最終戦となる第18戦バレンシアGPのフリー走行は、2年ぶり3回目のタイトルを獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、FP1、FP2ともに順調にセットアップを進め、2番手で初日を終えました。
マルク・マルケス
マルク・マルケス
1回目のセッションでは、ホルヘ・ロレンソ、バレンティーノ・ロッシのヤマハ勢に続いて3番手タイム。気温も路面温度も上がった午後のセッションでは、決勝を想定してハードタイヤで連続ラップをこなし、ベストタイムではロレンソに続いて2番手でしたが、ライバルを圧倒するハイペースで連続して周回をこなし、2年ぶりの大会制覇と今季6勝目に大きく期待が膨らみました。
この日は、タイヤテストに集中しました。気温も路面温度も低かった午前のセッションはソフトで周回しましたが、気温も路面温度も上がった午後のセッションでは、ハードタイヤでセットアップを進めました。
第15戦日本GPでシーズン5勝目を挙げてタイトルを獲得したマルケスですが、第16戦オーストラリアGPと第17戦マレーシアGPでは、表彰台を逃しています。それだけに、最終戦バレンシアGPでは、シーズン6勝目を挙げて、チャンピオンに輝いたシーズンを締めくくる意気込みです。
ダニ・ペドロサ
ダニ・ペドロサ
3戦ぶりの参戦となるチームメートのダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、午前中のセッションは、右鎖骨の状態を確認しなら着実にペースを上げて12番手。午後のセッションも慎重にペースを上げて10番手で初日を終えました。ペドロサは日本GPのフリー走行で転倒し、手術を受けてから1カ月が経過しました。体調は万全ではありませんが、土曜日の予選、日曜日の決勝と、状態を確認しながら、着実にペースを上げていく意気込みです。
カル・クラッチロー
カル・クラッチロー
バレンシアGPでの初表彰台と今季3勝目に闘志を燃やすカル・クラッチロー(LCR Honda)は、初日11番手と、思うようにタイムを上げることができませんでした。2日目のフリー走行と予選では、初日のデータをしっかり分析し、改善に取り組みます。
ジャック・ミラー
ティト・ラバト
ジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は14番手、ティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は21番手。バレンシアGPは、タイムが接近する大会となるだけに、土曜日の予選ではさらに上位を目指します。
Moto2クラスは、初日から激しい戦いとなりました。トップタイムをマークしたのは、シーズン終盤に入って調子を上げているフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)で、念願の初優勝に向けて好スタートを切りました。2番手は総合2位のトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)で、午後のセッションではタイムを更新できませんでしたが、今季5勝目に向けていいスタートを切りました。
フランコ・モルビデリ
トーマス・ルティ
午前中のセッションにおいて、エンジンの水漏れで転倒を喫し、11番手と出遅れた中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が、3番手に浮上しました。土曜日の予選では、シーズン終盤戦に入って何度もバトルを繰り広げてきたモルビデリ、そしてルティとのポールポジション争いが期待されます。
中上貴晶
中上貴晶
以下、シモーネ・コルシ(Speed Up Racing)が4番手、ジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)が5番手、前戦マレーシアGPで2年連続チャンピオンに輝いたヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が6番手と続きました。
シモーネ・コルシ
ジョナス・フォルガー
初日はトップタイムをマークしたモルビデリから、1秒差以内に19台という大接戦。総合3位のアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)は、16番手と出遅れましたが、2日目のフリー走行と予選でポジションを上げようと意気込んでいます。
Moto3クラスは、トップから1秒差に26台という、今季最も激しい戦いとなりました。トップタイムをマークしたのは、第16戦オーストラリアGPでケガをして、前戦マレーシアGPを欠場したエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)で、完全復活をアピールしました。バスティアニーニは、午前中のセッションで転倒を喫しましたが、午後のセッションでは一気にタイムを上げることに成功しました。
ホルヘ・ナバロ
ヤコブ・コーンフェール
以下、大接戦の中でHonda勢は、ホームグランプリで今季3勝目を狙うホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が6番手、ヤコブ・コーンフェール(Drive M7 SIC Racing Team)が9番手、ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が11番手。リビオ・ロイ(RW Racing GP BV)が21番手、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙うファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Gresini Racing Moto3)が22番手、アーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)が23番手と続きます。前戦マレーシアGPの予選で転倒し、決勝をキャンセルした尾野弘樹(Honda Team Asia)は25番手で、トップから1秒差で初日を終えました。
土曜日の予選は、今季最も激しいアタック合戦になることが予想されます。
フランコ・モルビデリ(Moto2 1番手)
「とてもいい一日でした。特に午後のセッションは、ベストラップも連続周回のラップタイムもよかったです。引き続き、このペースをキープしなければいけません。今日のセットアップには、とても満足しています。チームがすばらしいパッケージを用意してくれたことに感謝しています。今日は大きなリスクを冒すことなく、とてもいいペースを刻むことができました。ピットボックスのムードも、とてもよかったです。今日は完ぺきなスタートを切ることができました。予選、決勝といい結果を残したいです」
トーマス・ルティ(Moto2 2番手)
「バレンシアはいつもエキサイティングなレースになります。今日はいいスタートが切れましたが、午後は気温も路面温度も上がり、思うようにグリップを引き出せませんでした。でも、初日にいいスタートを切るのはとても重要なことで、そういう意味では、まずまずのスタートが切れたと思います。今大会は、初優勝に気合を入れるモルビデリに、(ヨハン)ザルコ、(アレックス)リンスと強い選手がいっぱいいるので、明日も引き続き、セットアップに集中しなければいけません。バレンシアは好きなサーキットです。今年も優勝を目指してがんばります」
中上貴晶(Moto2 3番手)
「FP1では、エンジンから冷却水が漏れてしまい、その冷却水の上にタイヤが乗って、転んでしまいました。何度か滑って、どうしてだろうと思ったのですが、最終コーナーでマシンを寝かせたときに、アンダーカウルにたまった水が一気にこぼれてハイサイド状態になり、マシンから投げ出されました。大きな転倒でしたが、ケガがなくラッキーでした。その後れはFP2でばん回できたので、よかったです。昨年のベストタイムを更新することができましたし、フィーリングもよかったです。今日はコンディションがよく、全体的にタイムが上がりました。明日はフロントロー、ポールポジションを狙っていきたいです」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 1番手)
「体調はよかったです。思っていた以上に調子よく走れたし、フィーリングも悪くありませんでした。午前中は、走る感覚を取り戻すのにちょっと時間を要しましたが、タイムはそれほど悪くありませんでした。セッション終盤に軽い転倒を喫し、この転倒でやや落ち込みましたが、午後のセッションに向けて、チームが盛り上げてくれました。午後はゼロからのスタートになりましたが、気持ちよく走ることができました。特にフロントのフィーリングがよくて、ソフトタイヤでベストタイムを刻み、ハードタイヤでロングランを試しました。明日も引き続き、セットアップを進めたいです」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 6番手)
「午前中のセッションは、路面温度が11℃と低く、3コーナーでハイサイドになり転倒してしまいました。その転倒で右手を強く打ち、クリニカモービルでレントゲン検査を受けましたが、骨折などのケガはありませんでした。午後のセッションでは、セットアップの方向性にやや迷いましたが、気温も路面温度も上がり、セットアップはかなり順調に進みました。転倒した右手も、思ったよりも順調に回復して、連続周回でも安定したラップを刻めました。明日はさらにセットアップを進めたいです」
尾野弘樹(Moto3 25番手)
「順位は25番手とよくありませんが、フィーリングは悪くありませんでした。ほかの選手とのタイムが接近しているので、明日はしっかりタイムを更新してポジションを上げたいです。今日は一人で走ることが多く、目標になるライダーもいなかったので、思ったほどタイムを上げられませんでした。明日は今日の反省を生かし、位置取りをしっかりと考えて、いいタイムを出したいです。1秒差に26台という大接戦なので、大きくポジションを上げるチャンスはあります」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1'30.463 |
2 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | +0.247 |
3 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | +0.312 |
4 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | +0.537 |
5 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | +0.603 |
6 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | +0.723 |
7 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | +0.726 |
8 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.794 |
9 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +0.832 |
10 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | +0.895 |
11 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | +0.999 |
12 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | +1.270 |
13 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.279 |
14 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | +1.291 |
15 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | +1.313 |
16 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | +1.551 |
17 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.743 |
18 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | +1.755 |
19 | 38 | B.スミス | ヤマハ | +1.817 |
20 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | +2.013 |
21 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | +2.174 |
22 | 36 | M.カリオ | KTM | +3.111 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | 1'35.443 |
2 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.070 |
3 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.125 |
4 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.193 |
5 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.231 |
6 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.311 |
7 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +0.367 |
8 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.380 |
9 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.434 |
10 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +0.518 |
11 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +0.525 |
12 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.599 |
13 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.638 |
14 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.714 |
15 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +0.731 |
16 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.798 |
17 | 87 | レミー・ガードナー | KALEX | +0.877 |
18 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.888 |
19 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +0.990 |
20 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +1.004 |
21 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +1.015 |
22 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +1.024 |
23 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.126 |
24 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +1.207 |
25 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +1.358 |
26 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +1.385 |
27 | 27 | イケル・レクオナ | KALEX | +1.521 |
28 | 42 | フェデリコ・フリーニ | KALEX | +1.806 |
29 | 16 | ヒューゴ・クリア | TRANSFIORMERS | +3.785 |
RT | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | 1'39.556 |
2 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +0.099 |
3 | 36 | J.ミル | KTM | +0.178 |
4 | 41 | B.ビンダー | KTM | +0.192 |
5 | 65 | P.エッテル | KTM | +0.237 |
6 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.318 |
7 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +0.320 |
8 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +0.325 |
9 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.393 |
10 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +0.427 |
11 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.448 |
12 | 63 | V.ぺレス | プジョー | +0.454 |
13 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +0.519 |
14 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +0.606 |
15 | 48 | L.ダラ・ポルタ | KTM | +0.618 |
16 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +0.620 |
17 | 16 | A.ミニョ | KTM | +0.670 |
18 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +0.683 |
19 | 31 | R.フェルナンデス | KTM | +0.704 |
20 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.736 |
21 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +0.760 |
22 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +0.770 |
23 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.771 |
24 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +0.803 |
25 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +0.912 |
26 | 12 | A.アレナス | プジョー | +0.919 |
27 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +1.031 |
28 | 98 | K.ハニカ | KTM | +1.079 |
29 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +1.116 |
30 | 42 | M.ラミレス | マヒンドラ | +1.272 |
31 | 26 | D.サエズ | KTM | +1.787 |
32 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +1.799 |
33 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +2.628 |
34 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +3.018 |
35 | 99 | E.ボーラム | マヒンドラ | +3.503 |
マルク・マルケス(MotoGP 2番手)
「いい一日になりました。レースウイークでいいスタートを切ることはとても重要で、そういう意味ではポジティブな一日でした。今日はタイヤテストに集中しました。午前中は前後輪ともにソフトタイヤで周回しました。午後は前後輪ともにハードタイヤで周回を重ね、いいステップを刻むことができました。今日の仕事にはとても満足しています。しかし、(ホルヘ)ロレンソ、(バレンティーノ)ロッシのヤマハ勢も高いレベルにいるので、明日も引き続きセットアップを進めなくてはいけません。今日のペースにとても満足しています。明日は、もう少し改善することができると思います」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 10番手)
「今日はポジティブな一日でした。しかし、まだ力が不足しているし、痛みもあって、難しい一日でした。予想していたことですが、腕の力を補うために右脚に負担がかかっています。幸い、バレンシアは左周りのコースなので助かっています。そういう状態だったので、今日はそれほどマシンのセットアップを進めることはできませんでした。とにかく、マシンに乗ることに集中しました。今日はケガをしてから初めてのライディングだったので、とても疲れました。明日に向けてしっかり休養を取り、身体の状態を見ながら着実に前進したいです」
カル・クラッチロー(MotoGP 11番手)
「難しい一日でした。今日は何点か試していたのですが、それで時間をロスしてしまいました。思うように走れず快適ではなかったので、明日はいい状態に仕上げたいです。今晩、データをしっかしり確認して、前進しなければいけません。明日は、今日よりも速いペースで走れることは間違いありません。セッション終盤には、いくつかのエリアでペースを上げられました。加えて、ほかの部分も改善できると思います」
ジャック・ミラー(MotoGP 14番手)
「FP1のパフォーマンスには、かなり満足しています。新品のリアタイヤで、いいラップタイムを刻むことができました。何人かがセッション終盤に新品タイヤを使いましたが、午後はみんなが新品タイヤで走り、ペースが上がりました。午前中に比べてラップタイムがよくなり、一歩前進しました。2回目のセッションではほとんどハードタイヤで走り、レースに向けたセットアップに取り組みました。感触は悪くないですし、目標まではそう遠くありません。明日も前進できると思います」
ティト・ラバト(MotoGP 21番手)
「午前中のFP1にはとても満足しています。とてもいいスタートを切ることができましたし、マシンのフィーリングもよかったです。しかし、午後は気温が上がり、誤った方向へ進んでしまいました。フロントのハードタイヤのセッティングに取り組みましたが、快適に走ることはできませんでした。ベストを尽くしましたが、午前中のように、限界までプッシュできるような感触は得られませんでした」