round 15

October 10 2010
MotoGP MALAYSIAN MOTORCYCLE GRAND PRIX
第15戦 マレーシアGP

マレーシアGPプレビュー

第15戦マレーシアGPが、10月8日から10日までの3日間、クアラルンプール郊外のセパン・サーキットで開幕する。マレーシアGPは今年で20回目の開催。セパンでは1999年に第1回大会が行われ、今年12回目となる。セパンはMotoGPクラスのウインターテストの舞台として定着し、今年も開幕前に2度のテストが実施されている。チーム、そして選手にとっては、シーズンを通じて情報量が最も多いサーキットで、今年もレベルの高い走りが予想される。

熱帯気候のマレーシアの暑さは、選手、マシン、タイヤにとっては厳しい条件となるが、気候が安定しているため、セッティングに悩むこともなく、走りに集中できることが大きな特徴だ。一周5.548kmのロングコースは、スローセクション、高速セクションが織り交ぜられたリズムあるレイアウトで、選手たちの評判も高い。過去19回開催されたマレーシアGPでは、Hondaはこれまで8回の優勝を達成。しかし、セパンで行われた過去10回の大会では、まだ2度しか優勝がなく、今年は7年ぶりの優勝を目指す。

総合2位のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、前戦日本GPのフリー走行で転倒、バルセロナの病院で手術を受け、経過は良好だ。今大会はケガからの早期回復を目指し、残念ながら欠場となるが、次戦オーストラリアGPから復帰するこをと目指して現在、リハビリに励んでいる。

前戦日本GPでMotoGPクラス初PPを獲得。決勝でも今季5回目の表彰台に立ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、得意とするセパンに闘志を燃やす。MotoGPクラスにデビューした2008年にはセパンで3位。MotoGPクラス初表彰台を獲得している。雨になった昨年の大会では、ペドロサに続いて3番手まで浮上も痛恨の転倒を喫しているだけに、今年は2年ぶりの表彰台と今季初優勝を狙う大会となる。

ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)もセパンを得意とするライダーの1人。07年には4位になり表彰台にあと一歩に迫った。今年は第8戦ドイツGPのケガの影響で、依然として100%の体調ではなく、前戦日本GP同様にストップ&ゴーのセクションがあるセパンは、ケガをしている左足への負担も大きい。しかし、ツインリンクもてぎではケガから復帰後初のシングルフィニッシュとなる9位。今回はそれ以上のリザルトを狙っている。

前戦日本GPで今季ベストリザルトの6位でフィニッシュのマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)。同じく日本GPで今季ベストリザルトタイの10位でチェッカーを受けた青山博一(Interwetten Honda MotoGP)の2人も、今大会は大きな期待が膨らんでいる。昨年の大会では、250ccクラスでチャンピオン争いを繰り広げる2人が壮絶な戦いを繰り広げた。あれから一年。今年はMotoGPクラスのルーキーとして、最高峰クラスにチャレンジする。この数戦、調子を上げているシモンチェリ。ケガから復帰5戦目を迎える青山も、今季初のシングルフィニッシュを狙う。そして、今季苦戦が続いているマルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、最もテスト量の多いセパンで復調を狙っている。

激戦の続くMoto2クラスは、前戦日本GPで今季7勝目を挙げてタイトル王手のトニー・エリアス(Gresini Racing Moto2)の戦いに大きな注目が集まる。シーズンは残り4戦。2位のフリアン・シモン(Mapfre Aspar Team)に81点差という大量リードで今大会を迎えるエリアスは、2位のシモンに75点差をつけてレースを終えればタイトル決定となる。前戦日本GPで予選3番手、決勝6位の高橋裕紀(Tech 3 Racing)も、今季3回目の表彰台獲得に闘志を燃やしている。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位) 「まだ首や肩の後ろが曲げにくい。残念ながら今回はマレーシアに行かず、リハビリに専念することにした。オーストラリアGPに復帰することが目標になる。今日(水曜日)検査を行ったが、それによると手術で入れた鎖骨のプレートはしっかりと固定されているし、術後の経過もいいようだ。この2日間で僕のコンディションもよくなったし、理学療法士とリハビリを行っている。まだ自分で腕を動かすことができないがマッサージのおかげでよくなってきている。いい結果を残し、勢いに乗っているときにこんなことになって非常に残念。でも、まずはこの現実を受け止めないといけない」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング4位) 「マレーシアGPを非常に楽しみにしている。先週の日曜日、僕たちはとてもいいレースができた。すべてのセッションで速かった。表彰台に立てたことも非常に大事なことで、この勢いでマレーシアに行くことができる。もてぎからさらに電子制御を改善し、もてぎのときよりも強くなってセパンに到着するはず。先週は一生懸命がんばっていい仕事をした。単に運がよかったわけじゃない。マレーシアではもっといいレースができると確信している。マレーシアのサーキットは僕の大好きなサーキットの1つ。これまでも、いい結果を残してきた。08年、MotoGPで初めて表彰台に立ったのもここだった。セパンはパッシングポイントが多く、高速と低速コーナーのバランスもいい。とにかくサーキットの幅が広いので、いろんなライン取りができるのが楽しい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング8位) 「マレーシアは熱帯気候のおかげでいつも暑いので、だれにとっても厳しいレースになる。それは、ライダーだけではなくチーム全体にいえる。今回は3週連続の2週目。ハードスケジュールなのでしっかり仕事に集中していかなければいけない。足のケガはまだ完ぺきじゃない。もてぎでワイドになってしまったのもちゃんとシフトチェンジができなかったからだ。そういう状態でも、いい結果が残せることを証明できた。セパンでのレースは楽しみ。とてもいいサーキットで大好きだ。07年には4位フィニッシュしている。だからまたいい結果を残せるようにがんばりたい」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング9位) 「もてぎのレースはとても楽しかった。5位をキープできたと思うがエドワーズ(ヤマハ)がレース終盤にペースを上げて、僕より速かった。それでも表彰台に向けて一歩前進できたことがうれしい。ここでもその勢いを継続していきたい。セパンは、正直、あまり好きじゃない。しかし、自分のポテンシャルに自信を持って挑みたい。ウインターテストの時よりも、自分がどのくらい速くなっているか知りたいし、それが楽しみだ」

マルコ・メランドリ(MotoGP ランキング11位) 「もてぎでは『悪い』状態から『より悪い』状態になってしまった。スピーズ(ヤマハ)についていこうとしたがミスをしてしまった。その時点で、後ろにいるライダーたちよりだいぶんアドバンテージがあったのに、順位をいくつか失ってしまった。問題はシーズン初めから苦戦している電子制御の問題。サスペンションの状態はよくなっている。残りの4戦で変わるようにHondaのサポートを期待している」

青山博一(MotoGP ランキング16位) 「マレーシアは大好きなサーキットで、これまでもたくさん成功を収めてきた。昨年、ポールポジションからスタートして優勝した。今年もセパンではいいレースをしたいし、もてぎでの10位よりいい成績を残したい。もてぎを走ったことで、マシンの状態がよくわかってきた。ウインターテストから、自分がどう成長しているのか、バイクがどう変わってきているのかを知るのも楽しみ。まずは、まだ果たせていないシングルフィニッシュを目標に、ベストを尽くしたい」

トニー・エリアス(Moto2 ランキング1位) 「先週のもてぎの優勝はとてもうれしかった。タイトル獲得に向けて大きなステップを刻めた。でもまだ確実ではない。今、僕はだいぶん落ち着いているし、いい精神状態で大好きなサーキットのセパンに行く。今大会も優勝に向けて、最初のセッションから楽しんで、一生懸命努力していきたい。シモンとのポイント差を考えながらタイトルを獲得できるようにがんばらなければいけないけれど、あまりそのことばかりにとらわれないようにしたい。マレーシアでも僕たちの戦略を変える理由はない。できることならば、大好きなサーキットだからいいレースをして、そこでタイトルを獲得して僕やチームの夢をかなえたい」

フリアン・シモン(Moto2 ランキング2位) 「マレーシアでは僕たちのマシンの課題であるリアのトラクションを改善した。しかし、シーズン終盤になってマシンの状態はどんどんよくなっているし、どのレースも表彰台を狙えるようになってきている。今週も優勝を目標にがんばりたい。体力的にも精神的にもとても自分自身強く感じるので、残りのレースはいいレースができると思う。ハードスケジュールだが、これまで通りがんばってチャンピオンシップ2位でシーズンを終えることが目標。今のところその目標にちゃんと向かっている。昨年は125ccで優勝したし、今年も優勝を狙いたい」

高橋裕紀(Moto2 ランキング8位) 「前回の日本GPは、表彰台に立てず、残念だった。しかし、ベストは尽くせたと思うし、日本GPで得られたデータは、今回に絶対に生きると思っている。セパンを走るのは2年ぶり。好きなサーキットなのですごく楽しみ。ツインリンクもてぎで果たせなかった表彰台をここで実現したい」