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July 10/11/12 2015 MotoGP GoPro Motorrad Grand Prix Deutschland

ドイツGP ドイツGP

ドイツGPプレビュー

第9戦ドイツGPが、7月10日(金)~12日(日)の3日間、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開催されます。ザクセンリンクの歴史は古く、1927年に初めて公道を使ったレースが行われ、1961~72年には、東ドイツGPの舞台となりました。そして、90年に東西ドイツが統合されるとザクセンリンクでのグランプリ復活を望む声が高まり、全面改修を受けた1998年に「ドイツGP」の舞台として復活し、今年で18回目を迎えます。

ドイツGPプレビュー

グランプリが復活した当初は、一周3.508kmのショートコース。タイトなコーナーが連続し、ストレートも短く、エンジンパワーをほとんど発揮できないレイアウトでした。そのため、2001年にコース後半部分が改修されて、3.704kmへと延長されます。さらに、03年にはコース幅を広げる改修が行われ、全長は3.671kmへとわずかに短くなりましたが、MotoGPマシンのパフォーマンスを発揮できるコースに生まれ変わりました。ザクセンリンクは、パッシングポイントの多い白熱した戦いが繰り広げられるサーキットとして、選手たちにも好評です。

過去17回の大会でHondaは11勝を挙げています。ザクセンリンクで優勝してきたHondaライダーは、ミック・ドゥーハン、アレックス・バロス、バレンティーノ・ロッシ(現ヤマハ)、セテ・ジベルナウ、マックス・ビアッジ。そして、Repsol Honda Teamで10年目のシーズンを迎えるダニ・ペドロサは過去4勝を挙げています。さらに、デビューした13年に史上最年少記録でチャンピオンに輝いたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、2013~14年で2連勝を達成してファンを喜ばせました。

2年連続でMotoGPクラスのチャンピオンに輝いたマルケスは、10年には125cc、11年、12年にはMoto2クラスを制しています。そして、13年、14年は最高峰クラスを制し、ドイツGPでは5連勝を達成しています。今年は8戦を終えて総合4位。優勝1回、2位2回と苦戦のシーズンになっていますが、前戦オランダGPで復調を感じさせる走りを見せているだけに、今季2勝目とドイツGP6連勝への期待が膨らんでいます。

ザクセンリンクは、テクニカルなコースレイアウトに加え、ブラインドコーナーが多く、シーズンを通じて最も攻略の難しいサーキットの一つです。昨年の大会で、マルケスは1970年にジャコモ・アゴスチーニが達成して以来、44年ぶりという開幕9連勝を果たしています。今年は、このサーキットで圧倒的な強さを発揮してきたマルケスの復活に、世界中のファンが注目しています。

チームメートのペドロサも、ザクセンリンクを得意としています。過去、250ccクラスで2勝、最高峰クラスでは、自身最多の大会4勝を挙げるなど、相性のいいサーキットの一つです。一昨年は、フリー走行での転倒の影響で決勝レースをキャンセルしましたが、ウエットからドライへと変化する難しいコンディションとなった昨年は、マルケスと1-2フィニッシュを達成しています。

今年は開幕戦カタールGPを6位で終えたあと、腕上がりの手術を行い、3戦を欠場しました。第5戦フランスGPで復帰してからは、第6戦イタリアGPで4位、第7戦カタルニアGPで3位と復調をアピールしてきました。前戦オランダGPは、ウォームアップで転倒した影響から決勝は8位に終わりましたが、今大会は、シーズン2回目、そして今季初優勝に期待がかかります。

8戦を終えて総合7位につけるカル・クラッチロー(CWM LCR Honda)は、第3戦アルゼンチンGP以来、5戦ぶりの表彰台を狙います。前戦オランダGPでは6位でフィニッシュ。フランス、イタリア、カタルニアと3戦連続で転倒リタイアという悪い流れに終止符を打ちました。しかし、上り調子を感じているクラッチローとしては不本意な結果であり、今大会は、シーズン2回目、そしてドイツGPでは2年ぶりの表彰台を狙います。

MotoGPクラスで2年目のシーズンを迎えるスコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、ファクトリーマシン「RC213V」のパフォーマンスを十分に発揮することができていません。この数戦は上り調子を感じさせていますが、なかなか結果につなげることができず、フラストレーションをためています。今大会は、今季ベストリザルトとなった第7戦カタルニアGPの7位以上を狙っています。

Hondaのオープンカテゴリーマシン「RC213V-RS」は、ルーキーのジャック・ミラー(CWM LCR Honda)が、今季4度目のポイント獲得と初のシングルフィニッシュを狙います。昨年の大会ではMoto3クラスで優勝。今年はMotoGPマシンのパワーに慣れるシーズンですが、8戦を終えて総合18位。「RC213V-RS」勢ではトップの成績を残し、成長を感じさせています。

総合21位のニッキー・ヘイデン(Aspar Team MotoGP)は、今季3度目のポイント獲得とシングルフィニッシュが目標になります。チームメートで総合22位のユージン・ラバティは、フランス、イタリア、カタルニアと3戦連続ポイント獲得。しかし、前戦オランダGPではオープンカテゴリートップを狙いながら転倒リタイアという悔しい結果に終わっているだけに、今大会はその雪辱に挑みます。

第7戦カタルニアGPで転倒し、左足甲を負傷したカレル・アブラハム(AB Motoracing)は、今大会も欠場。代役として青山博一が出場します。青山博一は、第2戦アメリカズGP、第3戦アルゼンチンGP、第4戦スペインGPにペドロサの代役として参戦、今季4度目の代役出場となります。

Moto2クラスは、前戦オランダGPでシーズン3勝目を挙げたヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が、2位以下に大きなリードを築いています。カタルニアGP、オランダGPの過去2戦は、ポール・トゥ・ウインと絶好調。Moto2(250ccクラスを含む)クラスでは、2003年のランディ・ド・プュニエ以来となるフランス人選手のシーズン3勝目を達成しました。今大会も優勝候補の筆頭です。

そのザルコを45点差で追うディフェンディングチャンピオンのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、先週、スペインのアルメリアサーキットで行った練習走行中に転倒して、右鎖骨を骨折、左手親指を負傷しました。手術を終えてドイツGPに出場する予定ですが、厳しい戦いを強いられることになりそうです。総合3位のサム・ローズ(Speed Up Racing)は、前戦オランダGPで5戦ぶり今季3度目の表彰台を獲得しました。ヨーロッパラウンドに入ってからは、表彰台にあと一歩届かない4位で終えるレースが続いていたストレスを発散し、今大会でシーズン4度目の表彰台と2勝目を狙います。

中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、今季2度目のシングルフィニッシュを目標に今季ベストリザルトを狙います。チームメートのアズラン・シャー・カマルザマン(IDEMITSU Honda Team Asia)は、前戦オランダGPで16位とポイント獲得にあと一歩。今大会は今季2度目のポイント獲得を目指します。

Moto3クラスは、8戦を終えて4勝を含む7度の表彰台を獲得しているダニー・ケント(LEOPARD Racing)が2位以下に大量リードを築いています。シーズン前半戦の締めくくりのレースで、さらにリードを広げる意気込みです。2位には、今シーズン、大きな成長を遂げたエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Team Moto3)が57点差でケントを追います。ここまで2位が3回のバスティアニーニは、初優勝に闘志を燃やしています。

以下、エフレン・バスケス(LEOPARD Racing)が総合5位、前戦オランダGPで今季2度目の表彰台に立ったルーキーのファビオ・クアルタラロ(Estrella Galicia 0,0)が総合6位、ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が総合10位と、トップ10に5台のHonda勢が名前を連ねています。尾野弘樹(LEOPARD Racing)は、今季4度のポイント獲得で総合20位。今大会は目標とするシングルフィニッシュを目指します。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合4位)
「前戦オランダGPはいい仕事ができました。そしてポジティブな進展を遂げることができました。まだいくつか解決しなければならないことがありますが、明らかに一歩前進することができたと思います。ザクセンリンクは、ほかのサーキットと違い、小さく、タイトなコーナーが連続するサーキットです。過去には、ここでいい結果を残してきました。今週末もいい結果になることを願っています。ここも天候がトリッキーなので、最初のセッションから一生懸命取り組まなければなりません」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合7位)
「この数戦、いいペースで走ることができています。しかし、いくつかの理由で思ったような結果に結びつけることができませんでした。アッセンでは集団につかまってしまったので、今大会は集団の前に出られる方法を見つけられるように、フリー走行から一生懸命がんばらなければなりません。ザクセンリンクは好きなサーキットです。2年前には2位を獲得しました。今年はサテライトマシンで、トップフィニッシュできると思います」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合10位)
「ザクセンリンクを楽しみにしています。このサーキットは楽しくレースができます。昨年はクレイジーなレースになりましたが、いいパフォーマンスを発揮することができました。今年もマシンはうまく機能し始めています。夏休みに入る前に、今回のGPでさらに進展できることを願っています。腕はよくなってきています。トップグループで戦うためにも、体調が改善してきたというのは重要なことだと思います。ペースはよくなってきていますので、今週末もまた一歩前進できることを願っています」

スコット・レディング(MotoGP 総合14位)
「今大会は厳しい週末になると思います。ザクセンリンクは馬力ではなく、コーナリングスピードやエッジグリップが大事なサーキットだからです。昨年の経験から、ソフトタイヤを使えるオープンクラスライダーがフリー走行や予選では前に出てくると思います。しかし、今大会の目標はこれまでと変わらず、Hondaのファクトリーライダーとのギャップを縮めることです。今年はここまで、マシンのセットアップに取り組んできました。今週末は電子制御に集中して取り組み、改善できればと思います」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合18位)
「トリッキーなレースをいくつか終えて、今週はザクセンリンクです。今年は、どのサーキットでも常に学んでいます。これは大きなことです。ザクセンリンクはいいサーキットですが、Moto3マシンとMotoGPマシンとでは少し違うと思います。コーナーが多く、ストレートらしいストレートはないので、大変な仕事になると思います」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合21位)
「ザクセンリンクのような左周りのコースが好きなので、楽しめると思います。特にタイトなコーナーが続くコース前半は好きです。このサーキットはグリップが重要になります。特にタイヤのエッジグリップとタイヤのマネージメントがとても重要になります。コース前半はタイトで曲がりくねっていますが、後半は速く、すばらしいダウンヒルコーナーがあります。ドイツではできる限りいい結果を残して夏休みに入りたいです。ここはグリッドが重要になるので、予選のパフォーマンスを上げたいです」

ユージン・ラバティ(MotoGP 総合22位)
「夏休み前の最終ラウンドでいい結果を出すのは大事なことです。うまくいかず、もやもやした気分で1カ月も待たなければならないようなレースにはしたくありません。ここは250ccクラスに参戦していたときに走ったことがあるサーキットですが、MotoGPマシンでは初めてになります。前回のアッセンではオープンクラスの優勝争いをしているときに転倒してしまいました。オープンクラス優勝という目標に手が届くところまで来ているように感じています。もしそれが達成できたら、最高の形で夏休みに入れます。ザクセンリンクにはロングコーナーがたくさんあるので、コーナリングがカギになってきます。シャシーのバランスに集中して取り組みたいと思います」

青山博一(MotoGP 総合23位)
「まずは、カレルが早くよくなることを願っています。僕を呼んでくれたチームに感謝しなければなりません。こうしてザクセンリンクでパドックに戻ってくることができるのはとてもうれしいことです。ザクセンリンクは大好きなサーキットの一つです。250cc時代に優勝したことがあるし、何度か表彰台に上がったことがあります。このサーキットはとてもタイトでテクニカルなので、カレルのマシンに慣れることは非常に重要になってきます。特にFP1は大変だと思います。マシンに少しでも早く慣れるようにしたいです。初めて乗るマシンなので、レースの結果を予想するのは難しいですが、ベストを尽くします」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合1位)
「この数戦、すばらしい結果が続いています。今大会も、これまで通りに戦っていきたいです。マシンのセットアップに全力を尽くし、あとはレースを楽しむということです。昨年は転倒して厳しい時を過ごしました。でも、今シーズンは、昨年よりかなりいいポジションにいるし、いい結果を出すのが楽しみです」

ティト・ラバト(Moto2 総合2位)
「数日前に手術を行いました。すでにトレーニングに戻っており、肩の調子はいいです。金曜日にマシンに乗るまでは調子は分かりませんが、ハードブレーキングが問題だと思います。しかし、ザクセンリンクはそれほどハードブレーキングゾーンがありません。レースに向けて大事なことは、ケガをしている部分にあまり負担をかけないようにしながらセッションをこなすことです。それ以外は、いつもと同じように取り組んで、日曜日にベストを尽くしてできる限り高いところでフィニッシュするようにがんばります。表彰台に上がることができればうれしいです。前戦オランダGPで表彰台に立ったので、ザクセンリンクは表彰台に上がっていない唯一のサーキットになりました」

中上貴晶(Moto2 総合17位)
「前戦オランダGPは多重クラッシュで赤旗中断になり、再開されたレースでは1コーナーのライン取りに失敗して、後続グループに飲み込まれてしまいました。その結果、大混戦の中で序盤にペースを上げられずポジションを落とし、納得のいかない結果に終わりました。しかし、スタートミスと序盤にペースを上げられなかったのは自分の責任なので、ドイツでは、混戦の中でもパフォーマンスを発揮できるような状態に仕上げたいです」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「ザクセンリンクは大好きなサーキットの一つなので楽しみです。コースレイアウトはこれまでのコースとかなり違いますが、Hondaのマシンでは速く走れると信じています。それよりもチームと合流して、マシンに乗るのがとても楽しみです。プランはいつもと同じです。一生懸命取り組んでチャンピオンシップのリードを広げられるように努力するだけです。そして、いい気持ちで夏休みに入ることです。ザクセンリンクはチームのホームレースなので、彼らのためにもがんばります」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合2位)
「昨年のザクセンリンクは、1周目に接触して大きくポジションを落とす運のないレースとなりました。今年はいい結果を出せることを願っています。予選の1周のタイムで速くてもレース終盤に苦戦するので、決勝に向けてのセットアップが重要になります。今週はこの部分に取り組みます。前進できると思います」

エフレン・バスケス(Moto3 総合5位)
「アッセンではノーポイントに終わってしまいましたが、自信をもってザクセンリンクへ向かいます。すでに気持ちを切り替えました。ザクセンリンクは夏休み前の最後のレースなので、力強い結果を出せるように全力を尽くします。さらに今回はチームのホームレースです。彼らのすばらしいサポートに対してすばらしいパフォーマンスで応えたいです」

ファビオ・クアルタラロ(Moto3 総合6位)
「ドイツグランプリはこれまでのサーキットとはかなり違いますが、アッセンで表彰台に上がったあとなので、モチベーションは非常に上がっています。初めて走るサーキットですが、今週末も同じ仕事ができるようにがんばります。特にユーズドタイヤでいいペースを出したいと思います。前に出られるようにベストを尽くしたいです。過去のビデオを見てきましたが、難しい週末になることは間違いありません。コース序盤の低速セクションでも、後半の高速セクションでも快適に走れるようにマシンをセットアップしなければなりません」

尾野弘樹(Moto3 総合20位)
「前戦オランダGPは、予選が22番手とグリッドが悪く、それが決勝レースに大きく影響しました。今回も初めて走るサーキットなので、フリー走行で着実にセットアップを進め、コースを攻略して予選に挑みたいです。今大会はチームのホームGPとなります。あっという間の前半戦でした。シングルフィニッシュ、表彰台獲得という目標に向けて全力を尽くします。シーズン前半戦最後のレースなので、いい走りがしたいです」