2日連続で好天に恵まれた第13戦サンマリノGPの予選は、フリー走行で好調だったHonda勢にとって、調子が予選結果には反映されず残念な結果となりました。
フリー走行で総合首位に浮上し、トップタイムでQ2進出を決めたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、予選前のフリー走行(FP4)でも3番手と決勝に向けて順調な仕上がりをみせました。しかし、予選では思うようにタイムが伸びず、2列目スタートの4番手という結果に。フリー走行を終えた時点では、今季6度目のポールポジション(PP)が期待されていました。1度目のアタックでは、2番手につける好タイムをマークし、2度目のアタックに注目が集まりましたが、クリアラップが取れずアタックを断念。1度目のベストタイムで4番手という結果となりました。しかし、決勝に向けて順調にセットアップを進め、ロングランでは快調にラップを刻んでいるため、今季4勝目の期待が膨らみます。
マルク・マルケス
マルク・マルケス
ここ数戦、調子を上げているカル・クラッチロー(LCR Honda)は7番グリッドを獲得。今大会の目標は予選で2列目までに並ぶことでした。その目標は果たせませんでしたが、決勝に向けての仕上がりはよく、追い上げのレースに挑みます。この時期にミサノで開催されるサンマリノGPは、気温も路面温度も高く、タイヤに厳しいレースになります。今大会もタイヤの選択がレース結果に大きく影響することが予想されます。
クラッチローと同様に調子を上げてきているダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は予選8番手。予選前の4回目のフリー走行(FP4)では2番手と好調な走りをみせ、フロントローが期待されましたが、予選では思うようにタイムを伸ばせませんでした。決勝では、3列目から追い上げのレース。今季3度目の表彰台と初優勝が期待されています。
カル・クラッチロー
ダニ・ペドロサ
初日に高い気温と路面温度に苦戦したジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、2日目も大きく改善することができず17番手でした。決勝日も好天が予想されるだけに、この問題の解消に取り組むことになります。チームメートのティト・ラバトもセットアップに集中し、着実にタイムを更新しましたが19番手。ミラーとラバトはポイント獲得を目標に追い上げのレースに挑みます。
Moto2クラスは、ヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が今季4度目のPPを獲得しました。フリー走行では、どのセッションでもトップタイムを争い、決勝に向けてセットアップを進めました。予選では厳しいコンディションの中ですばらしいタイムをマーク。気温も路面温度も上がった昨年の大会でもザルコが優勝しています。今年は総合首位につけるザルコの大会2連覇への期待が寄せられています。
ヨハン・ザルコ
ヨハン・ザルコ
そのザルコとPP争いをした中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が、今季3度目のフロントロー獲得となる2番手につけました。今大会は、初日から好調でフリー走行でトップタイムをマーク。FP1、FP2、FP3ともにトップタイムをマークするのは、グランプリに参戦するようになって初めてのこと。初日に課題となったフロントのフィーリングも改善されて、優勝争いに自信をみせています。
中上貴晶
ロレンソ・バルダッサーリ(Forward Team)も好走をみせ、3番手タイムの今季2度目のフロントローを獲得しました。ホームグランプリとなった第6戦イタリアGPでは、予選3番手で決勝2位。今年2度目のホームとなるサンマリノGPでは、今季2度目の表彰台が期待されます。
ロレンソ・バルダッサーリ
以下、サム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)、フランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、トーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)と続きました。3選手とも表彰台争いの常連だけに、決勝では優勝争いに加わりそうです。
今大会は、PPのザルコから1秒差に17台という大接戦。明日の決勝でも厳しい戦いが予想されます。
Moto3クラスも、厳しい戦いとなりました。PPを獲得したブラッド・ビンダー(KTM)から1秒差に18台という大接戦となり、今季最も厳しい戦いが予想されています。その中でHonda勢は、大会2連覇を目指すエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)が2番手につけました。初日のフリー走行をトップタイムで終えたとき、最大のライバルにビンダー(KTM)の名前を挙げていましたが、2日目の予選では、その通りの結果になりました。決勝では地元ファンの声援に応え、大会2連覇と今季初優勝を目指します。
4番手にはヤコブ・コーンフェール(Drive M7 SIC Racing Team)がつけ、今季初表彰台を狙います。5番手には総合2位につけるホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)で、転倒リタイアに終わった前戦イギリスGPの雪辱に挑みます。
ヤコブ・コーンフェール
ホルヘ・ナバロ
ルーキーのアーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)が6番手、尾野弘樹(Honda Team Asia)が今季ベストの8番手につけて、共に初表彰台を狙います。10番手にはホームグランプリに闘志を燃やすファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Gresini Racing Moto3)で、今季4度目の表彰台と初優勝を目指します。
アーロン・カネット
12戦を終えてコンストラクターズタイトルでHondaは2番手。KTMを20点差で追っていますが、今大会はそのポイント差を縮めるためにも、Honda勢の今季5勝目が期待されます。
ヨハン・ザルコ(Moto2 ポールポジション)
「トップタイムを出していても、なかなかタイムを更新できないときは、だれかにポールポジションを獲られるのではないかと不安になります。でも今日はポールポジションを獲得することができました。レースウイークが始まってから、決勝に向けてロングランに取り組んできました。そして予選では、ベストラップを出すのが目標でした。それを達成することができたので、マシンの感触はいいです。明日は今日のように暑いコンディションになると思います。暑いのは好きで、体調もよくなります。明日の目標は優勝。出来れば、逃げきりたいです」
中上貴晶(Moto2 2番手)
「昨日のフロントが切れ込むという問題はかなり解消しました。アベレージタイムは悪くないし、ペースも安定するようになってきました。今大会は、グランプリに来てから初めてすべてのフリー走行でトップタイムをマークしました。予選もポールポジション争いができたし、全体的にはかなりいい状態だと思います。今日は気温も路面温度も高く、(ヨハン)ザルコがセッション序盤に37秒4を出したのを見て、トップ争いは厳しくなったと思いました。ポールポジションは獲れませんでしたが、37秒5までタイムを上げられたことはよかったと思います。明日の決勝は、ザルコとの戦いになるかも知れません。最後まであきらめず、優勝を狙っていきます」
ロレンソ・バルダッサーリ(Moto2 3番手)
「とてもいい結果が出せたのでうれしいです。それと同時にポールポジションまであとわずかだったので残念でした。ポールポジションを狙って一生懸命がんばりました。もう少しだったのですが、コース終盤で小さなミスをしてしまいました。しかし、フロントローに並ぶことが目標だったのでうれしいです。決勝に向けていいリズムがあります。そしてブレーキングでもいいポイントを見つけることができました。明日は優勝争いができると思います」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 2番手)
「とてもうれしいです。フリー走行では、みんなペースを上げてきたし、特に(ブラッド)ビンダーがとてもいい走りをしていました。予選では、ポールポジションもしくはフロントローを目標に全力で挑みました。最後に2番グリッドを獲得しました。ビンダーのすぐ後ろで自己ベストラップを出すことができました。彼が少しギャップを広げるのが見えたので、そのときにポールポジションを厳しいと思いました。しかし、明日の決勝ではチャンスはあります。今日はコーナーの出口でタイムをロスしていたので、明日のウォームアップでこの問題に取り組み、決勝では優勝争いができるようにがんばります」
ヤコブ・コーンフェール(Moto3 4番手)
「初日から全力でプッシュしてきたので、4番手という結果はうれしいです。今日は厳しい予選になったので、できるだけ前からスタートしたいと思っていました。しかし、フロントローだとプレッシャーが大きいので、2列目に並べてよかったです。マシンの状態はとてもいいです。快適に乗れているし、限界も感じていません。今日はタイヤテストとギアボックスに集中し、FP3ではレースシミュレーションも行いました。調子はいいです。チェッカーフラッグを受けるまで、全力でいきます」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 5番手)
「昨日から今日にかけて、マシンのセットアップは進み、課題だったコーナーの進入のフィーリングも改善することができました。午前中のフリー走行では、ユーズドダイヤでロングランを行い、いいペースで周回することができました。午後の予選は気温も路面温度も高く、それに風もあって苦労しました。そして最後のアタックでフロントから転んでしまいました。シーズン後半戦に入ってから予選ではトップ10に入れないレースが続いていましたが、今回は2列目からのスタートなのでいいレースができると思います」
尾野弘樹(Moto3 8番手)
「最後のアタックは、大集団の中にいました。最終ラップのアタックは、前を走る選手との間にうまくスペースを空けることができて、それを利用してタイムを上げることができました。今大会は初日から順調で、アベレージも悪くありません。予選8番手は、今年になって1番いいグリッドです。明日はいいスタートを切ってシングルフィニッシュを狙いたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1'31.868 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1'32.216 |
3 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | 1'32.381 |
4 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 1'32.443 |
5 | 51 | M.ピロ | ドゥカティ | 1'32.467 |
6 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 1'32.677 |
7 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 1'32.743 |
8 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | 1'32.859 |
9 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | 1'32.918 |
10 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | 1'33.002 |
11 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | 1'33.301 |
12 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1'33.929 |
13 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | 1'33.399 |
14 | 22 | A.ロース | ヤマハ | 1'33.635 |
15 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | 1'33.716 |
16 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | 1'33.772 |
17 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | 1'33.847 |
18 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | 1'33.989 |
19 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | 1'34.302 |
20 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | 1'34.465 |
21 | 12 | J.フォレス | ドゥカティ | 1'35.161 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | 1'37.436 |
2 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.073 |
3 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.114 |
4 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.341 |
5 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.425 |
6 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.480 |
7 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.497 |
8 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.499 |
9 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +0.554 |
10 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.599 |
11 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.608 |
12 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.615 |
13 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.669 |
14 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +0.807 |
15 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.872 |
16 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.903 |
17 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.909 |
18 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.219 |
19 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +1.270 |
20 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +1.372 |
21 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +1.421 |
22 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +1.449 |
23 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +1.476 |
24 | 27 | イケル・レクオナ | KALEX | +1.547 |
25 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.570 |
26 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +1.724 |
27 | 42 | フェデリコ・フリーニ | KALEX | +1.804 |
28 | 87 | レミー・ガードナー | KALEX | +1.821 |
29 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +2.119 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 41 | B.ビンダー | KTM | 1'42.398 |
2 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.150 |
3 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.233 |
4 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.261 |
5 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.312 |
6 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.444 |
7 | 65 | P.エッテル | KTM | +0.557 |
8 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +0.564 |
9 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +0.587 |
10 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +0.635 |
11 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +0.682 |
12 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +0.714 |
13 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +0.722 |
14 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.735 |
15 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +0.824 |
16 | 36 | J.ミル | KTM | +0.893 |
17 | 48 | L.ダラ・ポルタ | KTM | +0.947 |
18 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +0.950 |
19 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +1.092 |
20 | 62 | S.マンツィ | マヒンドラ | +1.286 |
21 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +1.363 |
22 | 16 | A.ミニョ | KTM | +1.370 |
23 | 6 | M.エレーラ | KTM | +1.395 |
24 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +1.583 |
25 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +1.593 |
26 | 12 | A.アレナス | プジョー | +1.622 |
27 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +1.807 |
28 | 42 | M.ラミレス | マヒンドラ | +1.813 |
29 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +1.894 |
30 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +1.916 |
31 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +2.315 |
32 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +2.342 |
33 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +2.503 |
34 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +3.289 |
35 | 71 | A.ファブリ | マヒンドラ | +3.735 |
マルク・マルケス(MotoGP 5番手)
「一日を通して強さを感じました。特にFP3とFP4ではいい走りができたので、うれしいです。FP4ではレースペースでも快適に感じました。予選セッションでは、1本目のタイヤでかなりいい感触がありましたが、2本目では渋滞していたためそれを最大限活用できず、完ぺきな周回ができませんでした。重要なことはホルヘ(ロレンソ)やバレンティーノ(ロッシ)に近い2列目を獲得したことです。そして決勝に向けていいペースがあることです。明日は表彰台争いをしたいです」
カル・クラッチロー(MotoGP 7番手)
「いい仕事をしてくれたLCR Honda Teamに感謝したいです。特にレースペースに関してはがんばってくれました。明日のレースが楽しみです。今回もまたタイヤ選択が少し賭けになりそうです。長く暑いレースになると思います。今日は暑い一日でしたが、フィーリングは悪くはありませんでした。それだけに2列目に並べなくて残念でした。トップグループに加わり、彼らとバトルをするためには2列目が必要だと感じていました。でも明日がどうなるか様子を見なければなりません。今週は先週のイギリスGPより厳しい戦いになると思います。とにかくベストを尽くすだけです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 8番手)
「今日はポジティブな一日でした。レースペースをかなり上げることができました。明日はいいスタートを切って、序盤にポジションを上げることに集中しなければなりません。序盤は混雑しますが、フロントローのホルヘとバレンティーノは自由に走れます。ペースは悪くないので、できるだけ早く追い上げて彼らにアドバンテージをあまり与えないようにしたいです。今日はタイヤテストに集中しました。今の時点ではまだタイヤ選択は決まっていません。明日の天候とコンディションを見て決めます」
ジャック・ミラー(MotoGP 17番手)
「今日は簡単ではなかったし、結局17番グリッドになりました。マシンのセットアップに関しては、すべて試しました。改善できる点を探すために細かいところまで見ました。でも、あまり感触は変わりませんでした。明日はポイントを獲得するためにも、なにか改善策を見つけなければなりません。セッションの最後に自己ファステストを出しましたが、僕とチームのポテンシャルは、もっといいはずなので、明日はそれを引き出せるようにがんばります」
ティト・ラバト(MotoGP 19番手)
「新しいフロントタイヤのいい感触を得るために少し苦戦しました。路面温度が上がると問題が大きくなりました。FP4に向けてマシンのバランスを変えたら、大きな変化を感じ、速いライダーたちとのギャップが縮まりました。残念ながら予選では思ったような走りはできませんでしたが、昨日に比べれば、かなりポジティブでした。明日のレースに向けて自信がつきました」