2011年5月14日(土)・予選 会場:ル・マン・サーキット
天候:曇り、ときどき晴れ 気温:18℃ コースコンディション:ドライ
第4戦フランスGPの予選は、ケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)がPPを獲得、2番手にマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)、3番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)と、Honda勢がフロントロー独占を達成した。ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が4番手と続いた。
今季3回目のPPを獲得したストーナーは、午前中3回目のフリー走行でトップタイムをマーク。午後に行われた予選でもセッション序盤に首位に立つと、次々にタイムを更新、Honda勢同士の激しいPP争いを制した。2戦ぶりのPP獲得となったストーナーは、初日から好調で、すべてのセッションを制した。前戦ポルトガルGPでは、セッティングに戸惑って予選4番手とやや出遅れた。決勝は3位表彰台に立つも、不完全燃焼のレースとなっていた。今大会のフリー走行と予選では、そのうっ憤を晴らす快走を披露、開幕戦カタールGP以来の今季2勝目に大きく前進した。
そのストーナーに肉薄したのが、シモンチェリだった。初日のフリー走行で2番手。この日の午前中に行われた3回目のフリー走行でも、ただひとり、ストーナーに接近するタイムをマークした。予選では、決勝に向けてのセッティングに集中し、最後のアタックで一気にタイムを縮め、2番手に浮上した。ストーナーとの差は、わずか0.059秒だった。第2戦スペインGPではトップを走りながら痛恨の転倒。前戦ポルトガルGPでも今季初フロントロー2番手から好スタートを切るも、オープニングラップに転倒する悔しいレースとなっていた。今回は、過去2戦の悔しさを晴らす絶好のチャンス。2戦連続フロントローから、MotoGP初表彰台に闘志を燃やしている。
ドヴィツィオーゾが今季初フロントローとなる3番手だった。開幕戦カタールGPでは予選7番手、決勝4位と表彰台にあと一歩。雨になった第2戦スペインGP では、予選6番手から追い上げのレースを見せるも、タイヤの消耗で12番手へと大きく順位を落としていた。前戦ポルトガルGPでは、予選6番手から今季2回目の4位。今大会は、今季初の表彰台と初優勝を狙う。
初日3番手とまずまずのスタートを切ったペドロサは、この日の低い路面温度に苦戦、いいグリップを見つけられず4番手だった。初日は最高気温が24℃、路面温度は40℃を越えた。しかし2日目は雲が多く、午前中14℃。青空が広がった午後も18℃までしか気温が上がらず、路面温度も金曜日より10℃以上低かった。初日から低い路面温度でベストな状態を見つけられないペドロサだが、第3戦ポルトガルGPで今季初優勝。総合首位のホルへ・ロレンソ(ヤマハ)に4点差に接近しているだけに、決勝では2連勝に闘志満々。この大会で逆転を果たし、首位に浮上する意気込みだ。
初日8番手とまずまずのスタートを切った青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)も、ペドロサ同様、初日に比べて低い気温と路面温度に苦戦、タイヤのパフォーマンスを出しきれず、13番手にポジションを落とした。しかし2日間、4セッションで着実にセットアップは進んだ。課題はタイヤの温度をどれだけ上げられるかにかかっている。決勝日の気温が上がれば追い風となるが、寒い一日になった場合、ウオームアップでベストセッティングを見いだす作業に集中することになる。
初日16番手のトニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)は、着実にセットアップを進めるも、予選では痛恨の転倒を喫し、17番手へと順位を落とした。しかし、決勝に向けてペースが改善されているだけに、追い上げのレースに挑む。
Moto2クラスは、今大会も厳しいアタック合戦となり、トップから1秒差以内に17台という大接戦となった。PPを獲得したのはステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)で、開幕から4戦連続。2番手にトーマス・ルティ(Interwetten Paddock Moto2)。ルティも開幕から4戦連続フロントローを獲得し、初優勝を狙う。3番手には高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)で、初日のフリー走行で8番手だったが、2日目の予選で一気にタイムを上げた。今季最高の激戦が予想されるMoto2クラス。PPのブラドルから予選9番手まで僅差。3列目までに並んだ選手すべてに優勝の可能性が膨らむという厳しい戦いになりそうだ。Hondaエンジンを使用するMoto2クラス。今大会も全選手にハイレベルで公平なエンジンを供給している。
ケーシー・ストーナー(MotoGP ポールポジション) 「今回のポールポジションはとてもうれしい。午後はレースのセットアップに集中した。1台のマシン、そしてもう1台とマシンを少し調整して改善させた。昨日、今日とコンディションが不安定だ。今日は風が少し強くて、マシンの状態が改善されたのか、そうでないのか見極めるのが難しかった。でも、本当にいい走りをすることができた。そして限界までプッシュすることができた。こういう状態は文句なくうれしい。今シーズン3度目のポールポジションとなったけれど、優勝へ向けて一歩前進しただけ。この数戦、ちょっとツキがなかった。今週はもう少し運が向いてくることを願っている。明日は優勝を狙っていきたい」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP 2番手) 「初めてのポールポジションまで、本当にもう少しだった。0.059秒差はほとんどないに等しいからね! 奇妙なことに、これは昨年のエストリルで表彰台を逃したときと同じ差だった。とにかくうれしい。そしてレースに向けてよい状態が作れた。セッションごとに改善されたし、自信もある。今日はブレーキングがよくなった。しかし、まだ100%ではない。明日の目標はレースを完走して、ポイントを得ることだ。2戦連続で転倒しているし、明日は限界を超えたプッシュはしない。なんとか、いいレースをしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 3番手) 「フロントローからスタートできるのは、とてもうれしい。今回のレースはこれがひとつの目標だったから、余計にうれしい。セッション終盤、シモンチェリの後ろを走った。彼のラインについて行ったのがよかった。午後、セットアップを少し変えたら、フロントの感触がよくなった。これで自信を持ってレースに挑める。表彰台争いができると思う。明日のレースは厳しいはずだ。ケーシーはとても速い。そして彼は逃げようとするだろう。自分にはいいペースがあるので、シモンチェリやダニと戦うことになる。とにかく、一生懸命働いてくれたチームに感謝したい。そして明日はいい結果を残したい」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 4番手) 「昨日に比べて、かなりよくなったのだが、それでもリアのトラクションが不足しているのか、望んでいるグリップを得られなかった。予選では、セッション開始からソフトタイヤを装着して、いいリズムを見つけようとした。そしてセッションの終盤にもう一度ソフトを履いて走行したのだが、うまくいかなかった。明日のウオームアップで少しマシンを改善しなければいけない。そして決勝レースでは、いいスタートを切ることが重要になる。スタートして最初のシケインは難しいので、どんなトラブルも避けなければいけない。オープニングラップは極めて重要になる。なぜならタイヤはまだ冷えているし、それでも前にいることが重要になるからね。ケーシーは速すぎるけれど、ほかのライバルとは僅差だ。シモンチェリ、ドヴィツィオーゾ、そしてロレンソもよくなっている。長く厳しいレースを戦う準備をしなければならない。エストリルでもそうだったけれど、最後まであきらめず、全力を尽くしたい」
青山博一(MotoGP 13番手) 「昨日に比べて気温も路面温度も低く、タイヤのパフォーマンスをうまく引き出せなかった。こういうコンディションでは、この問題が顕著に出てしまう。今年は、スタートして序盤にタイヤの温度を上げられず苦戦している。この課題をなんとか解決しなければならない。それを除けば、昨日から今日にかけてセットアップは順調だったと思う。とにかくコンディション次第なので、もし明日が寒かったら、ウオームアップでなんとかタイヤの温度を上げられるセッティングを見つけたい。明日も追い上げのレースになると思う。最後まで全力を尽くしたい」
トニ・エリアス(MotoGP 17番手) 「昨日より感触がよくて、マシンのセットアップが一歩前進した感じだ。午後のセッションのほとんどは中古タイヤで周回したが、いいラップタイムを刻めた。そして新品のリアタイヤを装着してアタックしようと思ったのだが、残念ながらターン6でフロントを失って転倒してしまった。ラップタイムを更新してグリッドを上げるチャンスだったので、残念。今週末はもう少し順位を上げられたはずだと思う。でも今のベースセッティングは悪くないし、明日は追い上げのレースができると思う」
中本修平 | HRCチーム代表 「昨日に引き続き、今日もいい結果を残すことができた。明日の決勝も、今日のような結果を出せるように全力を尽くしたい。久しぶりのフロントロー独占。4位までHondaという結果となったが、好調の要因は、正直、分からない。Honda勢同士が切磋琢磨するという相乗効果も大きな要因かもしれない。いずれにしても、今年一番の内容で予選を終えられた。アンドレアもここに来て調子を上げてきた。明日の目標は優勝。Honda勢同士が優勝を争ってくれれば、よりうれしい」
ステファン・ブラドル(Moto2 ポールポジション) 「ポールポジションを獲得できてうれしい。でも明日の決勝は、どうなるかやってみないと分からない。ここまでは言うことなし。完ぺきな週末になっている。昨日の朝からすごくいい状態だ。予選が始まったときは、リアタイヤが完ぺきではない感じだった。でも次に履いたタイヤがよくて、コース上は渋滞していたけれど、いいラップタイムを出せた。明日の決勝も今日のような走りがしたい。明日のレースは厳しい戦いになると思う。とにかく完走したい」
トーマス・ルティ(Moto2 2番手) 「フロントローに再び並べてうれしい。明日の目標はエストリルよりポイントを獲得することだ。エストリルでは、転倒してゼロポイントだったからね。予選の始めは結構大変だった。自分のリズムを見つけられず、ほかのライダーがとても速かったので、長い時間、5番手から抜け出せなかった。最後は少しタイムを上げることができた。最終的になんとかレースに向けて準備ができた感じだ」
高橋裕紀(Moto2 3番手) 「いろいろなことにトライした2日間だった。最終的に初日の状態に戻ったが、無駄なことはなにひとつなく、いろいろなデータが収集できた。ただ、今の状態では、トップグループについていくのがやっとだと思うし、明日のウオームアップでもう少しアベレージを上げられるようにしたい。今回は、リアサスの調整や新しいスイングアームも試した。セットアップする時間が足りなかったけれど、次のレースにつながる2日間だった。もちろん明日のレースは、表彰台と優勝を目標に全力を尽くす。ポルトガルでは、多くの人に励まされた。今回はみんなに喜んでもらえるようなレースにしたい」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 27 | ケーシー・ストーナー | Honda | 1:33.153 |
2 | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | +0.059 |
3 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.468 |
4 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.530 |
5 | 1 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.553 |
6 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +0.651 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.910 |
8 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +1.053 |
9 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +1.053 |
10 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.124 |
11 | 14 | R.デ・ピュニエ | ドゥカティ | +1.198 |
12 | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +1.360 |
13 | 7 | 青山博一 | Honda | +1.459 |
14 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.497 |
15 | 65 | L.カピロッシ | ドゥカティ | +1.713 |
16 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +1.857 |
17 | 24 | トニ・エリアス | Honda | +2.280 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 65 | ステファン・ブラドル | KALEX | 1:38.357 |
2 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | +0.045 |
3 | 72 | 高橋裕紀 | MORIWAKI | +0.183 |
4 | 40 | アレックス・エスパルガロ | PONS KALEX | +0.203 |
5 | 45 | スコット・レディング | SUTER | +0.298 |
6 | 93 | マルク・マルケス | SUTER | +0.322 |
7 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +0.349 |
8 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SUTER | +0.442 |
9 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +0.462 |
10 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +0.492 |
11 | 16 | ジュール・クルーゼル | SUTER | +0.648 |
12 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | MOTOBI | +0.674 |
13 | 51 | ミケーレ・ピロ | MORIWAKI | +0.707 |
14 | 80 | アクセル・ポンス | PONS KALEX | +0.765 |
15 | 75 | マティア・パシーニ | FTR | +0.781 |
16 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +0.864 |
17 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +0.866 |
18 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | FTR | +1.037 |
19 | 44 | ポル・エスパルガロ | FTR | +1.124 |
20 | 76 | マックス・ノイキルヒナー | MZ-RE HONDA | +1.128 |
21 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | MORIWAKI | +1.134 |
22 | 34 | エステベ・ラバト | FTR | +1.185 |
23 | 36 | ミカ・カリオ | SUTER | +1.204 |
24 | 21 | ハビエル・フォレス | SUTER | +1.219 |
25 | 54 | ケナン・ソフォーグル | SUTER | +1.298 |
26 | 25 | アレックス・バルドリーニ | SUTER | +1.332 |
27 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | TECH 3 | +1.452 |
28 | 71 | クラウディオ・コルティ | SUTER | +1.492 |
29 | 88 | リカル・カルダス | MORIWAKI | +1.559 |
30 | 68 | ヨニー・ヘルナンデス | FTR | +1.560 |
31 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.592 |
32 | 39 | ロベルティーノ・ピエトリ | SUTER | +1.630 |
33 | 13 | アンソニー・ウエスト | MZ-RE HONDA | +1.659 |
34 | 9 | ケニー・ノイズ | FTR | +2.004 |
35 | 49 | ケブ・コフラン | FTR | +2.282 |
36 | 64 | サンティアゴ・ヘルナンデス | FTR | +2.284 |
37 | 53 | バレンタン・ドゥビーズ | FTR | +2.417 |
38 | 8 | アレクサンダー・クドリン | MORIWAKI | +3.309 |
39 | 95 | マシェル・アル・ナイミ | MORIWAKI | +3.518 |
40 | 97 | スティーブン・オーデンダール | SUTER | +3.540 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 18 | N.テロール | アプリリア | 1:43.578 |
2 | 55 | H.ファウベル | アプリリア | +0.389 |
3 | 25 | M.ビニャーレス | アプリリア | +0.737 |
4 | 11 | S.コルテセ | アプリリア | +0.777 |
5 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +0.919 |
6 | 5 | J.ザルコ | デルビ | +1.014 |
7 | 26 | A.マーティン | アプリリア | +1.148 |
8 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +1.177 |
9 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.198 |
10 | 39 | L.サロン | アプリリア | +1.769 |