第11戦チェコGPの予選は、マルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、サーキットベストタイムを更新する1分54秒596の快速ラップを刻み、今季5度目のポールポジション(PP)を獲得しました。
初日のフリー走行でトップタイムをマークしたマルケスは、2日目に実施されたFP3で3番手につけてQ2進出を果たしました。その後に行われたFP4では、1分56秒台を連続で刻み、セットアップが大きく前進。さらにQ2では、ライバルを圧倒するタイムでPPを獲得しました。これで通算63度目の獲得となり、歴代最多PP記録に並びました。決勝では、今季4勝目を狙います。
チームメートのダニ・ペドロサは、2日連続でセットアップに取り組みました。初日はビッグチェンジを行い、セットアップの方向性を模索。2日目は細かくセットアップを進め、9番グリッドを獲得しました。FP3では総合12番手。Q1に出場したペドロサは、このセッションでトップタイムをマークしてQ2に進出し、ポジションを上げることに成功しました。オートモトドラム・ブルノ・サーキットを得意とするペドロサだけに、決勝では、追い上げのレースが期待されます。
カル・クラッチロー(LCR Honda)は、フリー走行では総合10番手につけ、ダイレクトでQ2進出を果たしました。しかし、その後に行われたFP4で転倒を喫し、マシンに大きなダメージを与えてしまいました。この転倒で身体にもダメージがあり、Q2ではリスクを負わない走りで10番グリッドを獲得しました。
初日、2日目と、コース攻略に苦戦するティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は20番手。前日に引き続き、思うようにタイムを伸ばせませんでしたが、決勝では、コース攻略のきっかけをつかむ意気込みです。
Moto2クラスは、前戦オーストリアGPで今季2度目のポール・トゥ・ウインを達成したヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が、今大会も好走をみせ、2戦連続、今季3度目のPPを獲得しました。
初日にトップタイムをマークしたザルコは、FP3ではタイムを更新できずに8番手でしたが、決勝を想定したロングランでは、2分2秒台で連続してラップを刻み、ライバルを一歩リードしました。そして予選では、自身の持つ2分1秒614を更新する2分1秒581のサーキットベストタイムをマーク。ドイツGP、オーストリアGPに続く3連勝と、今季6勝目に向けて大きく前進しました。
2番手は総合3位のサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)で、過去2戦、予選、決勝ともに苦戦していましたが、今大会で調子を取り戻しました。3番手はアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)で、Moto2クラスでのベストグリッドとなりました。
4番手には中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)。コーナーの旋回性に苦戦するも、アベレージタイムでは表彰台争いの一角であり、決勝の走りが注目されます。5番手タイムをマークしたのはトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)ですが、転倒を喫し、決勝を欠場することになりました。
以下、フランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、総合2位のアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)、8番手にダニー・ケント(Leopard Racing)、9番手にジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)、10番手にシモーネ・コルシ(Speed Up Racing)と続きました。
Moto3クラスは、PPから1秒差以内に15台という接戦となり、エネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)が3番手につけて、4戦連続、今季5度目のフロントローを獲得しました。PP争いを繰り広げていたバスティアニーニは、最後のアタックで転倒を喫するなど、惜しくもPPを逃しましたが、アベレージはよく、今季初の優勝に期待が寄せられます。
チームメートのファビオ・ディ・ジャンアントニオが、ベストグリッドとなる5番手につけて、今季3度目の表彰台と初優勝を目指します。
以下、ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が7番手、アーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)が9番手、ヤコブ・コーンフェール(Drive M7 SIC Racing Team)が10番手、総合2位のホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が12番手と、トップから1秒差につけました。
午前のフリー走行で総合5番手に浮上した尾野弘樹(Honda Team Asia)は、午後の予選で転倒を喫し、再スタートするも思うようにタイムを伸ばせず18番手。チームメートのカイルール・イダム・パウィも29番手と、思うようにタイムを伸ばせませんでした。ともに決勝では、追い上げのレースに挑みます。
ヨハン・ザルコ(Moto2 ポールポジション)
「厳しい予選でした。気温が26℃と条件はよく、ソフトタイヤで走ったのですが、スライドが激しかったです。新品のタイヤを入れてもそれは変わりませんでした。その後、赤旗が出て中断になり、再開してからは、サム・ロースを追いかけて走れました。彼の走りを参考にして走りました。グリップがよくてポールポジションを獲得できました。そして、ロングランでのペースもよく、とても満足しています。明日の決勝に向けてモチベーションは高いです。ミスをしないでうまく走りきれれば、優勝できると思います」
サム・ロース(Moto2 2番手)
「セッション終盤にベストタイムをマークできたのですが、ザルコが後ろにいたのでポールポジションはないと思いました。ザルコは決勝に向けてとてもすばらしい周回を重ねていました。そのザルコにわずか0.033秒遅れただけというのは、とてもハッピーです。シーズン前半の最後の大会となった第9戦ドイツGPは、自分にとって難しいレースでした。後半戦のスタートになった第10戦オーストリアGPも、それは同じでした。この2戦、本当にがっかりするようなレースでしたが、その遅れを取り戻すことに集中しようとがんばっています。チームはよく働いてくれているし、マシンの状態もとてもいいです。明日に向けてとてもいいペースがあります。ザルコとそれほど変わりません。今はとてもリラックスしているし、ドライでのレースなら自信があります。もし雨になったとしても、それはみんな同じ。明日はいいレースができると思います」
アレックス・マルケス(Moto2 3番手)
「今日はフロントローを獲得できて、自分にとってもチームにとってもいい一日になりました。ここまでずいぶん時間がかかりましたが、ブルノではいつもいいレースができているし、自信はありました。ブルノは好きなサーキットです。マシンのフィーリングはよく、気持ちよく乗れているし、大きな自信を得られました。シーズンを通して、今日のようなパフォーマンスを発揮したいと思っていて、それがやっと果たせました。シーズン当初は転倒が多かっただけに、失っていた自信を取り戻せました。今週はいい走りができています。Moto2クラス初の表彰台に向けて、戦う準備はできています。とにかく明日は雨が降らないことを願っています」
中上貴晶(Moto2 4番手)
「昨日から課題になっている旋回性が改善できず、フラストレーションがたまる一日でした。ソフトを履いてもハードを履いても、基本的に症状は変わりません。もし気温が高くなればソフト、気温が低ければハードを選択することになりますが、基本的に、この問題を改善しなければ、厳しい戦いになると思います。今日は自己ベストを出せましたが、目標とする2分1秒台にちょっとだけ届かず、本当に残念です。昨日今日と、ザルコの仕上がりがよく、アレックスもいいと思います。天気は崩れる予報ですが、ドライでレースがしたいです」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 3番手)
「全体的にいい一日でした。始まってすぐはあまりフィーリングがよくなかったので、ピットボックスに戻りました。そしてデータをチェックして、セットアップを変更しました。それからはすごくよくて、アクセルを開けられるようになり、いいラップを刻めました。最後のアタックは、アウトに出てはいけないコーナーではみ出したことでタイムが削除され、そのあとのアタックでは転倒してしまいました。左手の指を負傷しました。薬指にクラック(裂け目)が入っていますが、明日のレースに向けて、それほど深刻ではありません。とにかくいいセットアップがあるので、明日のレースは自信があります」
ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Moto3 5番手)
「2列目を獲得できてとてもハッピーです。デビューして11戦、グランプリでベストグリッドになりました。このサーキットはとても好きです。いい走りができると思っていました。最初のアタックで2分8秒426を出せたし、このタイムでトップ5に入ることができました。2度目のアタックでは、コースが渋滞していて、なかなかタイムを出せませんでしたが、最後にソフトタイヤのパフォーマンスを生かして、2分8秒257までタイムを上げました。自分の前を、PPを獲得した(ブラッド)ビンダー(KTM)が走っていたこともラッキーでした。コース前半は思ったほどうまく走れませんでした。それでも、後半セクションはその遅れを取り戻せたし、大きな自信を得ることができました」
ニッコロ・アントネッリ(Moto3 7番手)
「いい一日になりました。今日は全力でプッシュし、それがうまくいきました。ドイツGPでケガをしてから、ステップバイステップで本来の走りを取り戻そうとがんばっています。明日は3列目からのスタート。最高の成績を残すためにがんばります」
尾野弘樹(Moto3 18番手)
「昨日は思うようにいかない一日でしたが、今日は7月下旬のテストのセッティングに戻し、午前のフリー走行ではいいタイムがマークできました。初日の28番手から5番手までポジションを上げられました。しかし午後の予選では、一周目に転倒してしまい、ピットに戻り、マシンを修復してコースイン。なんとか18番手で終えることができました。転倒したのは、フリー走行から予選にかけてセッティングを変更したのが影響しました。リアのグリップが薄くなってしまい、それで転倒しました。明日は、しっかり追い上げて、シングルフィニッシュを狙いたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 1'54.596 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1'54.849 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | 1'55.227 |
4 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | 1'55.324 |
5 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | 1'55.437 |
6 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1'55.509 |
7 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 1'55.748 |
8 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | 1'55.787 |
9 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | 1'55.841 |
10 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 1'55.930 |
11 | 38 | B.スミス | ヤマハ | 1'56.115 |
12 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | 1'56.522 |
13 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | 1'56.148 |
14 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | 1'56.263 |
15 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | 1'56.535 |
16 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | 1'56.718 |
17 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | 1'56.797 |
18 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | 1'56.805 |
19 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1'57.062 |
20 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | 1'57.606 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | 2'01.581 |
2 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.033 |
3 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.250 |
4 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.465 |
5 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.468 |
6 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.518 |
7 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.558 |
8 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.708 |
9 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.712 |
10 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.734 |
11 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +0.791 |
12 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.799 |
13 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.832 |
14 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +0.881 |
15 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.947 |
16 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.996 |
17 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.088 |
18 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +1.199 |
19 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +1.404 |
20 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +1.443 |
21 | 87 | レミー・ガードナー | KALEX | +1.735 |
22 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.771 |
23 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +1.850 |
24 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.989 |
25 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +2.020 |
26 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +2.387 |
27 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +2.725 |
28 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +2.795 |
29 | 95 | アンソニー・ウエスト | SUTER | +3.362 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 41 | B.ビンダー | KTM | 2'07.785 |
2 | 16 | A.ミニョ | KTM | +0.158 |
3 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.257 |
4 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +0.353 |
5 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +0.472 |
6 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.548 |
7 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.552 |
8 | 65 | P.エッテル | KTM | +0.667 |
9 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.710 |
10 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.711 |
11 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +0.774 |
12 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.796 |
13 | 98 | K.ハニカ | KTM | +0.817 |
14 | 36 | J.ミル | KTM | +0.828 |
15 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +0.979 |
16 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +1.004 |
17 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +1.023 |
18 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +1.151 |
19 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +1.210 |
20 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +1.227 |
21 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +1.279 |
22 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +1.336 |
23 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +1.346 |
24 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +1.465 |
25 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +1.473 |
26 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +1.502 |
27 | 12 | A.アレナス | プジョー | +1.766 |
28 | 6 | M.エレーラ | KTM | +1.866 |
29 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +1.954 |
30 | 42 | M.ラミレス | マヒンドラ | +2.156 |
31 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +2.819 |
32 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +3.405 |
33 | 33 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +3.548 |
マルク・マルケス(MotoGP ポールポジション)
「今日はポールポジションを取れるとは思ってもいませんでした。よくて2番手、もしくはフロントローを獲得できればいいと思っていました。というのも、ホルヘ(ロレンソ、ヤマハ)が今朝のフリー走行ですばらしいラップを刻んでいたからです。ベストタイムをマークしたときは、ポル(エスパルガロ、ヤマハ)とバレンティーノ(ロッシ、ヤマハ)が前にいて、彼らのスリップをうまく使い、最終コーナーでうまくパスできました。セッション終盤は、とても楽しく走れました。FP4ではセットアップを変えて、1分56秒台でラップを刻めました。アベレージで前進することができてとてもよかったです。もし、明日のレースがドライになったら、いいレースができると思います。もし雨になれば、難しいレースになることは間違いありません。しかし、いいレースができると思うし、気分はいいです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 9番手)
「昨日から今日にかけて、いくつかのセットアップを試しました。しかし、今朝のフリー走行は、期待していたようにはいきませんでした。その結果、Q1から戦わなければなりませんでしたが、Q2に進出できました。しかし、セットアップで大きく前進することはできませんでした。今は、どの方向でセットアップをしなければならないのか、しっかり検証しなければいけません。明日の決勝は、天気がどうなるかにもよります。とにかく、最大限の結果を得るためにベストを尽くします」
カル・クラッチロー(MotoGP 10番手)
「FP4で転倒し、マシンが全損してしまいました。チームには本当に申し訳なく思っています。その後、転倒の影響でちょっと頭痛がしたので、リスクを負わないように走りました。ダニとは接近していますが、マルクははるか彼方です。マルクのように乗ることはだれもできません。1ラップの走りでは、あまりいいタイムではありませんが、ロングランであればそれほど悪くありません。今回もベストを尽くしました。明日も全力で挑みます」
ティト・ラバト(MotoGP 20番手)
「MotoGPで初めての経験となりましたが、このサーキットでRC213Vのパフォーマンスを引き出すのは、とても難しいです。このような結果では、それほど話せることはありません。とにかく、期待していたような結果ではないし、とてもがっかりしています。どうしてうまく走れないのかがよく分かりません。多くの人から、いろんなアドバイスを受けました。速く走るためには、自分のライディングを見つける必要があります。チームからは最大のサポートを受けています。明日はポイントを獲得できるようにがんばります。ブルノはとても難しいです。今は200%の走りをしても速く走ることはできません」