9 | 73 | アレックス・マルケス | ![]() | +18.325 |
10 | 5 | J.ザルコ | ドゥカティ | +18.596 |
11 | 12 | M.ビニャーレス | ヤマハ | +18.685 |
12 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +18.946 |
13 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | +19.159 |
14 | 20 | F.クアルタラロ | ヤマハ | +24.376 |
15 | 42 | A.リンス | スズキ | +27.776 |
16 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +34.266 |
17 | 82 | M.カリオ | KTM | +48.410 |
18 | 53 | T.ラバト | ドゥカティ | +48.411 |
RT | 32 | L.サバドーリ | アプリリア | +3Laps |
RT | 36 | J.ミル | スズキ | +10Laps |
RT | 33 | B.ビンダー | KTM | +23Laps |
RT | 63 | F.バニャイア | ドゥカティ | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 36 | J.ミル | スズキ | 171 |
2 | 21 | F.モルビデリ | ヤマハ | 158 |
3 | 42 | A.リンス | スズキ | 139 |
4 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 135 |
5 | 44 | P.エスパルガロ | KTM | 135 |
6 | 12 | M.ビニャーレス | ヤマハ | 132 |
7 | 43 | J.ミラー | ドゥカティ | 132 |
8 | 20 | F.クアルタラロ | ヤマハ | 127 |
9 | 88 | M.オリベイラ | KTM | 125 |
10 | 30 | 中上貴晶 | ![]() | 116 |
11 | 33 | B.ビンダー | KTM | 87 |
12 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | 78 |
13 | 5 | J.ザルコ | ドゥカティ | 77 |
14 | 73 | アレックス・マルケス | ![]() | 74 |
15 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 66 |
16 | 63 | F.バニャイア | ドゥカティ | 47 |
17 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | 42 |
18 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 32 |
19 | 6 | ステファン・ブラドル | ![]() | 27 |
20 | 27 | I.レクオナ | KTM | 27 |
21 | 38 | B.スミス | アプリリア | 12 |
22 | 53 | T.ラバト | ドゥカティ | 10 |
23 | 51 | M.ピッロ | ドゥカティ | 4 |
24 | 82 | M.カリオ | KTM | 0 |
25 | 32 | L.サバドーリ | アプリリア | 0 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | ドゥカティ | 221 |
2 | ヤマハ | 204 |
3 | スズキ | 202 |
4 | KTM | 200 |
5 | ![]() | 144 |
6 | アプリリア | 51 |
順位 | チーム | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | Team SUZUKI ECSTAR | 310 |
2 | Petronas Yamaha SRT | 248 |
3 | Red Bull KTM Factory Racing | 222 |
4 | Ducati Team | 213 |
5 | Pramac Racing | 183 |
6 | Monster Energy Yamaha MotoGP | 178 |
7 | Red Bull KTM Tech 3 | 152 |
8 | LCR Honda | 148 |
9 | Repsol Honda Team | 101 |
10 | Esponsorama Racing | 87 |
11 | Aprilia Racing Team Gresini | 54 |