2010年のシーズンを締めくくる第18戦バレンシアGPが、11月5日から7日の3日間、バレンシア・サーキットで開催される。バレンシアGPは、1999年に第1回大会が行われ、今年で12回目。2002年から最終戦の舞台として定着している。今年は、ヘレス、バルセロナ、アラゴンに続く、スペインで4回目のGP。今年も3日間で20万人を超える大観衆を集めることは確実で、最終戦にふさわしい、盛り上がりをみせる大会となりそうだ。
バレンシアは一周4.005kmのテクニカルコース。サーキットをぐるりと取り囲むスタンドからほぼ一周を見渡せる独特なレイアウトで、ファンの人気は高い。戦う選手にとっては、パッシングポイントが少ないことから、スターティンググリッドが重要になり、レース中もミスが許されないという高い緊張感を強いるレイアウトになっている。
過去11回の大会でHondaは5勝を挙げている。そのうち2勝を挙げているダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、125ccでは02年、250ccクラスでは04年と05年、最高峰クラスでは07年と09年と実に5回の優勝を達成、地元ファンの声援に応えてきた。今年は第14戦日本GPのフリー走行で左肩を負傷、第15戦マレーシアGP、第16戦オーストラリアと3戦を欠場。前戦ポルトガルGPで復帰して8位。今大会も100%の状態でレースに挑むことは難しいが、バレンシアGP2年連続優勝と、4年連続表彰台に闘志を燃やす。今年は、ヘレス、カタルニア、アラゴンともに2位。スペイン大会ではすべて表彰台に立ってきた。今季スペイン大会初優勝と表彰台獲得の期待に応えることはもちろん、総合2位をキープする意気込みだ。
前戦ポルトガルGPで2戦ぶり今季7回目の表彰台に立ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、2戦連続今季8回目の表彰台と今季初優勝を狙う。17戦を終えて総合5位だが、4位のケーシー・ストーナー(ドゥカティ)と10点差、3位のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と22点差。最終戦バレンシアGPでは、1つでも上のランキングを獲得することに全力を尽くす。最高峰クラスでは一昨年に4位になり表彰台にあと一歩に迫っている。昨年は8位と悔しい結果に終わっているが、今年は初優勝の期待の中で、ドヴィツィオーゾの走りが大いに注目を集めそうだ。
シーズン後半戦に入って調子を上げてきたマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、今大会はベストリザルトとなる初表彰台を狙う。前戦ポルトガルGPではドヴィツィオーゾとし烈な3位争いを繰り広げ、今季ベストリザルトの4位でフィニッシュした。バレンシアは、250cc時代の08年に優勝している大好きなサーキット。シーズン最後のレースでMotoGP初表彰台を獲得する意気込みだ。
ランキング9位のランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、厳しいランキング争いの中で、1つでも上の順位を狙う。総合8位のシモンチェリまで5点差。総合10位のマルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)に10点差というHonda勢による厳しい8位争いを繰り広げている。デ・ピュニエは、シーズン中盤に負った左足のケガも順調に回復。最終戦バレンシアGPでは、今季初表彰台を狙っている。総合10位のメランドリも、得意とするサーキットに闘志満々。250cc時代の02年、MotoGPクラスでは、05年に優勝している。今年はここまで表彰台のないシーズンとなっているが、シモンチェリ、デ・ピュニエとともに今季初表彰台獲得に気合を入れる。
ケガのためにシーズン中盤戦に6戦欠場、総合15位でシーズン最終戦を迎える青山博一(Interwetten Honda MotoGP)も、昨年250ccクラスでチャンピオンを決めた思い出のサーキットで、今季ベストリザルトを狙う。MotoGPデビューシーズンの今年は、MotoGPマシンを走らせるのが初めてというサーキットが続いてきたが、バレンシアは、昨年の最終戦のあとにテストを行ったサーキット。MotoGPマシンで一度経験しているサーキットだけに、初日から好走を見せてくれそうだ。
Moto2クラスは、フリアン・シモン(Mapfre Aspar Team)とアンドレア・イアンノーネ(Fimmco Speed Up)のし烈な2位争い。さらに、SUTERとMORIWAKIのコンストラクターズタイトル争いに注目が集まっている。Moto2クラスは、バレンシアでウインターテストを実施しているだけに、初日からレベルの高い走りを見せてくれそうだ。
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位) 「エストリルのレースを終えて、この数日の間で、バレンシアでもう一度バイクに乗ることを決めた。エストリルで乗ったときよりいい感じで乗れたらと思っている。エストリルでは腕の感覚がなくなってしまった。今週の検査では、神経に影響がないことがわかった。しかし、引き続き麻痺している感じがあるので、理学療法を継続することにした。だから徐々に不安はなくなると思う。こんな状況だけれど、バレンシアにはいいムードで行けると思う。いつも特別な雰囲気を持っているし、大好きなサーキットだからね。身体の状態に関係なくいい結果を出したいと思っている。新しいスポンサーもインドネシアのHondaから獲得できたしね。今年、インドネシアを訪れたときに、本当に大勢の人がMotoGPに関心のあることにびっくりした。彼らはチャンピオンシップに対して情熱的で知識もある。この新しいスポンサーがRepsol Hondaのマシンと新しい国とのいいつながりを作ってくれると思う」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング5位) 「エストリルで再び表彰台に戻ってこれて、本当にうれしい。チャンピオンシップで4位の可能性を残してバレンシアに臨むことができるからね。バレンシアは低速で、くねくねとしているサーキット。テクニカルでチャレンジ精神を試される難しいサーキットだ。カレンダーの中ではあんまり好きではないサーキットだけれど、そんなことは関係ない。僕たちはできる限りのことをして、いい結果を収めたい。今大会は、今季最後のレースというだけでなく、2011年のシーズンに向けてグランプリ直後の火曜日・水曜日にテストがある。これは重要な2日間になる。長い冬休みに突入する前に、この2日間で最高の状態で終了したい」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング8位) 「エストリルでは、これまでで一番表彰台に近い結果だった。満足感もあったけれど、さすがに、ちょっと悔しさも残る。しかし、僕より速いと感じていたライダーたちと、スタートからゴールまで互角にわたり合えたことがうれしい。エストリルではベストの状態でライディングできたし、僕自身成長したと感じている。バレンシアは、昨年、250ccのタイトルを逃した悔しさを払しょくして、その成長を証明できると思うので待ちきれない。百分の数秒差で逃したポルトガルの表彰台を、大好きなバレンシアで今度こそ獲得したいと思う。間違いなく来季につながるリザルトで今季を終えられると思う。引き続き僕らは、Hondaといつも助けてくれるチームと一緒にベストを尽くしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング9位) 「オーストラリア、そしてポルトガルと、体力勝負のひどい天気が続いたので、バレンシアGPではドライコンディションを心から望む。他のスペインのグランプリ同様に、温かい雰囲気が好きなんだ。エストリルを振り返ると、今シーズンのベストに近い結果を狙えたと思う。シモンチェリのパフォーマンスがすごく印象的だったので、総合ポイントのギャップを埋めたいと思っていた。7月のドイツ戦で、左足をケガした。その影響で厳しいレースが続いていたから、エストリルでの6位はうれしい。250ccクラス時代、バレンシアでは表彰台の経験があるから、上位の方で戦っていきたい」
マルコ・メランドリ(MotoGP ランキング10位) 「エストリルは、失望のシーズン中でも、失望の日になってしまった。どうして僕らが問題点を見つけられないのかはうまく説明できないけれど、これまでの努力が無駄だったと思うと、本当に悔しい。バレンシアはこれまでのことをすっかり忘れて、埋め合わせをする最後のチャンス。過去に250ccとMotoGPクラスでここで勝っているから、このサーキットは好きだ。エストリルの内容では、あまり多くは望めないけれど、全力を尽くしたい」
青山博一(MotoGP ランキング15位) 「バレンシアでは、これまですっごくいい感じだったり、そうじゃなかったりの極端なレースが多かった。今年はシーズン中盤戦に欠場して、後半戦になってやっと調子を取り戻しているので、今季ベストリザルトを残して一年を締めくくりたい。とにかく、気持ちよくレースができることを望む。昨年はここで250ccのタイトルを獲得している。思い出深いサーキットなので、今年も一年で最も思い出に残るレースにしたい」
トニー・エリアス(Moto2 ランキング1位) 「マレーシアでワールドタイトルを獲得したあと、オーストラリア、ポルトガルと、僕らの能力をきちんと出せなかった。フィリップアイランドではバイクに問題があったし、エストリルは僕に問題があった。一番いい方法でタイトルを獲得したことをアピールしたいと思っていたので、申し訳なく思う。最後のレースでは僕をチャンピオンに仕立ててくれた走りをを見せられたらと思う。バレンシアはそんなに好きなサーキットではないけれども、僕自身と僕を支えてくれるチームのためにベストを尽くしたい。オーストラリア戦とポルトガル戦での失望の埋め合わせをするという意味でも、勝ってシーズンを締めくくりたい」
フリアン・シモン(Moto2 ランキング2位) 「エストリルでの難しい週末を終えて、総合2位をキープしてバレンシアに向かうわけだから、このチャレンジにワクワクしている。大好きなサーキットだし、ホームのファンの前で、いいレースをしたい。Moto2クラスの初めてのシーズンで、チャンピオンシップ2位を守り抜きたい。日曜日は絶対にいい結果を残したい」
アンドレア・イアンノーネ(Moto2 ランキング3位) 「エストリルの決勝は転倒して再スタートしたけれど、そのときに心から、いい結果でシーズンを終えたいと思った。グリッド後列からのスタートでも表彰台を狙えたのに、クラッシュして本当に残念だった。もう一度僕たちの速さを証明したい。もちろん、ワールドチャンピオンシップの2位を獲得できる位置にいるし、それを目標に戦う。今年がんばってくれたすべての人たちに感謝の気持ちを込めて、なんとしても表彰台に立ちたいと思っている」
トーマス・ルティ(Moto2 ランキング4位) 「エストリルは残念な結果だった。僕らはいいセッティングを見つけなければいけない。ここ2戦はひどい状態だったから、天気がよくなるように祈るばかりだよ。いいセッティングを見つけて、フリー走行から手応えを感じられるようなら、きっと、アタックできると思っている。バレンシアでは、これまでよかったり悪かったりなので、こうしたいとは言えないけれど、シーズンをいい形で締めくくりたい」
高橋裕紀(Moto2 ランキング10位) 「前回は残念な結果だった。大混戦の中でぬれた路面に乗って転んでしまった。自分と一緒に走っていた面々が表彰台に立っているし、あのまま走っていればと悔やまれる。とにかく、バレンシアは今年最後のレースなので、いい結果につなげたい。バレンシアは、いい思い出も苦い思い出もあるけれど、今年はいい思い出で一年を終えたい」