日本GPからの連戦となる第16戦オーストラリアGPのフリー走行は、断続的に強い雨が降る厳しいコンディションの中で行われ、カル・クラッチロー(LCR Honda MotoGP)がトップタイムをマークしました。3番手にホームGPを迎えて気合満点のジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、4番手にマルク・マルケス(Repsol Honda Team)、9番手に負傷欠場のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)の代役として出場のニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)と続き、Honda勢が好調なスタートを切りました。
カル・クラッチロー
マルク・マルケス(#93)、ニッキー・ヘイデン(#69)
午前中は、時間を追うごとに雨脚が強くなり、午後のセッションはさらに天候が悪化。40分遅れで開始されました。しかし、雨は一時的に小降りになっただけで、再び雨脚が強まったことから赤旗中断となり、そのままセッションはキャンセルとなりました。
この日は、終日の雨と低い気温、加えて風の強い一日となり、選手たちにとっては厳しい走行を強いられました。その中でコースインから着実にタイムを短縮したクラッチローが、キャリア初の初日総合首位に浮上しました。今年は雨の第11戦チェコGPで優勝しています。この日もウエットコンディションですばらしい走りを披露しました。
カル・クラッチロー
3番手には地元ファンの声援を受けるミラーで、まずは、ファンの期待に応える走りを披露することになりました。午後のセッションはキャンセルとなりましたが、2日目のフリー走行、予選では、初日の勢いをキープする意気込み。地元ファンの注目が集まっています。
ジャック・ミラー
4番手には2016年シーズンのチャンピオンに輝いたマルケスで、レインタイヤのフィーリングの確認をしながら慎重に走行しました。午前中のセッションは、時間を追うごとに雨量が多くなったことで早めに走行を切り上げて4番手でしたが、2日目の予選では3年連続ポールポジションを狙います。
マルク・マルケス
ニッキー・ヘイデン
ペドロサの代役として8年ぶりにRepsol Honda Teamから出場したニッキー・ヘイデンは、ポジションの調整などを行いながら周回を重ねて9番手につけました。ペドロサのマシンを自分の好みにしつつ、ミシュランのレインタイヤに慣れる一日となりました。
ティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は15番手でしたが、難しいコンディションの中で連続ラップを刻み、レインタイヤのフィーリングをつかむことに成功しました。
ティト・ラバト
難しくフラストレーションのたまる初日のフリー走行ですが、順調にラップを刻んだHonda勢の2日目のフリー走行と予選の走りに期待されます。
Moto2クラスは、3クラスの中で最も厳しいコンディションの中で行われ、そのため、1回目の走行では多くの周回を刻めず、2回目の走行はキャンセルとなりました。
その中でトップタイムをマークしたのはジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)で、走り出しから好調で、セットアップも進みました。周回数はそれほど多くはありませんが、2日目のフリー走行と予選に向けて手応えある走行となりました。
ジョナス・フォルガー
ジョナス・フォルガー
2番手にはダニー・ケント(Leopard Racing)で、Moto2クラスにスイッチしてからのベストリザルトとなりました。昨年のMoto3チャンピオンで、Moto2ルーキーのケントは、シーズン中盤戦に入って、いい走りを見せていました。それをやっとリザルトにつなげることに成功しました。
ダニー・ケント
3番手には総合首位のヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)で、ウエットコンディションの中で快調にラップを刻みました。以下、ロレンソ・バルダッサーリ(Foward Team)、総合2位のアレックス・リンス(paginas Amarillas HP 40)、総合6位の中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)と続き、中上は6番手で初日を終了しました。
ヨハン・ザルコ
中上貴晶
走り出しから快調にラップを刻めたという中上は、ピットで待機する時間が長くフラストレーションをためる一日となりましたが、2日目のフリー走行、予選では、トップタイムに挑みます。
Moto3クラスは、午前、午後のセッションともに走行しましたが、午後のセッションはコンディションが悪く、すべての選手がタイムを更新できず、1回目の走行で初日の総合順位が決まりました。
今大会からの3戦で、コンストラクターズポイントで逆転を目指すHonda勢は、ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が2番手、アーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)が3番手、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Gresini Racing Moto3)が8番手、リビオ・ロイ(RW Racing GP BV)が10番手でした。
ニッコロ・アントネッリ
アーロン・カネット
総合2位のエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)は16番手、ウエットコンディションを得意とするカイルール・イダム・パウィ(HONDA TEAM ASIA)は初サーキットながら19番手、総合3位のホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が20番手、尾野弘樹(HONDA TEAM ASIA)は初コースで25番手でしたが、コンディションが悪化した午後の走行では9番手と徐々にコースを攻略しているだけに、2日目のポジションアップが期待されます。
カイルール・イダム・パウィ
尾野弘樹
ジョナス・フォルガー(Moto2 1番手)
「FP1でトップタイムを出すことができたのはうれしいです。そして、豪雨になり危険だったのでFP2がキャンセルとなりましたが、とても正しい決断だったと思います。感触はよかったです。ゆっくりスタートして、いいリズムと感触をつかみました。セッティングを少し変えたら速いラップタイムを刻むことができました。まだ最初のプラクティスなのであまり話すことはありませんが、明日は天気がよくなり、雨が少ない状況か、ドライコンディションで走れることを願っています」
ダニー・ケント(Moto2 2番手)
「今日は寒く、そしてウエットコンディションになりました。雨の中でとてもいい感触があったので文句は言いません。FP1では2番手タイムでセッションを終えられました。トップとの差はわずか0.1秒です。明日は今日と同じような天気になりそうですが、雨ではいい感触があるので、僕にとってはポジティブなことです」
ヨハン・ザルコ(Moto2 3番手)
「今日はかなり雨が降りましたが、最初からいいペースを見つけることができました。周回するごとによくなり、ファステストタイムに近づいていきました。快適に走っていましたが、次第に雨が強くなり、リスクが大きくなりました。FP2では天気が一段と悪くなり、レースディレクションがキャンセルを決めました。正しい決断だったと思います。明日は天気次第で2つのプランがあります。もし雨が降ったら注意深くならなければなりません。一歩一歩焦らず進みます。ドライになったら、セットアップの時間が少ししかないので素早く感触をつかむことが重要になってきます。明日の様子を見たいです」
中上貴晶(Moto2 6番手)
「12周しかできませんでした。周回数が圧倒的に少なかったのですが、ぽんと乗ってタイムがすぐに出ましたし、1周目からいいフィーリングでした。今までに比べて、ウエットコンディションの不安がなくなりました。待機の時間が長い一日でしたが、よかったと思います。フィリップアイランドは、天気が悪くなると寒くなるのは分かっていますが、今日は本当に最悪のコンディションでした。午後の走行のキャンセルは、正しい判断だったと思います。とにかく、天気が回復することを願っています」
ニッコロ・アントネッリ(Moto3 2番手)
「今日は雨量が多く、とても難しいコンディションでしたが、いい走りができました。明日もウエットならいい走りができると思います。もし、ドライコンディションになったら、セットアップに集中したいです」
アーロン・カネット(Moto3 3番手)
「難しいコンディションになり、しっかり走ることができませんでした。しかし、初日を3番手で終えられてとてもうれしいです。フィリップアイランドは初めてなので楽しみにしていました。明日の天気がどうなるか分かりませんが、晴れたフィリップアイランドを走りたいです」
ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Moto3 8番手)
「このサーキットは世界で最も美しいサーキットです。今日は雨でしたが、とても楽しく走りました。コースを学ぶには理想的なコンディションではありませんでしたが、とてもポジティブな一日になりました。午前中のセッションはかなりうまくいき、次のセッションはもっとうまくいきました。今日は前進することができ、感触も周回するごとによくなっています。とてもうれしいです。明日の午前中も雨になりそうですが、予選はドライになるかもしれません。どのようなコンディションになっても自信があります。みんなを驚かせられるかもしれません」
尾野弘樹(Moto3 25番手)
「昨年はケガのために走れなかったので、初めて走るサーキットになります。とても楽しみにしていましたが、終日、雨になり、コース攻略というよりは、コースを覚えた1日という感じでした。もし、晴れていたら、気持ち良いサーキットだろうなぁということは分かりました。1回目より2回目の方がコンディションは悪かったのですが、だんだん、フィーリングがよくなっていったので明日が楽しみです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 1'40.957 |
2 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +0.053 |
3 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | +0.500 |
4 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | +0.554 |
5 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | +0.612 |
6 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | +0.856 |
7 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | +1.508 |
8 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.999 |
9 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | +2.055 |
10 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | +2.113 |
11 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | +2.175 |
12 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | +2.357 |
13 | 7 | M.ジョーンズ | ドゥカティ | +2.526 |
14 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | +3.219 |
15 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | +3.221 |
16 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | +3.224 |
17 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | +3.594 |
18 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +3.835 |
19 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +4.694 |
20 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +6.268 |
38 | B.スミス | ヤマハ | +8.051 |
※FP2は雨でキャンセルとなりました
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | 1'47.629 |
2 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.169 |
3 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.500 |
4 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.506 |
5 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.570 |
6 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.686 |
7 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.711 |
8 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +0.765 |
9 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +0.852 |
10 | 87 | レミー・ガードナー | KALEX | +1.580 |
11 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +1.695 |
12 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +1.839 |
13 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +2.075 |
14 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +2.370 |
15 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +2.523 |
16 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +3.124 |
17 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +3.179 |
18 | 27 | イケル・レクオナ | KALEX | +3.250 |
19 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +3.557 |
20 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +3.922 |
21 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +4.038 |
22 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +4.104 |
23 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +4.140 |
24 | 22 | サム・ロース | KALEX | +4.209 |
25 | 93 | ラムダン・ロスリ | KALEX | +4.325 |
26 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +4.373 |
27 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +4.928 |
28 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +5.469 |
20 | アレッサンドロ・ノッコ | KALEX | +14.830 |
※FP2は雨でキャンセルとなりました
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 8 | N.ブレガ | KTM | 1'49.589 |
2 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.456 |
3 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.537 |
4 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +0.936 |
5 | 16 | A.ミニョ | KTM | +1.542 |
6 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +1.593 |
7 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +1.654 |
8 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +1.926 |
9 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +2.152 |
10 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +2.157 |
11 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +2.235 |
12 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +2.259 |
13 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +2.307 |
14 | 48 | L.ダラ・ポルタ | KTM | +2.451 |
15 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +2.543 |
16 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +2.591 |
17 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +2.701 |
18 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +2.715 |
19 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +2.891 |
20 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +3.006 |
21 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +3.116 |
22 | 41 | B.ビンダー | KTM | +3.122 |
23 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +3.371 |
24 | 6 | M.エレーラ | KTM | +3.408 |
25 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +3.482 |
26 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +3.809 |
27 | 36 | J.ミル | KTM | +4.361 |
28 | 65 | P.エッテル | KTM | +4.719 |
29 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +4.740 |
30 | 42 | M.ラミレス | マヒンドラ | +4.902 |
31 | 12 | A.アレナス | プジョー | +5.467 |
32 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +5.664 |
33 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +6.956 |
14 | マット・バートン | FTR Honda | +9.242 |
カル・クラッチロー(MotoGP 1番手)
「今日は残念な一日でした。もちろん天候も残念でしたが、午後のセッションは、ライダーの安全も考えなければならないので仕方ありません。このサーキットは高速で、午前中も視界が非常に悪かったのですが、さらに天候が悪い午後のセッションではリスクを負う理由もありませんでした。僕はつなぎを着ることさえしませんでした。これから明日に向けて集中する必要があります。明日もウエットになりそうなので、今日の午後は走る必要もありませんでした。雨の中をサーキットに来てくれたファンは走行が見られず本当に気の毒です。でも安全を考慮しなければなりません。全員がいい形で週末を過ごさなければなりません。明日の予選と日曜日の決勝が楽しみです」
ジャック・ミラー(MotoGP 3番手)
「今日はコンディションが非常に悪い一日でした。それでも応援に来てくれたファンに、まずは感謝したいです。午前中のセッションは、雨のセットアップを進めるという点では悪くありませんでした。しかし、午後は豪雨になりとても危険でした。セッションをキャンセルしたのは正しい判断だったと思います。このようなコンディションでは走れません。みんなのためにも明日の天気がよくなることを願っています。もしフリーと予選がウエットになったら力強い走りをする自信があります。今日はウエットでいいスピードがありました。もし、明日がドライになっても、ウエットだった今日のことはあまり影響ないと思います」
マルク・マルケス(MotoGP 4番手)
「今日は一年で最も楽しい一日にはなりませんでした。日本グランプリを終え、ドライセッションでマシンで楽しく走らせられることを願っていましたが、そうはいきませんでした。一日中、雨が降っていました。午前中は数周走りましたが、セッション終盤はコース上に雨水がかなりたまってきたので走行をやめることにしました。午後も雨が降って危険な状態でした。そのため赤旗が振られました。こういう状況でリスクを負う必要が全くなかったので走りませんでした。明日は少しでもコンディションがよくなり、コース上の雨水が減ることを願っています。そして日曜日に向けて仕事を続けられることを願っています」
ニッキー・ヘイデン(MotoGP 9番手)
「今日のコンディションは明らかに理想には程遠かったです。でもこのようなことは時々起きます。午前中はマシンの感触はかなりよかったです。結構快適でしたし、雨が強くなり始めたときにちょうどスピードを上げようとがんばっていました。コース上の雨水が多すぎたのでピットに戻りました。残念ながら今日はあまり周回できませんでしたが、マシンの感触はよかったです。午前中の2回目のスティントでは、路面コンディションが悪化していたにも関わらず、ラップタイムを更新できました。かなりポジティブな結果でした。今後どのようなコンディションに仕上がっていくかは様子を見なければなりません。マシンとチームの理解をもっと深めるために、できる限りコースで時間を費やしたいです。引き続きがんばります」
ティト・ラバト(MotoGP 15番手)
「今日は天候が悪く、とても難しかったです。FP1はフルウエットでしたが、満足できるペースと感触がつかめたのでよかったです。午後のようなコンディションでは走行は不可能です。残念ながら明日もウエットになりそうですが、今日よりいいコンディションになり、少なくとも走行ができることを願っています。そして決勝レースに向けてはどうなるか様子をみたいです。天候は変わりやすいので、どのような天候になっても素早く対応できるように準備を整えなければなりません。FP2では数周走りましたが、最悪でした。あちこちでスピンして危険でした。転倒しやすかったので赤旗中断、そしてキャンセルは本当に正しかったと思います」