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MotoGP

Round 01

SCHEDULE

March 26/27/28/29 2015 MotoGP Commercial Bank Grand Prix of Qatar

カタールGP カタールGP

カタールGPプレビュー

ロードレース世界選手権(WGP)開幕戦カタールGPが、3月26日(木)~29日(日)までの4日間、ドーハ郊外のロサイル・インターナショナル・サーキットで開催されます。カタールGPは、2004年に第1回大会が行われ、今年で12度目を迎えます。08年には、グランプリ史上初のナイトレースが開催されて大きな話題になりました。ナイトレースになってからは、今年で8度目となります。走行と作業が深夜に及ぶため、2011年からは、ライダーやスタッフの負担を軽減するために4日間のプラグラムとなり、一日の終了時間を早める処置が取られました。

カタールGPプレビュー

ロサイル・インターナショナル・サーキットは、全長5.380km、右コーナー10、左コーナー6のハイスピードテクニカルコース。砂漠に囲まれているために、周回を重ねるごとに路面のグリップが上がっていくのが特徴です。

今年も2月にマレーシア・セパンで2度、3月になってカタールGPの開催されるロサイル・インターナショナル・サーキットで、公式テストが行われました。MotoGPクラスは、前年から共通ECU(電子制御装置)の使用が義務づけられています。その中で独自のソフトを使用する「ファクトリー」と、共通ソフトを使用する「オープン」に分けられました。

ファクトリーには、Repsol Honda Teamからマルク・マルケスとダニ・ペドロサ、CWM LCR Hondaからカル・クラッチロー、Estrella Galicia 0,0 Marc VDSからスコット・レディングの4選手が参戦します。オープンには、ファクトリーが使用するワークスマシンであるRC213Vのエッセンスを盛り込んだ「RC213V-RS」が投入され、Aspar MotoGP Teamからはニッキー・ヘイデンとユージン・ラバティ、AB Motoracingからカレル・アブラハム、CWM LCR Hondaからジャック・ミラーの4選手が参戦します。

13年に史上最年少記録を樹立して最高峰クラスのチャンピオンに輝き、14年シーズンには最多優勝記録となる13勝を挙げて2連覇を達成したマルケスは、今年は3年連続となるタイトル獲得を目指します。マルケスは、昨年の最終戦バレンシアGPのあとに行われた公式テスト、そして今年2月にマレーシア・セパンで行われた公式テストでトップタイムをマークして、さらなる成長を感じさせました。厳しい車両規定の中で、今年はファクトリーとオープンの差が縮まり、ファクトリーながらオープンの条件で出場するドゥカティ、スズキ、アプリリアの3ワークスとの戦いに注目が集まります。大接戦が予想される開幕戦カタールGPで、マルケスは2年連続開幕戦制覇に闘志を燃やしています。

Repsol Honda Teamで10年目のシーズンを迎えるペドロサも、順調にウインターテストのメニューを消化しました。開幕直前のカタールテストでは、雨のためにレースシミュレーションができませんでしたが、マレーシアでの2度のテストで万全の状態だっただけに、マルケスとの優勝争いが期待されます。今年こそ念願のタイトル獲得に向けて、スタッフともども気合の入った開幕戦になりそうです。

Hondaチームに新たに加わったクラッチローにも注目です。ウインターテストでは、テストをこなすたびにタイムを上げることに成功。マレーシアテストをトップ3で終えているだけに、Honda勢への移籍後初レースでの表彰台獲得が期待されます。クラッチロー同様、RC213Vで出場のレディングも、ワークスマシンを手に入れて闘志満々。開幕戦でどんな走りをみせてくれるのか注目です。

RC213V-RSで出場の4選手の走りも見逃せません。オープンで出場するHondaの4選手が乗るRC213V-RSは、ワークスマシンRC213Vのエンジンと車体をベースにしたもので、ワークスマシンに匹敵するパフォーマンスを備えています。ウインターテストでは、4選手とも、初めて乗るマシンのセットアップに時間を割きました。テストをこなすたびにマシンのパフォーマンスを引き出せるようになっているだけに、RC213V-RSを駆る4選手の走りにも大きな注目と期待が集まっています。

CBR600RRのHondaエンジンを搭載したマシンで争われるMoto2クラスは、今年も厳しい戦いが予想されます。2連覇を狙うティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、2年連続のタイトル獲得を目指します。ウインターテストは雨が多く、天候に恵まれませんでしたが、これまで課題になっていたウエットコンディションの攻略に成功しており、すべてのレースで表彰台と優勝を狙います。チームメートで、昨年のMoto3チャンピオンであるアレックス・マルケスにも大きな注目が集まっています。昨年は、MotoGPクラスを制したマルク・マルケスと、史上初の兄弟チャンピオンに輝きました。今年はグランプリで2クラス目の制覇を達成する意気込み。2年連続の兄弟チャンピオンに期待が膨らみます。

開幕戦カタールGPのMoto2クラスには30台が出場。そのうち、昨年のチャンピオンマシンであるカレックスのマシンが22台で、昨年以上の接戦が予想されます。その中で、カレックスに乗り換えたヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)がウインターテストですばらしい走りを披露し、大きな注目を集めました。日本からは中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が参加します。ウインターテストでは、雨のために予定していたメニューを消化できませんでしたが、過去2年にわたってカタールGPでは、ポールポジション争いと優勝争いに加わっているだけに、開幕戦の中上の走りが注目されます。

Moto3クラスには、7チーム12名がHondaマシンで出場し、2年連続のタイトル獲得に挑みます。チャンピオンチームのEstrella Galicia 0,0からは、昨年のFIM CEVレプソルインターナショナル選手権のMoto3チャンピオンであるファビオ・クアルタラロと、ホルヘ・ナバロのルーキー2人、SaxoPrint RTGからアレックス・マスボーとジョン・マクフィー、Gresini Racing Team Moto3からエネア・バスティアニーニとアンドレア・ロカテリ、Ongetta‐Rivacoldからニッコロ・アントネッリとジュールズ・ダニーロ、LEOPARD Racingからエフレン・バスケスとダニー・ケントと尾野弘樹、RW Racing GPからはリビオ・ロイが出場します。

昨年総合4位のバスケス、6位のマスボー、8位のケントのほか、成長著しいアントネッリとバスティアニーニ、そして日本からはグランプリ再挑戦の尾野と、実力のある選手が勢ぞろいしました。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP)
「シーズンのスタートが待ち遠しいです。長い冬でした。そしてカタールのテストは雨のため短くなってしまい、とても不思議な感じでしたが、開幕戦へ向けて自信はあります。このサーキットはそれほど得意なサーキットではありませんが、楽しいサーキットです。新しいチャンピオンシップがここでスタートするのはすばらしいことです。先週のテスト最終日は雨だったので、今週のコンディションがどうなるか様子を見たいです。いろいろなクラスのセッションが何度か行われれば、いつものようにレースラインがクリアになってくると思います。そうなってから、グリップのレベルがどうなるか見てみたいです。テストの結果を見れば分かる通り、今年も速いマシンを駆る速いライダーがたくさんいます。今週末の開幕戦はおもしろくなりそうです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP)
「残念ながら、先週のカタールのテストは雨のために早く終わってしまいました。しかし、全体的には自信があるので、シーズンが始まるのが楽しみです。バレンシア以降、マシンはかなりよくなってきました。HRCのスタッフの仕事に感謝しています。また今年は、チームに新しいメンバーが加入し、さらにまとまりがよくなり、勢いがあります。一年の最初のレースウイークは、いつもリズムを取り戻すのに、少し苦労します。また、通常の3日間ではなく4日間のレースウイークですので、とても疲れます。しかし、テストでの成果を発揮する準備は整っています」

スコット・レディング(MotoGP)
「カタールのテスト最終日は、ピットで雨を眺めていました。しっかり走行してテストを終えたかったです。しかし、ほかのみんなも条件は同じなので、仕方がありません。テストではいいレベルの走りができました。最終日はセッティングを少し変えてマシンを改善したかったのですが、悪天候のため、残念ながらそれを確認することはできませんでした。カタールのレースを前に、フィーリングはポジティブです。まだRC213Vを学んでいるところですので、もっと速く走れるようにがんばるだけです。最後のテストのラップタイムのギャップを考えると、今週末のレースでトップ6か7でフィニッシュするというのが、現実的な目標です」

カル・クラッチロー(MotoGP)
「ウインターテストでは、テストをこなすごとにRC213Vに慣れていきました。この冬の間、いい仕事ができたと思います。そして、速く走るという点では、かなりいいところに到達できたのではないでしょうか。カタールテストでは、最終日に雨が降ってレースシミュレーションが行えず、開幕戦に向けてやり残したことはあります。いずれにしても、開幕戦を楽しみにしています。いいペースで開幕戦を迎えられると思います」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP)
「いよいよショーが始まります。新しいシーズンに向けて、準備は整っています。もちろん、もうルーキーではありませんが、ルーキーのときと同じくらい興奮しています。毎年同じように野望があります。大きな挑戦が待っているので、今年の開幕戦がとても楽しみです。プレシーズンの間で、MotoGPクラスの今年のレベルが非常に高くなっていることがはっきりしました。これはチャンピオンシップにおいて、とてもいいことです。ロサイル・インターナショナル・サーキットはとても好きです。走っていておもしろいサーキットです。最初はコース上が少し汚いかもしれませんが、レースウイークが進むにつれて、グリップが改善されていきます。夜に走るというのも楽しいです。冬の間、チームはすばらしい仕事をしてくれました。そのため力強く前進できました。明らかに、まだ取り組まなければならない部分があります。特に電子制御においてです。それでも、カタールでいい仕事をして、チームとファンが誇りに思ってくれるようにがんばりたいです」

ユージン・ラバティ(MotoGP)
「プレシーズンテストはとてもうまくいきました。マシンに乗るたびに着実に前進できました。オープンクラスのHondaのマシン、そしてチームととてもうまくコミュケーションがとれました。そのため、この先に待っている挑戦がとても楽しみです。ロサイルでの最後のテストはとてもうまくいきました。テストと同じサーキットで、開幕戦を迎えられるのでうれしいです。今シーズンはレベルが高く、これまでのテストでの総合的なポジションから考えると、目標を決めることは難しいです。ですが、オープンクラスのカテゴリーにおいては、最初からトップ3に入る戦いをしたいです。ロサイル・インターナショナル・サーキットは楽しいです。僕たちのマシンはサーキットに非常に合っています。力強い結果を出して、シーズンをスタートさせたいです」

カレル・アブラハム(MotoGP)
「ロサイルでのテストの2日目に、トップ10のリザルトを残せたことにはとても満足しています。マレーシア・セパンのテストよりも内容はよかったですし、集中もできました。ブレーキングなど、今年の新しいマシンを学べましたし、うまくいったと思います。カタールのベストタイムは、フロントにソフトタイヤ、リアにハードタイヤという組み合わせでマークしました。開幕の準備が整ったと感じています」

ジャック・ミラー(MotoGP)
「開幕に向けて、とても興奮しています。確かに、日曜日の夜の決勝レースで、スターティンググリッドにつくことを考えると不安はあります。しかし、スタートして2周目にはきっと、レースを楽しんでいるでしょう。この1カ月は、筋力トレーニングに力を入れました。RC213Vは、これまで経験してきたマシンに比べて大きく重く、より筋力を必要とするからです。昨年11月のマレーシア・セパンでの初テストから、開幕に向けて最後のテストとなったカタールまで、着実にマシンに慣れることができました。トップとの差も、より近くなりました。ロサイルでのテストの最終日は、雨のためにレースシミュレーションができず残念でした。しかし、ハードタイヤでいい走りができているので、よかったです」

ティト・ラバト(Moto2)
「ウインターテストの結果には、とても満足しています。雨が多かったのですが、ウエットコンディションでは、いろいろとテストができましたし、ウエットでは大きな成果を得られました。ドライコンディションでは、優勝争いに加われるペースがありますし、ウエットコンディションでも、同じように優勝争いに加われると思います。今シーズンに向けて、いいアプローチができました。どのレースでも優勝争いができる状態になったと思います。今週はいよいよカタールGPを迎えます」

アレックス・マルケス(Moto2)
「カタールGPは、Moto2クラスで初めてのレースになります。すべてが初めてのことなので集中しなければなりません。ウインターテストは天候に恵まれませんでした。ほとんどがウエットコンディションになりました。もっとドライコンディションで走る必要があったので、自分にとっては理想的なウインターテストだとは言えません。カタールGPでは、レースに向けていいセッティングを見つけて、いいリズムで乗れるようにしなければなりません。今大会はプラクティスで最高の仕事をする必要があります。ドライコンディションでちゃんと走れていないので、きっと厳しいレースになると思いますが、みんな同じ条件ですから」

ヨハン・ザルコ(Moto2)
「カタールGPが行われるロサイルを走るのは7度目になります。しかし、今年は初めて走ったときのように興奮しています。ロサイル・インターナショナル・サーキットは長いストレートがあり、とても速いサーキットです。ウインターテストで走ったバレンシアやヘレスとは、コースのキャラクターが異なります。これまでロサイルは、自分にとって難しいコースでした。いつもほんのちょっとストレスを抱えるコースでしたが、今年はチームスタッフとともに笑ってここにいられます。そしてレースを楽しもうと思えています。ナイトレースは特別です。開幕戦が待ちきれません」

中上貴晶(Moto2)
「ウインターテストは天候が悪く、ドライコンディションでそれほど走れませんでした。予定していたメニューをほとんど消化できなかったのは残念ですが、昨年まで課題の一つだったウエットコンディションでは、いろんな路面でしっかりと走り込みめたと思います。ロサイルは、バレンシアやヘレスとはキャラクターが異なります。過去2年、ここではいいレースができているので、今年も同じようなレースにしたいと願っています」

ファビオ・クアルタラロ(Moto3)
「ウインターテストはとてもよかったですし、おかげでリラックスした時間を過ごせました。ナイトレースは初めての経験ですが、今はとても落ち着いています。モチベーションは高いです。今回は初めての世界選手権ですので、とても興奮しています」

ホルヘ・ナバロ(Moto3)
「ウインターテストは天候に恵まれず、予定していたことすべてはできませんでしたが、なんとかトップ4に入れました。Hondaはすばらしい仕事をしてくれました。そのすばらしいマシンで、我々もベストを尽くさなければなりません。Hondaのマシンならば、カタールできっといいレースができます。まだまだ改善できるポイントがありますし、いいレースができると信じています」

ダニー・ケント(Moto3)
「開幕戦を楽しみにしています。昨年11月のアルメリアとバレンシア、今年になってバレンシアとヘレスで、本当にいろんなことを試せましたし、いいセッティングを見つけられました。これまでで最も充実したウインターテストでした」

尾野弘樹(Moto3)
「ウインターテストは雨が多く、思うように走れませんでした。正直、ドライコンディションでもっと走りたかったという気持ちはありますが、みんな同じ条件なので仕方がありません。ロサイルは2011年に、一度グランプリを走っていて、好きなコースです。あのときとは、マシンもチームもすべてが異なります。こんなにすばらしい環境で、グランプリを戦えることがうれしいです。Hondaに感謝しています。カタールは12年、13年とアジア・ドリーム・カップで走っています。サーキットの経験値では負けていないと思うので、開幕戦からいい結果を残したいです」