開幕戦カタールGPの予選は、Q2に進出した12台のタイム差が、わずか0.965秒という激しい戦いとなり、マルク・マルケス(Repsol Honda Team)が2番グリッドを獲得しました。最後のアタックでベストタイムをマークしたマルケスですが、最後の周回に入る直前にチェッカーが降られたことからタイムはカウントされず、2年ぶりの大会ポールポジション(PP)を逃すことになりました。しかし、初日8番手から2日目に3番手に浮上し、予選ではPP争いを繰り広げるなど、初日の出遅れを見事に取り戻したマルケスに、2年ぶり開幕Vの期待が膨らみます。
マルク・マルケス
マルク・マルケス
大会3日目。予選セッションが行われた土曜日は青空が広がり、夜になっても星空となりました。しかし、終日吹き続けた強い風が選手たちを悩ませました。その風の影響からか、セットアップが思うように進みません。最終的にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、フリー走行から1つポジションを落とす7番手になりました。3列目スタートとなりましたが、トップから0.535秒差。決勝では追い上げのレースに挑みます。
ダニ・ペドロサ
ダニ・ペドロサ
セットアップが決まらず、フリー走行で15番手と苦悩していたカル・クラッチロー(LCR Honda)は、10番グリッドを獲得しました。今大会はQ2にダイレクトに進出できず、フリー走行で11番手以下の選手が競うQ1に挑むことになりました。このQ1でトップタイムをマークしたクラッチローはQ2に進出し、10番グリッドを獲得しました。
ジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、Q1で転倒を喫して18番グリッド。MotoGPクラスのルーキーであるティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)はマシンのセットアップが進まず、19番手から決勝に挑みます。
大接戦が続くMoto2クラスのフリー走行は、トップから1秒差に14台という接戦となりましたが、予選もトップから1秒差に14台がひしめく厳しい戦いとなりました。
その厳しい戦いを制したのは、公式テストで好調だったジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)で、得意とするアタックを決めてPPを獲得しました。2番手には、フリー走行でトップタイムをマークしたサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)。安定したタイムを刻み、優勝候補の筆頭に浮上しています。3番手にはアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)。セッション中に転倒を喫し、厳しい予選となりましたが、ロースとともにウィンターテストから好調で、優勝争いに加わることは間違いありません。
2列目には、ディフェンディングチャンピオンのヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)。予選セッションのアベレージも、フロントローに並んだ3選手と遜色なく、決勝に向けてしっかり調子を上げてきました。
フリー走行で8番手の中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は9番手。強風と路面コンディションの変化に戸惑い、思うようにタイムを短縮できませんでした。しかし、アベレージは悪くなく、トップとのタイム差もそれほどないので、決勝では追い上げのレースが注目されます。チームメートのラタパーク・ウィライローは23番手でした。
Moto2クラス同様、激しい戦いが続いているMoto3クラスは、PPから1秒差以内に19人のライダーが名前を連ねる大接戦となりました。その中で、フリー走行でトップタイムをマークしたリビオ・ロイ(RW Racing GP BV)が好調をキープし、初のフロントローとなる2番手を獲得しました。昨年のインディアナポリスGPで初優勝を達成しているロイ。今大会は2勝目が期待されます。
以下、Honda勢は、ホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が5番手。コーナーでラインがクロスした他車と接触して転倒を喫する不運もありましたが、決勝に向けて気合を入れています。チームメートでMoto3ルーキーのアーロン・カネットが6番手、ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が7番手、エネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)が9番手と続き、トップ10に5台のHonda勢が名前を連ねました。過去2年、タイトルを獲得してきたHonda。昨年に続き、開幕戦カタールGP2連覇を狙います。
カイルール・イダム・パウィ(Honda Team Asia)は17番手、尾野弘樹(Honda Team Asia)はアタック中に転倒を喫して29番手。共に追い上げのレースに挑みます。
ジョナス・フォルガー(Moto2 ポールポジション)
「ポールポジションを獲得できて、とてもうれしいです。さらに、決勝に向けてタイムが安定していることもうれしいです。新しいチームと新しいマシンとの仕事を楽しんでいます。明日のレースに向けて自信がありますし、とても楽しみです。昨年は優勝することができました。今年も同じ結果を出すことは難しいと思いますが、全力を尽くします。(アレックス)リンス、(サム)ロース、トム(トーマス・ルティ)、そしてヨハン(ザルコ)も、とても速いです。僕とバトルできるライダーはたくさんいます。明日は楽なレースにはならないと思いますが勝てるマシンだと思うのでがんばります」
サム・ロース(Moto2 2番手)
「とてもうれしいです。今日は両方のタイヤで速さがありました。本当にいいペースで走ることができました。風がかなり強く、スリップストリームを使わなければタイムは伸びませんでした。最後のアタックはスリップを使わずに走り、そのためタイムを更新できずポールポジションを逃しましたが、感触はいいです。2番グリッドというのもポジティブです。明日は優勝争いのチャンスがあると思いますし、チームに感謝しています。いい仕事ができました。準備はできています」
アレックス・リンス(Moto2 3番手)
「いいリズムでラップを刻んでいたのですが、転倒してしまい残念でした。幸いケガはなかったのですが、思ったよりマシンのダメージが大きく、完全に壊れてしまいました。それを直してくれたチームには感謝しています。メカニックとはいい関係ができています。これも大事なことです。決勝に向けて感触はいいですし、強さも感じます。バトルの準備はできています」
中上貴晶(Moto2 9番手)
「セッティングはほとんど変えていないのですが、風の影響なのか、フィーリングが変わってしまいました。コーナーの進入で安定性がなく、立ち上がりでもアウトにはらんでしまいました。今大会は新品のタイヤを入れたときの上げ幅がほかの選手より少なく、それは今日も変わりませんでした。今日は1分59秒中盤は出ると思っていたので残念です。ちょっと不完全燃焼に終わった一日でした。明日のウォームアップでもう一度確認して、決勝に挑みたいと思います」
リビオ・ロイ(Moto3 2番手)
「ポールポジションを逃し、少し残念に思います。でも2番グリッドもすばらしいですし、自分一人でタイムを出せたことには満足しています。もし(ロマノ)フェナティのように最後のセクターがパーフェクトだったら、2分05秒台に入ったと思います。でも、“もし”はカウントされません。とにかく、フロントローを獲得できてうれしいです。冬の間のがんばり、そしてチームのすばらしい仕事が報われました。自信はあります。レースではチャンスがあると強く信じています。いいペースがあります。いいスタートを切り、トラブルを避けることが明日の一番の目標です」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 5番手)
「今日は単独でいいペースで走ることができました。予想通り大接戦となりましたが、その中でいいポジションを獲得できました。転倒したのはインを閉めてきた他車の後輪に接触してしまったからなのですが、幸いにもケガはありませでした。明日のレースは、すごい混戦になると思うので、落ち着いて挑みたいです」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 9番手)
「路面コンディションが変わり、難しい予選でした。最後のアタックでは、ストレートでスリップストリームを全く使えず、残念でした。しかし、何人かのライダーはひとりで自己ベストを出しているので言い訳にはなりません。レースに向けてもう少しペースを上げなければなりませんが、トップグループにはついていけると思います。レース序盤では誰かがギャップを広げようとするかもしれませんが、このサーキットでは難しいです。混戦になると思うので落ち着いて戦います」
尾野弘樹(Moto3 29番手)
「今日はうまくいきませんでした。最後のアタックで転んでしまい、タイムを更新できませんでした。ピットに戻ってきたら、『もし転ばなかったら10番手くらいのタイムだった』と言われ、とても残念でした。残念なグリッドですが、明日は今日の最後のアタックのフィーリングがよかったので、それを決勝レースに生かしたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1'54.543 |
2 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 1'54.634 |
3 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | 1'54.638 |
4 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | 1'54.693 |
5 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1'54.815 |
6 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 1'54.963 |
7 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | 1'55.078 |
8 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | 1'55.165 |
9 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | 1'55.302 |
10 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 1'55.352 |
11 | 38 | B.スミス | ヤマハ | 1'55.414 |
12 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | 1'55.508 |
13 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | 1'56.157 |
14 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | 1'56.186 |
15 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | 1'56.238 |
16 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | 1'56.375 |
17 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1'56.595 |
18 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | 1'56.620 |
19 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | 1'57.108 |
20 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | 1'57.216 |
21 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | 1'55.931 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | 1'59.052 |
2 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.072 |
3 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.302 |
4 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.367 |
5 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.457 |
6 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.575 |
7 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.664 |
8 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.707 |
9 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.759 |
10 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.868 |
11 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.904 |
12 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.947 |
13 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.957 |
14 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.967 |
15 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +1.107 |
16 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +1.124 |
17 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +1.136 |
18 | 39 | ルイス・サロム | KALEX | +1.197 |
19 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.402 |
20 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.575 |
21 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +1.686 |
22 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +1.705 |
23 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.738 |
24 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +1.764 |
25 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +2.078 |
26 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +2.362 |
27 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +2.918 |
28 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +3.005 |
29 | 33 | アレッサンドロ・トヌッチ | KALEX | +4.315 |
30 | 8 | エフレン・バスケス | SUTER | +4.552 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | R.フェナティ | KTM | 2'06.131 |
2 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +0.047 |
3 | 41 | B.ビンダー | KTM | +0.114 |
4 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +0.268 |
5 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.317 |
6 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.331 |
7 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.405 |
8 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +0.408 |
9 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.526 |
10 | 65 | P.エッテル | KTM | +0.576 |
11 | 36 | J.ミル | KTM | +0.597 |
12 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +0.602 |
13 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.655 |
14 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +0.800 |
15 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +0.808 |
16 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.817 |
17 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +0.851 |
18 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +0.852 |
19 | 16 | A.ミニョ | KTM | +0.970 |
20 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +1.039 |
21 | 10 | A.マスボー | プジョー | +1.078 |
22 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +1.089 |
23 | 98 | K.ハニカ | マヒンドラ | +1.228 |
24 | 6 | M.エレーラ | KTM | +1.240 |
25 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +1.310 |
26 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +1.427 |
27 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +1.451 |
28 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +1.480 |
29 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +1.670 |
30 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +1.716 |
31 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +2.205 |
32 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +4.098 |
33 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +4.302 |
マルク・マルケス(MotoGP 2番手)
「とてもうれしいです。最初はポールポジションを獲得できたと思ったのですが、僕がフィニッシュラインを通過する前にチェッカーフラッグが振られたとチームが教えてくれました。マシンのディスプレイは1分54秒2だったので、ポールポジションのタイムだと思いました。残念ながら、そのタイムはカウントされていませんでした。マシンのフィーリングと全体的な進み具合には満足しています。しかし、Q2の最後にスタート練習をしたのですが、そのときに転倒しそうになりました。どうしてそうなったのかわかりません。その原因をこれから調べます。決勝に向けて、明日のウォームアップでは、さらにペースを上げられるようにしたいです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 7番手)
「今日は最高の日とはなりませんでした。FP4でいいペースを見つけることができず、決勝のタイヤを決めることができませんでした。Q2ではいいスタートを切ることができたのですが、2回目のアタックで装着したタイヤに問題があり、タイムを更新できませんでした。それでいくつかポジションを落としてしまい残念でした。思ったほど上位のグリッドを獲得できませんでしたが、明日はいいレースができるように集中します」
カル・クラッチロー(MotoGP 10番手)
「それほどセッティングを変えたわけではないのですが、少しいい方向性を見つけることができました。しかし、これまでと全く違うライディングスタイルで乗らなければなりませんでした。エンジンブレーキがうまくコントロールできず、リアブレーキがあまり使えない状態だったからです。それを解決することができず、今日はこれ以上タイムを更新できませんでした。セッティングさえできれば、1分54秒台は楽に出せたと思いますし、2列目以内には入れたと思います。しかし、全体的には昨日よりかなりよくなりました。レースへ向けてペースも悪くありません。明日はうまく逃げきることができたら、いいレースができると思います」
ジャック・ミラー(MotoGP 18番手)
「ポジティブなレースウィークだったのですが、FP4で大きな問題に直面しました。そんなにプッシュしていなかったのに、15コーナーで突然フロントから転倒してしまいました。この転倒でちょっと自信を失いました。昨夜はマシンの感触は完ぺきでした。それが今夜は限界まで攻められませんでした。気温が低く、強い風が吹いていたせいかも知れません。しかし、予選の最後に解決策を見つけることができたと思うので、明日はいいスタートを切ることができたら、いいレースができると思います」
ティト・ラバト(MotoGP 19番手)
「マシンを少し変更しましたが、昨日と変わらずとても残念でした。ラップタイムを更新できなかったですし、いい感触もありませんでした。今できることは、全力で取り組み、いい方法を見つけることです。とにかくマシンがうまく曲がりません。そして、プッシュしようとすると、すぐに転倒しそうになるので、最後まで攻める走りができませんでした」