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April 17/18/19 2015 MotoGP Gran Premio Red Bull de la Republica Argentina

アルゼンチンGP アルゼンチンGP

アルゼンチンGPプレビュー

今年で2回目の開催となる第3戦アルゼンチンGPが、4月17日(金)から19日(日)までの3日間、アルゼンチンの北東約1100kmに位置するアウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドで開催されます。

アルゼンチンGPプレビュー

テルマス・デ・リオ・オンドは、サンティアゴ・デル・エステロ州の州都サンティアゴ・デル・エステロから約65kmにあり、温泉が出ることからアルゼンチン国内ではスパリゾート地として知られています。

アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、2008年に完成しました。その後、13年に大幅に改修されて、同年8月には初の世界選手権となる4輪の世界ツーリングカー選手権(WTCC)が開催されました。そして、14年4月にはロードレース世界選手権が初開催となり、決勝日は5万2749人のファンが詰めかけました(3日間合計で12万5961人)。今年は、昨年を上回るファンが詰めかけることが予想されます。

アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、ほぼ平坦な土地に作られた一周4.806kmのコースで、メインストレートが1.076kmと長く、中高速コーナーが続くシンプルなレイアウトとなっています。

過去、アルゼンチンGPは、1961年にブエノスアイレス郊外のアウトドルモ・オスカル・ガルベスで初めて開催され、1999年まで断続的に計10回開催されました。テルマス・デ・リオ・オンドに舞台を移してからは2回目を迎え、アルゼンチンGPは通算12回目となります。

昨年の大会は、マルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、開幕からの3戦連続PPと3連勝を達成。サーキットに集まったHondaファンを大いに喜ばせました。昨年の大会は、セッションをこなすごとに路面のグリップが上がり、タイヤに厳しく、セットアップの難しいレースとなりました。その中で、マルケスは、序盤は周囲の走りを見ながら慎重なレース運びを見せ、レース終盤にトップに立つと一気にペースを上げて優勝しました。

今年は開幕戦カタールGPで5位。スタート直後にコースアウトを喫したことで厳しい戦いを強いられましたが、第2戦アメリカズGPでは、その雪辱を見事に晴らす快走で今季初優勝を達成しました。開幕戦カタールGPで5位に終わり、マルケスとしてはやや悪い流れとなっていましたが、アメリカズGPの優勝でいやなムードを一気に吹き飛ばすことに成功、アルゼンチンGP2連覇を狙います。

CWM LCR Hondaに移籍し、速さを見せるカル・クラッチローは、開幕戦カタールGPで7位、第2戦アメリカズGPで7位と不本意なリザルトに終わっています。前戦アメリカズGPでは、予選5番手から表彰台を狙っていましたが、オープニングラップで転倒車を避けるためにタイムロス。その遅れがレースに影響しました。フリー走行、予選のスピードをなかなか結果に結びつけらず、フラストレーションをためるクラッチロー。昨年はケガのために欠場したアルゼンチンGPですが、初体験となるテルマス・デ・リオ・オンドに闘志をかき立てています。

右腕の手術のため欠場しているダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)の代役として2戦目を迎える青山博一は、相性のいいサーキットに気合を入れています。昨年の大会は10位。オープンカテゴリーでトップフィニッシュを果たしました。前戦アメリカズGPは、ペドロサのマシンで着実にタイムを上げるも、予選18番手というグリッドの悪さも響いて11位がやっとでした。今大会ではシングルフィニッシュを狙います。

前戦アメリカズGPでベストグリッドの6番手につけたスコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、オープニングラップに他車と接触して転倒し、再スタートしましたが、転倒のダメージでリタイア。RC213Vのパフォーマンスをやっと引き出せてきただけに、悔しいレースとなりました。今大会はその悔しさをぶつけるレースになります。

Hondaのオープンカテゴリーマシン「RC213V-RS」で出場の4選手も、ベストリザルトを狙います。前戦アメリカズGPでは13位でフィニッシュしたニッキー・ヘイデン(Aspar MotoGP Team)は、マシンのパフォーマンスを引き出し、徐々に本領を発揮してきました。ルーキーのジャック・ミラー(CWM LCR Honda)も、最高峰クラス2戦目にして14位でフィニッシュ。初ポイントを獲得しました。ユージン・ラバティ(Aspar MotoGP Team)とカレル・アブラハム(AB Motoracing)は、今季初ポイント獲得を狙います。

Moto2クラスは、開幕戦カタールGPで4位、第2戦アメリカズGPで初表彰台獲得の3位でフィニッシュのアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)が総合首位で今大会を迎えます。Moto3クラスに出場していた昨年は5位。表彰台に立てず苦戦のサーキットとなりましたが、その経験を生かす意気込みです。総合2位のヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)は、ウインターテストからの好調を維持し、アメリカズGPで2位になり、やっと表彰台につなげました。総合3位には、開幕戦カタールGPを制したジョナス・フォルガー(AGR Team)。第2戦アメリカズGPで初優勝達成のサム・ロース(Speed Up Racing)が並びます。

昨年の大会のフリー走行では、トップから1秒差以内に20台、予選では19台がひしめきあう大接戦となりました。今年も一段と厳しい戦いが予想されます。中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、前戦アメリカズGPは10位でしたが、予選では6番手と上り調子。今大会の走りに注目されます。

Moto3クラスは、開幕戦カタールGPでアレックス・マスボー(SAXOPRINT RTG)が優勝、第2戦アメリカズGPはダニー・ケント(Leopard Racing)が優勝。表彰台も2戦連続でHonda勢が独占しています。昨年、アルゼンチンGPでは優勝を逃しているHonda勢の巻き返しが注目されます。開幕から2戦連続で転倒リタイアに終わっている尾野弘樹(Leopard Racing)は、初体験となるサーキットですが、初ポイント獲得に挑みます。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合3位)
「オースティンは、いい週末となりました。リラックスすることができたし、自信も戻りました。次のアルゼンチンは、このまま向かいます。今週末もこの勢いをキープしたいです。テルマス・デ・リオ・オンドは今年で2年目になりますが、好きなサーキットです。昨年はこのサーキットに多くのファンが来てくれました。今年も大勢のファンが来てくれて、サポートしてくれることを願っています。そしてファンためにいいレースを見てもらいたいと思います」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合7位)
「COTAは天気が悪く、新しいシャシーに慣れるための十分な時間がありませんでした。もし1周目にコースを外れなければ、7位ではなくて、もっといい結果が出せたと思います。アルゼンチンでのレースは初めてになります。昨年はケガのために欠場しました。ただ、2013年にテストで走っています。コンディションは悪かったのですが、少なくともレイアウトは分かっているので不安はありません」

青山博一(MotoGP 総合14位)
「オースティンは天候が不安定だったので難しい週末となりました。でも、多くのことを学べました。次はアルゼンチンです。このサーキットは大好きなサーキットの一つで、昨年はいいレースができました。しかし、このサーキットは簡単ではありません。ロングストレートとたくさんのタイトなコーナーがありますが、RC213Vでよい走りができると信じています。自信はあります。先週末からさらに前進できることを願っています」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合16位)
「新しいマシンの馬力を最大限生かせるように、一生懸命取り組まなければなりません。電子制御のポテンシャルをフルに生かすためには、Hondaとマニエッティ・マレリのサポートが必要です。オースティンでは楽しいレースができて、僕の加わった集団の争いに勝てました。アルゼンチンは楽しいサーキットですから、さらに前進するのが楽しみです」

スコット・レディング(MotoGP 総合17位)
「オースティンでは1周目で転倒してしまい、本当に残念でした。カタールは少し苦戦しましたが、オースティンはレースウイークを通して、すべてのセッションで速さがありました。MotoGPクラスで自己ベストとなる予選ポジションも獲得しました。アルゼンチンはオースティンの悔しさを晴らす最初のチャンスです。このサーキットは好きです。昨年はかなりいいレースをすることができました」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合18位)
「オースティンはとてもよかったです。ニッキー・ヘイデンや何人かのライダーとバトルして、多くのことを学べました。そして、初めてMotoGPクラスでポイントを獲得しました。次の目標は高くなり、トップ10を目指します。多くのMotoGPライダーがアウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドのファンだと思うので、レースが楽しみです」

ユージン・ラバティ(MotoGP ノーポイント)
「まだマシンに慣れるためにがんばっています。学ぶことはたくさんあり、タイヤやブレーキングだけではなく、電子制御も学ばなければなりません。今は安定したフィーリングをどうすれば得られるか取り組んでいるところです。今回のサーキットも初めてなので、それも学ばなければなりません。とにかく、学びながら楽しんでいます。初めてのポイント獲得を狙います」

カレル・アブラハム(MotoGP ノーポイント)
「2戦を終えて、まだ完走したレースはありませんが、自分の走りにはかなり満足しています。新しいマシンは、かなりポテンシャルがあります。毎回、どうやってそれを引き出せるのかを学んでいるところです。昨年のアルゼンチンGPではポイントを獲得しました。今年も、最低限そうなればいいと思っています」

アレックス・リンス(Moto2 総合1位)
「初めてのMoto2シーズンですが、ここまでのところ、とても順調です。まさかポイントでリードするとは思っていませんでした。まだシーズンは始まったばかりで、先は長いのですが、ここまでの成績には満足しています。昨年、このサーキットでは、いい思い出がありません。少し苦戦しました。でも、そのときに得た経験を生かして、決勝レースに向けて最高のパッケージを仕上げていきたいです」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合2位)
「カタールとテキサスではいいペースで走ることができたので、とても自信がつきました。昨年のアルゼンチンではリアタイヤに少し問題があり、レースを無駄にしてしまいました。今年の目標はカタールやアメリカと同じで、表彰台争いをするために最良の状態を見つけることです」

ジョナス・フォルガー(Moto2 総合3位)
「オースティンでは悲惨な結果だったので、早くアルゼンチンに行きたいです。先週末のことを忘れるためには、すぐにマシンに乗るのが一番です。休む間がないのは、僕だけではなくチームのためにもいいことです。テルマス・デ・リオ・オンドでは昨年、すべてのプラクティスセッションで力強い走りをすることができました。そのため、モチベーションも上がっています。コースレイアウトはCOTAと似ていて、高速セクションや流れるようなセクションが含まれています。でも、一からがんばろうと思っています」

中上貴晶(Moto2 総合14位)
「アメリカズGPは、ウイークの流れからして、悪くても6位にはなれると思っていたので、10位に終わってとても残念でした。路面コンディションや気温など、予選と天候が変わり、それにうまく対応できず、序盤のペースが遅すぎたのが大きな敗因です。しかし、流れは徐々によくなっているし、アルゼンチンでは予選フロントローを目標に、決勝に向けてはアベレージを改善していきます。マシンも、まだ改善できることがあるので、焦らず、確実に前進していきたいです」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「アルゼンチンは昨年、本当に苦戦したサーキットの一つです。でも、今年はこれまでの2つのレースでいい結果を出せたので、自信を持って向かうことができます。チームもHondaもいい仕事をしてくれているので、このサーキットに対していい解決策を見つけてくれると思っています」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合2位)
「とてもよいシーズンのスタートを切ることができました。今回のレースも本当に楽しみです。昨年はこのサーキットで10位。初めてのトップ10でした。それ以降多くのことを学んできました。Moto3クラスは、とてもいいバトルが続いています。今回もそうなることを願っています」

ファビオ・クアルタラロ(Moto3 総合3位)
「オースティンで表彰台に上がれたので、今週末のアルゼンチンGPに向けて、自信もついたし、モチベーションも上がりました。でも、初めてのサーキットなので、これまでの2戦と同じように集中して取り組まなければなりません。昨年のビデオを見たり、ビデオゲームからブレーキングを勉強したりました。とても難しくバラエティに富んだサーキットです。高速コーナーも多いようですが、マシンを寝かせるところもかなりあります。こういうサーキットは好きなので、早く走ってみたいです」

尾野弘樹(Moto3 ノーポイント)
「2戦連続で転倒してしまいました。自分としては2戦ともいい感じで走れていたし、手応えもあっただけに、とても残念でした。アメリカズGPは、初めてのサーキットで、ウエットコンディションが続きました。そういう厳しい条件の中で、かなりいい感じで走れたと思います。しかし、カタールGPもアメリカズGPも、完走できなかったのは、今の自分に足りないものがあるからだと思います。アルゼンチンGPも初めてのサーキットですが、完走を最低限の目標としてトライしたいです」