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May 31/June 1/2 2013 MotoGP Gran Premio d'Italia TIM イタリアGP

SCHEDULE

イタリアGPプレビュー

第5戦イタリアGPが、5月31日(金)から6月2日(日)までの3日間、フィレンツェ近郊のムジェロ・サーキットで開催されます。イタリアGPは、5月もしくは6月に開催される大会として定着していましたが、昨年は、第7戦オランダGP、第8戦ドイツGPからの3連戦の3戦目として、7月中旬に開催されました。今年は本来のスケジュールに戻り、6月の第1週に行われることになりました。

イタリアGPプレビュー

ムジェロは、一周5.245kmのハイスピードコースで、グランプリが開催されるサーキットでは、オーストラリアGPの開催されるフィリップアイランドに次いでアベレージスピードの高いコースになっています。下り勾配となる最終コーナーから約1.1kmのロングストレートで繰り広げられる超高速バトルが最大の見どころで、見ている観客を興奮させます。ムジェロは全体的にパッシングポイントが多く、目まぐるしくポジションを入れ替える競り合いになることがしばしばで、選手からも観客からも評価の高いサーキットになっています。

ムジェロで初めてグランプリが開催されたのは1976年。それ以後、イモラ、モンツァなど、いくつかのサーキットでグランプリは開催されてきましたが、91年にサーキットの全面改修を受けてからは、サンマリノGP、そしてイタリアGPの舞台として定着しました。

新サーキットが完成した91年にはサンマリノGP、92年はイタリアGP、そして93年に再びサンマリノGPの舞台となり、94年からはムジェロでイタリアGPが行われるようになり、今年で20年連続の開催となります。Hondaは、93年のサンマリノGPでミック・ドゥーハンが優勝して以来、これまで通算12勝を挙げています。過去2年は優勝を逃していますが、今年は3年ぶりの優勝を狙います。

優勝候補の筆頭は、スペインGPとフランスGPで2連勝を達成し、総合首位に立ったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)です。ペドロサは、3年ぶりのイタリアGP制覇と、今季3連勝を狙います。2010年の大会では、ポール・トゥ・ウインを達成しました。11年はケガからの復帰戦となり8位。昨年の大会は、レース序盤にコースアウトする波乱でポジションを落とし、そこから追い上げをみせましたが、トップを走るホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)には届かず、悔しい2位に終わっていました。しかし、ペドロサはムジェロとの相性が悪くなく、250cc時代の05年に優勝、最高峰クラスでは、これまで優勝を含む4度の表彰台に立っています。今年は、マシンの仕上がりもよく、レースをこなすたびにスピードに磨きをかけているだけに、今季初の3連勝の期待が膨らんでいます。

チームメートのマルク・マルケスも、相性のいいムジェロに闘志を燃やしています。マルケスは、125cc時代の2010年に、ムジェロでグランプリ初優勝を達成しています。Moto2クラスでは11年に優勝。今年は、RC213Vで初めてムジェロを走ることになります。マルケスは、「ムジェロは高速コーナーと切り返しが多く、いいセットアップを見つけるのは難しいですが、うまく走れればとても楽しいサーキットだと思います。125cc時代に初めて優勝したサーキットなので今年もいいレースをしたい」と、思い出のサーキットで、今季2勝目と開幕からの5戦連続表彰台を狙います。

今年のマルケスは、第2戦アメリカズGPで最高峰クラス史上最年少記録でポールポジション(PP)と優勝を達成するなど、最年少記録を次々に塗り替えてきました。前戦フランスGPでは、MotoGPマシンで初めて経験する雨のレースで、スタートで出遅れながらも、すばらしい追い上げをみせて3位でフィニッシュしました。この表彰台で、マルケスは1998年にマックス・ビアッジがHondaで達成した、ルーキーの開幕4戦連続表彰台記録に並びました。今大会で表彰台に立てば、ルーキーの開幕5戦連続表彰台記録を達成します。

4戦を終えて総合7位のアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)は、チームのホームGPを迎えます。昨年の大会では、気合が空回りして3度の転倒を喫し、決勝では10位と不本意なリザルトに終わりました。今年はその雪辱を果たす意気込みです。今年はここまで6位3回、8位1回。雨となった前戦のフランスGPでは、苦手なル・マンで6位でフィニッシュしているだけに、手応え十分のレースとなりました。上り調子のバウティスタには今季ベストリザルトが期待されます。

今季、なかなか結果を残せないブラドル(LCR Honda MotoGP)も、得意のムジェロに闘志を燃やしています。前戦フランスGPは、転倒再スタートで10位でしたが、今季最高のレースウイークとなっていました。これまで課題になっていたフロントブレーキと挙動の問題も解決。昨年の大会では表彰台にあと一歩の4位でフィニッシュしました。今年は念願の初表彰台に闘志を燃やしています。

CRTマシンで出場のブライアン・スターリング(GO & FUN Honda Gresini)は、4戦を終えてノーポイント。しかし、着実にパフォーマンスを発揮できるようになっています。前戦フランスGPでは、ウエットコンディションの中、転倒リタイアに終わりました。今大会も初めて走るサーキットですが、チームのホームGPとなるだけに全力で挑みます。

Moto2クラスは、4戦を終えてスコット・レディング(Marc VDS Racing Team)が76点で総合首位をキープしています。前戦フランスGPではMoto2クラスの初優勝を達成し、その勢いを今大会も発揮する意気込みです。総合2位はエステベ・ラバト(Tuenti HP 40)で52点。以下、ミカ・カリオ(Marc VDS Racing Team)が47点、ドミニク・エージャーター(Technomag carXpert)が47点で並び、総合5位のポル・エスパルガロ(Tuenti HP 40)が41点と接戦となっています。前戦フランスGPで初PPを獲得、決勝レースでトップを走りながら転倒した中上貴晶(Italtrans Racing Team)は29点で総合8位。一戦ごとに激しく順位を入れ替えているMoto2クラスだけに、今大会の結果に注目されます。

Hondaの1社供給エンジンで行われているMoto2クラス。ストレートの長いムジェロは、スリップストリームを使い合う激しいバトルが繰り広げられてきましたが、今年も熱い戦いになることは間違いありません。今大会もニューシャシーの投入が予定されているIDEMITSU Honda Team Asiaの高橋裕紀は、今大会初ポイント獲得を狙います。

Moto3クラスは、ホームGPを迎えるロマノ・フェナティ(San Carlo Team Italia)が今季初表彰台と今季ベストリザルトを狙います。今年は、4戦を終えて総合13位ですが、前戦フランスGPでは今季ベストの7位と調子を上げています。また、前戦フランスGPで8位、総合5位につけるブラッド・バインダー(Ambrogio Racing)も、第3戦スペインGPの4位を上回る今季ベストリザルトに闘志を燃やしています。ルーキーの渡辺陽向(TASCA RACING)もチームのホームGPを迎え、今季ベストリザルトを狙っています。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング1位)「ル・マンのレースを終え、今週はリラックスするように心がけてきました。体調は万全です。ムジェロはとても楽しく、すばらしいサーキットです。長いコーナーがあり、全体的に高速サーキットですので、マシンのフィーリングがとても重要になります。ムジェロは天気がいいことが多く、ファンが数多く来てくれて、雰囲気も最高です。4戦を終えて、チャンピオンシップをリードしていますが、ムジェロでもマシンがうまく機能し、いいレースができることを願っています」

マルク・マルケス(MotoGP ランキング2位)「ル・マンのレースは、とてもうれしい結果でした。ウエットコンディションでレースを走ることはすばらしい経験になりました。ムジェロへ向かうのが楽しみです。いい天気になることを願っています。ムジェロは難しいサーキットです。もしかしたら、シーズン中で一番難しいサーキットかもしれません。切り返しが多いので、いいセットアップを見つけるために、はじめから一生懸命取り組まなければなりません。この先、難しいサーキットが続くので、集中力を維持しなければなりません。ほかのライダーたちは、ムジェロではとても速いので、厳しいレースになると思っています。今回も100%の力でがんばります」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP ランキング7位)「ル・マンのコンディションは非常に難しかったのですが、マシンのフィーリングはよくて助けられました。昨年は完ぺきな週末ではありませんでした。今年はあまりデータがなかったにもかかわらず、ウエットコンディションでいいセッティングを見つけることができました。チームはとてもいい仕事をしてくれました。表彰台に上がったライダーと同じようなラップタイムを出すことができたことはすばらしいことでした。コーナー出口で、まだ少し問題がありますが、全体的によくなっています。ムジェロは、ル・マンとは全く違うサーキットです。テクニカルで、速く、切り返しや高低差がたくさんあります。昨年の悪い思い出を忘れ去るためにも、今週は最初から最後まで集中しなければなりません。チームのホームレースなので、特別なグランプリです。いい結果を残せるようにがんばります」

ステファン・ブラドル(MotoGP ランキング11位)「ムジェロは昨年4位に入れましたし、とてもいい思い出があります。イタリアのサーキットは大好きなので、昨年の大会は皆を驚かせることになった自分のパフォーマンスにとても満足しました。今週はチームにとって最も重要なレースの一つです。そしてスポンサーも楽しみにしてくれています。ムジェロの雰囲気は最高ですが、天気はそうはいきません。それでも、とても楽しみにしています。そして、昨年のようなレースにしたいと思っています。ル・マンでは、フロントエンドの問題を解決させる方向性を見つけましたので、自信を持って周回できるようになりました。雨が降って大変でしたが、モチベーションを上げることができました。いいパッケージでイタリアへ向かいます」

ブライアン・スターリング(MotoGP ノーポイント)「GO & FUN Honda Gresiniにとって、ムジェロはホームレースなので、最高の雰囲気になると思います。ル・マンのことは忘れて、最初のセッションから、コースレイアウトを学び、マシンのセットアップを進めるために一生懸命がんばります。ここもまた初めてのサーキットですが、レイアウトはおもしろそうです。ムジェロではいいレースをして、ポイント圏内に近づきたいです」

スコット・レディング(Moto2 ランキング1位)「ようやくル・マンで初優勝を達成しましたが、それでなにかが変わるわけではありません。目標はいつもと同じです。チャンピオンシップを一番優先します。ル・マンで優勝して、チャンピオンシップでも、24ポイントのアドバンテージを築くことができました。しかし、一つのレースで失敗するだけで、そのアドバンテージはなくなります。先週のル・マン同様に、ムジェロも好きなサーキットです。今週は新しいパーツも導入されます。このサーキットは速く、テクニカルで、流れるようなコースなので、この新しいパーツが役に立つことを願っています」

エステベ・ラバト(Moto2 ランキング2位)「ル・マンのミスは忘れました。しかし、同じことを繰り返さないために、ル・マンのミスから学ばなければなりません。ムジェロは好きなサーキットです。すぐにいいセットアップを見つけられることを願っています。そして余裕を持ってレースの準備ができればと思っています。レディングが少し差を広げましたが、まだシーズン序盤です。シーズンを通してベストを尽くしたいです」

ミカ・カリオ(Moto2 ランキング3位)「ル・マンでは、それまでとは違うセットアップで走りました。その結果、マシンの感触はとてもよくなりました。ムジェロが、どういうフィーリングになるか楽しみです。ムジェロでは新しいパーツもテストしなければなりません。昨年のイタリアは運が悪かったですが、ムジェロは大好きなサーキットです。今週こそ、運気が変わることを願っています。そしていい結果を出したいです」

中上貴晶(Moto2 ランキング8位)「イタリアGPは、チームのホームGPとなるので、予選、決勝といい結果を狙っていきます。昨年の大会では、レース中に初めてトップを走れましたし、今年はマシンの仕上がりもいいので、いいレースをする自信があります。前回のフランスGPは初めてポールポジションを獲得しました。決勝ではトップを走りましたが、転倒してしまいました。その雪辱を果たしたいと思っています。今度こそ、という気持ちを結果に残したいですね」

高橋裕紀(Moto2 ノーポイント)「ムジェロは、ここまでの4戦とはサーキットのキャラクターが異なります。アップダウンがあり、中高速コーナーが連続するので、マシンのセットアップがより重要になります。今回は、スペインで投入した新型のシャシーをさらに改良した新しい車体で走る予定です。ムジェロは苦手意識もなく、好きなコースなので、いい結果を期待しています」

ブラッド・バインダー(Moto3 ランキング5位)「過去にムジェロではいい結果を出してきました。しかし、長いホームストレートがあるので、難しいレースになると思います。引き続き前進していくことが重要です。チームも一生懸命がんばっています。チャンピオンシップでは現在5位。いいポジションなので、引き続きがんばっていきます」

アレクシ・マスボー(Moto3 ランキング9位)「ムジェロをとても楽しみにしています。しかし、ロングストレートがあり、難しい戦いになると思います。大事なことはすべてのレースで前進してきていること。そして徐々に前とのギャップを縮めてきていることです。もっとよくなるように、引き続きがんばります」

ロマノ・フェナティ(Moto3 ランキング13位)「ムジェロがとても楽しみです。僕とチームにとってはホームレースとなりますので、全力を尽くします。2週間前のル・マンでは、まずまずの結果でしたが、今回のイタリアGPでは表彰台に戻れるようにベストを尽くします。チームはとてもがんばっています。フランスではマシンの状態がとてもよかったので、引き続きがんばって、一歩一歩前進したいです」

渡辺陽向(Moto3 ノーポイント)「初めて走るサーキットが続いています。前回のフランスGPは、ドライコンディションで走れることが多かったので、コース攻略も進みました。結果は転倒再スタートで25位という結果でしたが、一歩レベルアップできたと思います。今回はチームの地元なので、フランスGPのいい流れを結果につなげたいと思っています」