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April 4/5/6/7 2013 MotoGP Commercialbank Grand Prix of Qatar カタールGP

SCHEDULE

カタールGPプレビュー

ロードレース世界選手権(WGP)第1戦カタールGPが、4月4日(木)、ドーハ郊外のロサイル・インターナショナル・サーキットで開幕します。カタールGPは、2004年に第1回大会が開催され、今年で10周年を迎えます。08年からは、グランプリ史上初のナイトレースがスタートして世界の注目を集めました。今年は、WGPがスタートして65周年。1959年6月、英国マン島で開催されたグランプリに初めて出場したHondaは、参戦55年目のシーズンを迎えます。

カタールGPプレビュー

昨年は、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、2012年シーズンの最多勝利となる7勝を挙げて総合2位、2011年のチャンピオンのケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)が5勝を挙げて総合3位と、Repsol Honda Teamは18戦中12勝を達成。Hondaは、最高峰クラスでは2年連続19度目のコンストラクターズタイトルを獲得、Repsol Honda Teamも2年連続でチームタイトルを獲得しました。昨年のシーズンをもって、ストーナーが引退。代わって、昨年のMoto2チャンピオンのマルク・マルケスがRepsol Honda Teamに加わり、新体制で2013年シーズンを迎えることになりました。

個人総合で念願のタイトル獲得を狙うペドロサは、2月にマレーシア・セパンで2回、3月にスペイン・ヘレスで1回の公式テストに参加。また、3月には今季初開催となるアメリカ・テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで、Hondaはプライベートテストを実施し、開幕戦に向けて準備を進めてきました。

昨年は、シーズン中盤戦に投入された2013年型プロトタイプのマシンのポテンシャルを存分に引き出したペドロサが、後半の8戦で6勝を挙げる快進撃をみせました。今年のウインターテストでも、ペドロサは2013年型RC213Vのセットアップを順調に進め、今季のチャンピオン候補の筆頭に位置しています。開幕戦の舞台となるカタールGPでは、最高峰クラスにスイッチした2006年から通算で3度の3位、昨年は優勝まであと一歩の2位でした。今年はウインターテストの勢いをカタールGP初制覇につなげる意気込みです。

新加入のマルケスも、周囲の期待に応えるすばらしいウインターシーズンを過ごしました。初めて乗るMotoGPマシンに素早く順応し、マレーシアとスペインの公式テストでは、チームメートのペドロサに匹敵するタイムをマークして常に上位に名前を連ねました。初開催となるサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われたプライベートテストでは、3日連続でトップタイムをマークしてレースファンを驚かせました。マルケスは、今年2月に20歳になったばかり。今年のマルケスには、1982年にHondaのライダーとして、最高峰クラスで史上最年少優勝記録を樹立したフレディ・スペンサーの記録更新に期待が高まっています。開幕戦カタールGPは、マルケスにとっては、MotoGPマシンで初めて走るサーキットとなりますが、昨年の大会ではMoto2クラスで優勝しています。MotoGPデビュー戦でどんな走りをみせてくれるのか、大きな注目が集まっています。

今年のMotoGPクラスには、Honda RC213Vで4人の選手が参加します。Repsol Honda Teamからペドロサとマルケス。GO & FUN Honda GresiniからHondaで2年目となるアルバロ・バウティスタ、LCR Honda MotoGPからはMotoGPクラス2年目のステファン・ブラドルが出場します。

昨年、MotoGPクラスで初のポールポジション(PP)を獲得し、2度の表彰台に立って総合5位のバウティスタは、今年は初優勝を達成し、チャンピオン争いに加わることを目標にしています。GO & FUN Honda Gresiniは、MotoGPクラスで唯一、Showaのサスペンションを使用します。ウインターテストでは順調にセットアップを進めてきました。今年は表彰台の常連を目指します。

MotoGPクラスで昨年総合8位に入り、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したブラドルは、今年は大きなステップを刻む意気込みです。昨年は、フロントローに並ぶことはできませんでしたが、7回にわたって2列目を獲得。決勝ではイタリアGPの4位がベストリザルトでした。今年のウインターテストでは、トップグループに何度も名前を連ねているだけに、2年目のシーズンでのブレイクに大きな期待が膨らんでいます。開幕戦カタールGPでは、初フロントローと初表彰台を目指します。

GO & FUN Honda Gresiniからは、CBR1000RRのエンジンを搭載するCRTマシンでブライアン・スターリングが出場します。今季は12台のCRTマシンが出場する中で、CRT勢のトップを目標に戦います。

カタールGPの舞台となるロサイル・インターナショナル・サーキットは全長5.380km、右コーナー10、左コーナー6のハイスピードテクニカルコースとなっています。2008年からナイトセッションとなりましたが、2011年からは夜間の作業を軽減するために、3日間の日程を4日間に振り分ける特別スケジュールとなっています。

また、今年から予選ルールが変更になります。3度のフリー走行の総合順位で2つのグループに分かれます。上位10番手までの選手が予選グループ2に進出。11番手以下の選手で予選グループ1が行われ、その中で上位2選手が予選グループ2に繰り上がり、予選グループ1の3番手以下の選手は、この時点でグリッドが確定します。繰り上がった2選手を加えた12人の選手でPPから4列目までのグリッドを決めます。予選時間はそれぞれ15分間と、ミスの許されない戦いとなります。新しい予選方式でどのような戦いをみせるのか、大きな注目が集まっています。

Hondaエンジンを搭載して行われるMoto2クラスは今年で4年目のシーズンを迎えます。昨年のチャンピオンのマルケスと総合3位のアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)が、MotoGPにスイッチしましたが、2年目のシーズンを迎える選手やMoto3クラスからスイッチしてくる選手など、今年も激戦が予想されます。

ウインターテストでは、昨年4勝を挙げて総合2位のポル・エスパルガロ(Tuenti HP 40)が好調でした。昨年総合15位でMoto2クラス2年目のシーズンを迎える中上貴晶(Italtrans Racing Team)も、エスパルガロに続く好走をみせて、今季の活躍に期待が集まっています。また、初参加となるIDEMITSU Honda Team Asiaから高橋裕紀が参戦し、2010年の初代Moto2チャンピオンのトニ・エリアス(Blusens Avintia)がMoto2クラスに完全復帰を果たすなど、話題にあふれています。Hondaエンジンを搭載、ダンロップタイヤを使用して激戦となるMoto2クラス。今年も厳しい戦いが予想されます。

今年で2年目を迎えるMoto3クラスには、昨年総合6位のロマノ・フェナティ(San Carlo Team Italia)、総合14位のニッコロ・アントネッリ(GO & FUN Gresini Moto3)、総合18位のアレッサンドロ・トヌッチ(La Fonte Tascaracing)など、10代の選手を中心に、Hondaエンジンを搭載したマシンが15台出場します。日本からは、渡辺陽向(TASCA RACING)がフル参戦します。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP)「長いテストの期間を終え、レースを戦う準備はできています。シーズンのスタートに最高のリザルトを獲得できるようにチームは一生懸命がんばってくれました。今年は体調もよく、万全の状態で開幕戦に挑むことができます。カタールのレースウイークは4日間と長いので、これはとても重要なことです。また、カタールのサーキットは、コース上に砂が多く、グリップレベルが上がるのに時間がかかりますので、コンディションに合わせてしっかり走っていきます。また、新しい予選方式がどうなのか、レースがどういう結果になるのか、とても楽しみです。とにかく、シーズンが始まるのが待ちきれません」

マルク・マルケス(MotoGP)「とても充実したウインターテストでした。そして、いよいよレースをするときが来ました。カタールは得意なサーキットではありませんが、とても楽しいコースです。砂漠の砂のためにグリップに影響があり、ナイトレースということも考慮しなければなりません。またヘレスで感じたように、Moto2マシンとMotoGPマシンは全く違うので、初めて走るサーキットでは、時間が少し必要になります。どんな走りができるのかは、開幕してから考えたいですね。初めてのMotoGPのレースなのでナーバスになると思います。それでも、とても楽しみにしています」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP)「新しいシーズンに向けて準備は整っています。スペイン・ヘレスの最後のテストでは、天候が悪くてしっかり走れませんでしたが、ウインターテストを通してみれば、すばらしい仕事ができました。まだテスト項目はたくさん残っていますが、全体的には昨年から大きく前進することができました。カタールでのレースはいつも特別です。ライトの下でコースに出るのは興奮します。しかし、ナイトセッションはいつもグリップレベルがまちまちなので注意が必要です。新しい予選のシステムがどうなのか楽しみです。きっとおもしろいと思います。もっとうまくマシンを乗りこなせるように、そしていいレースができるよう、引き続きがんばりたいです。昨年のカタールは課題がたくさんあり、レースでは7位に入るのが精一杯でした。今年はその分もがんばりたいと思います」

ステファン・ブラドル(MotoGP)「カタールへ行くのを楽しみにしていました。2013年の開幕戦に向けて準備はできています。このサーキットはいつもは速く走れますし、レイアウトも雰囲気も好きです。夜にレースができるなんて最高です。昨年は、MotoGPクラスのデビュー戦ということでナーバスになりましたが、このクラスで経験を積んできましたので、昨年ほどナーバスにはならないと思います。とにかく、このサーキットはいい結果を出すいいチャンス。全力を尽くしたいと思います」

ブライアン・スターリング(MotoGP)「MotoGPのデビューを前にナーバスになっていますし、興奮もしています。スペイン・ヘレスのテストでは、まずまずの走りができましたし、モチベーションも上げられました。ロサイルはあまり知りませんが、テレビで何度も見ていますので、自分自身で体験するのが楽しみです。冬の間にチームと一生懸命仕事をしてきました。FTR Hondaはこれまで経験したことがないマシンでしたし、パワーに対応できるよう、自分のライディングスタイルを合わせてきました。カタールではいいレースをして、いい方向でシーズンをスタートできることを願っています」

ポル・エスパルガロ(Moto2)「プレシーズンのテストはとてもうまくいきました。バレンシアで1回、ヘレスで2回と、すべての公式テストでトップタイムを出せてとてもうれしいです。でもテストはテストなので、これから迎える本番でしっかり走っていきたいです。タイトル争いに向けて、準備は整っています。目標を達成するために、僕には信頼できる最高のテクニカルチームがついているので安心です。一戦一戦全力を尽くしていきますし、Moto2はとても難しいカテゴリーだということを決して忘れないようにしていきたいと思います。たくさんのライダーがいて、中にはすでに世界チャンピオンになったライダーもいます。だから110%のポテンシャルを出せたとしても、このシーズンは厳しいと思います」

トニ・エリアス(Moto2)「ロサイルのレイアウトは好きですが、ナイトレースはレースを難しいものにします。特に、夜露はグリップに影響しますので、僕は日中にレースをする方が好きです。でも、皆も同じ条件ですので、全力を尽くします。プレシーズンのテストは、とてもいい仕事ができました。でもまだ最後のステップが残っています。だから最初の2日間のプラクティスでは、そのステップに進み、予選ではできる限りいいポジションを獲得したいです。とにかく、開幕戦がスタートするのが楽しみです。結果について、今話せることはありません。特にMoto2のような厳しいカテゴリーでは難しい。でもカタールで勝つことができれば、もしくは表彰台に上がることができれば、とてもうれしいですね」

スコット・レディング(Moto2)「昨シーズンは、トップ5でフィニッシュするという目標を達成することができました。今年は、さらにステップアップしなければなりません。今年は開幕戦から、すべてのレースで表彰台に上がることを目標にしています。ウインターテストは、とても充実していましたし、いいマシンに仕上がりました。体力的にも精神的にも、これまでで最高の状態だと思います。今週末が非常に楽しみです。厳しく激しい戦いとなると思いますが、もしカタールで表彰台に上がることができれば、完ぺきなスタートになります。だからそれを目標にがんばります」

中上貴晶(Moto2)「昨年と比べたら、ウインターテストは格段にいい結果を残すことができました。自分も成長できたと思いますし、チームのレベルも上がっていると思います。2013年型のKALEXのマシンのセットアップは順調に進みましたが、最後のテストでできなかった項目もあり、開幕戦では、まずそれを確認するところからスタートすることになります。今年はチームと一緒に『チャンピオンを獲得しよう』と話し合ってきました。それを目標に開幕戦から全力で挑みます」

高橋裕紀(Moto2)「チームもマシンも新しくスタートしたばかりですので、開幕戦ではポイント獲得、シングルフィニッシュを目指してがんばりたいです。ウインターテストでは、課題がたくさんあって、開幕戦に向けて、新しいシャシーも投入されます。この新しいシャシーでどんな走りができるのか、とても楽しみにしています」

ロマノ・フェナティ(Moto3)「スペインのヘレスでの最後のテストはあまり満足できるものではありませんでした。でも、気持ちを切り替えて、ロサイルに向かいます。ウインターテストでは、FTR Hondaで、とてもたくさんのことを試しました。まだやることはたくさんありますが、一番いい点はチームが非常にいい仕事をしてくれたということです。だから、今抱えている課題も、きっと改善できると思います。昨年のカタールでは、すばらしいレースができました。僕のグランプリキャリアでは、すばらしいスタートとなりました。今年は厳しい戦いが待ち受けていると思います。でもそのチャレンジに向けて準備は整っています」

ニッコロ・アントネッリ(Moto3)「今シーズン最初のレースに向けて準備は整っていますし、楽しみにしています。早くコースに出てフィーリングを確かめたいです。調子がよければ前で戦えるように、ベストを尽くしたいです。きっといいレースができると信じています。ロサイルは好きですし、ナイトレースという非現実的な雰囲気を楽しみにしています」

アレッサンドロ・トヌッチ(Moto3)「カタールへ向けてとても調子はいいです。トレーニングはしっかりとこなしてきました。チームとはうまくやれています。最後に行ったテストではマシンのいいバランスを見つけられませんでしたが、カタールの最初のプラクティスで改善することを願っています。カタールに到着する新しいエンジンがどうなのかも見てみたいです。うまくいくことを願っています」

渡辺陽向(Moto3)「あっという間にウインターテストが終わりましたので、やっとというよりも、もうシーズンが始まるのかという気持ちです。ウインターテストの最後に、レース距離のロングランを行ったときに自分の体力不足を感じましたので、開幕までランニングや自転車など、トレーニングをがんばってきました。全日本やスペイン選手権と比べて距離が長いだけではなく、ペースも速いので、今まで以上に体力が必要だということを痛感しました。とにかく、今は追いかける立場なので、セッションごとに一つでも順位を上げられるようにがんばります」