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MotoGP

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May 1/2/3 2015 MotoGP Gran Premio bwin de Espana

スペインGP スペインGP

スペインGPプレビュー

第4戦スペインGPが、5月1日(金)から3日(日)までの3日間、イベリア半島の南西部に位置するヘレス・サーキットで開催されます。昨年はアルゼンチンGPからの連戦となり、ハードな日程でしたが、今年は第2戦アメリカズGPと第3戦アルゼンチンGPの連戦後、1週間のインターバルを置いて、ヨーロッパラウンドの初戦として開催されることになりました。

スペインGPプレビュー

ヘレスは、1987年に初めてグランプリが開催されて以来、スペインGPの舞台として定着しました。ヘレスで開催されるのは今年で28回目となります(88年はハラマで開催)。ヘレスのあるアンダルシア地方は、一年を通じて温暖な気候で、今年もMoto2クラスとMoto3クラスのウインターテストが2度行われました。MotoGPクラスのテストは行われませんでしたが、各チームともにデータは豊富で、初日からレベルの高い走りが繰り広げられます。

ヘレスは、一周4.423km。バラエティーに富んだ大小13のコーナーがあり、すべてがパッシングポイントと言っても過言ではありません。Repsol Honda TeamにとってスペインGPは、スポンサーとライダーのホームGPとなるだけに、今年も必勝態勢で挑みます。Hondaは、これまでヘレスで通算20勝を達成。2012年はケーシー・ストーナー、13年はダニ・ペドロサ、14年はマルク・マルケスと、Repsol Honda Teamが3年連続で優勝しただけでなく、3年連続でRepsol Honda Teamの両選手が表彰台に立ってきました。今年は4年連続、21度目の優勝を目指します。

序盤の3戦を終えて総合5位のマルケスは、スペインGP2連覇を目指します。今年は好調な走りをなかなか結果に結びつけられない厳しいレースが続いています。カタールGPではスタート直後のコースアウトで5位。第2戦アメリカズGPでは優勝。第3戦アルゼンチンGPも優勝争いを繰り広げましたが、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)選手と接触して転倒し、リタイアに終わりました。

その雪辱に燃えていたマルケスですが、アルゼンチンGPの翌週、ダートトラックでのトレーニング中に転倒し、左手小指を骨折して手術を受けました。順調に回復していますが、決して万全の状態とは言えず、痛みをこらえての走りになることが予想されます。しかし、地元ファンの熱い声援に今年も応える意気込みで、今季2度目の優勝と表彰台獲得に闘志をかき立てています。

開幕戦カタールGPで右腕前腕部の不調を訴え、手術を受けたペドロサは、今大会から復帰する予定でしたが、万全の状態ではないため、復帰を第5戦フランスGPまで延期しました。そのため、第2戦アメリカズGP、第3戦アルゼンチンGPに引き続き、青山博一が今大会も代役として出場します。前戦アルゼンチンGPでは、後続の選手に追突されてリタイアしている青山博一ですが、「ダニが出場できないのは本当に残念。代役の仕事をしっかりこなすだけでなく、アルゼンチンGPでの悔しさをぶつけたい」と、得意のサーキットに気合を入れています。

前戦アルゼンチンGPでHondaのMotoGPマシンでは初の表彰台獲得となったカル・クラッチロー(CWM LCR Honda)は、2戦連続表彰台と初優勝も視野に入れて全力で挑みます。クラッチローは、第2戦アメリカズGPに投入されたニューシャシーに手応えを感じており、レースをこなすごとにセットアップも進んでいるだけに、今大会の走りに注目されます。

スコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も、RC213Vのパフォーマンスを確実に引き出しています。第2戦アメリカズGPではベストグリッドとなる6番手から好スタートするも転倒リタイア。第3戦アルゼンチンGPは、タイヤの選択に苦しみましたが、今季自己ベストの9位でチェッカーを受けました。上り調子のレディングは、今大会でさらなる上位を狙う意気込みです。

オープンカテゴリーの「RC213V-RS」に乗る4選手も、データが豊富なヘレスの戦いに気合を入れています。ルーキーのジャック・ミラー(CWM LCR Honda)は、第2戦アメリカズGPで14位、第3戦アルゼンチンGPではオープンカテゴリーでトップとなる12位でフィニッシュと、2戦連続でポイントを獲得しました。今大会はトップ10を目標に挑みます。ニッキー・ヘイデン(Aspar Team MotoGP)は、得意のサーキットで今季ベストリザルトを狙います。ユージン・ラバティ(Aspar Team MotoGP)とカレル・アブラハム(AB Motoracing)は、今季初ポイント獲得を目標に全力で挑みます。

Moto2クラスは、ヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が総合首位でヨーロッパラウンド初戦を迎えます。ウインターテストで好調だったザルコは、開幕戦カタールGPこそシフトリンケージのトラブルで8位と不運のレースとなりましたが、第2戦アメリカズGPで2位、第3戦アルゼンチンGPで優勝と調子を上げています。今大会ではシーズン2勝目を狙います。

Moto2クラスのルーキー、アレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)は、総合2位でホームGPを迎えます。第2戦アメリカズGPで3位、第3戦アルゼンチンGPで2位と上り調子。今大会は初優勝への期待もふくらみます。2年目のシーズンを迎えるサム・ロース(Speed Up Racing)も、第2戦アメリカズGPで優勝、第3戦アルゼンチンGPで3位と、2戦連続で表彰台に立ってきました。今大会もランキング上位3選手の走りに注目されます。

さらに、Moto2クラスは相変わらずの接戦が続き、転倒やコースアウトなど激しいレースとなっています。開幕戦カタールGPで優勝のジョナス・フォルガー(AGR Team)は、第2戦以降は厳しい戦いの中で表彰台争いから脱落する悔しいレースが続いています。ディフェンディングチャンピオンのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も、3戦を終えてベストリザルトが第2戦アメリカズGPの4位と苦戦が続いていますが、ホームGPで今季初表彰台、初優勝を目指します。中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、第2戦アメリカズGPの10位が最高位。得意のサーキットで今大会ベストを目指します。

Moto3クラスは、Honda勢が好調で、開幕から3戦連続で優勝しています。開幕戦カタールGPはアレックス・マスボー(Saxoprint-RTG)、第2戦アメリカズGP、第3戦アルゼンチンGPは、ダニー・ケント(Leopard Racing)が2連勝を達成しました。3戦を終えてケントが総合首位。第2戦アメリカズGPで3位、第3戦アルゼンチンGPで2位のエフレン・バスケス(Leopard Racing)が総合2位。以下、エネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Team Moto3)、ルーキーのファビオ・クアルタラロ(Estrella Galicia 0,0)と続き、4位までをHonda勢が独占しています。今大会もHonda勢の優勝争いに期待されます。

尾野弘樹(Leopard Racing)は、前戦アルゼンチンGPで初ポイント獲得となる13位でフィニッシュしました。アルゼンチンGPでは、14台という大集団によって2位争いが繰り広げられ、尾野は一時2番手を走っただけに、今大会は表彰台を視野に入れて全力で挑みます。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合5位)
「今日もミル医師の診療を受け、ケガは回復して快方に向かっていると言われました。今日はギブスを取りましたので、これから動かしてリハビリを始めます。へレスではセッション後に様子をチェックして、包帯を交換することになります。今年初めてスペインで開催されるグランプリなので、モチベーションはとても上がっています。多くのファンが来てくれると思いますし、このサーキットにはいい思い出があります。ケガをしたことは残念ですが、それほど影響しないことを願っています。そして、ファンの前でいい結果を出したいです」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合6位)
「マルクが転倒したため、アルゼンチンGPで表彰台に上がることができました。少しラッキーでした。ただ、同時に自分ががんばった結果でもあると思っています。まだRC213Vについて学んでいるところですが、ペースは明らかによくなっています。さらに前進して、実力でトップ3に入れるようになりたいです。Hondaのサポートはすばらしく、第2戦アメリカズGPに新しいシャシーを準備してくれました。すべて順調です。カタールGPとアメリカズGPでは、もっといい結果を残したかったです。へレスはすばらしい雰囲気で最高のサーキットです。いい週末になると思います」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合12位)
「へレスから復帰したいと思っていたのですが、昨日スーパーモタードのバイクに乗り、まだレースに出るには早いということを感じました。もしレースに出場したら、完治していない腕の状態をさらに悪化させる恐れもあり、完治するまでの時間を長引かせる可能性があります。そうなると、さらに大きな問題を作り出してしまうかもしれないので、出場を取りやめることにしました。早くチームに戻りたいと思っています。次戦フランスGPのル・マンが待ち遠しいです。心温まるすべてのメッセージに感謝しています。本当に元気づけてくれました」

スコット・レディング(MotoGP 総合13位)
「アルゼンチンは、テキサスのようにスピードある走りができました。しかし、もっと安定した走りが要求されますし、さらに改善していかなければなりません。へレスではアップデートしたシャシーを受け取りますので、これで前進できると思います。経験を積み、方向性も明らかになった状態でヨーロッパに戻ることができました。まずは、フロントの感触をよくすることが最優先課題です。シーズンの初めから見れば、この部分に関してはかなり進展しました。この調子でがんばっていきます。へレスでの目標は、前のライダーたちとのギャップを縮めること。引き続きがんばっていきます」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合16位)
「シーズンの初めは少しナーバスになっていました。MotoGPマシンに乗る初めてのシーズンでしたし、なにを目標にすればいいのか分かりませんでした。しかし、最初の3レースを終えて、かなり不安が和らぎました。まだ、RC213Vやタイヤのことなど、すべてのことを学んでいる段階です。毎回一生懸命に走っていて、レースごとによくなっています。へレスでもこの調子でがんばりたいです。初めてのトップ10を目指してがんばります」

青山博一(MotoGP 総合17位)
「ホームグランプリに復帰できないダニのことを思うと、本当に残念です。また、同時に、ダニの代役として出場できることは、とても光栄に思います。オースティンとアルゼンチンのレースではチームとともに前進することができました。チームは万全のサポートをしてくれましたので、へレスでもまた進歩できることを願っています。MotoGPマシンにとって、ヘレスはタイトなサーキットですが、Repsol Honda Teamとレースができることを楽しみにしています」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合18位)
「スペインGPはシーズン最初のヨーロッパラウンドです。大好きなへレスからスタートできることがうれしいです。このサーキットは最高です。ほかのサーキットとは明らかに違う雰囲気があります。ここではいい結果を出してきましたし、いい思い出もあります。高速コーナーがたくさんありますが、僕たちのマシンとは相性がいいと思います。今大会はグリップを改善して、さらにいい状態にしなければなりません。序盤の3戦を終えて、これからレースはどんどん難しくなっていきます。データが蓄積すればするほど、ペースが上がっていくからです。ここまで、3つの全く異なったサーキットを走ってきました。そして、多くのことを学びましたし、フォームもよくなってきました。今週末もこの調子で前進していけることを願っています」

ユージン・ラバティ(MotoGP ノーポイント)
「アルゼンチンではレースウイークを通してすばらしい仕事をすることができました。もしかしたらMotoGPクラスを走るようになってから、一番いい仕事だったかもしれません。しかし、決勝レースでは、それを結果につなげることができませんでした。へレスのプラクティスでは力強い走りができると思います。一生懸命取り組んで、日曜日はアルゼンチンのようにならないことが必要です。とにかく、シーズンが始まってから、長い道のりが続いていますから、この努力がいつか報われると信じています。へレスは好きなサーキットで、スーパーバイクでは2度優勝したことがあり、いい思い出があります」

カレル・アブラハム(MotoGP ノーポイント)
「まだノーポイントです。へレスでは、その後れをばん回したいです。今年はテクニカルな問題に苦しんでいますが、もうこれ以上の不運はいりません。スペインではいいレースができることを願っています」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合1位)
「へレスは好きなサーキットです。ウインターテストではとても速く走ることができました。しかし、ウインターテストのときとは気温もコンディションも違います。おそらく、テストと同じラップタイムで走ることはできません。Moto2クラスで大事なことは高いアベレージをキープすることなので、これに取り組まなければなりません。目標はいつもと同じで、表彰台です。そして、なるべく多くのポイントを稼ぎ、できれば優勝したいです」

アレックス・リンス(Moto2 総合2位)
「へレスでのウインターテストは悪くありませんでしたし、3位と2位を獲得した直近の2レースで、かなり自信がつきました。母国スペインでのレースはとても大事なレースになります。モチベーションは上がっていますし、とても楽しみです」

サム・ロース(Moto2 総合3位)
「ここはいいサーキットですが、ウインターテストのときとはコンディションがかなり変わります。今回も、ヨハンとアレックスは速いと思います。ティト(ラバト)も速いと思うので、厳しいレースになることは間違いありません。ベストを尽くしたいと思います」

中上貴晶(Moto2 総合15位)
「アルゼンチンGPでは、いい結果を残して、流れをよくしてヨーロッパラウンドに挑みたいと思っていました。しかし、フロントのフィーリングがよくなくて、全く自分の走りができませんでした。序盤の3戦は、レースの取り組みでもマシンのセットアップの部分でもいいポイントはありましたが、それをなかなか結果につなげることができませんでした。今大会からヨーロッパラウンドがスタートします。ヘレスは得意のサーキットなので、ここからいい流れにしたいと思っています」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「厳しい2連戦を終えて、スペインGPまで1週間の休みを取ることができました。今週は大好きなヘレスなので、とても楽しみです。ここのウインターテストはかなりうまくいきました。今週末も、すべてのプラクティスで一生懸命に取り組み、決勝レースに向けて100%準備を整えていきます。へレスはいつも特別な場所なので、おもしろいレースウイークになることを願っています」

エフレン・バスケス(Moto3 総合2位)
「へレスはホームグランプリです。序盤の3戦でいい結果を出してきたので、自信があります。引き続きベストを尽くして、決勝レースではいいリズムをつかみたいです。ウインターテストでは、足首のケガでかなり時間を無駄にしたので、天候とマシンのフィーリングを確かめながら走りたいと思います。地元ファンの前でレースをするのがとても楽しみです。なるべくたくさんのポイントを獲得できるようにがんばります」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合3位)
「へレスは高速サーキットではありませんが、テクニカルで美しいコーナーがたくさんあるので、好きです。この新しいマシンで冬の間にテストを行いましたが、残念ながら天候が悪かったので、あまり参考にはなりません。今週末は気温も高くなると思うので、最初からセットアップを詰めていかなければなりません。過去2戦では、もっとポイントを稼ぐことができたと思いますが、それでもチャンピオンシップで3位にいるのはうれしいです。いよいよヨーロッパラウンドです。このポジションをキープし、それ以上のポジションに上がれることを願っています」

ファビオ・クアルタラロ(Moto3 総合4位)
「これまでと違って、今大会はよく知っているサーキットです。ウインターテストもここで走っていますし、いいタイムを出すことができました。いいセットアップもあります。サーキットも分かっているので、いいレースができることを願っています。ヘレスは、とても楽しいサーキットで、いい思い出もあります。今シーズンは、アルゼンチンのように難しいレースが続いていますが、その中でいいスタートを切ることができたと思います。いい結果を出せたので、この調子でがんばりたいです」

尾野弘樹(Moto3 総合21位)
「前戦アルゼンチンGPでやっとポイントを獲得できました。今年は、どの大会もトップグループが大きな集団になっているので、表彰台に立つかノーポイントかという厳しいレースが続いています。その中で余裕を持って戦うには、予選でいいグリッドを獲得して、いいスタートを切ることが重要になってきます。ヘレスは特にグリッドが大事になると思うので、フリー走行、予選としっかり走りたいです」