Testingカタール公式テスト
MotoGP
2019年2月23日(土)-25日(月)
ロサイル・インターナショナル・サーキット
2月上旬のマレーシア・セパンでのテスト(2月6日~8日)に続き、開幕戦カタールGPに向けて最後の調整の場となるカタールテストが、2月23日から25日までの3日間、カタールGPの舞台となるロサイル・インターナショナル・サーキット(5.380km)で行われました。
カタールGPは、2004年に第1回大会が行われました。08年にはグランプリ史上初のナイトレースが開催され、世界の注目を集めました。以後、ナイトレースは定着しましたが、日没時間の午後6時にスタートするタイムスケジュールでは、終了時間が深夜になるため、11年からは通常の3日間開催を4日間に分散する変則スケジュールとなりました。昨年からは、一日のスタート時間を早めるなど見直しを行い、再び、3日間開催へと変更になりました。
そのため公式テストのスケジュールも、昨年は午後1時から午後9時までの8時間で行われましたが、デイタイムと夜間セッションでは、あまりにもコンディションが違うため、今年は午後4時から10時までの6時間へと変更になりました。
昨年は、マレーシア、タイ、カタールと3回の公式テストが行われましたが、今年はマレーシアとカタールの2回だけとなり、一日の重要性がより増すことになりました。その最後の調整の場となったカタールテストで、Honda勢のトップタイムは、4年連続6回目のタイトルを狙うマルク・マルケス(Repsol Honda Team)でした。最終日にマークした1分54秒613のベストタイムで総合4位。周回数も、3日間で144周とHonda勢で最多周回をこなしました。
マルケスは昨年12月に脱臼癖のついた左肩の手術を行いました。そのため、2月上旬のセパンテストでは、左肩に負担を掛けないよう周回数を調整しながらメニューを消化しました。セパンから2週間が経ったカタールテストも、左肩の回復を最優先に無理をしないメニューとしましたが、それでも左肩の回復に合わせ確実にペースを上げると、最終日に1分54秒台のベストラップと1分55秒台で連続周回を刻み、開幕戦に向けて順調に回復していることを感じさせました。
昨年、マルケスは、左肩に不安を抱えながらシーズン9勝というすばらしい走りでライダーズタイトルを獲得しました。今年は左肩の不安を解消して19戦という長丁場に挑みます。マレーシア、カタールと完全なアタックをしなかったマルケスですが、それでも十分な速さを見せているだけに、4年連続6回目のタイトル獲得に向けて、これからのペースアップに注目されます。
Repsol Honda Teamに新たに加わったホルヘ・ロレンソは、今年の1月、トレーニング中に左手を負傷し、2月のセパンテストをキャンセルしました。今回のカタールテストが開幕に向けて最初で最後の調整の場となりましたが、着実にペースを上げることに成功しました。
マルケス同様、ロレンソも完全な状態ではないため、左手の回復状態を見据えてのテストとなりました。そのため初日は1分57秒台からのスタートとなりましたが、2日目に1分55秒台、3日目に1分54秒台へとタイムを上げて、総合6位でテストを終えました。最高峰クラスで過去3度のタイトルを獲得しているロレンソ。短い時間でチャンピオンマシンRC213Vのパフォーマンスを着実に引き出しています。開幕戦カタールGPからどんな走りを見せるのか。世界中のレースファンが注目しています。
中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、3日間で142周を消化、総合9位でテストを終了しました。最高峰クラスでのシーズン2年目を迎える中上は、2月上旬のセパンテストに続きカタールテストでもトップ10をキープし、存在感をアピールしました。セパンテストでは、リアのトラクション不足の課題に取り組み、カタールテストではフロントの安定性の改善に集中しました。マレーシア、カタールともに確実にセットアップを進めたことで開幕戦の準備を整えました。
チームメートのカル・クラッチローは、昨年のマレーシアGPで右足を負傷しました。まだ完ぺきな状態ではありませんが、2月上旬のセパンテストでは総合6位につけて回復をアピールしました。今回のカタールテストでは、最終日に転倒したことも影響し、総合17位という不本意なポジションでテストを終了しました。しかし、多くのメニューを消化してセットアップは進みました。また、最終日にソフトタイヤでアタックしなかったための順位ということで、不安はありません。これまでもRepsol Honda Teamのワークスライダーと遜色ない走りを見せ、Hondaで3勝を挙げているクラッチローだけに、本番の走りが注目されます。
マルク・マルケス(総合4位、1分54秒613)
1日目(10位、1分56秒167)
「マレーシアテストに比べると、体調はかなりよくなっています。左腕のパワーもほぼ戻ってきているように感じています。そのため、マレーシアに比べたら、かなり自分の走りに近づいてきました。今日は夜間の走行時間になり、やっと路面コンディションがよくなりましたが、多くの課題を残しました。今回のテストは、本番に向けてデータを獲得できる時間帯での走行時間が少ないので、今日得られたデータをしっかり分析したいです」
2日目(5位、1分55秒004)
「今日は最初から路面コンディションがよく、たくさん周回することができました。左肩にまだ痛みはありますが、支障がない程度でした。マシンのセットアップも大きく前進しました。自分の体調、そしてマシンのコンディションにも満足しています。カタールは、いつもあまり相性がよくないサーキットですが、着実にトップに近づいています。残り1日を有意義に使いたいです」
3日目(3位、1分54秒613)
「3日間を終えて、シーズン開幕に向けて準備が整った気がします。昨日のように今日もたくさん周回し、セットアップも前進しました。まだ100%ではありませんが、いい感触があります。カタールはいつも苦戦するサーキットですが、今回のテストではほかのみんなと同じようなタイムを出せています。強い風と気温の変化の影響で少し難しいコンディションでしたが、すべてのメニューを消化できました」
ホルヘ・ロレンソ(総合6位、1分54秒653)
1日目(21位、1分57秒090)
「手首の調子はそれほど悪くありません。ブレーキングで苦戦していますが、徐々にマシンの状態を理解しています。9時を過ぎると気温がかなり下がり、思いきりバイクを寝かせられず、走りに影響がでました。本番に向けて、毎日、3時間くらいしかデータを得られる時間がありません。そのため、あまり多くのことを試さず、ライディングに集中しました。まだ初日なので明日はもっとトップに近づけると思います」
2日目(18位、1分55秒742)
「今日は昨日より順調でした。すべてのサーキットで、フィーリングをよくするためのベースのセットアップに取り組み、昨日より1秒以上タイムが上がりました。(18位という)ポジションはよくありませんが、タイム的にトップにかなり近づきました。これがもっとも大事なことです。明日もまた一歩前進したいと思います。特にコーナーの進入については、まだやることがあります」
3日目(5位、1分54秒653)
「今日はセッティングを変えずにテストをスタートしましたが、セットアップに取り組んでからは、一気にスピードを改善することができました。とても走りやすくなりました。攻める走りができるようになり大きく前進しました。とても満足しています。ポテンシャルがあることを確信しました。左手はまだ完全に回復していません。Hondaライダーになってまだ3日目です。左手が回復していけば、もっといい走りができると思います」
中上貴晶(総合9位、1分54秒789)
1日目(8位、1分55秒943)
「初日としては、かなりいいスタートを切ることができました。気温・路面温度がとても低くなった夜の9時30分過ぎに2コーナーで軽い転倒はありましたが、ケガもなく、マシンも無事でした。全体的にペースはそれほど悪くありません。今日はあまりトップタイムについては気にしていませんでした。2018年型RC213Vのベースのセットアップを見つけるために取り組み、それも順調でした。テストは、まだ2日あるので引き続き落ち着いて取り組みます」
2日目(7位、1分55秒175)
「昨日に続き、今日もまたポジティブなテストを行うことができました。一歩一歩マシンは着実に改善されています。僕のライディングも、初日より、さらによくなったと思います。今日のベストラップには満足しています。気持ちよく乗ることができました。しかし、開幕戦に向けて連続周回のアベレージを上げていかなければなりません。昨日今日と、ベストタイムは接戦になっています。今日は、連続周回でも多くのライダーが1分55秒台で走っています。まだ、1分55秒台で連続ラップするだけの安定性がないので、その部分に集中して取り組みたいです。課題はフロントの安定性です。その部分を改善できれば、さらに安定したラップで周回できると思います」
3日目(8位、1分54秒789)
「今日はセッション中盤にハイスピードで転倒しましたが、幸いケガはありませんでした。転倒したときに身体に多少ダメージがあり、痛みも少しありましたが、大丈夫でした。数日経てば、元気になると思います。転倒したあとは、フィーリングを取り戻すのがちょっと時間はかかりましたが、ラップタイムを更新できました。最終的にこういうかたちでテストを終えられてとてもうれしいです。これでウインターテストはすべて終わりました。シーズンのスタートに向けて準備は整ったと思います。モチベーションも、とても上がっています。LCR Honda IDEMITSUは、ウインターテストを通じて、すばらしい仕事をしてくれました。彼らの努力に感謝したいと思います。来週はいよいよ本番です。開幕戦がとても楽しみです」
カル・クラッチロー(総合17位、1分55秒247)
1日目(18位、1分56秒921)
「難しいスタートになりました。セパンとは違って、このサーキットでは、2019年型RC213Vのいい感触をつかめませんでした。あと2日あるので、その間に前進できることを願っています。そうすれば2週間後のレースウイークが楽しみになると思います。残り2日間は、HRCのプログラムに加えて、自分たちでマシンの調整やセットアップを行います」
2日目(9位、1分55秒247)
「今日は予定していたメニューをすべてこなしました。明日はたくさんのメニューがあります。LCR Honda CASTROLはいつものように本当に一生懸命がんばってくれました。僕たちが速いことを確かめるためには、まだまだやらなければいけないことがたくさんあります」
3日目(17位、1分55秒690)
「今日はマシンの感触が少しよくなりましたが、セッション中盤に転倒してしまい、現実的に使えるマシンが1台しかありませんでした。そのマシンを修復するために時間がかかってしまい、そのあとの調整にも時間がかかってしまいました。しかし、全体的にマシンのセッティングは改善されたと思います。今日の17位というポジションには満足していません。ラップタイムも気にしていません。全体的には、このポジションよりもいいペースがあると思います。というのも、今夜はミディアムタイヤで走行していたからです。本番でどんな走りができるのか楽しみにしています」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 12 | M.ビニャーレス | ヤマハ | 1:54.208 |
2 | 20 | F.クアルタラロ | ヤマハ | +0.233 |
3 | 42 | A.リンス | スズキ | +0.385 |
4 | 93 | マルク・マルケス | +0.405 | |
5 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.443 |
6 | 99 | ホルヘ・ロレンソ | +0.445 | |
7 | 21 | F.モルビデリ | ヤマハ | +0.452 |
8 | 44 | P.エスパルガロ | KTM | +0.562 |
9 | 30 | 中上貴晶 | +0.581 | |
10 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +0.610 |
11 | 43 | J.ミラー | ドゥカティ | +0.643 |
12 | 36 | J.ミル | スズキ | +0.789 |
13 | 63 | F.バニャイア | ドゥカティ | +0.866 |
14 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | +0.965 |
15 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | +0.997 |
16 | 53 | T.ラバト | ドゥカティ | +1.021 |
17 | 35 | カル・クラッチロー | +1.039 | |
18 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1.135 |
19 | 5 | J.ザルコ | KTM | +1.508 |
20 | 88 | M.オリベイラ | KTM | +1.565 |
21 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +1.743 |
22 | 38 | B.スミス | アプリリア | +1.864 |
23 | 55 | H.シャーリン | KTM | +2.163 |