2016年シーズンのロードレース世界選手権(WGP)、開幕戦カタールGPが3月17日(木)、ドーハ郊外のロサイル・インターナショナル・サーキットで開幕しました。開幕の前日は、カタールでは珍しく終日の雨になりましたが、開幕初日は天候が回復。ところどころ青空が広がり、夜になると星空がのぞく、まずまずの天候の中で行われました。
カタールGPは、通常3日間で行われる日程を4日間に分散して行う特別スケジュールとなっています。初日は、MotoGPクラスのフリー走行が1回、Moto2とMoto3クラスのフリー走行が2回行われました。
ダニ・ペドロサ
ダニ・ペドロサ
MotoGPクラスは、首位から1秒差以内に10台という接戦となり、Repsol Honda Teamのライダーは、ダニ・ペドロサが7番手、マルク・マルケスが8番手。両選手は、3月上旬に行われた公式テストのデータをもとに、その延長線上で新たな取り組みを始めました。初日は思うようにタイムを更新できませんでしたが、2日目は2回のセッションがあり、タイム短縮とポジションアップに挑みます。
ダニ・ペドロサ
マルク・マルケス
カル・クラッチロー(LCR Honda)は、決勝に向けてハードタイヤを装着し、12番手でした。開幕前のトレーニングで右足を負傷しているジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、まだ完全には回復していませんが、トップから1.499秒差の14番手。チームメートでMotoGPルーキーのティト・ラバトは20番手でした。
マルク・マルケス
マルク・マルケス
3月11日(金)から13日(日)までの3日間のカタール公式テストを終えて、中3日で開幕戦に挑んだMoto2クラスは、初日からレベルの高い接戦となりました。トップタイムをマークしたのはジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)で、2番手にサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)、3番手にアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)と公式テストで好調だった選手が上位につけました。
トップから1秒差に18台がひしめく大接戦となり、以下、中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)はトップから0.430秒差の8番手につけました。
Moto2クラスは、2010年にスタートして以来、Honda CBR600RRをチューニングした公式エンジンで争われています。精度の高い、耐久性のあるHondaエンジンが、今年もMoto2クラスを支えていきます。
ジョナス・フォルガー
Moto2クラス同様、初日2回の走行が行われたMoto3クラスも、レベルの高い接戦となりました。トップタイムは、公式テストで好調だったリビオ・ロイ(RW Racing GP BV)で、以下、1秒差に18台という大接戦となりました。
Honda勢は、ヤコブ・コーンフェール(Drive M7 SIC Racing Team)が8番手、ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が9番手、ホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が12番手、エネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)が14番手とトップから1秒差以内につけ、今年からMoto3クラスにデビューのカイルール・イダム・パウィ(Honda Team Asia)は21番手、尾野弘樹(Honda Team Asia)はトップから1.776秒差の23番でした。
テストからやや不調だった尾野は、体重が軽いためにマシンにウエイトを積まなければならず(Moto3クラスはマシン+ライダーで152kg以上)、そのウエイト(約7kg)の搭載位置を変更することで調子が上向きになりました。
リビオ・ロイ
ジョナス・フォルガー(Moto2 1番手)
「トップタイムを出せてとてもうれしいです。とてもいい初日になりました。先週のテストもよかったです。すべていい方向に向かっています。残りの週末に向けてとても快適です。テストの時点ですでにマシンのバランスもよかったです。路面コンディションが毎回変わるので、タイヤのフィーリングも変わりますが、少しずつ前進しています。今は自分のライディングで速く走れるように取り組んでいます」
サム・ロース(Moto2 2番手)
「昨年は転倒が多い一年でしたが、ウインターテストでは全く転倒しませんでした。しかし、今日は2度も転倒してしまいました。1度目の転倒は奇妙な転倒でしたが、2度目の転倒は自分のミスが原因でした。転倒の理由は分かっているし、最終的にはすばらしい一日になりました。2回目のセッションではレースディスタンスより長い距離を走って、その中でベストタイムを出すことができました。感触はとてもいいです。FP3へ向けて準備は整っています。チームも僕も一生懸命がんばりました。テストとは違い、MotoGPマシンが走っているので、路面にラバーが乗っていてコンディションが違います。明日はもう少し前進したいです。この調子で引き続き取り組みます」
アレックス・リンス(Moto2 3番手)
「FP1とFP2で違うタイヤを試しました。セットアップはテストと同じにして、いいリズムでラップタイムを出すことができました。長い一年なのでこの調子で引き続きがんばっていきたいです」
中上貴晶(Moto2 8番手)
「中3日のインターバルで雨が降って路面コンディションが変わったのと、今日から新しいエンジンが配布されて、クラッチの調整が完全ではなかったので、その部分でタイムをロスしていました。しかし、初日に1分59秒台に入れられたのでよかったと思います。トップとのタイム差もそれほどではないので、まずまずのスタートになったと思います。明日は走行が1回なので、時間をロスしないようにしっかり走りたいです」
リビオ・ロイ(Moto3 1番手)
「走り出しからフィーリングがよく、テストのときのように速く走ることができました。だれかについていったり、前のライダーをターゲットにして走ったというわけではなく、1人で出したタイムです。すばらしいスタートとなりました。もちろんこの調子を続けたいです。もう少し前進できるかもしれません。まだ改善の余地はあると思います。路面のコンディションを見ながらがんばりたいです」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 14番手)
「テストのときの課題だったフロントエンドの問題が解決したのでうれしいです。最終的に快適になりました。多くのライダーがすでに速いペースで走っていますが、僕たちも正しい方向性を見つけることができました。この調子で明日もがんばりたいです。マシンのセットアップがよくなったことで、全体的に機能するようになると思います。特に一周のタイムはよくなると思います」
尾野弘樹(Moto3 23番手)
「公式テストからあまり気持ちよく乗れていなかったのですが、今日はウエイトの搭載位置を変えたことでマシンの切り返しなどが楽になり、それがタイム短縮につながりました。昨年の自己ベストに比べればまだ1秒くらい遅いので、2日目のフリー走行では、それを目標にタイムを削っていきたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1'55.440 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.267 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | +0.296 |
4 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +0.370 |
5 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | +0.407 |
6 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | +0.611 |
7 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | +0.658 |
8 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | +0.818 |
9 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | +0.947 |
10 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | +0.972 |
11 | 38 | B.スミス | ヤマハ | +1.084 |
12 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | +1.156 |
13 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | +1.343 |
14 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | +1.499 |
15 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +1.541 |
16 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | +1.656 |
17 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.689 |
18 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | +1.752 |
19 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | +1.981 |
20 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | +2.476 |
21 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | +2.549 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | 1'59.566 |
2 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.091 |
3 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.112 |
4 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.165 |
5 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.323 |
6 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.330 |
7 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.413 |
8 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.430 |
9 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.472 |
10 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.483 |
11 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.577 |
12 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.591 |
13 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.599 |
14 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +0.613 |
15 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.750 |
16 | 39 | ルイス・サロム | KALEX | +0.885 |
17 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +0.954 |
18 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +0.982 |
19 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +1.067 |
20 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +1.069 |
21 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +1.176 |
22 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +1.191 |
23 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.220 |
24 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +1.296 |
25 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.908 |
26 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +2.229 |
27 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +2.294 |
28 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +2.524 |
29 | 33 | アレッサンドロ・トヌッチ | KALEX | +3.527 |
30 | 8 | エフレン・バスケス | SUTER | +4.123 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | 2'05.832 |
2 | 36 | J.ミル | KTM | +0.328 |
3 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.352 |
4 | 5 | R.フェナティ | KTM | +0.363 |
5 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +0.425 |
6 | 41 | B.ビンダー | KTM | +0.436 |
7 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +0.445 |
8 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.497 |
9 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.505 |
10 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +0.645 |
11 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +0.675 |
12 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.706 |
13 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +0.718 |
14 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.735 |
15 | 6 | M.エレーラ | KTM | +0.792 |
16 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.849 |
17 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +0.882 |
18 | 65 | P.エッテル | KTM | +0.952 |
19 | 16 | A.ミニョ | KTM | +1.129 |
20 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +1.322 |
21 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +1.658 |
22 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +1.733 |
23 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +1.776 |
24 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +1.819 |
25 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +1.853 |
26 | 98 | K.ハニカ | マヒンドラ | +2.066 |
27 | 10 | A.マスボー | プジョー | +2.088 |
28 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +2.130 |
29 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +2.222 |
30 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +2.391 |
31 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +2.590 |
32 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +3.833 |
33 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +4.570 |
ダニ・ペドロサ(MotoGP 7番手)
「幸いにも路面コンディションがよかったので、今日のプラクティスではデータを収集でき、有意義なものになりました。3月上旬のテスト最終日に使ったセットアップでスタートしましたが、途中で大きく変更しました。このセットアップにもう少し取り組んでいきたいです。マシンのセットアップの方向性を決めるために、今はデータを集めている段階ですが、それを徹底的に検証しなければなりません。0.1秒ずつギャップを縮めていくために、パワーデリバリーとシャシーのセッティングに取り組まなければなりません」
マルク・マルケス(MotoGP 8番手)
「今日から本当の2016シーズンがスタートしました。これまで経験してきた中で、最も難しいFP1になりましたが、徐々に前進できるようにがんばりました。フィーリングはあまりよくありませんでしたが、一生懸命、さまざまなことにトライしました。テストのときとなにが変わったのかを検証しなければなりません。カタールは路面コンディションがどんどん変わっていくので、上位のライダーたちに少しでも近づけるようにがんばります」
カル・クラッチロー(MotoGP 12番手)
「最初のプラクティスはそれほど悪くありませんでした。いくつか試さなければならないことがあったのですが、特別な変化はありませんでした。今日はリアにハードを使いましたが、コーナーの進入でまだ少し苦戦しています。しかし、路面が砂で汚れていたことを考慮すれば、全体的には満足しています。何人かのライダーはセッションの最後にタイヤを変えていましたが、僕たちはその必要性を感じませんでした。今回のレースは難しいものになると思います。今日は最高のセッションとはなりませんでしたが、最悪のものでもありませんでした」
ジャック・ミラー(MotoGP 14番手)
「2週間前のテスト時に比べると右足の調子はよくなりましたが、まだ満足できる状態ではありません。しかし、セットアップを前進させることができたし、予選やレースに向けていい方向性を見つけることができました。もう少しフロントエンドを安定させられれば、もっと速いタイムを出せると思います。昨日の雨で路面は少し汚れていました。風もありました。そうした状況の中で全体的にはいいスタートになりましたが、もっと上位との差を縮めなければなりません」
ティト・ラバト(MotoGP 20番手)
「テストのときとは違う方向性を試したのですが、まだフロントの信頼性が足りません。常に限界で走っているような気がします。大きな変更を行いましたが、完全な状態にはなりませんでした。明日は、いくつか違うセットアップのオプションを試す必要があります。このような状態でプッシュして転倒することに意味はありません。解決策を見つけるためにも、しっかりセットアップを進めなくてはいけません」