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May 15/16/17 2015 MotoGP Monster Energy Grand Prix de France

フランスGP フランスGP

フランスGPプレビュー

第5戦フランスGPが、5月15日(金)~17日(日)の3日間、ル・マン・サーキットで開催されます。フランスGPは、1951年にアルビで第1回大会が行われ、その後、ルーアン、ランス・グー、クレルモン・フェラン、ル・マン、ポール・リカール、ノガロ、マニクールなどで開催されてきました。今年で52度目を迎えます。

フランスGPプレビュー

ル・マンでは、1969年に初めてフランスGPが開催されました。その後、ポール・リカールとル・マンを主な舞台とし、2000年からは、ル・マンがフランスGPの地として定着しました。今年で16年連続、通算28度目の開催となります。

パリの南西約200kmに位置するル・マンは、四輪車の24時間耐久レースの舞台として世界的に知られています。このレースは、一部市街地を利用するサルテ・サーキットで行われますが、二輪のグランプリとニ輪の24時間耐久レースは、一周4.185kmのブガッティ・サーキットで開催されます。

ル・マンで開催されるフランスGPは、2000年以降、5月開催が定着しました。この時期のル・マンは天候が変わりやすく、レース中の天候の変化によるフラッグ・トゥ・フラッグが何度も行われてきました。ル・マンでは、晴れると気温が高くなる一方、天候が崩れると気温が下がるという、選手やチームにとっては、コンディションの見極めが難しいレースになります。

昨年の大会は、史上最年少チャンピオンのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、ポール・トゥ・ウインを達成しました。MotoGPクラスにデビューした13年は、雨が降る中、ポールポジションから3位でフィニッシュしました。青空が広がった昨年の大会は、オープニングラップに他車との接触を避けるためにオーバーラン。ポジションを大きく落としましたが、すばらしい追い上げで優勝を果たし、集まったファンを喜ばせました。

前戦スペインGPでは、トレーニング中に左手小指を骨折、手術から1週間という厳しい状態で大会に挑みましたが、予選2番手、決勝2位というすばらしい結果を残しました。左手小指の状態が快方に向かっている今大会は、第2戦アメリカズGP以来のシーズン2勝目が期待されます。

チームメートのダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、今大会から復帰します。今年は開幕戦カタールGPで右前腕部の腕上がりに苦しみ、カタールGPを終えたあとに手術を受けました。前戦スペインGPで復帰する予定でしたが、十分に回復していなかったことから、復帰は第5戦フランスGPまで見送られました。ペドロサはこれまでル・マンにおいて、125ccクラスで1度、250ccクラスで2度、MotoGPクラスでは13年に1度優勝しています。復帰戦となる今年は、フランスGPでの5度目の優勝を目指します。

CWM LCR Hondaに移籍して5戦目を迎えるカル・クラッチローは、今季2度目の表彰台と初優勝を狙います。今年は開幕戦カタールGPと第2戦アメリカズGPで連続7位と、シーズン序盤はフリー走行や予選のスピードをなかなか結果につなげることができませんでした。しかし、第3戦アルゼンチンGPで今季初表彰台となる3位に入り、続く第4戦スペインGPは4位でフィニッシュしました。レースをこなすにつれて表彰台争いの常連となってきたクラッチローの、今大会の活躍が注目されます。

Repsol Honda Teamの2人やクラッチローと同じく、RC213Vを駆るスコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、フリー走行と予選では、マシンのポテンシャルを引き出せるようになってきていますが、決勝ではなかなか結果に結びつけることができていません。前戦スペインGPのあとに行われた公式テストでは、徹底的に走り込みを行いました。今大会はその成果を発揮する意気込みです。

Hondaのオープンカテゴリーマシン「RC213V-RS」に乗る4選手も、ル・マンに闘志をかき立てられています。ルーキーながら、4戦を終えて2大会でポイントを獲得しているジャック・ミラー(CWM LCR Honda)は、今季3度目のポイント獲得とベストリザルトを目指します。ニッキー・ヘイデン(Aspar MotoGP Team)も第2戦アメリカズGPの13位を上回る、今季ベストリザルトを目指します。カレル・アブラハム(AB Motoracing)とユージン・ラバティ(Aspar MotoGP Team)は、今季初ポイントを狙います。

Moto2クラスは、ウインターテストで好調だったヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が、4戦を終えて1度の優勝と2度の優勝という安定した走りでランキングトップ。前戦スペインGPで今季2勝目を挙げたジョナス・フォルガー(AGR Team)が2位に浮上。Moto2クラスのルーキー、アレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)が3位と続き、トップから3位までが24ポイント差となっています。

以下、トーマス・ルティ(Derendinger Racing Interwetten)、フランコ・モルビデリ(Italtrans Racing Team)、サム・ロース(Speed Up Racing)、ディフェンディングチャンピオンのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、ザビエル・シメオン(Federal Oil Gresini Moto2)、ミカ・カリオ(Italtrans Racing Team)、ハフィズ・シャーリン(Petronas Raceline Malaysia)と続き、ここまでがトップ10。これまで接戦が続いているMoto2クラス。毎年フランスGPは、厳しい戦いが繰り広げられます。ランキング争いでも接戦が続いているだけに、今大会も熱い戦いとなりそうです。中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、第2戦アメリカズGPの10位を上回る、今季ベストリザルトを目指して気合十分です。

Moto3クラスは、ダニー・ケント(LEOPARD Racing)が第2戦アメリカズGP、第3戦アルゼンチンGP、第4戦スペインGPと3連勝を達成し、ランキングトップをひた走っています。総合2位に今季2度の表彰台に立っているエフレン・バスケス(LEOPARD Racing)、総合3位にルーキーのファビオ・クアルタラロ(Estrella Galicia 0,0)、総合4位にエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Team Moto3)と、Honda勢が上位4位までを独占。今大会は、Honda勢の開幕からの5連勝に期待が寄せられます。尾野弘樹(LEOPARD Racing)は、今季2度目のポイント獲得を目指します。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合4位)
「第4戦スペインGPが終わってから休息を取ることができ、今週末に向けてだいぶ力がわいてきました。手術をしてくれたバルセロナのミル先生に会い、指を診察してもらいました。確実によくなってきています。100%治すことが目標なので、この1週間はあまりトレーニングをしませんでした。ル・マンのサーキットは好きです。天気が変わりやすいですが、昨年はとてもいい天気で、MotoGPクラスでは初めてル・マンで優勝しました。今年もいい天気になることを願っています」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合6位)
「ヘレスでテストを行い、さらに準備を整えてル・マンへ向かいます。スペインでは4位に入れたので、モチベーションがとても上がっています。ここまでのところ、まだ改善しなければならない部分はありますが、かなりうまくいっています。今週末で最も気になっているのは天候です。ドライレースか、もしくは完全なウエットレースになってほしいです。どっちつかずのコンディションで、セットアップがとても難しいからです。2013年には2位に入りました。Hondaのマシンではどんなレースができるのか楽しみです」

スコット・レディング(MotoGP 総合12位)
「ヘレスは難しいレースウイークでしたが、そのあとに行ったテストはとてもよかったです。100周以上走り、マシンについて再発見がありました。マシン自体はあまり変えず、自分のポジションだけを変えましたが、大きく異なりました。動きやすくなり、フロントタイヤを以前よりも簡単にコントロールできました。とても大きな一歩でした。精神的にかなりポジティブになり、ヘレスをあとにしました。ル・マンのプラクティスセッションで、ヘレスで学んだことを試すのが楽しみです。レースウイークを通してこの勢いをキープできれば、いい結果につなげられる自信があります」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合14位)
「手術をしてからこの数週間、ずっと治療を受けてきました。そして、確実によくなってきました。だんだん力が戻ってきていますし、マシンに乗るのが楽しみです。リハビリの成果を確認するにはちょうどいいです。チームに戻れるのがうれしいです。また、ル・マンでファンに会えるのも、もちろんうれしいです。2013年のように、天候が味方してくれることを願っています」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合16位)
「ル・マンをMotoGPマシンで走るのは初めてです。今は、すべてのサーキットで、MotoGPマシンについて学んでいるところです。昨年いたMoto3クラスでは、3位に入ったいい思い出があります。ヘレスでは難しいレースになりましたが、月曜日のテストでは、今大会に向けてのいい調整ができました」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合18位)
「ル・マンへ行くのが楽しみです。ヘレスのテストで見つけたことを、プラクティスセッションから発揮できることを願っています。テストで前進できたので、トップとのギャップを縮められると思います。ル・マンはハードブレーキングゾーンがあり、難しいサーキットです。そのエリアで自信を持ってアタックできるセットアップを見つけることが重要になってきます。またコーナー出口の加速にも取り組む必要があります。ル・マンの天候はとても変わりやすいので、いい天気になることを願っています。土曜日にいいグリッドを獲得するためにも、金曜日から一生懸命がんばる必要があります」

ユージン・ラバティ(MotoGP ノーポイント)
「第4戦スペインGPのあとのテストではすばらしい仕事ができました。リアグリップの問題に解決策を見つけられました。これはポジティブなことで、次のフランスGPが楽しみです。今シーズンは1周のペースはよくなってきているのですが、レースディスタンスでは安定性に欠けています。これもヘレスで解決できたような気がします。250㏄クラスでル・マンを走ったことがありますが、ずいぶん前のことです。今回はまるで初めてのサーキットのように感じます。でも問題はありません。できる限りの準備をしています。金曜日から全力で取り組み、ヘレスで見つけたいいペースをさらによくしていきたいです」

カレル・アブラハム(MotoGP ノーポイント)
「今シーズンはここまで、とにかく運がありませんでした。レースではそれを変えられると思っていますし、決してあきらめません。ル・マンでも引き続き努力して、マシンをよくし、ベストを尽くしたいです。それが報われることを願っています」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合1位)
「ホームグランプリに向けて落ち着いています。準備もしています。しっかりトレーニングをしているのでベストの状態です。ここまで1度の優勝と2度の2位入賞を果たしています。この状況に満足していますが、これをうまく生かさなければならないというプレッシャーもあります。ル・マンはあまり得意なサーキットではありません。しかし、小さなサーキットで、おもしろいセクションがあります。ただ同時に、ミスをしないよう慎重にならなければなりません。最初の高速コーナーと流れるようなシケインは好きです。カレックスでアドバンテージを得られると思います」

ジョナス・フォルガー(Moto2 総合2位)
「先週地元に戻ってから体調を崩しました。そのため今週のル・マンは厳しい週末になると思います。ずっと寝ていたので体力をかなり失いました。そのためトレーニングもできませんでした。さらに、抗生物質は、ル・マンのプラクティスセッションまで続けなければなりません。難しいと思いますがベストを尽くします。昨年の大会は、Moto2クラスで初のポールポジションを獲得できた、すばらしい思い出があります」

アレックス・リンス(Moto2 総合3位)
「ヘレスでは最終コーナーで転倒してしまい、もう少しでティト・ラバトも巻き込むところでした。彼のキャリアをもう少しで無駄にするところだったので、まずは、そのことを謝りたいです。ヘレスではいい仕事ができましたが、表彰台は獲得できませんでした。残念です。ルマンではもっと強くなり、引き続きいい仕事をしたいです」

中上貴晶(Moto2 総合19位)
「第4戦スペインGPまでは、なかなか思うような走りができませんでした。ここまでの4戦の中には、自分としてはかなり得意なサーキットがあっただけに、とても残念です。スペインGPは、タイヤのグリップの問題もあり、納得のいく走りができませんでした。スペインGPのあと、アラゴンで2日間のテストを行い、レースウイーク中にはできないことにもトライでき、収穫がありました。ル・マンは好きなサーキットなので、今季ベストを目指したがんばります」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「先週ヘレスで一日テストを行いましたが、とても有意義でした。自信をもってル・マンへ向かえます。ブガッティ・サーキットはあまり得意ではありませんが、どこであっても110%で取り組み、いい週末にしたいと思っています。これまでのレースと同様にプラクティスセッションから一生懸命取り組み、いいリズムを見つけたいです。一生懸命がんばれば、日曜日にいいレースができると思います」

エフレン・バスケス(Moto3 総合2位)
「1週間家で休み、身体の調子はかなりよくなりました。先月のアルゼンチンに始まり、ヘレスまでなにが問題だったのか、医者も僕も、今でもまだよく分かっていません。でも回復へ向けてプランを立ててきました。少なくとも2カ月は続ける必要があります。毎日よくなってきています。ル・マンでも強くなっていると思います。昨年はいい思い出があります。初めてのポールポジション獲得とサーキットベストラップを出すことができました。大好きなサーキットの一つなので週末がとても楽しみです。表彰台争いをしたいです」

ファビオ・クアルタラロ(Moto3 総合3位)
「僕はスペイン在住ですが、今回はホームグランプリになります。フランスで走るのはとても特別なことです。ベストを尽くしたいです。このサーキットは1度しか走ったことがありませんが、少しだけ知っています。ハードブレーキングが続く、ストップ・アンド・ゴータイプのサーキットです。最初の4戦は力強い走りができました。先週のテストでもいい走りができたので、ここでも速く走れる自信があります」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合4位)
「昨年は初めてのル・マンでした。そして走り始めてすぐにこのサーキットが大好きになりました。決勝では表彰台争いをしました。とても力強い走りができました。でも、毎年同じような結果が出せるとは限らないことは分かっています。今週は正しいセットアップをすぐに見つけられるよう集中します。そして、最初のセッションからいいリズムを維持したいです。先週のヘレスのテストではいい仕事ができたので、うまくいく自信はあります。これまでのレースと比べて、早い段階でいいセットアップが見つけられることを願っています」

尾野弘樹(Moto3 総合22位)
「序盤の4戦を終えて、自信になったこともたくさんありますが、一番の反省点は、4戦中3戦で転倒リタイアしていることです。チームメートの2人が総合1位と2位という結果を残しているので、焦っている部分もありました。ル・マンは昨年、FIM CEVレプソルインターナショナル選手権で走っています。好きなサーキットなので、落ち着いて、着実にセットアップを進め、決勝につなげたいです」