第6戦イタリアGPの予選は、青空が広がる絶好のコンディションの中で行われ、Q2に進出した12台のタイム差が0.932秒という大接戦となりました。そんな中、Repsol Honda Teamのマルク・マルケスはトップから0.255秒差の4番手、ダニ・ペドロサは、トップから0.714秒差の7番手という結果でした。
マルク・マルケス
ダニ・ペドロサ
初日のフリー走行で5番手だったマルケスは、2日目に行われた3回目のフリー走行で総合2番手に浮上してQ2進出を果たしました。そして、大接戦となった予選では、終始トップ3につけていましたが、セッション終盤のアタックでタイムを短縮できず、4番手に終わりました。マルケスは昨年のオランダGPから前戦フランスGPまで16戦連続でフロントローを獲得してきましたが、今大会は昨年のカタルニアGP以来となる2列目から追い上げのレースに挑みます。
チームメートのペドロサは初日11番手から、2日目のフリー走行で総合9番手へとポジションを上げてQ2に進出。そして予選では接戦の中で7番手。決勝では3列目グリッドから追い上げのレースに挑みます。
Repsol Honda Teamとしては、今季初めてフロントローを逃す予選となりましたが、ペドロサは2010年以来の優勝と、マルケスは14年以来、2年ぶりの優勝を目指します。
マルク・マルケス
ダニ・ペドロサ
カル・クラッチロー(LCR Honda)は、初日9番手から2日目のフリー走行で11番手へとポジションを落としました。その結果、Q1からQ2進出を目指すことになりましたが、思うようにタイムを短縮できず、Q1で6番手に終わり、16番グリッドが確定しました。
ジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、初日18番手から2日目のフリー走行で15番手へとポジションを上げました。さらに、予選前のフリー走行では12番手と着実にセットアップを前進させましたが、Q1では7番手。Q2進出を果たせず17番グリッドが確定しました。決勝ではクラッチローとともに追い上げのレースに挑みます。
チームメートのティト・ラバトは、午前中に行われた3回目のフリー走行で転倒を喫し、左鎖骨を骨折、今大会を欠場することになりました。
カル・クラッチロー
ジャック・ミラー
初日のフリー走行で、トップから1秒差以内に20台という大接戦になったMoto2クラスは、2日目のフリー走行でもトップから1秒差以内に16台、予選では再びトップから1秒差以内に20台という厳しい戦いになりました。
その厳しい戦いを制したのは、2日目のフリー走行でトップタイムをマークしたサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)で、予選ではただ一人、1分51秒台に入れる快走でポールポジション(PP)を獲得しました。第2戦アルゼンチンGP、第4戦スペインGPに続き、今季3度目のPPを獲得したロース。2年連続でイタリアGPの予選を制し、今季2勝目に期待が膨らみました。
サム・ロース
サム・ロース
ロースとわずか0.047秒差で2番手につけたのが、中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)でした。今季初フロントローは、14年のカタールGP以来、41戦ぶり。今年はもうちょっとでフロントロー獲得というレースが多かっただけに、手応えをアピールしていました。今大会は、セッションをこなすごとにタイムを短縮。予選ではレース用タイヤでベストタイムをマークしているだけに、今季初表彰台と初優勝の期待が膨らみます。
3番手にはロレンソ・バルダッサーリ(Forward Team)で初フロントロー獲得となりました。バルダッサーリは、前戦フランスGPで3番手タイムをマークするも、タイヤの空気圧が規定値ではなく7番グリッドへと降格になっていました。今日の予選は、その悔しさを晴らすことになりました。
中上貴晶
中上貴晶
ディフェンディングチャンピオンで総合4位のヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が6番手。総合3位のトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)が7番手、総合首位のアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)は転倒を喫し、9番手から追い上げのレースに挑みます。
Moto3クラスは、第2戦アルゼンチンGPで初優勝を達成したカイルール・イダム・パウィ(Honda Team Asia)が3番手につけて、初フロントローを獲得しました。ムジェロは初体験となるパウィですが、ウエットコンディションとなったFP1でトップタイムをマーク。ドライコンディションとなったFP2では20番手とポジションを下げましたが、2日目午前中のフリー走行で14番手へとポジションを上げ、予選ではスリップストリームをうまく使う頭脳的な走りで一気に3番手へと浮上しました。今大会は今季2度目の表彰台の期待が寄せられます。
カイルール・イダム・パウィ
尾野弘樹(#76)、カイルール・イダム・パウィ(#89)
今大会の予選はトップから1秒差に12台という接戦となり、初日5番手のホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が5番手、ホームグランプリに気合を入れるエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)がケガから復帰2戦目にして6番手、前戦フランスGPで4位フィニッシュのアーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)が9番手、初日トップタイムの尾野弘樹(Honda Team Asia)が11番手と続きました。
初日トップの尾野は、2日目のフリー走行でトップから0.177秒差の6番手と好調をキープ。予選ではフロントローを目標に挑みましたが、アタックのタイミングを逃し、11番手でした。しかし、単独でもいいアベレージを刻んでいるだけに、決勝では追い上げのレースが期待されます。
ホルヘ・ナバロ
エネア・バスティアニーニ
サム・ロース(Moto2 1番手)
「昨日はあまりいいポジションではありませんでしたが、セットアップがいい方向に進んでいることはわかっていました。実際、今日の午前中は、最初からいいペースで走ることができました。そして予選では、決勝用のハードタイヤでポールポジションを獲得することができました。感触はとてもよくて、リラックスして乗れています。明日はチャンスがあると思います。チームのホームレースなので、明日もいい結果を目指します。決勝は、スリップストリームの使い合いになるので逃げきるのはとても難しいと思いますが、いいペースがあるので逃げてみようかと思っています」
中上貴晶(Moto2 2番手)
「今大会は初日から好調で、2日目のフリー走行でもタイムを更新、予選でもさらにタイムを更新することができました。ここ数戦、初日にいいスタートを切っても、2日目にタイムを更新できないことが多かったので、今大会はセットアップの進み方に満足しています。今日は、本当にわずかの差でポールポジションを逃しましたが、その悔しさよりも、久しぶりにフロントローを獲得できたことがうれしいです。レース用のハードタイヤでベストを出しているので、決勝でも表彰台、優勝を目標にがんばります」
ロレンソ・バルダッサーリ(Moto2 3番手)
「ル・マンではフロントローを逃しましたが、今回はいい予選結果を出すことができました。とてもうれしいです。今大会はホームグランプリであり、たくさんのイタリアのファンの前でいい走りができたこともうれしいです。明日は全力でがんばります」
カイルール・イダム・パウィ(Moto3 3番手)
「フロントローを獲得できてとてもうれしいです。初めてのフロントローとなりました。この結果は明日に向けてとても重要です。FP1から予選まで一生懸命がんばってくれたチームに感謝しています。予選は渋滞していてとても難しかったです。最後の周でアタックしました。ここは毎年、大集団になる難しいレースです。トップグループについていきたいです」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 5番手)
「タイムを出すのが難しい予選でした。1度目のアタックは、9台という集団の中で走ることになりましたが、まずまずのタイムを出すことができました。しかし2度目のアタックは、いい状態の中で走行ができず、タイムを更新できませんでした。完ぺきな予選にはなりませんでしたが、セットアップは悪くありません。フィーリングもよく、気持ちよく乗れています。このサーキットは、スリップストリームの使い合いになるので、明日の決勝はそのことを念頭に置いてしっかり戦おうと思っています」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 6番手)
「とてもうれしいです。ムジェロはいつもスリップストリームの使い合いになる難しい予選になるのですが、今日はとてもうまく行きました。最後のアタックは、スリップを使えませんでしたが、2列目に並ぶことができました。今日はとても楽しかったです。まだ手首に痛みはありますが、なんとか走れると思います。ロングランをこなしていないし、決勝でどれだけ耐えられるかはわかりません。しかし明日は全力を尽くし、トップグループについていけるように最後まで戦います」
尾野弘樹(Moto3 11番手)
「決勝に向けてペースはよくて、自信もあります。予選2番手だった昨年に比べても、アベレージではかなり速いラップで走ることができました。初日のフリー走行でトップタイム、FP3でもタイムを更新できてトップと僅差の6番手だったので、11番手というグリッドには少しがっかりしています。単独で走ることが多くなり、スリップをうまく使えなかったからですが、FP3のベストタイムを予選で更新できなかったことがとても残念でした。明日の決勝は、気持ちを切り替えて、いいスタートを切ってトップグループで戦いたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1'46.504 |
2 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | 1'46.598 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | 1'46.607 |
4 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 1'46.759 |
5 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1'46.882 |
6 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | 1'47.186 |
7 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | 1'47.218 |
8 | 38 | B.スミス | ヤマハ | 1'47.247 |
9 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | 1'47.261 |
10 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | 1'47.359 |
11 | 51 | M.ピロ | ドゥカティ | 1'47.361 |
12 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | 1'47.436 |
13 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 1'47.089 |
14 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | 1'47.159 |
15 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | 1'47.555 |
16 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 1'47.659 |
17 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | 1'47.830 |
18 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | 1'48.111 |
19 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1'48.372 |
20 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | 1'48.646 |
21 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | 1'48.991 |
22 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | 1'49.648 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 22 | サム・ロース | KALEX | 1'51.965 |
2 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.047 |
3 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.123 |
4 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.126 |
5 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.169 |
6 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.233 |
7 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.300 |
8 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.356 |
9 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.356 |
10 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +0.365 |
11 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.378 |
12 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +0.396 |
13 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.429 |
14 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.434 |
15 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.501 |
16 | 39 | ルイス・サロム | KALEX | +0.659 |
17 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.687 |
18 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.729 |
19 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +0.778 |
20 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +0.789 |
21 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +1.205 |
22 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.273 |
23 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.353 |
24 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +1.658 |
25 | 88 | リカルド・カルダス | SUTER | +1.813 |
26 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +1.841 |
27 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +1.916 |
28 | 42 | フェデリコ・フリーニ | KALEX | +1.984 |
29 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +2.323 |
30 | 33 | アレッサンドロ・トヌッチ | KALEX | +2.867 |
31 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +3.232 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | R.フェナティ | KTM | 1'57.289 |
2 | 16 | A.ミニョ | KTM | +0.297 |
3 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +0.316 |
4 | 41 | B.ビンダー | KTM | +0.372 |
5 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.667 |
6 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.705 |
7 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.724 |
8 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +0.760 |
9 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.834 |
10 | 36 | J.ミル | KTM | +0.862 |
11 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +0.863 |
12 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +0.939 |
13 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +1.016 |
14 | 48 | L.ダラ・ポルタ | KTM | +1.054 |
15 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +1.055 |
16 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +1.086 |
17 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +1.137 |
18 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +1.197 |
19 | 98 | K.ハニカ | マヒンドラ | +1.205 |
20 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +1.231 |
21 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +1.288 |
22 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +1.317 |
23 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +1.387 |
24 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +1.456 |
25 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +1.474 |
26 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +1.478 |
27 | 10 | A.マスボー | プジョー | +1.642 |
28 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +1.752 |
29 | 6 | M.エレーラ | KTM | +1.971 |
30 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +2.159 |
31 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +2.164 |
32 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +3.193 |
33 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +3.281 |
マルク・マルケス(MotoGP 4番手)
「今日のセットアップの進み具合には満足しています。午前中はとても快適でしたが、午後のFP4では気温が上がり、午前中のセットアップでは、同じように走ることができませんでした。これは今シーズン、ほかのサーキットでも起きている現象です。とにかく気温の変化やアスファルトのコンディションの変化にとても繊細です。そのため、予選セッションに向けてセットアップを変えてよくなったのですが、タイムを更新していた最後の周にミスをしてしまいました。明日の決勝は、簡単なことではないと思いますが、表彰台に上がれるようにがんばります」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 7番手)
「ル・マンのときに比べたら、いいグリッドを得ることができました。これは重要なことです。そしてこれは、今日の予選の目標でした。この調子でレースもがんばらなければいけません。明日はいいスタートを切り、序盤から力強い走りをすることが重要になります。ポジションを上げていいペースを維持できるようにがんばります。今日のポジションを最大限に活用したいです。自分のレースペースがそれほど悪くないことを信じています」
カル・クラッチロー(MotoGP 16番手)
「今日の予選は残念な結果に終わりました。今大会は確実に前進していたし、満足していました。午前中はこれまでと違うことを試して快適でした。それだけに、Q2に直接進めず残念でした。転倒するまではベストで走っていたので、あの転倒がなければ、そのままQ2へ進めたと思います。転倒の原因は、ブレーキングゾーンでフロントをプッシュしすぎてしまったことでした。明日に向けていくつかアイディアがあります。いいレースができることを願っています」
ジャック・ミラー(MotoGP 17番手)
「昨日より快適な状態になりました。今日は、セットアップを気にするよりも、周回数を重ねることに集中しました。その結果、リアグリップがよくなり、レースペースも改善されました。明日は長く暑いレースになります。ル・マンは完走できなかったので、今大会は完走してポイントを獲得することを目標にがんばります」