MotoGPクラスの予選は、フリー走行でトップタイムをマークしたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、予選でもすばらしい走りを見せて今季初のポールポジション(PP)を獲得しました。これでマルケスは、2014年に始まったアウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドのアルゼンチンGPで3年連続でPPを獲得しました。
マルク・マルケス
マルク・マルケス(中央)
初日にトップタイムをマークしたマルケスは、2日目のフリー走行でも順調にタイムを短縮して、総合トップでQ2に進出しました。初日に比べると風の強い一日となりましたが、気温は前日の35℃から30℃へと下がり、ライダーにとっては、体力的にはいくらか楽なコンディションとなりました。その中でマルケスは、すべてのセッションでタイムを短縮。12台が参加したQ2では、2番手に0.375秒のリードを築きました。
マルケスは、さらにタイムを短縮しようと挑んだ最後のアタックで転倒を喫しましたが、ベストタイムも連続周回でもライバルを圧倒、優勝候補の筆頭に浮上しました。
ダニ・ペドロサ
カル・クラッチロー
今大会は、予選前に行われるフリー走行でリアタイヤにトラブルが発生した選手がいたため、フリー走行と予選で使った2種類のタイヤの使用を中止し、新たなタイヤで決勝に挑むことになりました。そのため、決勝前に30分の特別フリー走行と、20分のウォームアップが設けられ、そこでセットアップを行ってから、決勝に挑むこととなります。
ジャック・ミラー
ティト・ラバト
初日2番手のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、トップのマルケスから0.600秒差の4番手。初日5番手だったカル・クラッチロー(LCR Honda)は、フリー走行8番手からQ2に進出して9番グリッドを獲得。初日4番手につけたジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、フリー走行を11番手で終えてQ2進出を逃し、Q1からQ2進出を狙いましたが、転倒を喫して15番手となりました。MotoGPルーキーのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は初日18番手から19番手へとポジションを落としましたが、追い上げのレースに挑みます。
Moto2クラスは、今大会も厳しいアタック合戦となり、ポールポジション(PP)を獲得したサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)から、1秒差以内に16台という接戦となりました。初日の走行で快調にラップを刻んでいたロースは、2日目のフリー走行でも決勝に向けて、連続してラップを刻むことに集中しました。予選では、なかなかクリアラップが取れず、フラストレーションをためるセッションとなりましたが、最後の最後にベストラップを刻み、今季初PPを獲得しました。
2番手はヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)で、レースの最後にロースに逆転されてPPを逃しました。ザルコは、昨年の大会ではポール・トゥ・ウインを達成しています。今年はPPを逃すも、予選ではよい走りを見せ、2年連続での優勝に向けて前進しました。
3番手のジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)は、PPを獲得するも転倒リタイアに終わった、開幕戦カタールGPの雪辱を果たすべく、決勝に挑みます。初日2番手と好調なスタートを切った中上貴晶(IDEMITSU HONDA TEAM ASIA)が4番手。最後のアタックでロースが一気にポジションを上げてきたことで、惜しくもフロントローを逃しましたが、今大会は絶好調。今季初表彰台が期待されます。開幕戦カタールGPで優勝したトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)は6番手でした。
ヨハン・ザルコ(左)、サム・ロース(中央)、ジョナス・フォルガー(右)
Moto3クラスは、厳しい戦いとなりました。トップタイムから1秒差に15台という大接戦となり、Honda勢は、ホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が3番手、ルーキーのカイルール・イダム・パウィ(HONDA TEAM ASIA)が4番手と好走を見せました。
ナバロは開幕戦カタールGPで、優勝争いに加わるも、レース終盤、他車と接触して7番手で終わっています。その雪辱を果たすためにも、今大会で念願の初優勝を狙います。
アジアドリームカップでチャンピオンを獲得し、FIM・CEVレプソル国際選手権のMoto3クラスで総合6位になってMotoGPに参戦したパウィは、初めてのサーキットで好走を見せて4番手につけました。パウィは、初日のフリー走行でスロー走行をしたため、3グリッド降格のペナルティが科され、決勝は7番グリッドからのスタートとなります。
以下、エネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)が7番手、ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が8番手となりました。今大会の優勝候補である2人は、3列目グリッドから決勝に挑みます。
今季好調なリビオ・ロイ(RW Racing GP BV)が10番手から、チームメートのパウィの好走に刺激を受けた尾野弘樹(HONDA TEAM ASIA)が11番手から、追い上げのレースに挑みます。
ホルヘ・ナバロ(右)
サム・ロース(Moto2 ポールポジション)
「今日もチームがすばらしい仕事をしてくれました。マシンは常に改善されているし、チームに頼れることがとてもうれしいです。予選では少し渋滞しましたが、速さがあることはわかっていたので、アタックするタイミングが重要でした。最後はいいラップを刻むことができたのでよかったです。今週の路面コンディションは簡単ではありませんが、感触はいいですし、リラックスしてマシンに乗ることができています。明日も同じように走れることを願っています。もちろん一番大事なのは明日です。チームのみんなに本当にありがとうと言いたいです」
ヨハン・ザルコ(Moto2 2番手)
「いいペースで予選セッションに進むことができました。このサーキットは好きです。快適に走れるサーキットです。予選セッションでは、最初から速いペースで走ることができました。そしてほとんどトップでした。しかし最後にサム(ロース)にタイムを更新されてしまいました。すばらしいタイムを出した彼を称えたいです。とにかく、フロントローを獲得しました。それが大事なことです。明日は優勝したいです。いよいよレースウイークで最も重要なレース日を迎えます」
ジョナス・フォルガー(Moto2 3番手)
「ここまでは順調にセッションをこなすことができました。初日はマシンに少し問題があって少し大変でしたが、速く走るための方向性を見つけることができました。毎回、着実に前進できています。トップともそれほど離れていないし、フロントローを獲得できて、うれしいです。明日は長く大変なレースになると思います。しかし速さがあります。これはとても重要なことです。とにかくリラックスして落ち着いてミスをしないようにしたいです」
中上貴晶(Moto2 4番手)
「フロントローは逃しましたが、初日から高いアベレージで走れているし、路面温度が変化しても安定した速いラップタイムを刻むことができました。午前中のフリー走行では、トップから1秒差に22台、予選も1秒差に16台でした。大接戦なのでミスをしないように集中していきます。明日はスタートを決めて、序盤からトップグループに加わらなければなりません。カタールで感じた悔しさを晴らすためにも、最低でも表彰台を狙うつもりです」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 3番手)
「いつものように今回もスリップストリームの使い合いになりました。厳しいセッションでしたが、目標にしていたフロントローを獲得できたので、とてもうれしいです。午前中のフリー走行は、路面コンディションがよくなり、グリップもよくなりました。今日は風の強い一日でしたが、気持ちよく乗ることができました。マシンの仕上がりはいいし、決勝に向けて不安はありません。明日の決勝も先頭に優勝争いの大きいグループができると思います。ミスのないようにしっかり最後まで走ります」
カイルール・イダム・パウィ(Moto3 4番手)
「午前から午後にかけていいセットアップが見つかり、自信を持って予選を走ることができました。昨日のミスでグリッド降格処分を受けたのは残念ですが、トップグループに加わって、しっかり完走したいです。初めてのサーキットでいい走りができてとてもうれしいです。アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドはすばらしいサーキットです。サポートしてくれる人たちのためにも明日はいいレースをしたいです」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 7番手)
「カタールのようにこのサーキットでもいいタイムを出すためには、スリップストリームのアドバンテージを得ることが重要になります。コース上は渋滞していましたが、一度だけスリップストリームの機会を見つけることができました。しかし、その後僕の前で何人かのライダーが転倒し、タイムを更新できませんでした。しかし2列目からのスタートは悪くありません。フロントエンドの問題を解決するために、引き続きセットアップに取り組みます。ウォームアップでも引き続きがんばります。そしていいレースができることを願っています」
尾野弘樹(Moto3 11番手)
「午前は単独走行に徹することで、セットアップのいい方向性をつかむことができました。予選ではフロント周りを少し見直して、フィーリングがさらによくなり、いいアベレージで走ることができました。全体的にはいい一日になりました。しかし、決勝に向けて、勝負どころのポイントを見つけられませんでした。決勝はトップ集団に加わり、いい結果を残したいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 1'39.411 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1'39.786 |
3 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1'39.944 |
4 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | 1'40.011 |
5 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 1'40.198 |
6 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | 1'40.272 |
7 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | 1'40.375 |
8 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | 1'40.524 |
9 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 1'40.528 |
10 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | 1'40.654 |
11 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | 1'40.708 |
12 | 38 | B.スミス | ヤマハ | 1'40.893 |
13 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | 1'40.744 |
14 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | 1'40.750 |
15 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | 1'40.881 |
16 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | 1'40.897 |
17 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | 1'40.990 |
18 | 51 | M.ピロ | ドゥカティ | 1'41.116 |
19 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | 1'41.157 |
20 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1'41.611 |
21 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | 1'41.692 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 22 | サム・ロース | KALEX | 1'43.347 |
2 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.119 |
3 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.290 |
4 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.362 |
5 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.386 |
6 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.466 |
7 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.476 |
8 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.511 |
9 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.634 |
10 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.635 |
11 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.642 |
12 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.708 |
13 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.713 |
14 | 39 | ルイス・サロム | KALEX | +0.757 |
15 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.807 |
16 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.825 |
17 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +1.049 |
18 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +1.077 |
19 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +1.096 |
20 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.176 |
21 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.225 |
22 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +1.256 |
23 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.356 |
24 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +1.420 |
25 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +1.947 |
26 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +2.501 |
27 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +2.512 |
28 | 8 | エフレン・バスケス | SUTER | +2.925 |
29 | 33 | アレッサンドロ・トヌッチ | KALEX | +3.207 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 41 | B.ビンダー | KTM | 1'49.767 |
2 | 5 | R.フェナティ | KTM | +0.324 |
3 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.367 |
4 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +0.437 |
5 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.511 |
6 | 36 | J.ミル | KTM | +0.575 |
7 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.625 |
8 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.633 |
9 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +0.661 |
10 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +0.755 |
11 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +0.943 |
12 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +0.947 |
13 | 65 | P.エッテル | KTM | +0.949 |
14 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.966 |
15 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.986 |
16 | 16 | A.ミニョ | KTM | +1.137 |
17 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +1.181 |
18 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +1.234 |
19 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +1.257 |
20 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +1.270 |
21 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +1.379 |
22 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +1.427 |
23 | 10 | A.マスボー | プジョー | +1.429 |
24 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +1.464 |
25 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +1.641 |
26 | 6 | M.エレーラ | KTM | +1.649 |
27 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +1.707 |
28 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +1.962 |
29 | 98 | K.ハニカ | マヒンドラ | +2.625 |
30 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +2.970 |
31 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +3.543 |
32 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +3.937 |
33 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +4.696 |
マルク・マルケス(MotoGP ポールポジション)
「ミシュランの決定が出され、レースウイークを通してずっと使ってきたタイヤとは違うスペックのリアタイヤで、明日の決勝に挑むことになりました。そのため、どんなレースになるのか、少しわからなくなりました。とにかく、明日の朝の走行で、どう機能するのか様子をみたいです。情報を集めるために、2回ウォームアップセッションがあります。1回目は30分で、2回目は20分です。みんながうまく走れるかどうか試すことになります。これまで使ってきたタイヤとそれほど違いが出ないことを願っています」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 4番手)
「ミシュランは、リアタイヤをこれまでに僕たちが使っていない、新品のものに変更してきました。これで、どんなレースになるのかわからなくなりました。そのため、セッションが1回多く行われます。しかし、決勝レースの時間帯よりアスファルトの温度が低いことが気になります。どう機能するのか、またどのセッティングを使うのかは、まだ未定です。いずれにしても、明日、新しいタイヤを使ってみるまであまり話すことはありません」
カル・クラッチロー(MotoGP 9番手)
「今日はいい1日になりましたが、ポジションには不満があります。とても力強いペースで走ることができました。しかし、1コーナーで小さなミスをして、そのためブレーキングが少し遅れてしまい、コーナーを曲がることができずに転倒してしまいました。そのために大事な時間を少し無駄にしました。セカンドマシンでその後走りましたが、同じような感触を得ることができませんでした。転倒したマシンとはちょっとセッティングが違うのですが、スペアのマシンでもいいペースで走れていたし、明日のレースには自信があります。いい結果を残すためにも、上位のライダーと一緒に走りきらなければなりません」
ジャック・ミラー(MotoGP 15番手)
「転倒したことを除けば、とてもいいスピードで走れました。明日の決勝は、力強い走りをする自信があります。1コーナーで転倒したあと、乗り換えたセカンドマシンのセットアップはちょっと違うものだったのですが、思っていたより気持ちよく乗ることができました。最終ラップは速いタイムを出していたのですが、路面の汚い部分に乗ってしまい、さらにレーシングラインに戻るために寝かせすぎたため転倒してしまいました。」
ティト・ラバト(MotoGP 19番手)
「予選では、自分が目標としていたタイムを更新することができたので、うれしいです。プラクティスセッションは非常に実りのあるものでした。すべてのセッションでタイムを更新できました。4度目のフリー走行ではレースのセットアップに集中したので、あまり予選に焦点を当てていませんでした。Hondaのマシンはこのサーキットでとてもいい走りをしているので、マシンから最大限の力を引き出すためにも、自分のスタイルを変える必要があります。レースではまた一歩前進したいです」