現場レポート Repsol Honda Team チーム・マネージャー アルベルト・プーチ 現場レポート
Vol.207 Round 08

Hondaにとって特別な大会となったオランダGPで、できる限りの好結果をつかんだマルケス

ポイントランキング総合2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)に37ポイント差をつけて迎えた第8戦オランダGPは、予選4番手からトップグループに加わったマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が2位でフィニッシュ。今季7回目の表彰台を獲得しました。

今大会は、連日好天に恵まれましたが、気温、路面温度が3日間ともに変化し、タイヤの選択が難しいレースとなりました。優勝争いは、今大会好調な走りをみせたマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)、ポールポジションを獲得したファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)とマルケスの3人の戦いとなり、ビニャーレスが優勝、マルケスが2位、クアルタラロが3位でした。

ドヴィツィオーゾが今大会は4位に終わった結果、マルケスとのポイントランキングの差は44ポイントへ開き、今大会6位で総合3位のダニーロ・ペトルッチ(ドゥカティ)に52ポイント、ノーポイントに終わった総合4位のアレックス・リンス(スズキ)に59ポイントの差をつけることになりました。

シーズンは、中盤戦の最大の山場を迎えています。オランダ、そしてドイツと続く今季初の2連戦。その最初のレースでマルケスは、優勝は逃しましたが、4年連続6回目のタイトル獲得に向けて、また一歩前進しました。

今大会は、カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)が7位でフィニッシュ。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は他者の転倒に巻き込まれ、転倒リタイアとなりました。また、初日のフリー走行で転倒したホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)は、背中を痛めて欠場することになりました。ケガの状況は、胸椎を2カ所を骨折するというもので、連戦となる第9戦ドイツGPも欠場し、夏休み明けの第10戦チェコGPからの復帰を目指します。

今大会は、前戦カタルニアGPに続き好天に恵まれ、10万5000人の大観衆が集まりました。レースウイークには、Hondaのグランプリ参戦60周年を記念したイベントが行われ、日本人としては初めてグランプリを制した高橋国光氏、Hondaの500ccで初チャンピオンに輝いたフレディ・スペンサー氏、Hondaのマシンで最高峰クラス5連覇を達成したミック・ドゥーハン氏がセレモニーに出席。日曜日には、高橋国光氏がHondaが初めてグランプリを制したRC142とドゥーハン氏がチャンピオンを獲得したNSR500でデモランを行い、大きな拍手が送られました。

Hondaにとって、今年はグランプリ参戦60周年という記念すべきシーズン。今大会を終えてマルケスはチャンピオンシップで一歩前進、コンストラクターズタイトルでもHondaが総合2位のドゥカティに22ポイント差のリードを築きました。

Hondaにとっては重要なレースとなった第8戦オランダGP。アルベルト・プーチ監督が大会を振り返ります。

―第8戦オランダGPの戦略はどういうものでしたか?

「難しいレースとなりました。そのため今大会の戦略は、完全な自信はありませんでした。なぜなら選んだタイヤが、うまくいくかどうか、はっきりと分からなかったからです。しかし、マルケスはベストな選択だと感じていたようで、結局、彼のタイヤ選択は正しかったことになります。勝てるペースがなかったのは事実ですが、彼が選んだリアのソフトタイヤは表彰台に上がるペースをキープすることができました。最終的に、満足できる結果となりました。目標は常に優勝ですが、今大会のような難しい状況では、表彰台に立つことがとても重要になります。アッセンのように、マシンのと相性が完ぺきではないコースはいくつかあります。そのようなときは、とにかく走り切って、できる限りいい結果を残すことが大事になります」

―今大会のポジティブポイントとネガティブポイントがあれば、それを教えてください。

「ネガティブなことはロレンソの転倒とそれにかかわるすべての問題です。とても気の毒に思っています。早く回復することを願っています。私たちは彼を待っています。ポジティブなことは、ライダーズとコンストラクターズチャンピオンシップのポイントをしっかり稼ぐことができたことです。両方とも大きくリードしています」

―ピットウォールから見ていた感想はどういうものでしたか?

「今大会、ヤマハが強いことは分かっていました。しかし私たちはいつも自分たちのライダーの走りに信頼を寄せています。簡単でないことは分かっていました。マルクのタイヤがソフトだったので、終盤でマルクが耐えなければならないことも分かっていました。彼は賢く、それを十分に理解していました。ホルヘに起きたことは本当に残念なことです。でもチャンピオンシップの状況に関しては満足しています。ドイツではもっといろんなことにトライしたいです」

―今大会のインサイドストーリーがあれば、教えてください。

「Hondaにとって今大会は特別な週末でした。高橋国光、フレディ・スペンサー、ミック・ドゥーハンといったレジェンドが出席し、そしてマルケスとともにRC142やNSR500、そしてRC213Vが披露されました。高橋さんがRC142に乗ってコースを走る姿は本当に感動的でした。すばらしい物語のスタート地点を思い出させます。Moto3のチームが同じカラーでマシンを走らせたのは、Hondaにとってうれしいことでした。ファンも楽しんだと思います。アッセンで60周年を祝うことができて、とても誇りに思っています」


オランダGPを終えて、今週は休む暇もなく、第9戦ドイツGPがザクセンリンクで開催されます。今季初の2連戦。これが終わると一カ月の夏休みに入ります。シーズン前半戦を締めくくるレースとなるドイツGPに向けて、Hondaは、これまでと同様、全力で挑みます。

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