round 10

August 15 2010
MotoGP CARDION AB GRAND PRIX CESKE REPUBLIKY
第10戦 チェコGP

チェコGPプレビュー

第10戦チェコGPが、8月13日から15日の3日間、チェコ第2の都市ブルノで開催される。MotoGPクラスは第9戦アメリカGPから2週間、125ccクラスとMoto2クラスは第8戦ドイツGPから3週間のインターバル。昨年同様、短いサマーブレイクとなったが、後半戦のスタートとなるチェコGPに向けて、選手たちは気合を入れている。

チェコGPは、1993年にスタートして今年で18回目を迎える。チェコスロバキア時代のチェコスロバキアGPを入れると34回目。毎年、10万人を越えるファンが自然の地形を利用したブルノ・サーキットの観客席を埋める。一昨年は14万人を超える大観衆を集めた。

ブルノ・サーキットは一周5.403km。中高速コーナーが連続するリズム感あふれるサーキットで、コース幅が広く、パッシング・ポイントが多いため、毎年、すばらしいバトルが繰り広げられる。過去17回を数えるチェコGPでHonda勢は8回の優勝。しかし、過去5年優勝から遠ざかっているだけに、今年は必勝態勢で挑む。

総合2位につけるダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、ブルノでは過去、125cc(03年)と250cc(05年)で優勝している。MotoGPクラスでは、最高峰クラスにデビューした06年に3位、その後はケガなどで表彰台を逃しているが、昨年は2位と、ブルノ3クラス制覇にあと一歩に迫った。前戦アメリカGPではトップを独走するも痛恨の転倒。今大会はその雪辱に全力を尽くす。

総合3位につけるアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も後半戦のスタートに気合を入れている。過去ブルノでは優勝はないが、125cc、250cc時代に何度も表彰台に立っている。昨年の大会はトニー・エリアス(当時Honda)とし烈なバトルを繰り広げ、表彰台にあと一歩の4位だった。前戦アメリカGPでもバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と僅差の4位に終わっているだけに、後半戦のスタートとなるチェコGPは、今季5回目の表彰台と今季初優勝に闘志を燃やしている。

125cc時代(1998年、99年)に2勝、250cc時代は2002年に優勝と、過去3度の優勝経験があるマルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、後半戦のスタートに並々ならぬ闘志を燃やしている。最高峰クラスではこれまで一度も表彰台に立っていないが、今年は今季初表彰台を目指して気合を入れている。過去3戦は、第6戦オランダGPの転倒で左肩を痛めた影響で苦戦しているが、この夏休みの休養で、左肩の状態もかなり回復した。だんだん乗れてきているタイミングで肩を痛めているだけに、過去3戦のフラストレーションを一気に晴らし、今季ベストリザルトを達成する意気込みだ。

総合10位のマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)は、ラグナセカ初体験となった前戦アメリカGPで、これまでに経験したことがない1ラウンドで3度の転倒を喫する試練のレースとなった。しかし、この転倒は、サーキットが難しいだけでなく、シーズン中盤戦に入ってだんだん調子が上がっている証拠。攻めの走りが転倒につながっているだけに、後半戦のスタートとなるチェコGPでは、大きな期待が寄せられる。250cc時代は過去2年連続表彰台。昨年は優勝しているだけに、最高峰クラスでも初表彰台の期待が膨らんでいる。

第8戦ドイツGPで転倒、左足けい骨などを骨折して前戦アメリカGPを欠場したランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)が、わずか3週間のインターバルで復帰する予定だ。昨年の大会も左足首を骨折、松葉杖をつきながらもレースに出場して、10位と熱走を見せている。今年も昨年同様の熱い走りに注目されている。

第5戦イギリスGPで負傷、欠場している青山博一の代役として、今大会もアレックス・デ・アンジェリス(Interwetten Honda MotoGP)が出場する。ドイツGP、アメリカGPに続いてこれが3戦目。前戦アメリカGPでは12位で4ポイントを獲得した。 MotoGPクラスにフル参戦していた昨年の大会では8位でチェッカーを受けているだけに、今年もシングルフィニッシュを目標に大会に挑む。

3週間のインターバルを経て、後半戦のスタートを切るMoto2クラス。8戦を終えて3勝を挙げているトニー・エリアス(Gresini Racing Moto2)が2番手以下に大きなリードを築いている。今大会はエリアスが最も得意とするサーキット。前戦ドイツGPからの2連勝と今季4勝目に注目される。総合2位のトーマス・ルティ(Interwetten Moriwaki Moto2)もこのサーキットを得意とする。中盤戦に入って勢いに乗るアンドレア・イアンノーネ(Fimmco Speed Up)も今大会は優勝候補の一角。タイトル争いの顔ぶれもだんだん絞られてきただけに、今大会も熱い戦いが繰り広げられそうだ。

日本人勢は総合5位の富沢祥也(Technomag-CIP)、総合8位の高橋裕紀(Tech 3 Racing)が、ともに今季2勝目を狙う。また、代役出場として手島雄介(JIR Moto2)が3戦目を迎える。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位) 「この数年、夏休みはケガからの回復に努めることが多かったが、今年は体調もよく、友人たちと海に行ってサーフィンをするなど、リラックスできた。こんな風に夏休みを過ごすのは、本当に久しぶりのことで、とてもリフレッシュできた。後半戦に向けていいコンディションが作れたと思う。後半戦のスタートとなるブルノは、シーズンを通して、難しいサーキットの1つ。特にMotoGPマシンを操るには体力が必要になるので、万全の体調で後半戦を迎えられるのが本当にうれしい。ブルノは、すべての要素が要求される。中高速コーナーではハンドリングのよさを要求されるし、上り坂と下り坂では、エンジンのパフォーマンスとブレーキの安定性が求められる。コース幅は広いが、ベストラインは限られているし、トータルバランスが要求される。ブルノは走っていてとても楽しい。今年はいいレースをして、月曜日のテストも後半戦に向けて全力を尽くしたい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング3位) 「ブルノを速く走るためには、本当に多くのことが求められる。高速コーナーが多く、全体のアベレージが高い。しかも、下りセクションと上りセクションがあり、安定したブレーキングも求められるし、コースのレイアウトに合わせたライディングが求められる。観客席のレイアウトはすばらしく、雰囲気もいい。観客でコースサイドが埋まるのもすばらしい光景だ。決勝レースが楽しみなグランプリの1つ。夏休みを終えて、ここから後半戦がスタートすることになるが、気力も体力も充実している。後半戦の目標は、チャンピオンシップで2位になること。そのためには毎戦優勝を目指さなければならない。そのためにも、決勝日の翌日のテストがとても重要になる。今大会は、レースはもちろんのこと、後半戦の戦いのためにテストにも全力で挑みたい。この夏は、家族や友人たちと近くの海で過ごした。とても楽しい時間だった」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング8位) 「ドイツGPの決勝で転倒、骨折した左足けい骨とひ骨をドイツの病院で手術したあと、マルセイユの病院に移って治療とリハビリを続けてきた。骨折した部分を早く回復させるために高圧酸素治療、さらにカンヌの病院に移って超音波治療を受けた。とにかくチェコGPでの復帰に向けて全力を尽くし、アンドーラの家に戻ってからは、ジムに通って自転車でトレーニングを開始した。ケガからわずか3週間でこんなに回復するなんて思わなかったし、医師はもちろん、僕も驚いている。日ごとに松葉杖に頼らなくてもよくなっている。ブルノの木曜日にドクターチェックを受けてレースに出るかどうかを決めるが、レースに出られることを願っている」

マルコ・メランドリ(MotoGP ランキング9位) 「前戦アメリカGPは、思ったようなレースができず、本当に残念だった。ラグナセカは大好きなサーキットだったし、もっとうまく走れると思っていた。しかし、オランダGPで痛めた左肩の影響が残っていて左コーナーでマシンを抑えることができなかった。ラスト10周は走るだけで精一杯だった。あれから2週間、ブルノに向けて短い休養を取れた。ブルノで完全な状態で戦うためにも治療も続けた。ブルノは大好きなサーキットだし、身体の状態が戻っていれば、今回はいままで以上に上位で戦うことができると信じている。前半戦は納得のいくレースができなかったし、後半戦のスタートとなるブルノではいいレースをしたい」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング10位) 「前回のラグナセカは、転倒が続いて、本当に残念だった。フリー、そして予選が終わったときは、いいレースができると信じていた。しかし、ウオームアップで転び、決勝でも転んでしまった。思ったようにはいかず、本当にがっかりしてしまった。しかし、ブルノは、250cc時代に優勝して表彰台に立っているので、 MotoGPでもいいレースができると信じている。前回アメリカから使っている電子制御も今回はそのパフォーマンスをきっちりと発揮できるはず。この夏休みは、サルディーニャ島で休養して体調もいい。開幕が楽しみで仕方がない」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP ランキング18位) 「代役出場が決まり、ドイツ、アメリカの2連戦は、今年のMotoGPマシンに慣れることで終わってしまった。今回は3戦目になるが、今回は新しい電子制御が入るので、それを楽しみにしている。ブルノのようにハイスピードコーナーが続くサーキットが好きなので、今回はすごく楽しみにしている。昨年は8位だったので、それを目標に全力を尽くしたい」

トニー・エリアス(Moto2 ランキング1位) 「ザクセンリンクの勝利は、シーズン中盤戦の低迷に終止符を打つことができたし、最高だった。あれから3週間、後半戦に向けて休養を取りつつ、トレーニングにも集中した。過去2年、ブルノではMotoGPクラスで表彰台に立ち続けて来た。自分のライディングスタイルに合っていると思うし、今年は優勝を目指したい」

トーマス・ルティ(Moto2 ランキング2位) 「前回のドイツGPはノーポイントに終わって残念だった。しかし、この夏休みで、オランダGPの後に手術をした鎖骨は完全に治ったし、完全な状態で大会に挑むことができる。今回は、表彰台に立てるようにベストを尽くしたい」

アンドレア・イアンノーネ(Moto2 ランキング3位) 「シーズン前半戦は、イタリアとオランダで勝つことができたし、カタルニアでもトップを走ることができた。シーズン序盤は完全に出遅れたが、その遅れをかなり取り戻せたと思う。後半戦は、さらにトップとのポイント差を縮めるためにも、いいレースをしなければならない」

富沢祥也(Moto2 ランキング5位) 「3週間の夏休みで体調もよくなり、気持ち的にもリフレッシュできた。中盤戦は、いろんな理由でツキに恵まれなかったが、走りそのものは悪くないと思うし、あとは結果につなげるだけだと思っている。チャンピオン争いではトップからかなり遅れてしまったし、後半戦は、1つでも多く勝てるように全力を尽くしたい」

高橋裕紀(Moto2 ランキング8位) 「カタルニアGPで優勝してチームの士気は上がったが、続くドイツGPで転倒リタイアに終わり、僕だけじゃなくてチームもがっかりしていた。しかし、この3週間の夏休みの間に、シーズン前半戦の課題を少しでも解消するためにチームは全力を尽くしてくれているし、その期待に応えられるようなレースをしたい。ブルノは2年ぶりなので、楽しみにしている」