第6戦イタリアGPのフリー走行は、朝方まで降った雨の影響で、午前のセッションはウエットからドライへと路面コンディションが変わる難しい状況となりました。しかし、午後は青空が広がる絶好のコンディションの中でフリー走行が行われました。
マルク・マルケス
5戦を終えて総合2位につけるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、路面コンディションが不安定だったため、午前中は路面コンディションを確認して、1回目のセッションを終了しました。そして、ドライコンディションとなった午後の走行では、トップから1秒差以内に10台という接戦の中で、セットアップを進めながら5番手タイムをマークしました。
ウエットコンディションでスタートしたイタリアGPですが、金曜日の午後から天候は回復に向かっています。土曜日、日曜日と気温が上がることが予想されるため、マルケスはセットアップに集中しました。ポジションは5番手ですが、全体的にフィーリングはよく、2日目のフリー走行と予選では、タイムの短縮とポジションアップに期待が集まります。
マルク・マルケス
マルク・マルケス
カル・クラッチロー(LCR Honda)は、9番手で初日の走行を終えました。クラッチローは、午前中に12ラップをこなして3番手、午後の走行では19ラップを刻み9番手につけました。開幕からマシンのセットアップに多くの時間を割くクラッチローは、この日も積極的にコースに出て、さまざまなセッティングにトライしました。
カル・クラッチロー
カル・クラッチロー
ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がトップから1.017秒差の11番手。コンディションが不安定なため、ペドロサも午前中は様子見の走り。午後はセットアップに集中し、2日目のフリー走行と予選に向けて準備を進めました。
ダニ・ペドロサ
以下、ティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は17番手、ジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は18番手。セットアップに集中したHonda勢の、2日目でのタイムの短縮とポジションアップが期待されます。
Moto2クラスのライダーたちは、午前も午後も、ドライコンディションで走行できました。トップタイムをマークしたのは、ディフェンディングチャンピオンのヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)で、以下、1秒差に20台という大接戦となりました。2番手にサンドロ・コルテセ(Dynavolt Intact GP)、3番手に中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が続きました。
ヨハン・ザルコ
ヨハン・ザルコ
午前の走行でトップタイムをマークしたザルコは、午後のセッションも快調にラップを刻み、2セッションともを制する順調なスタートとなりました。ホームグランプリとなった前戦フランスGPは、気合が空回りする格好になり、決勝では転倒を喫し、再スタートを切るもノーポイントに終わりました。今大会はその雪辱に挑む戦い。昨年の大会は2位でフィニッシュしているだけに、2年連続となる表彰台登壇と今季2勝目を狙います。
サンドロ・コルテセ
2番手のコルテセは、第4戦スペインGPで3番手につけてフロントローを獲得するも、決勝で転倒して負傷。前戦フランスGPを欠場しており、今大会が2戦ぶりの参戦となります。3番手の中上は、午前のセッションでは、アップダウンの多いムジェロ対策としてジオメトリーを変更しましたが、それがうまくいかず、午後の走行は前戦フランスGPの状態に戻して挑みました。その結果、トップからわずか0.065秒差。ここ数戦は調子を上げているだけに、今大会でのフロントロー獲得に期待が膨らみます。
中上貴晶
中上貴晶
以下、ホームグランプリに闘志を燃やすフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)が4番手、昨年ポールポジションを獲得している総合2位のサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)が9番手、総合首位のアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)が11番手、総合3位につけるトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)が12番手。大接戦となっているMoto2クラスですが、土曜日のフリー走行と予選は、さらに厳しい戦いになりそうです。
Moto3クラスは、午前のセッションはウエット、午後はドライコンディションで行われました。難しいコンディションとなりましたが、午前に2番手につけた尾野弘樹(Honda Team Asia)が、午後の走行で快調にラップを刻み、キャリア初となるトップタイムをマークしました。セッションを通じて気持ちよく乗れたという尾野は、ベストタイムだけでなく、1分58秒台で連続で周回を重ね、ライバルを圧倒する内容で初日を終えました。
尾野弘樹
尾野弘樹
以下、1秒差に11台という戦いとなり、Honda勢は、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Gresini Racing Moto3)が好調な走りで3番手。昨年、ムジェロから調子を上げていったホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が5番手、ホームグランプリに気合を入れるニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が8番手、ホームグランプリが2戦ぶりに復帰の場となったエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)が10番手につけました。
ファビオ・ディ・ジャンアントニオ
ホルヘ・ナバロ
午前にトップタイムをマークしたカイルール・イダム・パウイ(Honda Team Asia)は、午後の走行では20番手。初めてのサーキットだけに、2日目でのタイムの短縮とポジションアップが期待されます。
ヨハン・ザルコ(Moto2 1番手)
「両方のセッションをリードできて、とてもいいスタートを切れました。自信を得るためには大事なことです。午前中は慎重に走りつつ、次第にペースを上げていきました。ムジェロは速く走るのがとても難しいですが、午後は路面コンディションがよくなり、タイムも上がりました。今日は順調でした。明日も、チームとともにタイムを更新していきたいです。今日の結果にはとても満足しています。予選と決勝に向けて、準備を整えなければいけません。もし天候がよければ、みんなプッシュしてくると思います」
サンドロ・コルテセ(Moto2 2番手)
「正直、今日の結果にはとても驚いています。久しぶりのサーキットランだったので、どんな走りができるのか、想像できなかったからです。午前中は慎重に走りました。ヒザが痛まないように、今までと違う走り方をしたので疲れました。午後は痛みがなく、フィーリングもとてもよかったです。楽しんで走れました。フランスGPは家でレースを観ることになり、最悪の週末でした。こうして、マシンにまた乗ることができてうれしいです。ヒザのじん帯が完全に切れていたら、手術と9カ月の休養が必要でした。しかし、1レースの欠場で済みました。初日が終わり、痛みはありますが、心配していません。痛みがなければすべてうまくいくと思います」
中上貴晶(Moto2 3番手)
「午前中は路面コンディションがあまりよくなかったのですが、アップダウンのあるムジェロ対策として、安定性を高める方向性のジオメトリーで走りました。結果的にあまりよくなかったので、前戦フランスGPの状態に戻して午後のセッションに挑みました。今日は、リアタイヤのソフトとハードの両方を試せました。明日も引き続きタイヤのテストをする予定ですが、おそらく決勝はハードで挑むことになると思います。昨年、今年と2列目が多いので、今大会はフロントローを狙い、その勢いで決勝に挑みたいです」
尾野弘樹(Moto3 1番手)
「ウエットだった午前の走行で2番手タイムをマークできました。ウエットでは調子がよく、ドライではどんな走りができるのだろうと思っていましたが、走り出しから気持ちよく乗れました。どのコーナーでも積極的に攻めることができ、初めてトップタイムをマークできました。昨年の大会の予選では2番手でした。明日はみんながタイムを上げてくると思うので、自分もこの調子で前進していきたいです」
ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Moto3 3番手)
「午前のウエットコンディションでは、落ち着いて走るようにしました。そして、セッション終盤にいいタイムを刻めました。午後はドライコンディションとなり、もう少しプッシュしてみることにしましたが、最後はとてもいいラップタイムを刻めました。いいスタートが切れてうれしいです。明日もこの調子をキープできることを願っています。マシンはよく機能していますが、明日は、シケインで曲がりやすいようにフロントエンドに重点的に取り組みたいです。この部分を改善することができれば、また一歩前進できると思います」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 5番手)
「今日はいいリズムで走ることに集中しました。午前中は昨日からの雨の影響でウエットコンディションになり、路面が汚れていてグリップもよくなさそうでした。明日、あさってと天候が回復しそうなので走行しませんでした。午後はコンディションがよくなったので、フィーリングを確かめながら、周回を重ねました。まだ、前戦フランスGPの前に痛めた肩の状態が完全ではないので、無理はしませんでした。そういう状況でしたが、思ったよりもマシンのセットアップは進みました。明日が楽しみです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | 1'47.696 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.461 |
3 | 51 | M.ピロ | ドゥカティ | +0.549 |
4 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | +0.574 |
5 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | +0.594 |
6 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.644 |
7 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | +0.649 |
8 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | +0.710 |
9 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | +0.762 |
10 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | +0.774 |
11 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | +1.017 |
12 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +1.056 |
13 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | +1.120 |
14 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | +1.136 |
15 | 38 | B.スミス | ヤマハ | +1.503 |
16 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.538 |
17 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | +1.952 |
18 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | +2.002 |
19 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | +2.156 |
20 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +2.217 |
21 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | +2.672 |
22 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | +3.359 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | 1'52.944 |
2 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.049 |
3 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.065 |
4 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.110 |
5 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.125 |
6 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.175 |
7 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +0.273 |
8 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +0.322 |
9 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.338 |
10 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.343 |
11 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.355 |
12 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.359 |
13 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.425 |
14 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.512 |
15 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +0.595 |
16 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.641 |
17 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +0.707 |
18 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +0.934 |
19 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.986 |
20 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.990 |
21 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.256 |
22 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.440 |
23 | 39 | ルイス・サロム | KALEX | +1.645 |
24 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +2.202 |
25 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +2.205 |
26 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +2.275 |
27 | 88 | リカルド・カルダス | SUTER | +2.466 |
28 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +2.591 |
29 | 42 | フェデリコ・フリーニ | KALEX | +3.012 |
30 | 33 | アレッサンドロ・トヌッチ | KALEX | +3.020 |
31 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +3.135 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | 1'58.489 |
2 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +0.271 |
3 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +0.403 |
4 | 41 | B.ビンダー | KTM | +0.446 |
5 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.524 |
6 | 5 | R.フェナティ | KTM | +0.543 |
7 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +0.581 |
8 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.712 |
9 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.762 |
10 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.772 |
11 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +0.894 |
12 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +1.125 |
13 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +1.155 |
14 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +1.316 |
15 | 48 | L.ダラ・ポルタ | KTM | +1.375 |
16 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +1.409 |
17 | 16 | A.ミニョ | KTM | +1.460 |
18 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +1.465 |
19 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +1.650 |
20 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +1.758 |
21 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +1.771 |
22 | 98 | K.ハニカ | マヒンドラ | +1.820 |
23 | 36 | J.ミル | KTM | +1.840 |
24 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +1.902 |
25 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +1.946 |
26 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +2.062 |
27 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +2.086 |
28 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +2.118 |
29 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +2.671 |
30 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +2.684 |
31 | 6 | M.エレーラ | KTM | +2.691 |
32 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +3.327 |
33 | 10 | A.マスボー | プジョー | +4.349 |
34 | 37 | D.ピッツォリ | KTM | +4.447 |
マルク・マルケス(MotoGP 5番手)
「今日は5番手でしたが、感触がとてもよかったので、全体的には満足しています。まだ改善の余地はあると思いますが、それは、ほかのライダーたちもみな同じだと思います。今日はもっといい結果が出せると思っていました。しかし、それほど差はありませんでした。このサーキットは難しいです。コンディションがよくなっていくと思うので、調子をキープして、引き続きがんばりたいです。FP1がウエットコンディションでしたが、FP2はドライコンディションになり、タイムが上がりました。今のところ感触はとてもいいので、安定した走りができるようにがんばります」
カル・クラッチロー(MotoGP 9番手)
「不思議な一日でした。午前中は路面が濡れていたため、思うような成果を挙げられませんでしたが、今は、なるべくたくさんの周回をこなすことが必要です。エンジンと電子制御のセッティングに関しては、思ったほど前進できませんでした。全体的にマシンの挙動が激しく、まだまだセットアップが必要ですが、ムジェロのようなサーキットでは、こういう状態になることはあります。タイムをロスしているパートはこれまでと同じなので、この部分を改善していかなくてはいけません。今回は長いレースになると思います」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 11番手)
「それほど悪いスタートにはなりませんでしたが、特別いい結果でもありませんでした。マシンの動きは、ほかのサーキットとそれほど変わりませんでした。タイヤのフィーリングは、それほど悪くはありませんでした。グリップは十分あったし、まずまずのタイムを出せました。しかし、コーナーとストレートで苦戦しています。コーナーの進入はそれほど悪くはないのですが、コーナーの中と立ち上がりで十分な速さがありませんでした。そのため、ベストなラインをキープできていないので、その部分の改善に取り組む必要があります。ムジェロは体力的にとてもハードなので、いい妥協点を見つけなければなりません」
ティト・ラバト(MotoGP 17番手)
「このサーキットは特別です。ここを走るのが大好きで、このサーキットでMotoGPマシンを走らせるのは本当に最高の気分です。怖いと同時に、とてもおもしろいです。ウエットコンディションだった午前は、このサーキットを学ぶために周回しました。午後はラップタイムを順調に更新できました。明日、コンディションがよくなれば、さらに前進できると思います。このすばらしいサーキットを走るのが楽しみです」
ジャック・ミラー(MotoGP 18番手)
「残念ながら難しいレースウイークのスタートになってしまいました。マシンのセッティングに苦戦しています。このサーキットは高速で、流れるようなセクションでは安定した走りが必要になります。今日は切り返しがあまりうまくいきませんでした。どうすればいいのかアイディアがいくつかあるので、明日、試してみます」