round 8

July 18 2010
MotoGP ENI MOTORRAD GRAND PRIX DEUTSCHLAND
第8戦 ドイツGP

ドイツGPプレビュー

第8戦ドイツGPが、16日〜18日の3日間、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開催される。ザクセンリンクは、伝統あるサーキットで、1927年に初めて公道レースが開催され、1961〜72年には「東ドイツGP」が開催されている。東西ドイツが統一されてからは、ザクセンリンクでのGP開催を望む声が多く、1998年にサーキットの全面改修を受けて「ドイツGP」が復活。今年で13回目の開催となる。

ザクセンリンクは、アップダウンに富んだテクニカルコースで、98年に復活して以来、2度の大改修でコースが延長されてきた。それでも3.671kmと、シーズンを通じて、アメリカGPが開催されるラグナセカに次ぐ短いサーキットとなっている。今大会前に開催されたイギリスGP、オランダGP、カタルニアGPの3連戦は、屈指のハイスピードサーキットでの連戦だったが、夏休み前のドイツGP、アメリカGPの2連戦は、ショートコースながら、アップダウンに富んだ見どころ満載のサーキットでの開催となる。

過去12回の戦いでは、Honda勢が6回の優勝を飾っている。しかし、2007年にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が優勝して以来、Honda勢は優勝から遠ざかっているだけに、今年は3年ぶりのドイツGP制覇に闘志を燃やしている。

07年に優勝したペドロサは、雨のレースとなった08年もトップを快走した。しかし、このときは転倒で無念のリタイア。昨年も優勝を目指したが3位表彰台と、2年優勝から遠ざかっている。250cc時代には2度の優勝。今年は最高峰クラスで2度目、3年ぶりのドイツGP制覇に気合を入れている。前戦カタルニアGPでは、優勝を狙える状態にマシンを仕上げたが、スタート直後のコースアウトで大きく遅れた。しかし、9番手から2位まで浮上したすばらしい追い上げに大きな拍手が送られた。シーズン中盤戦になってマシンのセットアップも進み、上り調子。ザクセンリンクを得意とするペドロサに注目だ。

前戦カタルニアGPで優勝争いに絡みながら痛恨の転倒で14位に終わっているアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も、今大会は、その雪辱と今季初優勝に闘志を燃やす。125cc、250cc時代は表彰台に立ったことがない苦手なサーキットだったが、最高峰クラスに挑戦した08年には5位になり、表彰台にあと一歩に迫った。昨年はリタイアに終わったが、今年はドイツGPでの初表彰台、今季5回目の表彰台と初優勝を狙っている。

7戦を終えて総合5位と好調な走りを見せるランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、今大会は大きな注目を集めている。過去3戦、予選ではフロントローに並び、決勝では前戦カタルニアGPで4位になり、表彰台にあと一歩に迫った。「表彰台は意識しない」と語っているデ・ピュニエだが、勢いがあるだけに周囲は期待している。現在、総合4位のニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)と同ポイントで並んでの5位。ザクセンリンクでは08年の8位が最高位だが、今大会はザクセンリンクのベストリザルトを目標に、総合4位をうかがう。

第6戦オランダGPで左肩を負傷したマルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)は、前戦カタルニアGPでは痛みをこらえて9位でフィニッシュ。厳しく苦しいレースを走りきった精神力に大きな拍手が寄せられた。ザクセンリンクは、これまで125cc、250ccで優勝している得意のサーキット。今大会、体調は万全にほど遠いが、少しでも上位でゴールしたいと気合を入れている。

250cc時代、過去2年連続で優勝しているマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、得意のサーキットで今季ベストリザルトを狙っている。この数戦、レースをこなすごとにマシンのセットアップが決まり、確実にステップを刻んでいる。前戦カタルニアGPでは、「転ばなければ4位か5位でチェッカーを受けられたと思う」と語るだけに、今大会は、MotoGP初表彰台も視野に入れている。

第5戦イギリスGPで負傷した青山博一(Interwetten Honda MotoGP)の代役として、今大会はアレックス・デ・アンジェリスが出場する。デ・アンジェリスは、昨年まで2年間、Team San Carlo Honda GresiniからMotoGPクラスに参戦していた。昨年の大会では、Honda勢ではペドロサに次ぐ2番手のリザルトとなる5位でフィニッシュ。125cc、250cc時代も表彰台の常連として活躍してきた選手だけに、今大会の代役出場には大きな注目が集まっている。

今大会を終えると夏休みに突入するMoto2クラスは、前半戦のしめくくりのレースとして、全選手が気合を入れている。総合首位のトニー・エリアス(Gresini Racing Moto2)は、ホームGPに気合満点だった前戦カタルニアGPで表彰台を逃し、今大会はその雪辱に闘志。3連戦で3戦連続表彰台に立ち総合2位に浮上のトーマス・ルティ(Interwetten Moriwaki Moto2)も、今季初優勝に闘志を燃やしている。3番手のフリアン・シモン(Mapfre Aspar Team)、4番手の富沢祥也(Technomag-CIP)、5番手のアンドレア・イアンノーネ(Fimmco Speed Up)と、上位陣はポイントが接近しているだけに、今大会も壮絶な戦いが繰り広げられそうだ。また、前戦カタルニアGPにJIR Moto2から代役出場した手島雄介が、今大会も出場する。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位) 「ホームGPだったカタルニアGPは優勝できなかったが、チームも自分も全力を尽くし、地元ファンの前で2位になれてとてもよかった。オランダでも2位だったので、この勢いをキープして、ここからの2連戦に挑みたい。イギリス、オランダ、カタルニアと続いた3連戦は、さすがにハードな戦いだった。しかし、このハードな3連戦で自分の体調がすごくいいことを実感できて、とてもうれしかった。この一週間のインターバルで身体も気持ちもリフレッシュできた。ここからの2連戦がすごく楽しみだ。ザクセンリンクは、とても楽しいサーキット。一昨年は転倒してケガをしたけれど、レースをリードできた。07年は優勝。昨年は表彰台に立っているし、いいレースができるはず。とにかく、集中してミスをしないようにしたい。先週、ワールドカップの決勝戦をテレビで見たが、とても感動した。優勝したスペイン代表チームにおめでとうと祝福の言葉を贈りたい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング3位) 「3連戦最後のレースとなったカタルニアGPは、転倒して順位を落としたが、首位争いに加われたし、とてもいい走りができたと思う。今回もその調子をキープして優勝を目指したい。ザクセンリンクは、コース前半はスローコーナーが続き、後半は高速コーナーが続く、独特なレイアウト。MotoGPクラスにデビューした一昨年は5位になっているし、好きなサーキットだ。昨年はリタイアしているが、今年はいいレースができると信じている。ザクセンリンクはウイークを通じて観客が多く情熱的なので、いいレースをしてファンの声援に応えたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング5位) 「この数戦、いいレースができているので、今回もみんなが喜んでくれるようなレースにしたい。この数戦は、ワークスライダーと戦えているし、すごく充実している。HRCのサポートにも感謝している。ザクセンリンクは、MotoGPクラスにとって簡単なサーキットではない。特にレース終盤までいい走りをするのがとても厳しいコースなので、金曜日、土曜日の2日間で、しっかりセットアップをしたい」

マルコ・メランドリ(MotoGP ランキング9位) 「オランダで左肩を脱きゅうして、その翌週のレースとなった前戦カタルニアGPは、とても厳しい3日間だった。痛みもひどくつらかったが、そのレースで9位に終われたことは、とてもよかった。あれから一週間のインターバルがあり、肩を休ませることができてよかった。今回は9位以上、できるだけトップに近い位置でレースを終えたい。ザクセンリンクは、ハードブレーキングのポイントが多く、ケガをしているのが左肩だったことも幸いした。ここでは125ccと250ccで優勝している。大好きなサーキットなので楽しみにしている」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング10位) 「カタルニアGPでは、3日間を通じてまた一歩ステップを刻めた。決勝レースは転倒したが、最後まで走っていれば、4位か5位でフィニッシュできたと思う。それだけに、リタイアしたあとは、フラストレーションがたまった。ザクセンリンクは、過去2年、250ccで勝っているし、自分の中でも得意とするサーキットの1つ。バルセロナが残念な結果だったので、ここでは、バルセロナの雪辱を果たしたい」

アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 今季初出場) 「今回はケガで欠場している青山博一の代役としての出場となるが、自分にとっては大きなチャンスなので、それを生かせるような走りをしたい。昨年はここで5位になっている。とても楽しみにしている」

トニー・エリアス(Moto2 ランキング1位) 「前戦カタルニアGPは、優勝争いに加われず5位に終わり、本当にがっかりした。しかし、そのあとに行われたアラゴン・テストでは、いい走りができて、自信を取り戻した。今回のレースが終われば、Moto2クラスは次のチェコまで1カ月間レースがないので、ここでいい結果を残して後半戦につなげたい。とにかく、総合首位をキープするために、いいレースをしたい」

トーマス・ルティ(Moto2 ランキング2位) 「イギリス、オランダ、カタルニアの3連戦は、すべてのレースで表彰台に立てたし、今回もトップグループでレースができるようにしたい。アラゴン・テストでは、新しいセットアップにチャレンジして、それがよかった。ザクセンリンクをMoto2で走るのは初めてだが、アラゴンのデータを生かせたらうれしい。ここの観客は熱狂的で、その熱狂的な声援を受けられるようにがんばりたい」

富沢祥也(Moto2 ランキング4位) 「この数戦、ツキのないレースが続いている。前回のカタルニアは1コーナーの多重クラッシュで追突されて転んだ。正直、かなり落ち込んだが、この一週間のインターバルで、気持ちをリフレッシュできた。ザクセンリンクはとても面白いコース。昨年はコースアウトして順位を落としたが、今年はきっちりとリザルトにつなげたい」

高橋裕紀(Moto2 ランキング8位) 「前回の優勝は、本当にうれしかった。自分はもちろんのこと、チームスタッフ全員が心から喜んでくれたし、まさに、チーム全員で勝ち取った優勝だと思っている。しかし、マシンは、まだまだ改良しなくてはいけない部分がたくさんあるし、ザクセンリンクのような回り込むコーナーが続くところは、かなり苦手としている。しかし、ここは4年前に優勝しているサーキットなので、前回のカタルニアのようなレースができたらうれしい」