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MotoGP

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June 25/26/27 2015 MotoGP Motul TT Assen

オランダGP オランダGP

オランダGPプレビュー

第8戦オランダGPが、6月25日(木)~27日(土)までの3日間、オランダ北東部に位置するTTサーキット・アッセンで開催されます。アッセンで開催されるオランダGPは、グランプリで最も長い歴史と伝統を誇り、1949年の第1回大会から休むことなく開催されてきました。

オランダGPプレビュー

グランプリの歴史の中で、同一サーキットで連続開催されてきたのはここだけであり、今年で67度目の開催となります。またオランダGPは、6月最終週の土曜日に開催されてきましたが、その伝統は現在も続いています。

その長い歴史の中で、サーキットは数々の変遷をたどってきました。グランプリが開催された当初は、公道を使用する16.536kmのロングコースでしたが、その後はマシンやタイヤの進化に合わせ、何度もコースが改修されてきました。2006年には、大幅なコース改修が行われ、長らく活躍した5.997kmのコースは、4.555kmへと短縮。コーナーの数は23から18に変更されました。

5.997kmの旧コースは、高速コーナーが連続するレイアウトで、個性が際立つサーキットとして選手たちから愛されていました。現在は、時代のニーズに合わせた近代的なコースへと変化しましたが、フィリップアイランド(オーストラリアGP)、シルバーストーン(イギリスGP)、ムジェロ(イタリアGP)に匹敵する高速サーキットであり、現在でも選手たちに人気です。また、パッシングポイントが多いことから、毎年、熱いバトルが繰り広げられます。

アッセンは、天候が変わりやすいことで知られており、目まぐるしく変化する天候は“ダッチウェザー”と呼ばれています。そのため、ドライコンディションのもとでは、着実にセットアップを進めることが必要となるサーキットで、チームと選手には集中力が要求されます。

シーズン7戦を終えて、総合5位と苦戦を強いられているマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、得意とするアッセンからの巻き返しに闘志を燃やしています。125cc時代の2010年に優勝。Moto2クラスでは、11年、12年と2年連続で優勝。MotoGPクラスでは、デビューした13年に2位、昨年の大会では“フラッグ・トゥ・フラッグ”の難しいレースを制し、3クラス制覇を達成しました。今年はMotoGPクラスでは2年連続、アッセンでは5度目の優勝を目指します。

右前腕部の腕上がりの手術から復帰して4戦目を迎えるダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、2戦連続の表彰台と、今季初優勝を目指します。復帰戦となった第5戦フランスGPでは、転倒再スタートで16位という結果でしたが、次のイタリアGPでは表彰台にあと一歩となる4位。前戦カタルニアGPでは3位になり、シーズン初表彰台を獲得しました。昨年の大会では不安定な天候のもとで行われた決勝レースで3位。今大会はマルケスとともに、今季初、Repsol Honda Teamの2人によるダブル表彰台を目指します。

過去3戦、転倒が続いているカル・クラッチロー(CWM LCR Honda)は、悪い流れに終止符を打ち、巻き返しに挑みます。フリー走行と予選では、表彰台争いに確実に加われる走りを披露しているだけに、今大会は、それを結果につなげる意気込みです。前戦カタルニアGPで、今季ベストの7位でフィニッシュしたスコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、さらに上位を目指します。

Hondaのオープン車「RC213V-RS」で出場する、ルーキーのジャック・ミラー(CWM LCR Honda)は、前戦カタルニアGPで今季ベストの11位でフィニッシュ。今大会は、初のシングルフィニッシュを目指します。ニッキー・ヘイデン(Aspar MotoGP Team)は、過去にアッセンで優勝経験があり、得意とするコース。ここ2戦はリタイアを喫していますが、今大会はシーズンベストリザルトを狙います。過去3戦、ポイントを獲得して調子を上げているユージン・ラバティ(Aspar MotoGP Team)にとっても、アッセンはスーパーバイク世界選手権時代に経験のあるサーキット。彼もベストリザルトを目指します。

カタルニアGPで転倒して左足の甲を骨折したカレル・アブラハム(AB Motoracing)は、今大会、欠場することになりました。

Moto2クラスは、ヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が、第2戦アメリカズGPから6戦連続で表彰台に立ち、2位以下に大きなリードを築いています。前戦カタルニアGPでは今季2勝目。「今大会も優勝を狙います」と、気合満点で挑みます。

総合2位につけるディフェンディングチャンピオンのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、40点差でザルコを追います。これまで、オランダGPでは表彰台に立ったことがありません。ラバトにとっては厳しい戦いが予想されますが、アッセンでの初表彰台を目標に全力で挑みます。

総合3位のサム・ロース(Speed Up Racing)も、3戦連続の4位というリザルトに終止符を打ち、今季3度目の表彰台、今季2勝目を狙います。

昨年の予選は、不安定な天候にもかかわらず、1秒差以内に15台という接戦となりました。その中で5番手につけた中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が今季ベストを狙います。チームメートのアズラン・シャー・カマルザマンも、今季2度目のポイント獲得に挑みます。

Moto3クラスは、前戦カタルニアGPで今季4勝目を挙げて、2位に51点差をつけるダニー・ケント(LEOPARD Racing)が、2連勝と今季5勝目を狙います。12年の大会では、キャリア初の表彰台を獲得しました。思い出深いサーキットで、初優勝を狙います。総合2位につけるエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Team Moto3)もアッセンでの初表彰台、そして初優勝を狙います。

総合4位のエフレン・バスケス(LEOPARD Racing)は、前戦カタルニアGPで今季3度目の表彰台を獲得。第5戦フランスGPと第6戦イタリアGPにおいて、2戦連続となる転倒リタイアを喫していたバスケスは、その流れに終止符を打ちました。前戦カタルニアGPで転倒リタイアの尾野弘樹にとって、今大会は初体験のサーキットですが、第7戦以来のポイントを獲得する意気込みです。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合5位)
「ホームレースのカタルニアでは、転倒リタイアとなってしまい、本当に残念でした。今はそれを忘れて、アッセンへ向かいます。カタルニアGP後の月曜日のテストを、最大限に活用できず残念でしたが、それはみんなも同じことです。アッセンはマシンとの相性があまりよくありませんが、好きなサーキットです。いつものように、木曜日の午前中から一生懸命取り組み、マシンのセットアップを進められることを願っています。アッセンの天候はいつも予測不可能で、レースウイークを左右します。天候に合わせて走行することになります」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合7位)
「カタルニアGP後のテストで、いくつか新しいセッティングにトライしました。しかし、天候に恵まれず、たった4ラップを走っただけで終わってしまいました。過去3戦、転倒が続いています。そのうちの2つは、我々のミスではありませんでしたが、とても残念です。ここまで、我々のペースは悪くありません。ファクトリーチームのライダーに非常に接近していますし、サテライトチームではベストだと思います。アッセンは好きなサーキットです。ファンもすばらしいです。天候に恵まれることを願っています」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合10位)
「バルセロナでは表彰台に上がることができ、とてもうれしかったです。月曜日のテストは、悪天候のためにそれほど走ることができず残念でしたが、腕の調子は走るたびによくなっています。いい状態を維持するためにも、マシンに取り組まなければなりません。毎年のことですが、アッセンは天候がカギを握ります。ドライコンディションの時間を最大限に活用する必要があります。このサーキットは好きですが、高速コーナーがいくつかあるので、いいセッティングとタイヤの感触を見つけることが重要になります」

スコット・レディング(MotoGP 総合13位)
「カタルニアGPは、今シーズンにおける最高のレースの一つでした。今週末は、それをステップにがんばらなければなりません。アッセンは大好きなサーキットの一つです。マシンにもよく合うと思います。力強くレースウイークをスタートし、レースではセカンドグループについていくことが目標です。先週のバルセロナでのテストは、雨で走れる時間が限られてしまいましたが、マシンの感触はウエットでもよかったです。雨が降る確率が高いアッセンでは、これは重要なことだと思います」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合18位)
「カタルニアGP後に行われたテストは、天候に恵まれませんでしたが、1つだけ、いい方向性をみつけられました。雨天での走行で、雨の多いアッセンに向けて、いいテストができたからです。アッセンでは、Moto3に出場していた昨年の大会でポールポジションを獲得していますし、いい思い出があります。アッセンでは、セッティングで最も重要な、フロントのフィーリングをもう少し改善しなければなりません」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合21位)
「アッセンはすばらしいサーキットで、いつもすばらしいレースが繰り広げられます。今週はいい週末になることを願っています。ここ数戦、予選でのペースを上げられましたが、これからはレースでそれをしなければなりません。ムジェロでは転倒してしまいましたが、自分のミスではありませんでした。そしてバルセロナでも転倒してしまいました。2戦連続でノーポイントとなったのは残念です。アッセンではその分を取り戻すのが目標です。通常、アッセンのグリップはよく、高速コーナーやおもしろいコーナーがあります。第7戦カタルニアGPのあとのテストは、実りのあるものとはなりませんでしたが、少なくとも電子制御に関していくつか確認できました。アッセンは、雨が降る可能性があるので役に立つと思います。今週はチームのためにも、いい結果を残せるよう願っています」

ユージン・ラバティ(MotoGP 総合22位)
「慣れないサーキットが3カ所続きました。今週はよく知るサーキットに戻れるので楽しみです。アッセンでは、スーパースポーツ世界選手権とスーパーバイク世界選手権への参戦時に優勝経験があります。MotoGPクラスではトップ3フィニッシュを狙いたいです。前戦カタルニアGPでは方向性を見つけることができ、自信を取り戻せました。チームは引き続き100%の力で僕をサポートしてくれていますし、前進できるようにHondaもサポートしてくれています。非常に感謝しています。すべてが本当にまとまってきています」

カレル・アブラハム(MotoGP 欠場)
「今年は思うようなレースができていません。いろんな不運が重なりました。これにストップをかける必要があります。しかし、前戦のケガで今大会も欠場することになりました。本当に残念です。その次のドイツGPで復帰して、ポイントを獲得できるようにがんばります」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合1位)
「アッセンは、バルセロナのカタルニアサーキットとは全く違うサーキットです。高速コーナーがいくつかありますが、それほど多くないので、ソフトタイヤを使うことになります。マシンのセットアップも変わってきますが、リラックスして取り組まなければなりません。自分たちの弱い部分を理解して、チームとの経験をアドバンテージに変えたいです。天候も重要になってきます。雨が降る可能性もあるので、準備する必要があります。一番の目標は優勝ですが、レースでは冷静に状況を読まなければなりません。最後のシケインまで気の抜けないレースになります」

ティト・ラバト(Moto2 総合2位)
「アッセンとザクセンリンクはあまり得意なサーキットではありません。Moto2クラスにおいて、この2カ所だけは表彰台に上がったことがありません。でも、チャンピオンシップを戦うためには、ほかのサーキットと同じように速くならなければなりません。それが今週の目標になります。アラゴンでのテストはとてもポジティブな結果を出せたので、自信を持ってアッセンへ向かえます。いつものようにすべてのセッションに一生懸命取り組み、土曜日のレースでは優勝争いができるようにがんばりたいです」

サム・ロース(Moto2 総合3位)
「これまで経験したサーキットの中で、アッセンは大好きなコースの一つです。開幕を楽しみにしています。過去3戦連続で4位ですが、このリザルトにストップをかけて、さらにいいリザルトを獲得できると思います。今大会が本当に楽しみです」

中上貴晶(Moto2 総合17位)
「カタルニアGPは、セッティングが決まらず厳しいレースになりました。予選も決勝も、今年最も悪いリザルトでした。しかし、レース後のテストでは、いろいろなことにトライして、ベストタイムもロングランのアベレージも大きく改善できました。この走りをアッセンに生かしたいです」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「アッセンはシーズンを通じて大好きなサーキットの一つです。走っていて本当に楽しいですし、グランプリで初めて表彰台を獲得したサーキットです。Hondaのマシンに合っているレイアウトだと思いますし、今年も楽しみにしています。過去2戦は大接戦になりました。しかし、ムジェロやカタルニアのような長いストレートがないので、ここでは何台かのマシンが、集団から逃げられると思います。レースウイークの天気予報はあまりよくありませんが、準備はできています」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合2位)
「アッセンはとても好きです。コースのレイアウトはムジェロやカタルニアのサーキットと違い、低速コーナーのエリアがいくつかあります。これらのセクションで、マシンの動きを確認しなければなりません。もしかしたら、最大のライバルと比べて足りないものがあるのかもしれません。でも、いいセットアップを見つけられると思います。そしてまたいいレースができるはずです」

エフレン・バスケス(Moto3 総合4位)
「前戦カタルニアGPは、厳しい戦いになりましたが、その中で3位になり、大きな自信になりました。アッセンでも、カタルニアのようなレースをしたいです。今大会の目標も表彰台に立つことです。アッセンのレイアウトはすばらしいです。開幕を楽しみにしています」

尾野弘樹(Moto3 総合19位)
「カタルニアGPでは、転倒してしまいました。7戦を終えて、4度目のリタイアなので、今回は絶対に完走したいです。フリー、予選と、だんだん自分の走りができるようになってきました。ただ、それが決勝につながっていません。ここからは初めて走るサーキットが続くので、それが最大の課題になります。初めて走るサーキットを楽しみたいです」